歯科用語集
2022年3月14日

ラヌーラ

「ラヌーラ」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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ラヌーラとは?

ラヌーラとは、粘液貯留嚢胞(粘液嚢胞)の一種であり、舌下腺または顎下腺の排泄管障害によって生じる貯留嚢胞です。外見がガマ蛙の咽頭嚢に似ているので, ガマ腫とも呼ばれますが、最近では動物の名に由来する病名は使われなくなる傾向にあります。(ただし、ラヌーラはカエルを意味するラテン語ranaに由来しているので、どちらにしろ動物由来の名前です。)
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ラヌーラの所見

ラヌーラの被閉粘膜は薄く青みがかった透明感のある水疱状腫脹を呈し、容易に破綻します。

ラヌーラの検査法

ラヌーラは、穿刺にて黄色,粘稠な内容液が確認されます。病変の進展範囲の把握にはCTやMRIが有用です。

ラヌーラの分類

顎舌骨筋の上方で口底部に存在する舌下型ラヌーラ、顎下部の腫脹のみで口底部の腫脹を欠く顎下型ラヌーラ、口底と顎下部の両方に腫脹がある舌下顎下型ラヌーラに分けられます。舌下型ラヌーラが一番多いです。

ラヌーラの治療法

舌下型ラヌーラでは襄胞壁は薄く、破れやすく全摘出が困難なことが多いため、開窓術が第ー選択とされます。開窓術は容易であるが、再発率は高いです。再発を繰り返す場合には嚢胞摘出と同時に舌下腺も摘出します。
顎下型では開窓術ではなく、嚢胞摘出と舌下腺摘出術の併用が推奨されます。
顎下型ラヌーラではA群溶血性連鎖球菌の弱毒自然変異株をペニシリンで処理した製剤OK-432(ピシバニール)の腔内注射が行われることがあります。主な副作用に発熱(86%)がみられ、対症療法としてNSAIDsが用いられます。

ラヌーラの開窓術の方法

ラヌーラの舌下腺摘出術の方法は以下の通りです。
嚢胞の直上に切開を加え、粘稠な内容液を流出させます。
切開部からリボン状のガーゼを挿入し、元の大きさに回復し、口底粘膜と嚢胞壁の上蓋を切除し、 残存する嚢胞壁と口底粘膜を全周にわたり縫合します。
開窓効果を維持するため残存する腔内にガーゼを挿入し、タイオーバーにてガーゼを保持します。

ラヌーラの舌下腺摘出術の方法

ラヌーラの舌下腺摘出術の方法は以下の通りです。
術中,導管を認識しやすくするため、あらかじめ顎下腺の導管開口部から涙管ブジーを挿入しておきます。口底粘膜に切開を加え、舌神経、舌下動静脈の走行に注意しながら、嚢胞と周囲組織を鈍的に剥離していきます。
襄胞に接している舌下腺を周囲から剥離し、嚢胞とともに摘出します。




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