歯科用語集
2025年10月28日

動揺歯

「動揺歯」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

動揺歯とは、歯が正常な位置から動いている状態を指す。具体的には、歯が歯槽骨からの支持を失い、揺れ動く状態を意味する。語源は「動揺」という言葉から来ており、歯が不安定であることを示している。動揺歯は、外的な力や病理的な要因によって引き起こされることが多く、歯周病や外傷、噛み合わせの異常などが原因となることがある。これにより、患者の咀嚼機能や審美性に影響を及ぼすため、早期の診断と適切な治療が求められる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において動揺歯は、歯周病の進行度や治療の必要性を判断する重要な指標となる。動揺度は、一般的に「Miller分類」や「Mobility Index」を用いて評価される。動揺度が1度の場合は軽度の動揺、2度は中等度、3度は重度とされ、特に2度以上の動揺が見られる場合は、歯周治療や抜歯の検討が必要となる。また、動揺歯の存在は、患者の全体的な健康状態や生活の質にも影響を与えるため、歯科医師は適切な治療計画を立てる必要がある。

関連用語・類義語との違い

動揺歯に関連する用語としては、「歯周病」や「歯槽骨吸収」が挙げられる。歯周病は、動揺歯の主な原因の一つであり、歯周組織の炎症によって歯の支持力が低下する状態を指す。一方、歯槽骨吸収は、歯を支える骨が減少することを意味し、これも動揺歯の原因となる。動揺歯は、これらの病態の結果として現れるため、関連性が高い。さらに、動揺歯は「不安定歯」とも言い換えられるが、これは動揺の程度や原因に応じて異なるため、注意が必要である。

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動揺歯の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

動揺歯の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

動揺歯の定義と臨床的意義動揺歯とは、歯が正常な位置から動いている状態を指し、主に歯周病や外傷によって引き起こされる。歯の動揺は、患者にとって痛みや不快感を伴うことが多く、治療が必要な場合がある。動揺歯の診断は、歯科医師が行う臨床診査に基づき、動揺の程度や原因を特定することが重要である。動揺歯の診断には、視診、触診、X線検査などが用いられ、これにより適切な処置や術式を選択するための情報が得られる。動揺歯の早期発見と適切な処置は、歯の保存や患者のQOL向上に寄与する。動揺歯の症状と診断方法動揺歯の主な症状には、歯の揺れ、痛み、咀嚼時の不快感、歯肉の腫れなどがある。これらの症状は、歯周病や外傷によるものが多く、患者の訴えを基に診断を進めることが重要である。診断方法としては、まず視診による歯の状態の確認が行われ、次に触診によって動揺の程度を評価する。さらに、X線検査を用いて歯根の状態や周囲の骨の状態を確認し、動揺の原因を特定する。これにより、適切な処置や術式を選択するための基礎データが得られる。動揺歯の処置と術式動揺歯の処置は、原因に応じて異なる。歯周病が原因の場合、スケーリングやルートプレーニングなどの歯周治療が必要である。また、外傷による動揺の場合は、固定術や根管治療が考慮される。具体的な術式としては、動揺歯の固定には、スプリント療法が一般的であり、隣接歯と連結することで動揺を抑えることができる。さらに、重度の動揺が見られる場合には、抜歯を選択することもある。これらの処置においては、患者の状態や動揺の程度を考慮し、最適な方法を選択することが求められる。動揺歯の治療におけるメリットとデメリット動揺歯の治療には、いくつかのメリットとデメリットが存在する。メリットとしては、適切な処置を行うことで、歯の保存が可能となり、患者の咀嚼機能や審美性を維持できる点が挙げられる。また、早期の治療により、さらなる歯周病の進行を防ぐことができる。一方、デメリットとしては、治療に伴う痛みや不快感、治療期間の長さ、さらには治療後の再発リスクが考えられる。これらの点を患者に説明し、理解を得ることが重要である。動揺歯の治療における注意点とコツ動揺歯の治療においては、いくつかの注意点がある。まず、患者の状態を正確に把握し、適切な診断を行うことが重要である。また、治療後のフォローアップを怠らず、再発のリスクを低減するための指導を行うことが求められる。さらに、動揺歯の治療においては、患者の心理的なサポートも重要である。治療に対する不安を軽減するために、十分な説明を行い、信頼関係を築くことが治療の成功に繋がる。動揺歯の症例と臨床での判断ポイント動揺歯の症例は多岐にわたるが、特に歯周病によるものが一般的である。症例によっては、動揺の程度や原因が異なるため、臨床での判断が重要である。例えば、軽度の動揺が見られる場合には、歯周治療を行い、経過観察をすることが適切である。一方で、重度の動揺が見られる場合には、抜歯を選択することも考慮しなければならない。これらの判断は、患者の全体的な健康状態や治療に対する意欲を考慮し、慎重に行う必要がある。
1D編集部
2024年6月1日
抜去の手順と注意点。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

抜去の手順と注意点。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

抜去の定義と臨床での重要性抜去とは、歯を外科的に取り除く処置を指す。主に、う蝕や歯周病、外傷、歯の位置異常などが原因で、保存が困難な歯に対して行われる。抜去は、患者の健康を守るために必要な場合が多く、適切な判断と技術が求められる。臨床においては、抜去の判断は慎重に行う必要がある。特に、周囲の歯や組織への影響を考慮し、適切な術式を選択することが重要である。抜去の手順と術式抜去の手順は、患者の状態や抜去する歯の位置、周囲の組織の状態によって異なるが、一般的な流れは以下の通りである。1. **診査と診断**: 抜去が必要な理由を明確にし、周囲の歯や組織の状態を評価する。2. **麻酔**: 局所麻酔を行い、患者の痛みを軽減する。3. **抜去**: 歯を外科的に取り除く。必要に応じて、骨を削るなどの処置を行うこともある。4. **止血と縫合**: 抜去後は止血を行い、必要に応じて縫合する。5. **術後管理**: 患者に対して術後の注意点や処置を説明し、フォローアップを行う。これらの手順を適切に行うことで、抜去後の合併症を防ぐことができる。抜去のメリットとデメリット抜去にはいくつかのメリットとデメリットが存在する。**メリット**: 1. 痛みや不快感の軽減: 保存が困難な歯を抜去することで、患者の痛みを軽減できる。2. 健康な歯の保護: 周囲の健康な歯や組織を守ることができる。**デメリット**: 1. 機能の喪失: 抜去した歯の機能を失うため、咀嚼能力が低下する可能性がある。2. 美容的な影響: 前歯などの抜去は、見た目に影響を与えることがある。これらの点を考慮し、抜去の必要性を判断することが重要である。抜去における注意点抜去を行う際には、いくつかの注意点がある。1. **患者の健康状態**: 全身疾患や服用中の薬剤がある場合、抜去のリスクが増加するため、事前に十分な情報収集が必要である。2. **周囲の組織への配慮**: 抜去時に周囲の歯や組織を傷つけないよう、慎重に手技を行うことが求められる。3. **術後のフォローアップ**: 抜去後の経過観察を行い、合併症が発生しないように注意することが重要である。これらの注意点を踏まえ、適切な抜去を行うことが、患者の健康を守るために不可欠である。抜去の症例と実践的なコツ抜去の症例は多岐にわたるが、特に多いのはう蝕が進行した歯や、歯周病による動揺歯である。実践的なコツとしては、以下の点が挙げられる。1. **適切な器具の選択**: 抜去する歯の状態に応じて、適切な器具を選ぶことが重要である。2. **患者とのコミュニケーション**: 抜去の理由や手順を患者に説明し、安心感を与えることが大切である。3. **術後のケア**: 患者に対して術後の注意点をしっかりと説明し、適切なアフターケアを行うことが求められる。これらのコツを実践することで、抜去の成功率を高めることができる。
1D編集部
2024年6月1日
【歯周治療ガイドライン】P急発の応急処置

【歯周治療ガイドライン】P急発の応急処置

「平成28年歯科疾患実態調査」を元に推定される歯周病患者数は、約7,000万人である。しかし実際に歯科治療を受けている患者は、約400万人である。この数字の差から、「歯周病であることを自覚していない人」「自覚はあっても治療をしないでいる人」がいかに多いかがわかる。ただそういった人々であっても、強い症状や疼痛が生じると迷わず歯科医院へ駆け込むことも少なくない。本記事ではそういった患者への応急処置について解説する。歯周病の定義歯周病は非プラーク性歯肉疾患を除いき、歯周病原細菌によって歯周組織に生じる感染性炎症性疾患である。近年歯周病は生活習慣病として位置づけられ、食習慣、歯磨き習慣、喫煙などの生活習慣や、糖尿病などの全身疾患との関連性が示唆されている。そのため歯科医療従事者による保健指導だけでなく、患者個人の生活習慣の改善、自助努力、さらには医療連携などが重要である。歯周治療における応急処置応急処置の大まかな流れは以下の通りである。疼痛の原因の特定急性炎症の処置1. 疼痛の原因の特定歯周病に起因する疼痛を主訴とした患者には、疼痛の改善を最優先する必要がある。疼痛の局所的因子としては以下が考えられる。歯周膿腫歯周膿腫の急性発作歯周・歯内病変 など局所的因子の関与がない異常出血・疼痛には、全身的因子の関与が考えられる。特に下記による易出血性・剝離性の歯肉炎などは、全身の抵抗力低下とも関連しているため医科との連携を図る必要がある。白血病関連歯肉炎壊死性潰瘍性歯肉炎・歯周炎アフタ性口内炎扁平苔鮮 など2. 急性炎症の処置疼痛を主訴として来院した場合、局所の急性炎症のある場合が多い。急性炎症がある場合には、歯肉縁下への機械的なアプローチと併せて、抗菌薬を使用することが炎症の抑制・歯周炎の治癒を促す効果的な手段となる。また歯肉膿瘍や歯周膿瘍の急性発作に対しては、咬合状態を確認し適宜咬合調整を行う。そして原因と考えられる歯周ポケット内を徹底的に洗浄する。このとき局所薬物配送システム(local drug delivery system:LDDS)を併用しても良い。LDDSは効果発現が迅速であり、方法も簡便である。加えて明らかに波動が触れる膿瘍は切開を行い、排膿路を確保する。必要に応じて抗菌薬を投与し、早期に歯内治療を行う。ただ遷延化した歯周・歯内病変で歯周ポケットが残存している場合は、通常の歯肉縁下のSRPを行う。また歯の動揺が顕著な場合は暫間固定も行う。暫間固定により、歯周組織に対する咬合圧の分散・安静が期待でき、咬合・咀嚼機能回復も図ることができる。暫間固定の時期・期間・方法を決めるには、歯周組織の破壊の程度や広がり具合、歯列弓上での動揺歯の位置関係などを考慮する必要がある。暫間固定前後には咬合調整を十分に行うこと、暫間固定装置が口腔衛生管理を阻害しないようにすること、十分な歯周組織の安定が得られた場合には暫間固定を除去することなどを忘れてはならない。最後に歯や口腔の健康を保つことは、食事や会話を楽しむなど豊かな生活を送るための基礎となる。国民の口腔衛生に対する意識の向上と、歯科医療従事者の努力の結果、平成28年の8020達成者は51.2%、平均歯数は約15.3歯となった。しかし一方で、4mm以上の歯周ポケットを有する高齢者の割合は増加しているという。日本は世界有数の長寿国であるが、80歳前後の高齢者の残存歯数をみると決して高い数値ではない。歯周病治療および予防への取り組みは、今後の大きな課題であるに違いない。参考文献特定非営利活動法人 日本歯周病学会 編 歯周治療のガイドライン2022(URL)
1D編集部
2023年9月1日
【1D的セミナーログ】歯の動揺はなぜ起こり、どう対処するのか?

【1D的セミナーログ】歯の動揺はなぜ起こり、どう対処するのか?

先日、1Dでは歯周病専門医・指導医である斎田寛之先生をお招きし『歯の動揺はなぜ起こり、どう対処するのか? 動揺歯のコントロールと固定のバリエーション』と題したWebセミナーを行った。1Dでは本セミナーの他にも、多数の歯科臨床セミナーを開催している。プレミアム会員であれば追加料金ナシでセミナーや講義動画が見放題となるため、歯科医師・歯科衛生士の方はぜひご活用しただきたい。1Dプレミアムでセミナーを視聴する本記事ではセミナー内容をかいつまんで解説する。構成は、1.歯の動揺はなぜ起こるのか? 2.動揺歯の評価 3.動揺歯の固定 4.症例から見る動揺歯への対応 の4項目に分かれており、斎田先生の臨床経験に基づいて実践的な説明がなされた。歯の動揺はなぜ起こるのか?歯周病が進行すれば、動揺が起こることは想像に難くない。しかし、歯の動揺の原因はこれだけではない。さまざまな外傷性咬合によって起こる歯根膜の拡大、歯肉や歯根膜の炎症による組織圧の向上は歯を挺出させる原因にもなる。単根か複根か、歯冠歯根比によっても状況は変わる。動揺はあくまで結果であり、その原因を探ることが重要である。動揺歯の評価動揺歯の評価として有名なのはMIllerの分類である。0度は0.2㎜以内の水平的動揺、1度は0.2〜1㎜以内の水平的動揺、2度は1〜2㎜の水平的動揺、3度は2㎜以上の水平的動揺、垂直的動揺である。では、2度であったら問題なのか?セミナー内でも詳しい解説があるが、急速に1度から2度になっているのか、2度のまま継続して安定しているのかが問題であり、動揺の結果だけをみているのでは意味がない。動揺歯の固定動揺している歯があるからといって、何も考えずに固定を選択してはいけない。もちろん緊急の残間固定や咬合調整は必要である。しかしながら、歯周組織の炎症のコントロールをした後に残る動揺に対しては、生理的動揺の範囲内か、病的動揺なのかを診断して状況に応じた対応を取る必要がある。揺れている歯を固定するだけが動揺への対応ではなく、かかる力のコントロールも重要なのだ。固定方法では、実際にどうやって固定するのか?固定には一次固定と二次固定がある。一次固定は、連結する装置が固定性のものであり、二次固定は連結する装置が可撤性のものである。どちらを選ぶかは欠損形態等の条件から考える必要があり、状況に応じて固定方法を選択していく。固定法の選択に関しては、症例を通じての考え方や実際の臨床例も提示してあり、実践で役立つ内容になっている。症例から見る動揺歯への対応一次固定、二次固定を行った症例をそれぞれ提示してあり、中には長期間に及ぶものもある。環境や条件の異なるバラエティに富んだ症例から得られる内容は、非常に充実したものであり、誰しも一度は悩んだことのある動揺歯への対応法を網羅的に学ぶことができる。臨床に役立つセミナーなら1Dプレミアムこの他にも、1Dではさまざまな臨床・学術セミナーを配信中である。配信中のラインナップや1Dプレミアムの詳細は、下記ボタンからご覧いただきたい。1Dプレミアムでセミナーを視聴する
1D編集部
2023年7月13日
歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病患者の口腔機能回復治療の必要性は、歯質の欠損、歯の欠損、歯の動揺、さらに咬合・咀嚼機能や審美性の低下などによって生じる。この治療は、適切な咬合・咀嚼機能や審美性を回復するだけでなく、長期的に歯周組織を安定させて機能を維持するために大切であり、同時に歯周組織の炎症や咬合性外傷を誘発しないように配慮することが重要である。今回は口腔機能回復治療における治療選択について解説する。口腔機能回復治療とは?歯周病によって失われた口腔機能を回復するため、歯周外科治療後に行う治療の総称で、修復・補綴治療、矯正治療、インプラント治療などが含まれる。流れとしては以下の図の通りである。中等度以上に進行した歯周炎では歯周組織の支持能力の低下のため、細菌感染に対する配慮と咬合性外傷に対する配慮が不可欠となる。このため、歯周基本治療中に動揺歯の固定を目的とした補綴装置による連結固定が必要な場合や、可撤性部分床義歯になる場合も多く、進行した歯周病患者の修復・補綴治療は健常な患者に比較して困難であることが多い。歯周治療は、これらの問題点をクリアし、歯科治療の目的の一つである口腔機能回復をはかることが重要である。治療選択のために考慮すべきポイント1)検査項目歯周組織に炎症や咬合性外傷を誘発しないことや、歯周組織が安定した状態を維持できる口腔環境を整備することが重要であり、そのために、細菌感染、炎症や咬合性外傷に関する検査を重視しなければならない。細菌感染、炎症や組織破壊に関連する検査としては、口腔衛生状態(O'Leary のプラークコントロールレコード)、プロービングデプスとプロービング時の出血があげられる。また、咬合性外傷に関連する検査項目としては、エックス線画像(歯槽骨の吸収、歯根の長さ、歯根膜腔の拡大)、歯の動揺度、フレミタス(咬合接触時のわずかな振動)、残存歯数、残存歯の配置、咬合(ブラキシズムの有無,咬合力の強さなど)がある。2)動揺歯の治療に対する考え方動揺の原因が炎症なのか早期接触やブラキシズムなどの外傷性咬合が関与しているのか、注意深く判断すべきである。睡眠時のブラキシズムは最大咬合力を超えるという報告もあり、睡眠時のブラキシズムも含めて過度の外傷力に対する処置が重要である。歯の動揺が著しい場合は、歯周基本治療において咬合調整や暫間固定が必要な場合もあるが、基本的にはプラークコントロールやスケーリングを優先し、これらの治療後においても動揺が残存して機能的に障害がある場合などは、咬合調整や暫間固定を行い、動揺度など歯周組織の変化を評価したうえで、永久固定の必要性と範囲を判定したり、オクルーザルスプリントを製作したりする。3)暫間固定と歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)による固定細菌感染に対する治療の後に歯の動揺がある場合、暫間固定を行って固定の方法や範囲を検討する。永久固定を行う場合、とくに歯周組織破壊が進行している症例では残存歯の支持力が減少しているため、補綴装置が細菌感染や咬合性外傷の原因とならないかを経時的に検査する必要がある。このような場合、歯周治療用装置による固定は、暫間的に咬合、審美性を回復するだけでなく、清掃性、補綴装置の形態、残存歯の保存の適否などを評価できる。補綴装置の形状や固定の範囲などの検討後、予知性の低い歯や動揺の大きな歯の保存の適否の評価も可能である。補綴治療法の選択と注意点1)歯冠修復(永久固定)歯周基本治療が終了しても、歯の動揺が原因で咀嚼機能の低下あるいは快適な咀嚼機能などが発揮されない場合や、咬合性外傷が依然として存在している場合で、暫間固定では強度が不十分な場合には永久固定を行う。永久固定を目的とした歯冠修復を行う際には種々の問題点や注意点がある。 支台歯の形成、印象の精度、模型製作の問題点、補綴装置の適合性や咬合、合着用セメントの種類、 根管治療の必要な場合は根管治療の問題点も生じる。補綴装置の歯間鼓形空隙、カントゥアなどもプラークコントロールを容易に行えるように製作すべきである。歯間鼓形空隙、カントゥアが適切でない場合はう蝕の危険性が増加する。また、咬合力が強い場合には、永久固定を行う際にどの範囲で固定を行うのかを歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)や暫間固定などを行って慎重に決定すべきである。固定範囲を誤ると、固定歯や他の残存歯に咬合性外傷を引き起こすことになるだけでなく、補綴装置の脱落や破損などがみられる。補綴装置の長期の維持のためには脱落や破損を減少させる必要があり、とくに咬合力が強い場合は、外傷性咬合に対する配慮が重要である。 2)欠損歯列への対応 歯の欠損がある場合、固定性ブリッジや可撤性義歯、歯の移植、インプラントにより補綴治療を行う。欠損部を補綴することは、歯列の連続性や咬合を確保して残存歯への咬合性外傷を回避するためにも重要である。また、欠損になった理由を知ることは良好な予後を得るために重要である。歯周病が原因で欠損を生じたのであれば咬合性外傷が関与していたのかを知る必要がある。その場合には、咬合に対する対応について十分に配慮する必要がある。外傷性咬合を伴わない大臼歯の遊離端欠損症例では、大臼歯部は補綴治療を行わずに小臼歯までの咬合である短縮歯列でも許容される場合がある。(1)ブリッジブリッジによる補綴は、支台歯のみで咬合力が負担されるため、欠損の範囲や残存歯の分布、支台歯の歯周組織の状態を考慮して設計し、支台歯が負担過重にならないように配慮することが大切である。適切に設計されたブリッジは、固定効果により咬合性外傷の回避に有効となる。(2)可撤性部分床義歯欠損の範囲や残存歯の数、対合歯の位置や数などを考慮して義歯の設計をしていくが、設計によっては鉤歯への負担や咬合性外傷の誘発などがあり、残存歯と義歯粘膜への咬合力 の負担の割合などを慎重に決定すべきである。安定した部分床義歯の条件としては支持(垂直的移 動への配慮)、把持(水平的移動への配慮)、維持(離脱への対応)があるが、口腔清掃性にも配慮した設計が必要となる。また、安定した義歯は鉤歯への負担を減じることができるが、残存歯の負担能力を十分に考慮したうえで設計することが必要である。(3)インプラントインプラントは支持力が大きいため、残存歯の咬合負担を軽減できる場合が多い。また、隣在歯の切削などを伴う固定を回避することもできる。しかし、インプラントの対合歯に外傷力として働くことがあり、咬合力が強い場合には注意が必要である。天然歯からインプラント周囲組織への歯周病原細菌の感染が考えられるので、残存歯の歯周治療は重要である。(4)歯の移植歯の移植には、移植歯の選択、移植部位、移植の技術など、その予後を考えるうえで複雑な因子が関与している。とくに移植歯の抜去時に建全な歯根膜を可及的に多く残す必要がある。矯正治療による対応1)歯列不正 歯列不正には、歯周病罹患前から存在する歯列不正と、歯周病や習癖などにより引き起こされた歯列不正がある。いずれの場合も、プラークコントロールを困難にするようなケースでは、口腔衛生管理を行いやすい環境をつくる目的で、また、咬合干渉など咬合性外傷の原因となるようなケー スでは、咬合異常を改善する目的で矯正治療を行う。 2)矯正治療による歯周組織のリモデリング傾斜や挺出を生じ、咬合性外傷を合併している歯には骨縁下欠損が存在することがある。このような骨縁下欠損に対して歯周治療後に適切な矯正力(アップライト、挺出、圧下など)を加えることで骨欠損の改善が生じることがある。また、骨吸収を起こした歯を挺出させることで骨のレベルリングを行うことも可能である。この観点から矯正治療を単に歯の移動の手段としてではなく歯周組織の環境改善の手法として活用することは意義がある。口腔機能回復治療の意義歯周病患者の口腔機能回復は、歯周治療の一環としても極めて重要で、歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後または治癒後に行うことが望ましい。口腔機能回復治療は決してゴールではなく、終わってからが本当の意味でのスタートである。その点をよく認識し、口腔内の健康維持のために適切なメインテナンスを行っていく必要がある。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月13日

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