歯科用語集
2022年5月18日

カンペル平面

「カンペル平面」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

PICK UP
【便利】歯科用語をイッパツ変換できるユーザー辞書を無料配布
審美歯科のスペシャリストに聞く「接着のカンどころ」

カンペル平面とは?

カンペル平面とは、耳珠前縁と鼻翼下点を結んだ線によってつくられる面のことです。咬合平面とおよそ平行になるので補綴学的に重要な平面であるとされています。


カンペル平面の意義

カンペル平面とは、耳珠上縁と鼻翼下点を結んだ線によってつくられる面のことです。具体的には耳珠上縁と鼻翼下点は左右両側にあるのでそれを結ぶと平面になります。補綴学上では咬合平面とほぼ平行であるとされていて、義歯作成でも重要な役割を果たします。

有歯顎者において、歯列の咬合平面は、 鼻翼下縁と耳珠下縁とを結んだ左右の直線で決定される平面と最も近い平行関係にあるという報告もみられることから、実際の臨床における後方基準点として耳珠下縁を選択する場合もあります。

カンペル平面には鼻聴道平面・補綴学的平面といった別名もありますが、現在の日本補綴歯科学会では推奨されない用語とされています。

カンペル平面を利用した器具

咬合平面設定板(英:occlusal plane guide)は、カンペル平面を咬合平面がほぼ平行であることを利用した器具です。つまり、咬合採得時に仮想咬合平面を設定するための用具として用いられます。上顎咬合床の咬合面にあてて、カンペル平面との関係を検討するのに用いられます。


蝋義歯試適でのカンペル平面

蝋義歯試適では咬合平面の位置と傾きの観察を観察する際にカンペル平面が使われます。咬合平面がカンペル平面と平行か、両瞳孔線と平行か、上唇下縁と上顎前歯人工歯切縁との位置関係が適正か、などを観察します。 また、下顎義歯を装着して、下顎中切歯人工歯切縁と左右側レトロモラーパッド中央部で形成される平面との上下的な位置関係を観察します。 咬合平面の位置と傾きは義歯の機能に大きく影響します。

Angle 分類とカンペル平面

Angle class I と class II の上下顎関係の有歯顎者・無歯 顎者の咬合平面設定に際してはフランクフルト平面、カンペル平面、口蓋平面の3つが信頼できる指標になるとの報告があります。これに対し Angle class III、骨格性下顎前突症例では口蓋平面は加齢にともないフランクフルト平面に平行となることが多いという報告があります。

カンペル平面と審美

無歯顎者の仮想咬合平面と口腔機能との関連性について検討した報告は、カンペル平面の位置と咬合力や咀嚼能率などの関連性を示したものがほとんどでした。カンペル平面と平行に仮想咬合平面を設定した場合が最も咀嚼効率などが良好であるという報告が多いです。 一方、カンペル平面を仮想咬合平面の基準とする場合、 顔貌の対称性の点から審美的要件を十分満たすことができないことが示唆されていました。また、日本ではカンペル平面を基準平面とする咬合器が広く用いられており人工歯配列の基準としてもカンペル平面が広く用いられています。しかし患者の視点に立つと、ろう義歯試適時の審美性の確認時には手鏡を使ってカンペル平面よりもやや上方、どちらかというとフランクフルト平面よりで確認することが多いため、前歯人工歯の歯軸傾斜角の見え方が術者と異なり、審美的評価に影響を及ぼす場合が臨床的には考えられます。
1Dプレミアム
1Dプレミアム

関連用語

PICK UP
【便利】歯科用語をイッパツ変換できるユーザー辞書を無料配布
審美歯科のスペシャリストに聞く「接着のカンどころ」
1D SNS
掲載情報について

1D(ワンディー)は、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士向けの情報が集まる、日本最大級の専門メディアです。

トップレベルの臨床家・研究者からオンラインで学べる「歯科セミナー」や、臨床・経営・ライフスタイルの最新情報が収集できる「歯科ニュース」など、多彩な歯科医療コンテンツを配信しています。

本サイトは、歯科医療関係者(歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科助手・歯科学生等)を対象に、歯科医療の臨床・研究・経営等に関する情報を集約したものです。歯科医療関係者以外の一般の方に対する情報提供を目的としたものではないことをご了承ください。

また、本サイトで提供する情報について細心の注意を払っておりますが、内容の正確性・完全性・有用性等に関して保証するものではありません。詳細は利用規約をご覧ください。

SNS
© 2024 1D inc.