プラークリテンションファクターとは、歯垢・プラークを蓄積させる因子のことです。プラークリテンションファクターは歯周疾患のリスクファクターのうち、宿主因子に分類されます。プラークリテンションファクターが患者の口腔内に存在することで、歯周炎は増悪してしまいます。プラークリテンションファクターは別名でプラーク蓄積因子とも言い、英語スペルはplaque retention factorです。
プラークリテンションファクターとなる因子の種類には、歯石や修復物、歯列不正や口腔粘膜の形態異常などがあります。プラークリテンションファクターとなる主な因子を以下に列挙します。
歯石
歯列不正
口呼吸
歯の形態異常
食片圧入
不適合修復物・不適合補綴物
狭小な口腔前庭
小帯高位付着
プラークリテンションファクターとしての歯石は、歯石それ自体には為害性は無いが、歯石の表面が粗造であるためプラークが付着しやすく、歯周病の原因となります。
歯並びの悪い歯列では、患者さんのプラークコントロールが困難になります。そのため歯列不正はプラークリテンションファクターとなります。
口呼吸をしていると、口腔内は乾燥します。健常な口腔内では唾液の自浄作用によってプラークが洗い流されているため、口呼吸により口腔が乾燥するとこの自浄作用が働かなくなります。そのため口呼吸もプラークリテンションファクターとなります。
エナメル突起や根面溝などの歯の形態異常がある場合は、そこが不潔になるためプラークコントロールが困難になります。そのため歯の形態異常はプラークリテンションファクターとなります。
食片圧入とは、食物が歯間部に押し込まれている状態のことです。食片圧入もプラークリテンションファクターとなります。
プラークリテンションファクター:不適合修復物・不適合補綴物
プラークリテンションファクターとしての不適合修復物・不適合補綴物には、歯冠部の豊隆の形態(カントゥア)やマージンの形態によって、プラークが付着しやすいため歯周病の原因となります。
プラークリテンションファクター:狭小な口腔前庭、小帯高位付着
口腔前庭や上唇小帯、下唇小帯、頬小帯などの口腔粘膜の形態異常はプラークコントロールを困難にするため、プラークリテンションファクターとなります。