遊離エナメル質

「遊離エナメル質」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

遊離エナメル質とは?

エナメル質自体は健康であっても、その基底部で健康な象牙質の支持が失われたエナメル質を遊離エナメル質(英:free enamel, unsupported enamel)という。遊離エナメル質は、う蝕や咬耗で発生することが多い。

遊離エナメル質の特徴

遊離エナメル質は、外部からの力に抵抗力がなく、エナメル小柱の走向に合わせて剥離するように破壊されるのが特徴である。したがって、窩洞の外縁から遊離エナメル質を除去する必要がある(つまり、グライスアイオノマーセメント修復やメタルインレー修復では遊離エナメル質を除去する)。

しかし、例外として接着性レジン修復では、その基底部が接着性レジンの裏打ちによって強化されるため、遊離エナメル質を残す場合がある。

遊離エナメル質が好発する部位

遊離エナメル質の好発部位は、下記である。

  • 歯冠側
  • 歯肉壁
  • 歯冠縦断面
  • トンネル窩洞

遊離エナメル質が破折した場合に起きる症状

遊離エナメル質が破折すると、粗槌感や冷水痛を訴えることがある。また、隣接面では接触点の喪失によって食片圧入(food impaction)などの障害が生じてくる。

また遊離エナメル質では外傷性破折も起きうるが、病的破折を起こす場合もある。交通事故、スポーツ、転落、転倒、打撲、硬いものを噛んだときなどの強い外力で歯が破折することを外傷性破折(英:traumatictooth fracture)といい、大きなう蝕や修復物に隣接した部分、あるいは咬耗によって生じた遊離エナメル質部などが、通常の咬合圧で破折することを病的破折(英:pathologicaltooth fracture)という。

遊離エナメル質下のう蝕の診断

咬合面にみられる遊離エナメル質下に広がった不顕性う蝕(英:hidden caries)の検出に、レーザーう蝕診断は有効である。

遊離エナメル質とホワイトマージン

コンポジットレジンの歯質に対する接着性が高いと、接着界面ではなく、窩緑付近のエナメル質に亀裂が発生することがある。

その結果、窩洞の辺緑に沿って白線が観察される。この現象はホワイトマージンと称される。特に窩縁部に斜断遊離エナメル質があると微小破折が生じやすい。窩縁部エナメル質の微小破折防止のためには、コントラクションギャップの発生予防と同様に、重合収縮応力を低下させるような填塞法を行うことのほか、窩緑部にベベルを付与することも効果的である。コンポジットレジン修復では、ラウンドベベルを付与するのが一般的であるが、必ずしも付与する必要はない。

「遊離エナメル質」の文献・書籍など

【読み】

ゆうりえなめるしつ

【文献・書籍】

『保存修復学21 第5版』, 田上順次ら, 株式会社永末書店, 2017.
『保存修復学 第6版』, 千田彰ら, 医歯薬出版株式会社, 2013.

著者/監修者情報
歯科医師

1992年千葉県生まれ。鶴見大学⻭学部歯学科卒業後、⻭科医師免許を取得。学生時代から個人でアプリやWebサービスの開発を行う。東京⻭科大学大学院博士課程中退。2017年にワンディー株式会社を創業。