オーラルディスキネジア

「オーラルディスキネジア」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

オーラルディスキネジアとは?

オーラルディスキネジアとは、支配神経あるいは筋肉の障害により下顎、舌、口唇などに出現する反射性、情動性の不随意運動のことである。オーラルディスキネジアは錐体外路系の症状の一つである。「オーラルジスキネジア」と表記することもある。



オーラルディスキネジアの原因

オーラルディスキネジアの主な原因は以下の通りである。また咬合異常や口腔内の疼痛、違和感などの末梢入力の異常がオーラルディスキネジアの誘因や増悪因子となることがある。
  • 加齢
  • パーキンソン病の治療薬、レボドパの副作用
  • 抗精神病薬の副作用

オーラルディスキネジアによる所見

オーラルディスキネジアは程度によるが以下のことが臨床的な所見として見られることがある。
  • 食事摂取の困難(咀嚼・嚥下障害)
  • 発語の困難
  • 異常な咬耗
  • 義歯の維持の困難
  • 咬合性外傷
  • 褥瘡性潰瘍
  • 顎関節障害
  • 習慣性の顎関節脱臼

オーラルディスキネジアの発生機序

オーラルディスキネジアの発生機序として、抗精神病薬・抗パーキンソン病薬の長期服用によって黒質線条体のシナプス後膜のドパミン受容体の感受性が亢進するという、ドパミン受容体過感受性説が有力だとされている。
これは抗精神病薬・抗パーキンソン病薬によってドパミン受容体が長期間遮断された結果、代償的に受容体の数が増加して、通常レベルのドパミン刺激でもその刺激の効果が過剰に出現するというものである。
また近年ドパミンD2 受容体に対する脳内の薬物結合率が錐休外路症状発現の直要な因子であることが報告されている。

しかし、オーラルディスキネジアの発生機序は正確には明らかにされてなく、以上の説の他にも線条体黒質のGABA作動性投射神経の機能が低下しドパミン機能が亢進するという説や、線条体のコリン系神経路の変性によるという説、フリーラジカルが脂質過酸化反応を通して線条体の神経細胞を損傷させるという説もある。

オーラルディスキネジアの治療法

オーラルディスキネジアは一度症状が出現すると消退することは難しいが、神経内科および精神科などでの専門的治燎が必要である。
特に高齢者の場合咀嚼障害により食事摂取量が減り、体重の減少など、低栄養につながる可能性も多いことから、歯科医師がオーラルディスキネジアがあっても摂取可能な食事形態を指導し、必要な食事量を確保するため食事摂取方法の指導等を多職種と連携して継続的に行う必要がある。
特に経管栄養を受けている患者では出現率が高いとの報告があるため、経口摂取を保つこともオーラルディスキネジアを予防する歯科医師の一つの役割であるのかもしれない。

また、通常の口腔衛生を保つための口腔ケアだけでは不十分で、定期的な歯科医師の診察や歯科衛生士による専門的口腔ケアが必要である。

オーラルディスキネジアによる顎関節脱臼の治療法

顎関節脱臼を繰り返すようなオーラルディスキネジアが出現する場合もある。過去に習慣性顎関節脱臼の既往がなくても発症することがあり、注意が必要である。さらに認知症を併発すると自制が効かず、顎関節整復を行っても.再び自ら顎関節を脱臼させる患者もいる。

顎関節脱臼を繰り返す場合には、整復を行ったあとにフェイシャルバンドなどで固定を行うことで再発予防ができる場合もある。

認知症や呼吸困難が原因で開口状態を繰り返し固定ができない症例も多いが、このような場合は栄養摂取の方法を経管栄養に変更し、開咬に伴う口腔乾燥のケアを実施することが重要になる。


「オーラルディスキネジア」の文献・書籍など

【読み】

おーらるでぃすきねじあ

【文献・書籍】

『歯科補綴学専門用語集 第5版』, 公益社団法人日本補綴歯科学会, 医歯薬出版株式会社, 2019.
『老年歯科医学』, 森戸光彦ら, 医歯薬出版株式会社, 2015.
『よくわかる高齢者歯科学第1版』, 佐藤裕二ら, 株式会社永末書店, 2018.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

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