Caldwell-Luc法とは?
Caldwell-Luc法とは、上顎洞根治術の一つで、上顎洞炎の治療法です。上顎洞炎の中でも慢性化して炎症の消退が抗菌薬の投与でもみられない症例や再発症例に適用されます。口腔外科領域では歯性上顎洞炎が適応症になります。同じ上顎洞根治術の一つである和辻-Denker法が梨状孔縁の骨を切除するのに対して、Caldwell-Luc法は犬歯窩から上顎洞にアプローチするのが特徴です。
Caldwell-Luc法の術式
Caldwell-Luc法の術式は以下の通りです。
- 歯槽から十分離れた歯肉頬移行部に5cmほどの横切開を加えます。
- 骨膜剥離子を用いて、上顎洞前壁に沿って眼窩下孔まで骨膜下剥離を進めます。
- 上端は眼窩下縁近くまで、近心は梨状孔縁が確認できるまで骨膜を剥離します。この時、眼窩下神経を損傷しないように注意します。
- 直径1-2 cmの骨孔を犬歯窩から開窓して、ここから上顎洞内を観察します。
- 上顎洞全体が明示されるまで開窓部を拡大していきます。
- 病的な洞粘膜を断裂させないよう、少しずつ自然孔に向かって剥離を進め、切除、摘出します。
- 下鼻道外側壁を最前部から後壁の近くまで、丸ノミで大きく開窓し骨開窓部は骨鉗子で形を整えます。この時、鼻腔粘膜を損傷しないよう注意します。
- 下鼻道側壁の粘膜を対孔の形に沿って前、上、後方をメスで切離して、下辺は折り曲げて上顎洞底を被覆します。
- 上顎洞内を加温した生理食塩液でよく洗い流した後、上顎洞にベスキチンガーゼをアコーディオン式に入れていきます。
- 最後に口腔内の粘膜骨膜弁を復位し、4 - 0絹糸で結節縫合します。
Caldwell-Luc法の合併症・後遺症
Caldwell-Luc法の合併症や後遺症には以下の事項が挙げられます。
- 眼窩下神経の損傷
- 歯根の損傷
- 術後性上顎嚢胞