「全部被覆冠」と「部分被覆冠」、私たちはどのように使い分けるべきでしょうか。
従来、全部被覆冠は高い予知性を持つ補綴装置として広く用いられてきました。
一方、接着技術やセラミック材料の進歩により、健全歯質をできるだけ保存する部分被覆修復の適応は大きく広がっています。
本講演では、全部被覆冠と部分被覆冠の生存率・成功率、破折抵抗性、歯質削除量、接着の長期安定性などについて、近年の臨床研究や基礎研究をもとに整理します。
ガイドラインや文献などで基本的なコンセプトを理解していても、実際の現場では残存歯質量や咬合条件、拮抗関係などの要素が複雑に絡み合うため、教科書的な知識だけでは臨床判断へ落とし込みづらいのが実情です。
被覆範囲の選択は修復物の長期的な予後に直結するため、感覚的なアプローチではなく、歯質の欠損状態や力学的環境を踏まえた客観的な評価軸を持つことが欠かせません。
だからこそ、部分被覆で対応可能か、全部被覆を選択すべきかの明確な基準を整理し、症例に応じた材料選択や補綴設計を組み立てることが重要です。
本セミナーでは、「部分被覆冠か?全部被覆冠か?」をテーマに、onlay、occlusal veneer、partial veneer、endocrownなどの低侵襲修復も取り上げ、残存歯質、接着環境、咬合力、必要な形態回復量から、どこまで歯を被覆すべきかを、東京歯科大学クラウンブリッジ補綴学講座准教授の野本 俊太郎先生に解説いただきます。
まず、日常臨床で直面しやすい境界線上の症例を整理し、残存歯質量や咬合条件に応じた部分被覆・全部被覆の適応基準をクリアに示していただきます。
続いて、各種補綴材料の機械的・物理的特性を踏まえたうえで、症例ごとの適切なマテリアル選択について考察。
さらに、支台歯形成の注意点、マージン設定や接着手技に至るまで、長期予後を引き出すための具体的な補綴テクニックについても触れていきます。
実際の症例を交えながら解説が行われるため、明日からの診断や治療計画の立案にすぐさま活用できる実践的な内容となっています。
こんな方におすすめ
👉 部分被覆か全部被覆の生存率や成功率、成功の秘訣を知りたい
👉 部分被覆か全部被覆の歯質破折・破折抵抗性について理解したい
👉 支台装置の選択基準を明確にしたい
講師
東京歯科大学クラウンブリッジ補綴学講座准教授。東京歯科大学歯学部を卒業後、同大学大学院歯学研究科を修了。Boston University, GS Dental Medicine Dept. of Restorative Sciences/Biomaterials ポストドクトラルフェロー、東京歯科大学クラウンブリッジ補綴学講座助教、同講師を経て現職。主な研究テーマはCAD/CAMレジンやジルコニアなどメタルフリー治療について。日本歯科専門医機構認定補綴歯科専門医、日本補綴歯科学会指導医、日本歯科審美学会常任理事・認定医、日本接着歯学会理事・専門医・指導医、日本デジタル歯科学会専門医。ジルコニア、メタルフリー治療に関わる執筆多数。