フラビーガム

「フラビーガム」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年10月18日

フラビーガムとは?

フラビーガムとは、無歯顎患者における顎底粘膜の異常一種である。フラビーガムは、英名flabby gumという。flabby(意味:肉がたるんでしまりのない)+gum(歯肉)が表す通り、粘膜の肥厚と顎堤吸収によってコンニャク状にブヨブヨと軟らかくなった状態の歯肉のことである。

フラビーガムの原因

 フラビーガムの原因は、適合不良の義歯の長期的な使用により起こる床下粘膜に対しての慢性の機械的刺激が主な原因とされている。また、下顎前歯による上顎前歯部への突き上げもフラビーガムの誘発に関与していると考えられている。
 

フラビーガムの特徴

 フラビーガムは、顎堤の歯槽骨吸収、粘膜の肥厚、粘膜下組織の線維性増殖が特徴である。
これらの組織的変化が起こることで、顎堤粘膜はコンニャク状に軟らかくなり可動性が大きくなる。
 

フラビーガムと臨床的意義

 フラビーガムは、粘膜の被圧偏位量が大きいため発生すると義歯の安定を図るのが困難になる。現在使用中の義歯でフラビーガムが発生した場合には、テッシュコンディショナーを使用し義歯の安定を試みるか外科的切除によってフラービーガムの肥厚した粘膜を除去するなどの対応を行う。しかし、歯槽骨吸収も伴っているため、粘膜を切除しただけでは高度な吸収が起きた顎堤だけが残ってしまい、補綴が困難になる場合もあるので注意が必要である。

フラビーガム存在下で新義歯を製作する場合には、印象採得時に使用する個人トレーのフラビーガム部のリリーフや遁路の付与を行うとともに酸化亜鉛ユージノール印象材、インジェクションタイプのシリコンラバー印象材および石膏印象材など流動性(フロー)の良い印象材を用いて無圧印象を行う必要がある。
 

フラビーガムとすれ違い咬合

 フラビーガムは、下顎前歯部のみが残存している状態での下顎前歯による上顎の突き上げで起こることが多い。つまり、上顎無歯顎で下顎前歯部が残存している様な咬合や上顎臼歯部と下顎前歯部のみ残存の様なすれ違い咬合での発生症例が多い。コンビネーションシンドローム(combination syndrome)の1症状にもフラビーガムは含まれている。


「フラビーガム」の文献・書籍など

【読み】

ふらびーがむ

【文献・書籍】

『無歯顎補綴治療学 第2版』, 平井敏博ら, 医歯薬出版株式会社, 2009.
『コンプリートデンチャーテクニック 第2版』, 細井紀雄ら, 医歯薬出版株式会社, 2005.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師・歯学博士。1987年東京都生まれ。2013年鶴見大学歯学部卒業後、歯科医師国家資格取得。2018年同大学大学院歯内療法学講座にて博士(歯学)取得。現在は同大学歯学部解剖学講座に非常勤研究員として所属。歯科医院に勤務する傍ら、個別指導塾を開設。個別指導歴は6年目、再試数2桁(学年最下位)を半年で進級させる。2020年から子どもたちに絵本を届けるため「スタジオ歯の絵本」で歯科の絵本製作プロジェクトを始動。
【note】note.com/dentalobo
【twitter】twitter.com/dentalobo

印象採得の症例リスト

臨場感のあるフラビーガムの症例

写真だと臨場感がイマイチですが、実際見たときはたまげました。
左側の1〜3あたりが大きく腫れています。
ブヨブヨしていて、痛みはなく、フラビーガムっぽいなぁと思いましたが、こんなにでかくなるものかなぁと思い、精査依頼。
結果フラビーガムでした!!

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