歯科用語集

2022年03月13日

ハミュラーノッチ

「ハミュラーノッチ」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

ハミュラーノッチとは?

ハミュラーノッチ(hamular notch)とは、翼突上顎切痕ともよばれ、上顎結節後方にみられる半月状のくぼみのことです。ハミュラーノッチは、上顎結節と蝶形骨翼状突起内側板の翼突鈎の結合部に位置します。ハミュラーノッチは臨床的には、上顎義歯床後縁の設定の参考になるため、無歯顎者の上顎の解剖学的ランドマークの一つです。

解剖学的ランドマークとは?

解剖学的ランドマーク(anatomical landmark)の直訳は、「判断の基準として使われる認識できる解剖的な構造」です。解剖学的ランドマークは、顎堤と粘膜翻転部の形態的特徴を示す標識です。

全部床義歯の床縁は、上顎では、歯肉唇移行部、歯肉頬移行部、上顎結節、硬口蓋と軟口蓋の境界、下顎では歯肉唇移行部、歯肉頬移行部、舌側歯槽溝、レトロモラーパッドに設定されます。咀嚼、嚥下、発音の運動に際して、床縁が障害になってはなりません。

歯科医師は、印象面における解剖学的ランドマークの状態を確認することにより、無歯顎印象の過不足を評価することができます。その結果、歯科医師は、適切な無歯顎の印象を得ることができます。そのためにはハミュラーノッチをはじめとして、以下に示す無歯顎の解剖学的ランドマークを理解する必要があります。

上顎の解剖学的ランドマーク
上唇小帯口腔前庭正中部に、通常1本存在する。上口唇と上顎歯槽部とを連結し、上唇の運動を制限する。

切歯乳頭:歯槽頂正中部に存在する楕円形をした小豆大の隆起である。上顎中切歯および犬歯の配列位置の参考となる。模型の正中線の基準になる。リリーフ(緩衝)すべき部位の一つ。

口蓋ヒダ:正中口蓋縫線の左右で切歯乳頭から第一小臼歯付近までにみられる粘膜のヒダ。食塊形成、発音に関与するといわれており、義歯にも付与される。リリーフ(緩衝)すべき部位の一つ。

口蓋隆起:口蓋正中部に存在する骨隆起。粘膜の薄い部分である。リリーフ(緩衝)すべき部位の一つ。著しく大きい場合には外科的に切除する。

上顎結節:上顎骨外側面にある隆起部であり、歯槽頂の広報部の隆起に相当する。上顎義歯床後縁の設定の参考になる。

正中口蓋縫線
:切歯乳頭から口蓋方向に向かって走行する縫線。粘膜の薄い部分である。リリーフ(緩衝)すべき部位の一つ。

ハミュラーノッチ:翼突上顎切痕ともよばれ、上顎結節後方にみられる半月状のくぼみのことである。上顎義歯床後縁の設定の参考になる。

口蓋小窩:硬軟口蓋移行部の粘膜上に正中口蓋縫線をはさんで存在する小さい2個のくぼみ。上顎義歯床後縁の設定の参考になる。

アーライン:アーの発音を繰り返させたときに振動する部分と振動しない部分との境界であり、硬口蓋と軟口蓋の移行部に相当する。左右のハミュラーノッチを結んだ線とほぼ一致し、正中部付近には口蓋小窩がある。上顎義歯床後縁の設定の参考になる。

翼突下顎縫線:上顎歯槽頂後端からレトロモラーパッドにみられる粘膜のヒダを翼突下顎ヒダという。また、蝶形骨翼状突起の翼突鈎から下顎骨側頭稜に走る靭帯を翼突下顎縫線という。上咽頭収縮筋、頬筋の付着部位である。義歯後端がこの部位を覆いすぎると開口時の義歯脱落の原因となる。
 
下顎の解剖学的ランドマーク
下唇小帯:下口唇と下顎歯槽部とを連結する結合組織からなるヒダ。

レトロモラーパッド:臼後三角、臼後隆起、後臼歯隆起ともよばれる。天然歯列では最後臼歯のすぐ後方にみられる隆起。唾液腺と結合組織からなるため、抜歯後に吸収を受けにくく、無歯顎の顎堤頂後方部に隆起としてみられる。義歯の沈下防止の目的として、義歯床で前方1/2から2/3を被覆すべきであり、下顎義歯床後縁の決定の目安になる。

頬棚:バッカルシェルフともよばれる。下顎臼歯部頬側部分をいう。前方は頬小帯、後方はレトロモラーパッド前縁、内方は歯槽頂、外方は外斜線で囲まれる部分である。下顎義歯の唯一の咬合負担域として重要であり、この部分を印象採得において完全に印記しなければならない。

外斜線:下顎骨筋突起前縁が下降して、下顎骨体部で分岐した2つの骨稜線のうち頬側のもので、その延長は下顎体臼歯部を前方に走行する。下顎義歯床臼歯部頬側辺縁の位置決定の目安となる。
下顎隆起:下顎小臼歯部から犬歯部の舌側歯槽部の歯根相当部にみられる骨隆起。リリーフ(緩衝)すべき部位の一つである。

顎舌骨筋線(内斜線):下顎骨筋突起前縁が下降して、下顎骨体部で分岐した2つの骨稜線のうち舌側のもので、その延長は下顎体舌側部を前歯部まで走行する。顎舌骨筋が付着しているため、顎舌骨筋線といわれる。大臼歯部では下顎義歯床舌側辺縁の位置決定の目安となる。リリーフ(緩衝)すべき部位の一つである。

オトガイ孔:下顎骨のほぼ中央外側面に開口している楕円形の小孔。下顎管の開口部である。顎堤吸収が著しい症例ではリリーフ(緩衝)すべきある。