オーバーオールレイシオ(英:over-all ratio)は、矯正で用いられる模型計測法の指標のひとつで、上下顎歯列の不調和を評価するための指標です。トゥースサイズレイシオの中のひとつであり、発案者はBoltonです。
トゥースサイズレイシオ(tooth-size ratio)は、口腔模型を計測して上下顎の歯冠幅径の総和から上下顎比率を求める事により、将来の上下顎歯列の不調和や矯正治療の最終段階での咬合状態を予測する方法です。トゥースサイズレイシオには、左右の中切歯から第一大臼歯の計12歯の総和を用いるオーバーオールレイシオ(over-all ratio)と左右の中切歯から犬歯までの計6歯を用いるアンテリアレイシオ(anterior ratio)があります。その他に、左右の犬歯から第一大臼歯までを用いるポステリアレイシオ(posterior ratio)も用いられることがあります。
オーバーオールレイシオ:上下顎歯列弓全体の調和を評価するのに用いる指標
アンテリアレイシオ:上下顎前歯部の調和を評価するのに用いる指標
ポステリアレイシオ:上下顎側方歯部の調和を評価するのに用いる指標
1/20mm縮尺つきノギスを用いて、口腔模型上で各歯の歯冠の幅径を測定します。測定した幅径を算出の式に当てはめて求めます。
オーバーオールレイシオ=下顎12歯の歯冠幅径総和(mm)/上顎12歯の歯冠幅径総和(mm)×100(%)
オーバーオールレイシオは、歯冠幅径の総和を基に算出されます。そのため、歯冠形態の異常や先天欠如などの影響を受けて値が変化します。また上下顎の比率で求められるため同じ異常でも下顎に起こる場合と上顎に起こる場合で値の大小が変わります。例えば先天欠如が起きた場合、下顎に発生すれば分子が小さくなるためオーバーオールレイシオの値は小さくなり上顎に発生した場合には分母が小さくなるのでオーバーオールレイシオの値は大きくなります。オーバーオールレイシオに影響を与える因子としては、先天欠如、癒合歯、巨大歯、矮小歯などがあります。過剰歯については無視して考えるためオーバーオールレイシオの値は変化しません。