オーエン (Owen) の外形線とは、象牙質基質で不規則に現れる成長線です。オーウェンの外形線ともいいます。
以下のように複数の解釈があるため、定説がありません。
象牙細管が一斉に屈曲して形成される線
エブネル線条が強調されたもの
球間区で見られる列状線
象牙質の未石灰化(低石灰化)領域には球間象牙質(球間区)interglobular dentinとトームス顆粒層Tomes granular layerがある球間象牙質は、歯冠部のエナメル象牙境付近に生じる未石灰化領域です。象牙質の形成面が多い歯冠部では、形成初期に球状の石灰化が急速に進行します。石灰化球の大きさは一定しないがそれらが互いに融合しつつ大型化するこの時融合した石灰化球の間隙部分が未石灰化(または低石灰化)状態のまま残存したものを球間象牙質といいます。石灰化が不完全なこと以外は球間象牙質の基質形成や象牙細管の分布は正常である大型の球間象牙質が歯冠部の表層に連なって発現したものをオウエンの外形線contourline of Owenといいます。
これは象牙質の成長線incremental linesの一つです。球間象牙質と同様な構造物であるが、歯根部のセメント象牙境付近に発現するものをトームス顆粒層といいます。これは本質的には、球間象牙質と同様な構造物である歯根部では歯冠部に比べて象牙質の形成面が少ないため、象牙質の石灰化球が小型で、すぐに平坦な板状石灰化に移行するこのため石灰化球の融合に伴う未石灰化の間隙部分も小型になるこの未石灰化部分をトームス顆粒層といいます。 またトームス顆粒層は象牙細管の終末部分の融合あるいはループ形成によって生じるという説もあります。
エブネル線(lines of von Ebner)
エブネル線(lines of von Ebner)は基質線維の配列の周期的変化を成因とする成長線で、歯の外形にほぼ一致し、象牙細管に直交して走行するこの線はほぼ4μm間隔の規則的周期で出現し、象牙質の1日の形成量に等しいので「象牙質の1日周期の成長線(daily incremental line of dentin)」ともいわれるこの線の約20μm毎で、 5日毎に太く強調された線条を我が国ではアンドレーゼン線(lines of Andresen)と称してきたが、エブネル線と成因走行を同じくする欧米の教科密にはアンドレーゼン線の記載がほとんどみられません。
新産線(neonatal line)
新産線(neonatal line)は、出生時に代謝が激的に変動することにより、形成中の象牙質に1本だけ出現する低石灰化線で歯の外形に一致した走行を示します。成因と走行からオーエンの外形線の一種とみなします。すべての乳歯と第一大臼歯の象牙質とエナメル質に認められます。
石灰化条(calcoglobulin contour)
石灰化条(calcoglobulin contour)は石灰化の進行を成因とする成長線で、球状石灰化部では円弧の躾合した指紋様を、板状石灰化部では直線的平行線の集合を示します。約2μm間隔の規則的周期で出現し、象牙質の成長線のうち最も周期の短いものです。