日常臨床において頻繁に行う修復治療・補綴治療の長期的な成功は、歯質と修復物が接する「マージン」の設計に大きく左右されます。マージンの不備は、修復物の不適合、審美不良、歯周組織の炎症、さらには二次カリエスに起因する再治療など、多くの問題を引き起こします。
このわずか数百μmの境界部が、修復物、ひいては歯そのものの予後を決定付けると言っても過言ではありません。
しかし実際の臨床では、理論的背景が十分に整理されないまま、経験則に基づいて治療が行われている場面も少なくありません。
特に、う蝕が歯肉縁下に及ぶ場合には、マージンの位置をどこに設定するかについて、より慎重な判断が求められます。
歯肉息肉、出血、浸出液などの存在は、う蝕除去、支台歯形成、印象採得、装着、余剰セメントの除去といった一連の臨床操作の精度を低下させ、結果として修復物の不適合や歯周組織の問題につながる可能性があります。
だからこそ、目の前の症例に応じて状況を評価し、適切な治療法を選択するための「確かな判断基準」が必要となります。
本セミナーでは、「知れば知るほど面白い「マージン」の話」をテーマに、科学的根拠と臨床経験を交えて「マージン」について掘り下げ、各状況における臨床的な判断基準について日本歯科保存学会認定医の田中 亮祐先生に解説いただきます。
まず、マージンに関する基本的な用語を整理したうえで、クラウンにおけるマージン形態について、エビデンスに基づいた考え方を提示します。
さらに、縁上マージンと縁下マージンのそれぞれのメリット・デメリットを比較し、日常臨床で遭遇するさまざまな状況において、どのようにマージンの位置を判断すべきかを解説していただきます。
また、歯肉縁下う蝕への対応として、ディープマージンエレベーション(DME)、歯冠長延長術(クラウンレングスニング)、矯正的挺出(エクストリュージョン)など、複数の選択肢を取り上げ、それぞれの適応と選択基準について詳述いただきます。
コンポジットレジンやインレー、オーバーレイ修復といった部分修復におけるマージンの考え方についても体系的に整理。
単なる形成テクニックの話にとどまらず、「なぜそこに設定するのか」という視点から、マージンを体系的に捉え直します。「毎日の形成作業でなんとなくマージンを決めてしまっている」「縁下う蝕処置に関する根拠のある判断基準を持ちたい」と感じている臨床家の方に、ぜひご覧いただきたい講義です。
こんな方におすすめ
👉 クラウン・インレーにおける最適なマージン設定の判断基準が知りたい
👉 歯肉縁下う蝕への適切なアプローチ手法(DME・歯冠長延長術・エクストリュージョン等)を学びたい
👉 確実な封鎖と適合向上を図るための形成・接着テクニックを身に付けたい
講師
2017年大阪大学歯学部卒業。同附属病院歯科保存学講座に入局し、大阪大学大学院歯学研究科にて歯学博士号を取得。大阪大学歯学部附属病院では7年間にわたり臨床・研究・教育に従事し、現在は「医療法人社団Smile Artたなか歯科医院」副院長を務める。 専門は歯内療法・保存修復。日本歯内療法学会専門医、日本歯科保存学会認定医、厚生労働省卒後臨床研修指導医の資格を有し、国際誌掲載論文による日本歯科保存学会奨励賞の受賞歴も持つ。精密根管治療をはじめ、接着修復治療、歯髄温存療法など歯を残す高度な歯科医療と臨床指導・発信に取り組んでいる。