プロービングとは、ポケット探針や歯周プローブを用いた歯周ポケットの診査のことである。ポケット探針や歯周プローブを歯肉溝や歯周ポケットに挿入し、歯周組織の状態を探る。プロービングは、歯周組織の破壊の程度や歯周治療に対する組織の反応性を評価するために欠かせない検査のひとつである。プロービングは英語では「probing」と表記する。
プロービングを行う際の荷重は、約20-25g程度が望ましいとされている。プロービングをこの荷重で統一して行うことで、患者の痛みを軽減したり、また検査の数値の再現性を高めることが可能になる。
プロービングでは、歯の長軸と平行になるように、また必ず口腔内にフィンガーレストを確保して歯周ポケットや歯肉溝に歯周プローブを挿入するようにすることが重要である。
プロービングはエックス線写真を参考にしながら行うこともコツである。不適合修復物や歯石、う蝕・カリエス、歯冠や歯根のカントゥア(豊隆)などは歯周プローブの正確な挿入を障害する要因である。
接触点(コンタクトポイント)直下のポケットや骨欠損を探知するには、歯周プローブを歯間隣接面の頬舌側からわずかに斜めに挿入する。測定は通常1歯あたり6箇所を計測する6点法、4点法、1点法がある。歯周精密検査では4点法または6点法、歯周基本検査では1点法を用いる。
プロービングを行う際には、歯周プローブとよばれる器具を用いる。プロービングに用いられる歯周プローブの断面は、円形や平型でデザインの異なるものがある。また作業幅として、1mm・2mm・3mm単位の間隔で目盛りが刻まれている。
歯周プローブの主な材料は、金属やプラスチック、チタンなどがある。根分岐部におけるプロービングには、ファーケーションプローブを用いる。
ポケット探針や歯周プローブを用いたプロービングにより診査できるのは、主に以下の項目である。
プロービングを行った際に、歯肉からの出血を伴うことがある。これをBOP(bleeding on probing)といい、プロービング時の出血ともいう。BOPは歯肉の炎症の兆候のひとつであり、臨床的によく用いられる指標である。
プロービングを行うメリットは、ポケット探針や歯周プローブといった器具のみで比較的手軽に歯周組織の破壊の程度や歯周治療に対する組織の反応性を評価できる点である。
プロービングを行うデメリットは、適切な荷重(約
20-25g程度)で行わない場合、患者に痛みを与えてしまったり、付着を破壊してしまうことなどが挙げられる。
プロービングを行う際には、ウォーキングプロービングを用いる。ウォーキングプロービングとは、歯周プローブを上下に細かく動かしながら近遠心方向に移動させていくテクニックのことである。ウォーキングプロービングは「ウォーキングテクニック」とも呼ばれる。
プロービングデプス・ポケット深さとアタッチメントレベル
歯周プローブによってプロービングを行い計測した、歯肉辺縁からプローブの先端までの距離を「プロービングデプス(probing depth)」という。似たような用語で「ポケット深さ」とは、組織学的に計測した歯肉辺縁からポケット底までの距離のことである。
プロービングの際に、歯周プローブによってポケット底に根尖側に圧力がかかるため、プロービングデプスとポケット深さの値は一致しないことがある。
またアタッチメントレベル(attachment level)とは、セメント・エナメル境(CEJ)から接合上皮歯冠側端までの距離のことを指す。アタッチメントレベルは歯根表面における歯周組織の付着(接合上皮)の位置を表す指標である。
臨床的には、プロービングを行った際のセメント・エナメル境(CEJ)からプローブの先端までの距離のことを指し、これを「クリニカル・アタッチメントレベル(clinical attachment level:CAL)という。
アタッチメントレベルは、歯周治療における治療効果(付着の喪失・獲得)を評価できる、重要な指標のひとつである。付着の獲得、すなわちアタッチメントレベルが減少することを「アタッチメントゲイン」と呼び、付着の喪失、すなわちアタッチメントレベルが増加することを「アタッチメントロス」と呼ぶ。