糖尿病患者の歯周基本治療、菌血症リスクの対処は必要?
歯周基本治療は、口腔内の細菌や炎症の原因除去を目的とし、歯周治療の成果に大きな影響を持っていることが知られている。ただし歯周基本治療の特にSRPは組織を傷つけることがある。このとき、患者は一時的な菌血症をおこすことが報告されている。口腔由来の菌血症は病巣感染の原因となるので、易感染性患者において問題視されている。それでは免疫機能低下や創傷治癒遅延を起こす糖尿病患者において、菌血症発症リスク回避のため、歯周基本治療は避けるべきなのだろうか?歯周基本治療における菌血症のリスク歯科における菌血症のリスクは、歯周基本治療のSRPだけでなく、歯周基本治療や機械的口腔清掃、日常的活動でも、程度や持続時間において同程度である。一方で、スケーリングによる菌血症は、健常者に比べ、歯周炎を起こしてる患者は、発生頻度や炎症の程度が高まることが報告されている。したがって、菌血症予防の観点から、日本歯周病学会による『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン第2版(2014)』では、歯周基本治療の実施を推奨している。糖尿病患者への菌血症のリスク糖尿病患者において口腔由来の菌血症の発症リスクは、健常者と比べて優位に高いという根拠はない。確かに、糖尿病患者は易感染性や創傷治癒が遅く、菌血症の頻度も高まる。菌血症が起こると、細菌性心内膜炎などを発症させる可能性も出てくる。しかし、糖尿病患者の口腔由来の菌血症は、非糖尿病者の菌血症に優位な差はないのだ。まとめ以上のことから、歯周基本治療における菌血症リスクは、他の歯科治療や日常的活動と変わらず、糖尿病患者において、菌血症発症のリスクは健常者と変わらないことがわかった。したがって、糖尿病患者での歯周組織の炎症を減らすことは、菌血症を引き起こすリスクより、メリットが大きいと言える。つまり糖尿病患者でも、菌血症発症のリスクにかかわらず、歯周基本治療を実施することが推奨されるのだ。もちろん、不必要な菌血症を避けるためには、良い血糖コントロールが大事である。血糖コントロールがとても悪い患者には、歯科治療を行う上で、担当医と相談したほうがいいだろう。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献日本歯周病学会『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第2版』, 2014.