仮封材

「仮封材」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

仮封材とは?

仮封材とは、治療途中の歯面や根管を一時的に細菌や汚染物質から守るために用いられる材料のことである。窩洞形成や覆髄処置を行ったあとの歯面の印象採得後から修復物が完成するまでの期間、あるいは感染根管治療を行なっている途中の根管を次の治療までの期間など歯科臨床ににおいて一時的に細菌や汚染物質、唾液などの侵入を防止するために封鎖が必要な場面は多々ある。そのようなん場面で一時的な封鎖(仮封)を行うために用いられる材料を仮封材という。

仮封材の所要性質

仮封材は、臨床的に用いられる場面では、一定期間口腔内に露出し放置される場合が多い。そのため、仮封材には望まれる所要性質がいくつかある。仮封材に求められる所要性質は以下のものが挙げられる。

  • 生体安全性に優れること
  • 化学的に安定していること
  • 辺縁漏洩を起こさないこと
  • 咬合圧に耐える機械的性質を有すること
  • 充填や除去などの操作性に優れること

しかし、これらの要件を全て備えている仮封材は現在のところ認められず、実際の臨床においては、症例や場面ごとに判断して使用していくことが必要である。

仮封材の種類

仮封材を、大きく種類分けすると、①テンポラリーストッピング ②セメント系仮封材 ③レジン系仮封材の3つに大別される。それぞれについて以下で詳しく説明していく。

仮封材の種類:テンポラリーストッピング

主成分はガッタパーチャであり、そこに酸化亜鉛、蜜ろう、ワックスなどを加えたもの。蜜ろうを加えることで粘着性を付与している。熱可塑性であるため、熱を加えると軟化し、常温では硬化する。操作性に優れている。

テンポラリーストッピングの使用方法は、専用のストッピングキャリアー内に入れ、キャリアーごと熱を加えることで軟化させて使用するか、直接熱を加えて成形して使用する。除去は容易であり、探針、エキスカベーターなどで除去できる。封鎖性が劣るため単身での使用には適しておらず、二重仮封の内材として使用される事が多い。

仮封材の種類:セメント系仮封材

セメント系仮封材は、①リン酸亜鉛セメント ②酸化亜鉛ユージノールセメント ③ポリカルボキシレートセメント ④グラスアイオノマーセメント ⑤水硬性セメントなどが主にある。

①リン酸亜鉛セメント

酸化亜鉛(粉)と正リン酸(液)を主成分とするセメント。歯質接着性はないが除去は困難であり回転切削器具が必要である。機械的強度に優れている。しかし、リン酸には歯髄刺激性があるため生活歯への使用時には注意が必要。

②酸化亜鉛ユージノールセメント

酸化亜鉛(粉)とユージノール(液)を主成分とするセメント。歯質接着性はなし。機械的強度は他のセメントと比べると低い。歯髄鎮静作用がある。ユージーノールがレジンの重合阻害を持つため、最終修復や合着用セメントにレジン系の材料を使用する場合には使用を避ける。テンポラリーストッピングと組み合わせて二重仮封に用いられることが多い。

③ポリカルボキシレートセメント

酸化亜鉛(粉)とポリカルボン酸(液)を主成分とするセメント。歯質接着性がある。機械的強度強度に優れている。歯質接着性があるため除去が困難である。回転切削器具を用いて除去する。

④グラスアイオノマーセメント

フルオロアルミノシリケートガラス(粉)とポリカルボン酸(液)を主成分とするセメント。歯質接着性がある。機械的強度に優れている。フッ素徐放性がある。回転切削器具を用いて除去する。

⑤水硬性セメント

酸化亜鉛と硫酸マグネシウムの油性練和物。パテの性状をしており仮封部分に直接充填して使用する。水硬性のため唾液などの水分と接触することで効果する。歯質接着性はない。硬化時に硬化膨張が起きる。除去は容易であり、探針やエキスカベーターで除去可能である。

仮封材の種類:レジン系仮封材

レジン系仮封材は、粉と液を練和する化学重合型と1ペーストタイプの光重合型の2種類がある。どちらも仮封材として用いられるものは可塑剤を添加している軟質レジン材料である。化学重合型は、主に筆積法で使用される。光重合型は、充填操作を行なったのち光照射を行い用いる。

仮封材使用時の注意点

仮封材を使用する際は、その後の処置の流れを妨げないものを選択しなければならない。例えば、窩洞形成後の窩洞の仮封には歯質接着性がなく除去が容易なものを選択しなければならない。


「仮封材」の文献・書籍など

【読み】

かふうざい

【文献・書籍】

『保存修復学21 第5版』, 田上順次ら, 株式会社永末書店, 2017.
『スタンダート歯科理工学―歯科生体材料・歯科材料―』西山實ら,学建書院2007.

著者/監修者情報

歯科医師

1992年、千葉県生まれ。鶴見大学歯学部在学中から個人でアプリ開発やWeb制作を行う。歯科医師国家試験の対策アプリを開発し、新卒歯科医師の7割超が利用するまで成長させる。2016年に歯科医師免許を取得。東京歯科大学大学院博士課程に進学後は、医事・衛生法規や歯科医療管理、社会保障制度など歯科保健医療が抱える種々の問題について専攻。同大学院中退後の2017年に当社創業。

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