歯科用語集

2022年04月20日

ガッタパーチャ

「ガッタパーチャ」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

ガッタパーチャとは?

ガッタパーチャとは、マレーシアなどの熱帯地域に自生する赤鉄科の樹木およびその樹液から得られるゴム状の樹脂のことです。ガタパーチャとはマレー語で「ゴムの木」の意味です。かつては海底電信用ケーブルの絶縁体やゴルフボールの材料としても使用されていました。ガタパーチャやグッタペルカとも呼ばれることもあります。また、ガッタパーチャを使用したポイント状の根管充填材である「ガッタパーチャポイント」自体をガッタパーチャと呼ぶこともしばしばあります。ガッタパーチャポイントは半固形の根管充填剤であり、今日の歯科治療での根管充填材としては使用頻度は最も高いです。根管充填剤用のガッタパーチャポイントの成分としては、メーカーにより異なるため、詳細な成分比はまちまちであるが酸化亜鉛や、重金属塩、ワックス、レジンなどが含まれています。ガッタパーチャポイントという名前ではありますが、主成分はガッタパーチャではなく、酸化亜鉛です。ガッタパーチャポイントの重金属塩は硫酸バリウムで、これにより診療においてはエックス線造影性が付与されています。

ガッタパーチャの特徴

ガッタパーチャ系根管充填材は、圧接により変形する半固形充填材に分類されます。

ガッタパーチャ系根管充填材は、狭小な根管に挿入しやすいよう細いポイント状に成形され、 ガッタパーチャポイントとして使用されていましたが、近年の新たな根管充填用機器、器材の開発により特殊な形態の製品も市版されています。例えば、垂直加圧充填では軟化したガッタパーチャ系根管充填材を根管に直接注入することで根管充填を行います。


ガッタパーチャ系根管充填材は、化学的・物理的に安定な材質で、生体に対する親和性があり、非吸収性があり、加工が容易で、操作性も良好です。根管壁に圧接しやすいガッタパーチャ系根管充填材は根管充填材のメインストリームとして使われています。消毒作用や骨性瘢痕治癒促進の作用は有しません。

ガッタパーチャポイントの長所

ガッタパーチャポイントの長所を以下に示します。
  • 生体にとって組織親和性がある
  • 化学的に安定である
  • 物理的に安定である
  • 材質が緻密である
  • 非吸収性である
  • 形状加工が可能である
  • 操作性が良好である
  • 圧接が可能である
  • エックス線不透過性である
  • 根管から除去が可能である
  • 歯質を変質、変色させない

ガッタパーチャポイントの短所

ガッタパーチャポイントの短所を以下に示します。
  • 劣化を起こす
  • 接着性がなく密着しにくい
  • 根管の形態によっては適合しにくい
  • 加熱による滅菌ができない
  • 細いものは脆弱感がある
  • 殺菌性、消毒性といった薬理作用がない
  • 骨性瘢痕治癒促進作用、硬組織形成作用がない


ガッタパーチャの成分

ガッタパーチャ材の成分であるガッタパーチャは、先述のように、熱帯に自生するアカテツ科の樹木から採取・精製したゴム類似物質です。化学的には1-4トランスポリイソプレンという物質です。イソプレン分子の配列や結晶性の違いにより、ガッタパーチャは天然ゴムよりも硬く弾性も小さいという特徴があります。

ガッタパーチャは、天然ゴムと同様に、酸素によりイソプレン分子間に架橋結合が起こるため、劣化により硬さ、もろさが増し体積が収縮します。輪ゴムが劣化でカピカピに乾いて弾力がなくなるのと同じ現象ですね。

ガッタパーチャポイントの組成

根管充填用のガッタパーチャポイントは、酸化亜鉛や重金属塩、ワックス、レジンなどを含んでいます。ただし詳細な成分、組成はメーカーにより異なります。ガッタパーチャポイントという名前ですが、最も多く含まれる成分は酸化亜鉛です。ガッタパーチャは2番目に含有されている材料です。
重金属塩は造影剤として硫酸バリウムなどが使われています。



ガッタパーチャポイントの根管充填以外の使用方法

ガッタパーチャポイントはそのエックス線造影性を利用して、以下のことにも使用されています。
  • エックス線と併用して根管長を測定する
  • 瘻孔にガッタパーチャポイントを刺して、デンタルX線を撮影し瘻孔の由来(原因歯)を探索する
  • ガッタパーチャポイントを挿入したインプラント用のステントを患者に挿入してエックス線撮影をして、インプラント体の埋入位置を決定する

ガッタパーチャポイントの国際標準規格

ファイル、リーマーおよびガッタパーチャポイントでは、ISO (国際標準化機構)、ANSI(米国規格協会)などの標準化機関により形態やサイズが規定されています。根管形成が規格化されるとともに、同一サイズの規格化ガッタパーチャボイントで適合のよい根管充恨を行えるようになっています。

ガッタパーチャポイントの歴史

ガッタパーチャポイントの歴史は、主に下記となっています。
  • 1867年、Bowman(アメリカ合衆国)が根管充填材としてガッタパーチャ材を紹介した
  • 1883年、Perryがローリング法を使用しガッタパーチャボイントを製作した
  • 1893年、Callahanが根管に適合しやすいようガッタパーチャ材をクロロホルムを使い軟化し充填する方法を推奨した

根管充填材の除去法

再根管治療の際には、根管内感染源の除去のために初回根管治療時の根管充取材を除去する必要があります。ガッタパーチャ材の除去は、根管上部の根管充隕材を薬液(有機溶媒)で溶解軟化した後、ファイル、ラルゴドリル、ゲーツグリッデンドリルなどを使用して除去します。

除去溶液としては、ガッタパーチャ溶解液(商品名:ユーカリソフト、GP ソルベント)などが使用されます。除去溶液には、組織刺激性が報告されているものもあるので、根尖孔外に溢出させないように注意します。

テンポラリーストッピングについて

ガッタパーチャポイント以外のガッタパーチャを主成分とする材料として、テンポラリーストッピングがあります。テンポラリーストッピングはガッタパーチャを主成分とする熱可塑性の材料で、加熱によって軟化し髄室に充填します。封鎖性、機械的強度が他の仮封材より劣るため、単独使用は不適切で二頂仮封の下層部に使用します。

その他のガッタパーチャ材

注入針の付いたカニューレ内にガッタパーチャ材が封入されたウルトラフィル3Dシステム用、ファイル様の軸部をガッタパーチャ材で被覆したサーマフィルがあります。また、サーマフィルの類似製品としてガッタコア(GuttaCore)があります。

他に、ガッタパーチャポイントの表面にグラスアイオノマーセメントをコーティングしたActive GPがありますが、Active GPは、グラスアイオノマー系シーラーとの併用により一体化し緊密な根管充填が行えるとされています。
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