歯科用語集

2022年03月13日

ティッシュコンディショニング

「ティッシュコンディショニング」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

ティッシュコンディショニングとは?

ティッシュコンディショニング(英:Tissue Conditioning、略:T.コンデ, T.cond)とは、粘膜の圧痕、浮腫、肥厚、増殖などの病的状態を粘膜調整材(ティッシュコンディショニング材)を用いて改善し、義歯床下組織に均等に圧を配分できるようにすることです。粘膜調整ともいいます。<参考>歯科診療報酬:有床義歯床下粘膜調整処置(1顎1回につき)110点旧義歯が不適合で床裏装や再製が必要とされる場合に、床裏装や再製に着手した日より前において、有床義歯床下粘膜異常に対してそれを調整するために、旧義歯を調整しながら、粘膜調整材を用い有床義歯床下粘膜調整を行った場合は、当該義歯の調整を含めて、1顎1回につき算定する。なお、有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、同月内であっても当該処置に併せて区分番号H001-2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定して差し支えない。この場合において、区分番号H001-2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定したときは、同月内に区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料は算定できない。(通知:平成28年3月4日付け厚生労働省通知保医発0304第3号)

ティッシュコンディショニングの材料

ティッシュコンディショニングの材料は、主にアクリル系印象材で、粉と液を練和することでポリマーが膨潤し、溶解して流動性を呈しゲル化します。

ティッシュコンディショニングの材料であるアクリル系印象材は、時間の経過とともに可塑剤が溶出し、アルコールが揮発することで次第に硬化します。義歯を使用させながら、床下粘膜と辺縁胴体を記録することができるため動的印象(ダイナミック印象)にも用いられます。

ティッシュコンディショニングの材料(アクリル系印象材)は一般的に以下で組成されます。
  • 粉末
    • ポリエチレンメタクリレート(PEMA)とブチルメタクリレートの共重合体
    • エチルアルコール
    • 可塑剤

ティッシュコンディショニングの目的

ティッシュコンディショニングの目的は、粘膜調整材(ティッシュコンディショニング材)の使用により、義歯床下組織に均等に圧を配分できるようにすることで、疼痛緩和や床下組織の改善、維持安定の向上をすることです。

ティッシュコンディショニングにより床下組織の改善を行った後に新義歯を製作すると、予後が良好であることが報告されています。したがって、床下粘膜の病的状態は、咬合の確認とともに粘膜調整材で改善します。障害の原因が義歯にある場合(義歯不適合、義歯床縁の過長、オトガイ孔や骨隆起部などの緩衝不足など)には、義歯の調整も行います。

ティッシュコンディショニングは、あくまでも粘膜調整のための暫間的な裏装であり、一定期間使用し義歯床下組織が改善したのち、リラインを行います。

ティッシュコンディショニングの術式

ティッシュコンディショニングの術式は、以下の通りです。

  1. 粘膜の状態、義歯の状態をよく観察し必要に応じて床粘膜面を削合する
  2. 床粘膜面をよく清掃し乾燥させる
  3. 粉と液をティッシュコンディショニング材指定の比率、操作時間で混和する
  4. ゲル化したティッシュコンディショニング材を義歯床粘膜面に盛り上げ、口腔内に挿入する
  5. 口腔内に装着後、機能運動させる
  6. 硬化後、辺縁のティッシュコンディショニング材余剰部をハサミやナイフ等で削除する
  7. 数日使用後にティッシュコンディショニング材の状態、粘膜、義歯を診査し調整する
  8. 粘膜調整が終わったらティッシュコンディショニング材を除去しリラインを行う

ティッシュコンディショニングの期間

ティッシュコンディショニングの期間は、原則1-2週間以内で調整とし、長期的な使用は行いません。

ティッシュコンディショニングは、リラインを前提とした暫間裏装として短期間で行います。

ティッシュコンディショニングの注意点

ティッシュコンディショニングの注意点は、咽頭部への流れ込みによる誤嚥や誤飲で、ティッシュコンディショニング材の過剰な盛り付けは避けることです。特に反射機能の低下している患者の場合には、鼻呼吸を命じて気道が閉じていることを確認して使用します。

またポリエチルメタクリレート重合体、脂肪酸系可塑剤、アルコール類に対して発疹、皮膚炎等の過敏症の既往歴のある患者には使用禁忌となっています。