ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)とは?
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)とは、成長期の上顎過成長を伴う骨格性上顎前突症例に使用する装置で、顎整形力により、上顎骨縫合部の骨形成抑制(成長抑制)を行います。その他、大臼歯の遠心移動・圧下・挺出にも働きます。抵抗源は頭部・頸部です。
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の構成
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)は以下のように構成されています。
- 後頭部固定用ヘッドキャップあるいは頸部固定用のネックストラップ
- 正中部でろう付けされているクラウン・ブリッジ)の制作のために使われる器具の一つで、頭蓋あるいは顎関節に対する上顎歯列(人工歯列を含む)の3次元的位置関係を咬合器上で再現するために用いられます。調節性の咬合器への模型のマウント(装着)に用いられ、フェイスボウによる咬合器への一連の装着操作を「フェイスボウトランスファー」といいます。フェイスボウは日本語表記では「顔弓」と呼ばれます。">フェイスボウ(インナーボウ・アウターボウ)
- 大臼歯バンド
- 頬面管
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の作用
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の作用は以下の通りです。
牽引方向
- FMA角が大きいハイアングルケース:大臼歯を圧下させるため、後上方に牽引する(ハイプルヘッドギア)
- FMA角が小さいローアングルケース:大臼歯を遠心移動あるいは挺出させるため、頸部方向に牽引(サービカルプルヘッドギア)
牽引力
- 矯正力は両側で400〜500g
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)は使用時間に依存するため、できるだけ長時間使用するよう指示します。
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の適応
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の適応症は以下の通りです。
時期
第一大臼歯萌出後
目的
- 上顎大臼歯の遠心移動
- 上顎大臼歯の圧下(ハイプルヘッドギア)と挺出(サービカルプルヘッドギア)
- 上顎大臼歯の近心移動防止のための相反固定加強固定">加強固定
- 上顎複合体の前方成長抑制
- 上顎歯列弓の遠心移動
- 上顎前歯の舌側移動
- 咬合挙上(サービカルプルヘッドギア)
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の使用方法
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の使用方法は以下の通りです。
- クラウン・ブリッジ)の制作のために使われる器具の一つで、頭蓋あるいは顎関節に対する上顎歯列(人工歯列を含む)の3次元的位置関係を咬合器上で再現するために用いられます。調節性の咬合器への模型のマウント(装着)に用いられ、フェイスボウによる咬合器への一連の装着操作を「フェイスボウトランスファー」といいます。フェイスボウは日本語表記では「顔弓」と呼ばれます。">フェイスボウのインナーボウを、上顎第一大臼歯バンドの頰面管に挿入する
- クラウン・ブリッジ)の制作のために使われる器具の一つで、頭蓋あるいは顎関節に対する上顎歯列(人工歯列を含む)の3次元的位置関係を咬合器上で再現するために用いられます。調節性の咬合器への模型のマウント(装着)に用いられ、フェイスボウによる咬合器への一連の装着操作を「フェイスボウトランスファー」といいます。フェイスボウは日本語表記では「顔弓」と呼ばれます。">フェイスボウのアウターボウは、ロープルヘッドギアでは頸背部を固定源とする(頸部に当てたネックストラップに連結する)
- クラウン・ブリッジ)の制作のために使われる器具の一つで、頭蓋あるいは顎関節に対する上顎歯列(人工歯列を含む)の3次元的位置関係を咬合器上で再現するために用いられます。調節性の咬合器への模型のマウント(装着)に用いられ、フェイスボウによる咬合器への一連の装着操作を「フェイスボウトランスファー」といいます。フェイスボウは日本語表記では「顔弓」と呼ばれます。">フェイスボウのアウターボウは、ハイプルヘッドギアでは後頭部を固定源とする(ヘッドキャップに連結する)
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の注意点
ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)の注意点は以下の通りです。
- 睡眠時間も含め、できるだけ長時間・毎日使用させる(理想は食事・歯磨き・運動時以外は使用)
- 上顎第一大臼歯バンド周囲の清掃は、特に気を配る
- ヘッドギア(上顎顎外固定装置、EOA)調整後、2日〜1週間ほどは疼痛が見られる(個人差あり)
- 装置の破損あるいは紛失時は連絡をさせる
- 装置を清潔に保たせる