歯科用語集
2022年3月15日

ペリクル

「ペリクル」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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ペリクルとは?

ペリクル(英:pellicle)とは、歯面にある唾液由来のタンパク質が付着した有機性被膜で、獲得被膜(英:acquired pellicle)とも呼ばれます。ペリクルに含まれるタンパク質の主な成分は高プロリンタンパク質やムチンで、他にはアルブミン、アミラーゼ、リゾチーム、ラクトフェリンなどの唾液由来タンパク質や細菌由来成分が含まれます。
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ペリクルの成分

ペリクルとして歯面のヒドロキシアパタイトに吸着しやすい唾液中のタンパク成分は、多量のアミノ酸を含有するproline-rich proteins(PRPs)やムチンとよばれるproline-richglycoprotein(PRG)などです。また、PRPsやPRGのほかにペリクルにはアルブミン、アミラーゼ、 リゾチーム、 ラクトフェリンなどの唾液由来、細菌由来成分が含まれています。

ペリクルの性質

ペリクルは0.3~1.0μmの無構造で無細胞な均一の薄い被膜であるが、通常の口腔清掃では除去できません。また、機械的な研磨などで除去しても、研磨面にただちに唾液タンパク質が付着し、きわめて短時間でペリクルは形成されます。

ペリクルとなる唾液由来タンパク質の付着様式

歯面と唾液タンパク質の直接的な結合

ヒドロキシアパタイトのリン酸基と酸性唾液タンパク質ののカルボキシル基や塩基性唾液タンパク質のアミノ酸との結合

イオン結合

陰性に荷電するアパタイト表面と唾液タンパク質が唾液中のカルシウムイオン(Ca2+)を介しての結合

口腔内の細菌の働きによる結合

口腔内の細菌由来のノイラミニダーゼによって加水分解された唾液糖タンパク質の不溶性シアル酸による歯面への付着

ペリクルの働き

ペリクルには熱や酸から歯面を守るバリアーとして物理的に歯面を保護する働きがありますが、他方で初期デンタルプラークを形成する早期定着細菌のレセプターを提供し、デンタルプラーク形成の足がかりともなります。

ペリクルに付着する細菌

ペリクルに付着する細菌は早期定着細菌(early colonizer)と呼ばれます。早期定着細菌には以下のような細菌があります。
Streptococcus gordonii
Streptococcus oralis
Streptococcus sanguinis
Actinomyces naeslundii
Actinomyces viscosus

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