大型顎骨欠損の再生に成功、東北大と神奈川歯科大の研究チーム
東北大学と神奈川歯科大学の研究チームは、骨細胞と足場材を組み合わせることによってマウスの大型顎骨欠損を再生させることに成功した。同研究チームが開発した骨再生技術によって再生された骨は、通常の骨と同等の強度を示し、歯科用インプラント治療にも応用できる可能性があることが示されている。研究成果は、米国科学誌 PNAS Nexusにオンライン掲載されている。骨細胞と足場材を用いて骨を再生させることに成功研究チームは、骨形成のための空間を保持する3次元的な構造をしている足場材(3DPLA)を新規に開発し、分離培養技術によって得られたマウス骨細胞(MCOB)と組み合わせて用いることによって、細胞-足場材による骨の再生医療技術の開発を行った。本研究の結果、骨細胞-足場材をマウス顎骨欠損部に移植すると大型顎骨欠損が再生したこと、そして形成された再生骨は通常の骨と近い強度を持ち、歯科用インプラントを埋め込むとオッセオインテグレーションを介して再生骨と結合していることが明らかとなった。骨再生の新たなスタンダードになるか?現在の臨床現場では、炭酸アパタイトなどを主成分とする骨補填材を用いた骨再生が行われている。これらの材料は小~中規模の骨欠損の治療法としては有効性が示されているが、大規模な骨欠損の場合には骨補填材のみでは十分な骨再生は難しいのが現状だ。本研究の新規骨再生医療技術が実用化されれば、大規模な骨欠損の再生が可能となり、歯科治療の幅が大きく広がることは間違いないだろう。さらにインプラント治療にとどまらず、骨再生を必要とする様々な疾患の再生医療にも応用可能な技術として、今後さらに発展していく可能性を秘めている。今後のさらなる研究に期待したい。参考文献Masahiro Saito, Venkata Suresh VENKATAIAH, Shigeto Suzuki, Yoshio Yahata, Akira Kitagawa, Masahiko Inagaki, Hiroshi Egusa, Mary Njuguna, Risako Nozawa, Yusuke Kakiuchi, Masato Nakano, Keisuke Handa, Masahiro Yamada, Correction of large jaw bone defect in the mouse using immature osteoblast-like cells and a three dimensional polylactic acid scaffold, PNAS Nexus, pgac151, 08 August 2022