歯科用語集
2025年10月28日

歯周基本治療

「歯周基本治療」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

歯周基本治療とは、歯周病の予防および治療を目的とした基本的な治療法である。主に、歯石除去やプラークコントロール、患者教育が含まれる。語源は「歯周」と「基本治療」の組み合わせであり、歯周病の進行を防ぐための基本的なアプローチを示している。歯周病は、歯周組織の炎症や破壊を引き起こす疾患であり、早期の介入が重要である。したがって、歯周基本治療は、歯科医療における基盤となる治療法と位置づけられる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において、歯周基本治療は歯周病の初期段階における治療として位置づけられる。判断基準としては、患者の歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯石の量などが考慮される。これらの情報をもとに、歯周基本治療の必要性を判断し、適切な治療計画を立てることが求められる。また、歯科衛生士が主導することが多く、患者への指導やフォローアップも重要な役割を果たす。歯周基本治療は、歯周病の進行を防ぎ、患者の口腔内の健康を維持するために不可欠なプロセスである。

関連用語・類義語との違い

関連用語としては、歯周治療、スケーリング、ルートプレーニングなどが挙げられる。歯周治療は、歯周病全般に対する治療を指し、歯周基本治療はその中の基本的な部分に特化している。一方、スケーリングやルートプレーニングは、具体的な手技を指し、歯周基本治療の一環として行われることが多い。これらの用語は、歯周病の治療において異なる側面を持つが、全てが患者の口腔内の健康を守るために重要な役割を果たしている。

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歯周基本治療の実践と臨床での応用。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例と処置のポイント

歯周基本治療の実践と臨床での応用。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例と処置のポイント

歯周基本治療の定義と目的歯周基本治療とは、歯周病の予防と治療を目的とした基本的な処置を指す。この治療は、歯周ポケットの清掃や歯石除去、患者教育を含む。歯周病は、歯を支える組織に影響を及ぼし、進行すると歯の喪失につながるため、早期の診断と適切な処置が重要である。歯周基本治療の目的は、歯周病の進行を抑制し、患者の口腔内の健康を回復させることである。これにより、患者の生活の質を向上させることができる。歯周基本治療の手順と術式歯周基本治療は、以下の手順で行われることが一般的である。まず、患者の口腔内の状態を診査し、歯周ポケットの深さや歯石の有無を確認する。次に、スケーリングやルートプレーニングを行い、歯周ポケット内のバイオフィルムや歯石を除去する。この際、局所麻酔を使用することもあるが、患者の状態に応じて判断する必要がある。さらに、患者に対して口腔衛生指導を行い、日常的なケアの重要性を伝えることが求められる。これらの処置を通じて、歯周病の進行を防ぎ、患者の健康を維持することが可能となる。歯周基本治療の症例と臨床での応用歯周基本治療は、軽度から中等度の歯周病に対して特に効果的である。例えば、歯周ポケットが4mm以上の患者に対しては、スケーリングとルートプレーニングを行うことで、ポケットの深さを改善することができる。また、患者の生活習慣や口腔衛生状態に応じて、個別の治療計画を立てることが重要である。定期的なフォローアップを行い、治療効果を評価しながら、必要に応じて追加の処置を行うことが求められる。このように、歯周基本治療は、患者の状態に応じた柔軟な対応が可能であり、臨床での応用範囲は広い。歯周基本治療のメリットとデメリット歯周基本治療のメリットは、早期に歯周病を発見し、進行を防ぐことができる点である。また、患者に対して口腔衛生の重要性を教育することで、再発防止にも寄与する。一方で、デメリットとしては、治療にかかる時間や費用が患者にとって負担となる場合がある。また、治療後の維持管理が不十分であると、再発のリスクが高まるため、患者の協力が不可欠である。これらの点を考慮し、歯周基本治療を行う際には、患者とのコミュニケーションを大切にし、理解を得ることが重要である。歯周基本治療における注意点と判断基準歯周基本治療を行う際には、いくつかの注意点が存在する。まず、患者の全身状態を考慮し、必要に応じて医療機関との連携を図ることが求められる。また、治療中に出血や疼痛が生じた場合には、適切な対応を行う必要がある。判断基準としては、歯周ポケットの深さや歯石の量、患者の口腔衛生状態を総合的に評価し、治療方針を決定することが重要である。定期的な診査を行い、治療効果を確認しながら、必要に応じて治療計画を見直すことが求められる。まとめ歯周基本治療は、歯周病の予防と治療において重要な役割を果たす。歯科医師や歯科衛生士は、患者の状態に応じた適切な処置を行い、口腔内の健康を維持するための知識と技術を身につける必要がある。この治療を通じて、患者の生活の質を向上させることができるため、歯科臨床において欠かせない要素である。
1D編集部
2024年6月1日
喫煙はなぜ悪か?歯科的な影響を考える

喫煙はなぜ悪か?歯科的な影響を考える

喫煙は口腔内のみならず、空気の通り道である気道や肺全体へも影響を及ぼすことが知られている。このような健康被害があるにも関わらず、依然として喫煙者はゼロになっていない。タバコに含まれるニコチンには強い依存性があり、やめようとしてもイライラしたり、気が散って他のことが手につかないなど簡単にはやめられない。また、心理・行動依存的状態にあるため、喫煙が習慣化していることも禁煙を困難にしている理由のひとつである。今回は、喫煙による口腔ならびに全身への影響と、歯科医院での禁煙について解説したい。喫煙の全身的影響たばこの煙の中に含まれる各種の物質は発がん性を持ち、喫煙者での肺がんや咽頭がんの発症、進行に直接または間接的に関与する。またその他の循環器系、呼吸器系疾患の発症との因果関係も強く、現在では喫煙が健康を損なうことは周知の事実である。歯科疾患でも、口腔内悪性腫瘍、白板症、歯周疾患の発症や進行などが喫煙と関連することが分かっている。特に歯周病に関して、喫煙は人種を問わず、歯周病の環境因子からみた最大のリスクファクターとして強い関連性が示されている。歯周病と喫煙非喫煙者に比べると、喫煙者は2〜8倍も歯周病に罹患しやすい。血中のニコチンは毛細血管の収縮作用があることが知られており、喫煙者は非喫煙者と比較して、プロービング時の出血が少なく発赤も弱いため、症状が現れにくい。また、喫煙は歯周病の治癒を遅延させるため、歯周治療に対する反応は非喫煙者に比べ低下する。しかしながら、重度の喫煙歴のある人でも、禁煙することで歯周病に対するリスクが低下することが示されている。このため、喫煙者の歯周治療においては、禁煙が必須であることの十分な説明を行い、必要に応じて禁煙外来や他の医療機関と連携しながら患者の禁煙を支援していく必要がある。歯周組織への影響喫煙は、糖尿病などと並んでインプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の原因にもなる。歯周外科治療においても、手術を行う際には喫煙していないことが条件としてあげられているように、喫煙は悪影響を及ぼす。SPT時にも非喫煙と禁煙5年以上は低リスクになるのに対し、1日20本以上喫煙する場合は高リスクとなる。良好なプラークコントロールを維持するためには、口腔衛生指導を中心とした管理と、喫煙に対しての指導や管理も必要となる。喫煙者に対する禁煙支援では、どうやって禁煙支援を行うべきか。まずは歯周基本治療時に、患者の加熱式タバコなどを含めた喫煙歴、身体的、心理的ニコチン依存度、禁煙の準備状況などを把握し、禁煙支援を行うことが歯周治療を成功に導くうえで重要である。しかし、問題なのは、歯周治療に訪れる喫煙患者は禁煙を望んで歯科医院に来院しているわけではないということだ。モチベーションが低いままの禁煙支援はなかなか難しい。また、多くの喫煙者は、いろいろな病気のリスクを抱えたまま受診していることも多い。そこで、本人の喫煙や受動喫煙に起因した所見に対して、喫煙と歯周病の重症化 、受動喫煙と歯周病、さらに、その他の全身ヘの健康障害について積極的に啓発し、歯周基本治療の一貫として禁煙指導をはかることが成功への近道であるといえる。歯科医院でできることこのように、歯科医院での歯科医療従事者による喫煙への保健指導は非常に重要であり、歯周病との関連を患者に十分に説明し、予防と治療の重要性を認識させることは大切である。また、歯科は幅広い年代の受診者に対して継続的に関わり、視覚的に把握できる歯や口を対象としていることから、禁煙支援に適している。患者個人の生活習慣の改善、自助努力、さらには医療連携なども行なっていきやすい。喫煙だけでなく、糖尿病などの全身性疾患を有する場合にも、良好なプラークコントロールを維持するための口腔衛生指導を中心とした管理や指導、管理も行っていく必要がある。おすすめセミナーより実践的な禁煙指導のために、ぜひ「歯科医院での禁煙指導バイブル」(URL)をおすすめしたい。喫煙の基礎的知識から臨床で役立つ禁煙指導法までを学ぶことができる。必ずや、患者の心へ響く禁煙指導法が見つかるだろう。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(URL)
482 TSUNAGU
2023年6月19日
【歯周治療ガイドライン】歯周治療における抗菌薬の適正使用

【歯周治療ガイドライン】歯周治療における抗菌薬の適正使用

歯周病は細菌感染によって惹起される炎症性疾患であり、結果として歯槽骨の破壊などの骨代謝にまで関連する。セルフケアとプロフェッショナルケアが大切であり、予防と治療が密接に関係していることから、定期的な一次予防ならびに二次予防を適切に行うことで歯周炎への移行を防ぐことが重要となる。歯周基本治療の概念歯周病の病因因子とリスクファクターを排除して歯周組織の炎症を改善し、その後の歯周治療の効果を高め成功に導くための基本的な原因除去治療である。治療に際しては、歯周病の病因因子とリスクファクターを明確にし、患者背景や全身状態も考慮に入れた包括的な治療計画の立案が必要である。細菌感染に対する処置1. プラークコントロールはすべての治療に優先されるプラーク性歯肉炎と歯周炎の主要な原因は歯肉縁上および縁下の細菌性プラークであり、これを除去することが歯周病の治療と予防の根幹をなす。プラークコントロールが不十分であると、スケーリング・ルートプレーニング、暫間固定、歯周外科治療など、その後の治療の効果は著しく低下し、歯周治療そのものが失敗する原因となる。良好なプラークコントロールは歯周外科治療後の治癒と組織の炎症の予防に有益であり、とくに再生療法では良好な臨床結果を得るためには、 十分なプラークコントロールの維持が必要である。歯周治療の成否は、プラークコントロールに大きく左右され、歯周治療全体を通じて常に指導管理する必要がある。2. スケーリングおよびルートプレーニング歯周治療のなかでプラークコントロールとともにきわめて重要な処置である。歯石は歯面に付着した細菌性プラークが石灰化したもので、表面が粗糙で細菌性プラークが多量に付着する構造となっており、局所のプラークリテンションファクターとしては、最も重要なものである。スケーリングでは細菌性プラークが多量に付着する因子を取り除き、術者や患者自身が細菌性プラークを除去しやすい環境を形成し、ルートプレーニングでは、歯根面の細菌やその代謝産物を含む病的な歯質を各種スケーラーにより除去することで、生物学的に為害性のない滑沢な歯根面をつくり出し、歯肉と歯根面との付着を促すことができる。細菌感染に対する治療の実際1. 機械的な歯肉縁上プラークコントロール口腔衛生管理は、患者が歯ブラシで行うブラッシングが主体となるが、歯周病の重症度、治療時期、患者の技量や生活習慣に合わせて歯間ブラシ、デンタルフロスなどの歯間清掃用具や電動歯ブラシ、 音波歯ブラシ、超音波歯ブラシなどの使用も必要である。さらに医療従事者によるスケーリングや機械的歯面清掃によってプラークコントロールを補うことで、患者のモチベーションを高め維持する効果が期待できる。歯肉縁上プラークコントロールの障害となる不適合修復物・補綴装置に関しては、調整や除去、歯冠の形態修正を必要に応じて行う。2. 機械的な歯肉縁下プラークコントロールルートプレーニングは歯周治療における標準的治療法であるが、進行した根分岐部病変や複雑なあるいは深い骨縁下ポケットでは治療効果に限界がある。スケーリング・ルートプレーニングは、3mm未満のプロービングデプスに対して行うとアタッチメントロスを生じる危険性があり、歯周ポケットが深くなるほど歯肉縁下プラークや歯石の除去が困難となる。5〜7mmのプロービングデプスに対する歯周ポケット減少量は、約1〜2mmで、アタッチメントゲインは、約0.5〜1mmと報告されている。3. 化学的な歯肉縁上プラークコントロール機械的プラークコントロールを徹底して行った後に洗口剤などを用いた化学的プラークコントロールを行う。使用する洗口剤としては、細菌性プラークの形成抑制作用や薬剤の歯面への沈着作用を有する低濃度のクロルへキシジン溶液が効果的である。その他、フェノール化合物、ポビドンヨード、セチルピリジニウム塩化物、エッセンシャルオイルなどがある。歯周基本治療における使用としては、スケーリング後の歯周病原細菌の再増殖期間とされる 2〜4週間の継続的使用が有効である。4. 化学的な歯肉縁下プラークコントロール 化学的な歯肉縁下プラークコントロールを行ううえで留意すべき点として、歯肉縁上プラークコントロールがなされていること、機械的なプラークコントロールを優先して行うこと、スケーリング・ルートプレーニングに対して反応性が良好な部位や慢性歯周炎の多くの場合では、化学的プラークコントロールが必ずしも必要ではないことを理解しておくことである。①歯周ポケット内洗浄 シリンジなどにより歯周ポケット内を薬液で洗浄する。使用可能な薬剤としては、ポビドンヨード、ベンゼトニウム塩化物、オキシドール、アクリノールなどがある。スケーリング・ルートプレーニングに併用することで臨床的効果が認められるが、歯周ポケット内洗浄のみでは臨床的効果は限定的である。②抗菌薬の歯周ポケット内投与歯周ポケット内に投与する薬剤としては、テトラサイクリン系抗菌薬徐放性軟膏があり、局所薬物配送システム(LDDS)として使用する場合がある。漫然とした薬物の投与は菌交代現象や薬剤耐性の問題があり、とくにSPT期に対して抗菌薬を繰り返し投与する妥当性は得られていない。適応としては以下の通りである。歯周膿瘍(歯周炎の急性発作)易感染性疾患(糖尿病を含む)を有する歯周炎患者中等度以上の歯周炎におけるスケーリング・ルートプレーニングとの併用歯周基本治療後に改善がみられなかった歯周ポケット内に対し、1〜1週間に1回、3〜4回連続投与③抗菌薬の経口投与通常の基本治療では改善のみられない歯周炎患者、観血的治療の不可能な患者、免疫力が低下している易感染性歯周炎患者、広汎型侵襲性歯周炎患者および広汎型重度慢性歯周炎患者において、抗菌薬の経口投与を検討する。計画使用を徹底し、目的を明確化したうえで、副作用の再確認や細菌検査の必要性などを十分に考慮して行う必要がある。5. 抗菌療法の患者選択以下のような患者においては抗菌療法(歯周ポケット内投与と経口投与)が適応となる場合がある。通常の機械的プラークコントロールでは十分な臨床改善がみられない治療抵抗性および難治性歯周炎患者広汎型重度慢性歯周炎患者および広汎型侵襲性歯周炎患者糖尿病などの易感染性疾患患者糖尿病などの易感染性疾患患者歯周治療を行うことで生じる菌血症に対して最上リスクを有する歯周炎患者(感染性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ先天性疾患、人工弁・シャント術実施患者など)参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月27日
【歯周治療ガイドライン】導入から3年の歯周病重症化予防治療(P重防)。SPTとの違いは?

【歯周治療ガイドライン】導入から3年の歯周病重症化予防治療(P重防)。SPTとの違いは?

歯周病重症化予防治療(P重防)は、2020年に導入された継続管理の考え方であり、歯周病の重症化予防、新たな歯周病発症部位の早期発見、良好な歯周組織環境の長期にわたる維持を目的としている。スケーリングやスケーリング・ルートプレーニング後あるいは歯周外科治療後の歯周病検査の結果、プロービングデプスが4mm未満に改善したが、歯肉に炎症または BOPが認められる場合を「進行予防」の状態にあると判定し、歯周病の進行を抑制するために行う継続的管理である。これにより歯肉炎から歯周炎への移行や歯周炎の重症化を抑制できる。従来、歯周病の継続管理は、中等度から重度の治療過程が対象であったが、P重防が導入されたことで、歯肉炎を含んだ軽度の患者も継続管理の対象となった。メインテナンス、SPTとの違いは?P重防は、モチベーションの維持、プラークコントロールの強化、スケーリング・ルートプレーニング、専門的機械的歯面清掃などが治療の主体となる。以下に、P重防の適応となる進行予防と診断した場合と、その他の状態との治療内容の違いを示す。再評価検査による判定継続管理移行前の再評価検査は、初診時の歯周病検査項目と原則的に同じ内容で行う。この検査結果とリスクファクターの有無などを総合的に考慮したうえで、歯周治療の効果と病状を判定する。あるいは「治癒」のいずれかの状態にあるかを判定し、P重防、SPT、メインテナンスに移行する。プロービングデプスが4mm未満となり炎症を認めない場合を「治癒」とし、メインテナンスを開始する。一方、プロービングデプスが4mm未満に改善しても歯肉に炎症が残存する場合を「進行予防」としている。このステージでは歯周病が進行する可能性が高いため、「進行予防」の部位では定期的なP重防を行う必要がある。また、4 mm以上の歯周ポケットや軽度の動揺、根分岐部病変などが残存するが炎症を認めない場合、臨床的に病状が安定していると考え「病状安定」とする。しかし、このステージでは歯周病が再発する可能性が高いことから、「病状安定」の部位に対しては、その後も患者を適切な間隔で来院させ、サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal thera- py:SPT,病状安定期治療)を続けることが重要になる。継続した患者管理であるメインテナンスやP重防、SPT を行い、回復した口腔の健康を長期間維持することが大切である。効果判定と状態変化への対応プラークコントロールを含む患者の協力状態や歯周組織の状態にもよるが、P重防では一般的に、1-3ヶ月ごとのリコールが望まれる。P重防の期間中、病状の悪化や4mm以上のポケットの出現が認められた場合は、P重防を中断し、歯周基本治療や歯周外科処置による対応を行うか、 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)へ移行する。注意すべきポイント歯周病の主因子である細菌性プラークは、口腔内に常在する。また、適切な歯周治療を行っても深い歯周ポケットや根分岐部病変が残存する場合もあること、長期間でみると全身的因子の影響を受けることもあることなどから、歯周炎は再発の可能性が高い。そのため、歯周治療後、それぞれの状態を維持できるように患者のモチベーションを高め、プラークコントロールを中心とした日常生活上の指導を基盤とするメインテナンス、SPTやP重防を行い、歯科医学的な立場から継続的な管理を行うことが最も重要である 。P重防はあくまでも「進行予防」P重防の枠組みでの治療は、専門家が行うプロフェッショナルケア(専門的ケア)と患者本人が行うセルフケア(ホームケア)の両輪で行われるものであり、いかに悪化しないように予防管理していくかが重要である。来院のたびに歯石などがべったりとついているような状態では、いずれリスクは大きくなり、「進行予防」の枠から出ていくことになる可能性が高い。P重防の適応患者は、プロービングデプスが4mm未満に減少したが、歯肉には炎症が若干残存する「進行予防」の状態である。状態を悪化させないように、ホームケアのレベルをあげるなど、患者自身のモチベーションを維持するように、歯科医院側も意識して行っていく必要がある。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月20日
歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病患者の口腔機能回復治療の必要性は、歯質の欠損、歯の欠損、歯の動揺、さらに咬合・咀嚼機能や審美性の低下などによって生じる。この治療は、適切な咬合・咀嚼機能や審美性を回復するだけでなく、長期的に歯周組織を安定させて機能を維持するために大切であり、同時に歯周組織の炎症や咬合性外傷を誘発しないように配慮することが重要である。今回は口腔機能回復治療における治療選択について解説する。口腔機能回復治療とは?歯周病によって失われた口腔機能を回復するため、歯周外科治療後に行う治療の総称で、修復・補綴治療、矯正治療、インプラント治療などが含まれる。流れとしては以下の図の通りである。中等度以上に進行した歯周炎では歯周組織の支持能力の低下のため、細菌感染に対する配慮と咬合性外傷に対する配慮が不可欠となる。このため、歯周基本治療中に動揺歯の固定を目的とした補綴装置による連結固定が必要な場合や、可撤性部分床義歯になる場合も多く、進行した歯周病患者の修復・補綴治療は健常な患者に比較して困難であることが多い。歯周治療は、これらの問題点をクリアし、歯科治療の目的の一つである口腔機能回復をはかることが重要である。治療選択のために考慮すべきポイント1)検査項目歯周組織に炎症や咬合性外傷を誘発しないことや、歯周組織が安定した状態を維持できる口腔環境を整備することが重要であり、そのために、細菌感染、炎症や咬合性外傷に関する検査を重視しなければならない。細菌感染、炎症や組織破壊に関連する検査としては、口腔衛生状態(O'Leary のプラークコントロールレコード)、プロービングデプスとプロービング時の出血があげられる。また、咬合性外傷に関連する検査項目としては、エックス線画像(歯槽骨の吸収、歯根の長さ、歯根膜腔の拡大)、歯の動揺度、フレミタス(咬合接触時のわずかな振動)、残存歯数、残存歯の配置、咬合(ブラキシズムの有無,咬合力の強さなど)がある。2)動揺歯の治療に対する考え方動揺の原因が炎症なのか早期接触やブラキシズムなどの外傷性咬合が関与しているのか、注意深く判断すべきである。睡眠時のブラキシズムは最大咬合力を超えるという報告もあり、睡眠時のブラキシズムも含めて過度の外傷力に対する処置が重要である。歯の動揺が著しい場合は、歯周基本治療において咬合調整や暫間固定が必要な場合もあるが、基本的にはプラークコントロールやスケーリングを優先し、これらの治療後においても動揺が残存して機能的に障害がある場合などは、咬合調整や暫間固定を行い、動揺度など歯周組織の変化を評価したうえで、永久固定の必要性と範囲を判定したり、オクルーザルスプリントを製作したりする。3)暫間固定と歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)による固定細菌感染に対する治療の後に歯の動揺がある場合、暫間固定を行って固定の方法や範囲を検討する。永久固定を行う場合、とくに歯周組織破壊が進行している症例では残存歯の支持力が減少しているため、補綴装置が細菌感染や咬合性外傷の原因とならないかを経時的に検査する必要がある。このような場合、歯周治療用装置による固定は、暫間的に咬合、審美性を回復するだけでなく、清掃性、補綴装置の形態、残存歯の保存の適否などを評価できる。補綴装置の形状や固定の範囲などの検討後、予知性の低い歯や動揺の大きな歯の保存の適否の評価も可能である。補綴治療法の選択と注意点1)歯冠修復(永久固定)歯周基本治療が終了しても、歯の動揺が原因で咀嚼機能の低下あるいは快適な咀嚼機能などが発揮されない場合や、咬合性外傷が依然として存在している場合で、暫間固定では強度が不十分な場合には永久固定を行う。永久固定を目的とした歯冠修復を行う際には種々の問題点や注意点がある。 支台歯の形成、印象の精度、模型製作の問題点、補綴装置の適合性や咬合、合着用セメントの種類、 根管治療の必要な場合は根管治療の問題点も生じる。補綴装置の歯間鼓形空隙、カントゥアなどもプラークコントロールを容易に行えるように製作すべきである。歯間鼓形空隙、カントゥアが適切でない場合はう蝕の危険性が増加する。また、咬合力が強い場合には、永久固定を行う際にどの範囲で固定を行うのかを歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)や暫間固定などを行って慎重に決定すべきである。固定範囲を誤ると、固定歯や他の残存歯に咬合性外傷を引き起こすことになるだけでなく、補綴装置の脱落や破損などがみられる。補綴装置の長期の維持のためには脱落や破損を減少させる必要があり、とくに咬合力が強い場合は、外傷性咬合に対する配慮が重要である。 2)欠損歯列への対応 歯の欠損がある場合、固定性ブリッジや可撤性義歯、歯の移植、インプラントにより補綴治療を行う。欠損部を補綴することは、歯列の連続性や咬合を確保して残存歯への咬合性外傷を回避するためにも重要である。また、欠損になった理由を知ることは良好な予後を得るために重要である。歯周病が原因で欠損を生じたのであれば咬合性外傷が関与していたのかを知る必要がある。その場合には、咬合に対する対応について十分に配慮する必要がある。外傷性咬合を伴わない大臼歯の遊離端欠損症例では、大臼歯部は補綴治療を行わずに小臼歯までの咬合である短縮歯列でも許容される場合がある。(1)ブリッジブリッジによる補綴は、支台歯のみで咬合力が負担されるため、欠損の範囲や残存歯の分布、支台歯の歯周組織の状態を考慮して設計し、支台歯が負担過重にならないように配慮することが大切である。適切に設計されたブリッジは、固定効果により咬合性外傷の回避に有効となる。(2)可撤性部分床義歯欠損の範囲や残存歯の数、対合歯の位置や数などを考慮して義歯の設計をしていくが、設計によっては鉤歯への負担や咬合性外傷の誘発などがあり、残存歯と義歯粘膜への咬合力 の負担の割合などを慎重に決定すべきである。安定した部分床義歯の条件としては支持(垂直的移 動への配慮)、把持(水平的移動への配慮)、維持(離脱への対応)があるが、口腔清掃性にも配慮した設計が必要となる。また、安定した義歯は鉤歯への負担を減じることができるが、残存歯の負担能力を十分に考慮したうえで設計することが必要である。(3)インプラントインプラントは支持力が大きいため、残存歯の咬合負担を軽減できる場合が多い。また、隣在歯の切削などを伴う固定を回避することもできる。しかし、インプラントの対合歯に外傷力として働くことがあり、咬合力が強い場合には注意が必要である。天然歯からインプラント周囲組織への歯周病原細菌の感染が考えられるので、残存歯の歯周治療は重要である。(4)歯の移植歯の移植には、移植歯の選択、移植部位、移植の技術など、その予後を考えるうえで複雑な因子が関与している。とくに移植歯の抜去時に建全な歯根膜を可及的に多く残す必要がある。矯正治療による対応1)歯列不正 歯列不正には、歯周病罹患前から存在する歯列不正と、歯周病や習癖などにより引き起こされた歯列不正がある。いずれの場合も、プラークコントロールを困難にするようなケースでは、口腔衛生管理を行いやすい環境をつくる目的で、また、咬合干渉など咬合性外傷の原因となるようなケー スでは、咬合異常を改善する目的で矯正治療を行う。 2)矯正治療による歯周組織のリモデリング傾斜や挺出を生じ、咬合性外傷を合併している歯には骨縁下欠損が存在することがある。このような骨縁下欠損に対して歯周治療後に適切な矯正力(アップライト、挺出、圧下など)を加えることで骨欠損の改善が生じることがある。また、骨吸収を起こした歯を挺出させることで骨のレベルリングを行うことも可能である。この観点から矯正治療を単に歯の移動の手段としてではなく歯周組織の環境改善の手法として活用することは意義がある。口腔機能回復治療の意義歯周病患者の口腔機能回復は、歯周治療の一環としても極めて重要で、歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後または治癒後に行うことが望ましい。口腔機能回復治療は決してゴールではなく、終わってからが本当の意味でのスタートである。その点をよく認識し、口腔内の健康維持のために適切なメインテナンスを行っていく必要がある。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月13日

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レジン修復 (238)

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