クラスプとは?
クラスプとは、部分床義歯の位置を口腔内で安定させるために、支台歯に義歯を連結させる支台装置の形態の一種のことを指します。クラスプは、鉤体、鉤脚、鉤肩、鉤腕部、レストの基本構造からなります。
クラスプの具備する要件
クラスプの具備する要件は以下の10個が挙げられます。
- 維持
- 支持
- 把持
- 囲繞性
- 受動性
- 拮抗作用
- 異物感が少ない
- 外観を損なわない
- 変形や破損しない
- 口腔内で化学的に安定している
クラスプの分類
クラスプの種類は、形態、製作方法などの違いにより様々な種類があります。
形態によるクラスプの分類
クラスプは、形態によって大きく環状型クラスプ(サーカムファレンシャルクラスプ)とバー型クラスプ(インフラバルジクラスプ)の2つに分類されます。
形態による分類:環状型クラスプ(サーカムファレンシャル型クラスプ、スープラバルジクラスプ)
支台歯の歯冠を鉤腕が環状に囲んでいる形態のクラスプのことを指します。長所は維持機能に優れている点です。短所は鉤腕が歯冠を囲んでいるため審美性が低い点です。クラスプ の鉤腕は、歯冠の最大豊隆部よりも上方からアンダーカットに侵入しています。
以下に環状型クラスプを列挙します。
- エーカス鉤(Akersクラスプ)
- 双子鉤(ダブルエーカースクラスプ)
- ヘアピンクラスプ
- リングクラスプ
- ハーフアンドハーフクラスプ
- バックアクションクラスプ
- リバースバックアクションクラスプ
- 延長腕鉤
- 連続
バークラスプ(インフラバルジクラスプ)
支台歯のアンダーカットに対して、歯頚側から侵入する形態のクラスプのことを指します。長所は審美性と清掃性に優れている点です。短所は適応症例が限られる事です。バークラスプは、形態上歯頚部から歯肉頬移行部までの間の顎堤に深いアンダーカットのある場合や頬側傾斜の強い症例には適応する事が出来ません。
支台歯のアンダーカットに対して、歯頚側から侵入する形態のクラスプのことを指します。長所は審美性と清掃性に優れている点です。短所は適応症例が限られる事です。バークラスプは、形態上歯頚部から歯肉頬移行部までの間の顎堤に深いアンダーカットのある場合や頬側傾斜の強い症例には適応する事が出来ません。
以下にバークラスプを列挙します。
- ローチ鉤(Roachのバークラスプ)
- RPIクラスプ
製作方法による分類
クラスプは、製作方法によってキャストクラスプ(鋳造鉤)とワイヤークラスプ(線鉤)の2つに分類されます。それぞれの特徴を以下に示します。
製作方法による分類:キャストクラスプ(鋳造鉤)
ワックスアップを行い、ワックスパターンを作成してそれを埋没、鋳造することで製作されるクラスプのことを指します。ワックスアップは耐火も形状でレディキャスティングワックスを用いて行います。キャストクラスプは、歯冠幅径の1/2からアンダーカットに鉤腕を入れる設計を行います。
製作方法による分類:ワイヤークラスプ(線鉤)
ワイヤーをプライヤーで歯型に沿って屈曲することで製作します。ワイヤーの材料としては、コバルトクロム線やニッケルクロム線が用いられます。ワイヤークラスプは、歯冠幅径2/3から線鉤をアンダーカットに入れる設計を行います。
コンビネーションクラスプ
形態や製作方法の違う2つのクラスプを組み合わせたクラスプをコンビネーションクラスプといいます。