歯の動揺度:ミラー(Miller)の分類

「歯の動揺度:ミラー(Miller)の分類」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年12月05日

歯の動揺度とは?

歯の動揺とは、歯根膜腔の幅と歯槽骨の量によって起こる現象である。歯の動揺は支持組織の量と質によって変化する。歯周組織に炎症が起きていると歯の動揺度は増加する。歯の動揺は一般的に「歯の揺れ」とも呼ぶ。歯の動揺度を判定するための分類を「ミラーの分類Millerの分類)」という。


ミラー(Miller)の分類とは?

ミラー(Miller)の分類とは、歯の動揺度を評価した分類の一種である。1950年にMiller S.Cにより発表された。ミラー(Miller)の分類は、診査にピンセットのみを必要とするため簡便に測定出来るため臨床現場で多く使用されている。

歯の動揺度:ミラー(Miller)の分類

ミラー(Miller)の分類の詳細は、以下の通りである。

動揺度分類0度:生理的な同樣の範囲内である(歯の動揺が0.2mm以内)
動揺度分類1度:唇(頬)舌(口蓋)的にわずかに動揺する(歯の動揺が0.2〜1mm)
動揺度分類2度:唇(頬)舌(口蓋)的に動揺(歯の動揺が1〜2mm)、近遠心的にもわずかに動揺する
動揺度分類3度:唇(頬)舌(口蓋)的、近遠心的に動揺し(歯の動揺が2mm以上)、歯軸方向(垂直的)にも動揺する

歯の動揺

歯の動揺は、正常歯周組織にも認められ、その範囲は歯根膜の厚さ(約0.2mm)の中で起こりこれを生理的動揺と呼ぶ。ミラー(Miller)の動揺度分類においては、0度の状態である。生理的動揺は、部位でみると、切歯部が最も大きく大臼歯部が最も小さくなる。また、年齢、性別、時間帯などによっても変化する。歯の動揺は、歯槽骨の破壊や深い歯周ポケットの形成、歯冠・歯根長比、炎症の程度など様々な要因によって増加する。

歯の動揺度の診査方法

歯の動揺度の診査は、前歯部では、ピンセットで切縁をはさんで唇舌的に動かすことによって行われる。臼歯部の歯の動揺度の診査は、ピンセットを閉じて咬合面に当てて頬舌的・近遠心的に動かすことにより行う。

その他のミラー(Miller)の分類

歯科におけるミラー(Miller)の分類は、2種類存在する。一つは、本項記載の動揺度を分類したミラー(Miller)の分類である。もう一つは、歯肉退縮を形態的に分類したミラー(Miller)の分類である。なお、2つの分類はそれぞれ、動揺度はMilller S.C、歯肉退縮はMiller P.Dと異なる人物により発表されたものである。



「歯の動揺度:ミラー(Miller)の分類」の文献・書籍など

【読み】

はのどうようど:みらー(みらー)のぶんるい

【文献・書籍】

20. Miller SC : Textbook of periodontia, 3rd ed, Blakiston Co Inc, Philadelphia, 1950,125-212.
『標準歯周病学 第4版』  編者 鴨井久一 山田了 伊藤公一, 医学書院出版,2009
『ザ・ペリオドントロジー 第2版』, 和泉雄一ら, 株式会社永末書店, 2014.
『臨床歯周病学 第2版』, 吉江弘正ら, 医歯薬出版株式会社, 2013.
『歯周治療プラクティスマニュアル』, 五味一博士, 永末書店, 2013.

著者/監修者情報

歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

歯周基本治療の症例リスト

先日、鶴見大学にて行われたInnovative Collaboration for Futureのセミナー議事録をシェアします。
今回は、3名の若手歯科医師(吉武 秀先生、井原 雄一郎先生、中村 航也先生)のセミナーから要点を抜粋しています。
瀧野 裕行先生、若林 健史先生のまとめは後日配信される予定です。

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【吉武 秀先生】
- 中等度及び重度慢性歯周炎の治療と歯の保存について
- 最も重要なのは「炎症のコントロール」と「外傷力のコントロール」
- ただ歯周治療をするだけでなく、歯周組織の炎症や咬合性外傷を誘発しないように咬合、修復、補綴、矯正、インプラントを行うべき
- そのためにはドクターだけでなくスタッフも一丸となって診療にあたっていくことが必要

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【井原 雄一郎先生】
- 歯を保存・機能させるためにやっていること
- 歯科医師・歯科衛生士側と患者側の間で、「歯を保存するか」のジャッジについて思っていることが異なる場合があることに注意する
- 患者さんには希望や背景(年齢、全身疾患、喫煙)、費用、口腔衛生状態、コンプライアンスなどの要素があり、歯科医師・歯科衛生士側には治療の技術、治療システム、手術環境などの要素がある
- 両者がマッチングした部分で、患者さんと信頼関係を構築して治療を進めていくことを意識して診療にあたっている
- 多くの患者さんは、歯を残したい、抜歯したくないと希望している:それを叶えるのが歯周病の専門医としてのあり方ではないか
- メインテナンス > 治療 > 診断と歯の喪失率は変わる。歯の保存においてはメインテナンスが非常に重要
- 治療の期間は長くても3年程度だが、SPT・メインテナンスはエンドレスに続いていく:そのため患者さんとの信頼関係が重要
- メインテナンスのなかでも、妥協的メインテナンスから治療後メインテナンスの方が予後良好
- 歯周治療のほとんどは非外科治療。若い頃は外科治療のウェイトが半分くらいあったが、経験を積むにつれて非外科治療のウェイトが増えた。今後突き詰めていくと、非外科治療のウェイトはさらに増えていくと思う
- 外科治療をしていく上で、PCRは10%以下が良い: GTRの付着量もPCRのコントロールやメインテナンスが前提となる。治療よりもメインテナンスが重要で、そのためには患者さんとの関係性が欠かせない
- 歯周外科へ移行する際のチェック項目:患者側ではインフォームドコンセント、全身疾患のコントロール、喫煙の有無、プラークコントロールの状態(10%以下)。歯周組織側では炎症のコントロール(BOP20%以下)、動揺歯のコントロール、咬合の安定
- 天然歯は長持ちさせられる(中川種昭先生)

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【中村 航也先生】
- 1Dアカウント: https://oned.jp/users/2IhH7i6nSOuxdCU8YcrlMFDT05dzXO5N
- 患者さんの笑顔も大事だが、歯科医療者側の幸せも大事で、そこも考えて治療をしていかなければならない
- アメリカの歯科衛生士の平均年収は800万円であるのに対し、日本は歯科医師でも平均年収は700万円と差が付いている状態
- 日本の歯科医師の週休は1日だが、アメリカの歯科医師の週休は3日。理想的な職業ランキングでも、アメリカは歯科医師が1位なのに、日本は222位と歴然の差がある
- 豊かになるために、時代を「先読み」して「差別化」していかなければならない
- 成人の8割が歯周病で、抜歯理由の1位が歯周病。8020で多くの歯が残ってきたが、みんなが歯周病になっている。インプラントでも義歯でも、どんな治療においても歯周病の治療からは逃れられない
- 今回のテーマである「Save the teeth」:歯を守ることで、患者さんも歯科医療者も幸せになれる。チームワークで歯周病に立ち向かうことが重要
- 歯周病に立ち向かうキーポイント:「炎症」と「咬合」の2つ
- 歯肉も皮膚と同じ外胚葉組織。皮膚から出血していたら絆創膏を貼るのに、歯から血が出てても「どうでもいいや」で終わってしまうのは不思議
- 歯周病のケアを受けていない患者さんが、10年間に失う平均の歯の本数は「6.1本」。一方で、歯周病専門歯科医院で治療を受けてきた患者さんが10年で失うのは「1本」
- ポケットの深さは、人によって誤差が生じやすい:BOPの変化を見ることが大事。炎症性の変化があるということは、歯周組織の破壊が始まっているということ。その早期発見・早期治療が重要
- 歯肉形態・バイオタイプによってTBIを変える
- インプラントではポケットを測定せず、インプラント周囲を指で抑え、出血・排膿・圧痛を確認し、これが認められた場合にはプロービングをするという流れが良いのではないか
- 最高の歯周病治療とは、歯周病にならないように予防すること。最高のインプラント治療とは、インプラントを入れないこと。低侵襲で予防を考えながら臨床をやっていきたい

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初めて投稿するものです。
去年研修医が終わりまだまだ未熟なものですがよろしくお願いします。
ものが噛みにくいという症例でいらっしゃった患者さんなのですが、模型を見る通りデンチャースペースが全くなく、右上567は頬側に転移し噛み合っていなく、3本とも動揺度は2度です。
治療計画としましては、3本EXTし即時義歯を入れようと考えていたのですがデンチャースペースの問題があり、どこから手をつけて良いのかわからない状態です。
即時義歯で無理矢理右側を噛めるようにし、咬合を変えていくしかないのでしょうか。
1枚目が咬合時、2枚目が上顎、3枚目が下顎の写真です。
ツッコミどころは多いと思いますが、検討していただくと幸いです。よろしくお願いします。

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みなさんはこの歯を残しますか?抜きますか?

【P?エンド?咬合?または他の要因?】
みなさんはこの歯を残しますか?抜きますか?

主訴は右下1番。歯のぐらつきを主訴にいらっしゃいました。動揺は2か3。

他の部位の極端な骨吸収はないものの、臼歯部中心に4,5mm。
歯科医院にほとんどかかったことがないこともあって全額的に歯石が確認できました。
生活歯であり、冷水痛・温熱痛がなかったため、まずはSRPから始めることになりました。

SRP前のデンタルとSRP前後の口腔内写真を共有します。
(事情があり、サイドフラッシュとリングフラッシュで撮ってしまっているため歯肉の色が違っています)

現在ポケットや炎症はなく、歯髄診をしても結果は同じです。
動揺は固定を外すと2,3ぐらいはあります。
挺出しているのもあって咬合の負担はあると思います。

歯科医師のみなさんならどう診断されますか?
またこの歯を残すことはできるのでしょうか。

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