不正咬合

「不正咬合」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

不正咬合とは?

不正咬合とは、形態的または機能的に正常な咬合状態から逸脱した状態をいう。不正咬合の1つの判断基準として、矯正歯科治療の必要性の有無が挙げられる。

不正咬合の種類

不正咬合には、さまざまな種類がある。大きく分類すれば、「個々の歯の位置異常」「数歯にわたる位置異常」「歯列弓形態の不正」「垂直関係の異常」「水平関係の異常」の5つが挙げられる。

個々の歯の位置異常による不正咬合

個々の歯の位置異常による不正咬合には、転位や捻転、低位、高位、傾斜、移転などがある。

【転位】
歯列弓を咬合面から見た時、歯が歯列弓の正しい位置から外れている状態を転位という。

  1. 近心転位:歯が正常な位置より正中に近い方向にある状態を近心転位(mesioversion)という
  2. 遠心転位:歯が正常な位置より正中線から違い方向にある状態を遠心転位(distoversion)という
  3. 唇側転位:前歯が正常な位置に対して前方、あるいは外側にある状態を唇側転位(labioversion)という
  4. 頬側転位:白歯が正常な位置に対して外側にある状態を頬側転位(buccoversion)という
  5. 舌側転位:歯が正常な位置に対して内側にある状態を舌側転位(lingoversion)という

【捻転】
歯が正常な位置からその長軸を中心に回転している状態を捻転(torsiversion)という。

【低位】
歯の切縁あるいは咬頭頂が咬合平面に達していない状態を低位(infraversion)という。

【高位】
歯の切縁あるいは咬頭頂が咬合平面を越えている状態を高位(supraversion)という。

【傾斜】
歯の長軸が、正常な歯軸より近心、遠心、頬側、舌側のいずれかの方向に強く傾斜している状態を傾斜(adversion)という。

【移転】
隣接歯や、より離れた歯の萌出位置が入れ替わり正常な排列順序と異なった状態を移転(transversion)という。

数歯にわたる位置異常による不正咬合

数歯にわたる位置異常による不正咬合には、正中離開や対称捻転、叢生などがある。

【正中離開】
上顎左右中切歯間に空隙のある状態を正中離開という。

【対称捻転】
上顎左右中切歯がそれぞれ逆方向に転位している状態を対称捻転(winging)という。

【叢生】
数歯にわたって歯が唇側、舌側と変互に転位している状態を叢生(crowding)という。

歯列弓形態の不正による不正咬合

歯列弓形態の不正による不正咬合には、狭窄歯列弓やV字型歯列弓、鞍状歯列弓、空隙歯列弓などがある。

【狭窄歯列弓】
正常より臼歯間幅径が狭い歯列弓を、狭窄歯列弓(constricted arch)という。上顎口蓋が深いことが多い。

【V字型歯列弓】
V字型歯列弓(V shaped arch)は狭窄歯列弓の1つで、左右大臼歯間幅径が狭く、中切歯が唇側傾斜を示し、歯列弓がV字状の歯列弓である。

【鞍状歯列弓】
鞍状歯列弓は下顎骨の劣成長や大臼歯の近心転位などにより小白歯の萌出余地が不足し、小臼歯が舌側に転位または傾斜することによって鞍状となった歯列弓で、下顎にみられる。

【空隙歯列弓】
歯間に空隙がみられる歯列弓を空隙歯列(spaced arch)という。空隙歯列は、「顎骨に対して歯が小さい」「舌が大きい」「歯数が不足している」などの場合にみられる。 

垂直関係の異常による不正咬合

垂直関係の異常による不正咬合には、過蓋咬合、切端咬合、開咬などがある。

【過蓋咬合】
咬頭嵌合位において、前歯部が正常被蓋を大きく越えて深く咬合している状態を過蓋咬合(deep bite)という。

【切端咬合】
咬頭嵌合位において、上下顎前歯の切縁同士が咬合し、オーバージェットとオーバーバイトが0mmの状態を切端咬合という。

【開咬】
咬頭嵌合位において、数歯にわたって上下顎の歯が接触していない状態を開咬(open bite)という。

水平関係の異常による不正咬合

水平関係の異常による不正咬合には、交叉咬合、鋏状咬合などがある。

【交叉咬合】
咬頭嵌合位において、上下顎の歯列弓が左右的に交叉して咬合している状態を交叉咬合(cross bite)という。

【鋏状咬合】
咬頭嵌合位において上顎白歯の舌側唆咬頭が下顎白歯の咬合面と咬合せす、頬側にすれ違っ て 咬合している状態を鋏状咬唆合(scissors bite)という。

Angleの不正咬合の分類

Angle(1899)が発表した不正咬合の分類で、上下顎の咬合を上下顎歯列弓の近遠心的関係だけに焦点をあてて分類したものである。

Angle I級不正咬合】
上下顎歯列弓が正常な近遠心的関係にあり、個々の歯の位置異常を伴った叢生や、上下顎の切歯が前突した上下顎前突などがこの分類の不正咬合に属する。

Angle Ⅱ級不正咬合】
下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し正常より遠心で咬合する不正咬合をいう。

Angle Ⅱ級1類不正咬合
下顎遠心咬合で、上顎前歯が前突しているものをいう。

上顎切歯が唇側に傾斜、転位、あるいは下顎切歯が舌側に傾斜し、さらに下顎歯列弓が上顎歯列弓に対して遠心位をとるため、切歯のオーバージェットが大きくなる。上下口唇の閉鎖が困難となり、口唇の離開や下口唇の過緊張などの筋機能の異常を伴うことがある。

Angle Ⅱ級2類不正咬合
下顎遠心咬合で、上顎前歯が後退しているものをいう。

上顎切歯の舌側傾斜と過蓋咬合が特徴である。過蓋咬合が切歯の舌側傾斜に起因するものか、あるいは下顎骨の骨格的な特徴によるものかは明らかではないが、垂直的な不正要因を含んだ不正咬合である。Angleは正常な鼻呼吸を営むものが多いとしている。

【AngleⅢ級不正咬合】
下顎歯列弓が上顎歯列弓に対して正常より近心で咬合するものをいう。すなわち、下顎近心咬合である。

下顎歯列弓が上顎歯列弓に対して近心位をとるため、切歯が反対咬合を示すことが多い。上顎歯列弓に対する下顎歯列弓の近心位は、ときにはみせかけの機能的下顎前突を示すものもある。片側性と両側性のものがある。

「不正咬合」の文献・書籍など

【読み】

ふせいこうごう

【文献・書籍】

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

歯列・骨格の症例リスト

最初の投稿に対し数名の方からいいねをいただき、図に乗ってしまいました。
国際的第一人者のDawsonの専門書より
噛み合わせの不正(不正咬合)が原因で顎関節痛や雑音などの機能障害が生じた場合、その治療方法は、以下の4つにまとめることができます。
 ①下顎が中心位にある時、全ての歯において顎位を保持する安定した咬合接触があること。
 ②前方滑走運動時、全ての臼歯部は離開すること。
 ③平衡側の全ての臼歯部は離開すること。
 ④側方滑走運動時、あるいは下顎頭の限界運動時に、作業側の全ての臼歯部に咬頭干渉がないこと。
機能的不正咬合を解消する治療は、技術的には難しいのですが、治療方法の選択は単純です。すべての疾患がこの治療方法で治るようです。

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H.23とH.28の歯科疾患実態調査で、不正咬合の叢生ありの割合が大きく違うのは何故なのか分かる方いらっしゃいますか?
見方が違うのですかね。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-23.html

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf

H.23
12-15歳の叢生ありは、77.9%
16-20歳の叢生ありは、81.0%

H.28
同上が、27.6%
同上が、23.3%

元々母数も小さいですが..
よろしくお願いします!

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