歯科用語集

2022年03月15日

アクチバトール

「アクチバトール」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

アクチバトールとは?

アクチバトールとは、舌や口腔周囲筋自体の力、装置を介した筋力を利用した機能的矯正装置のひとつです。患者さん自身で取り外しができる可撤式矯正装置に分類されます。

アクチバトールの目的

アクチバトールは主に、機能性下顎前突の治療に用いられる機能的矯正装置です。機能的矯正装置とは、患者自身の口腔周囲筋の力を利用、あるいは逆に排除することによって作用する矯正装置を指します。

機能性下顎前突とは、上下顎の切歯の早期接触などが原因となって、下顎骨が本来の顎位から前方に変位し下顎が近心咬合位に誘導され、上下顎前歯が逆被蓋となる状態です。


機能的矯正装置はアクチバトールの他に、バイオネーター、咬合斜面板咬合挙上板タングクリブなどがあります。

対極をなすものに、器械的矯正装置といってバネやゴムの力を利用して作用する装置があります。器械的矯正装置には、拡大床、ヘッドギア、チンキャップ、リンガルアーチ、マルチブラケット装置などがあります。

*参考:下顎前突の種類
  • 歯槽性下顎前突
  • 機能性下顎前突
  • 骨格性下顎前突

アクチバトールの作用

アクチバトールの作用は以下のとおりです。
  • 誘導面の形成を行う場合:誘導によって伝えられた筋力が歯の移動を引き起こす。構成咬合位に適応するような顎骨の位置変化や成長誘導が起こる。
  • 誘導面の形成を行わない場合:歯の移動に代わって顎骨の位置変化や成長誘導が行われる。

またアクチバトールでは、装置の前歯舌側面に相当する部分にガッタパーチャやレジンを添加することで歯の移動を図ることもあります。

アクチバトールの歴史

アクチバトールは1936年にAndresenとHäuplによって、下顎後退を伴う上顎前突の治療を目的として開発されました。のちに日本では機能性下顎前突の治療として用いられるようになりました。

アクチバトールの使用方法

アクチバトールの使用方法は、基本的に就寝時に装着します。またアクチバトールは咬合力を利用する矯正装置のため、外傷などの心配がなければ日中も装着するのが望ましいとされています。

アクチバトールの構成

アクチバトールはレジン床と誘導線により構成されます。レジン床は部位により以下の5つに分けられます。
  • 口蓋部:口蓋に接する部分
  • 歯肉部:歯肉に接する部分
  • 歯部(誘導面):臼歯歯冠舌側および前歯舌面に接する部分
  • 咬面部:臼歯咬合面に接する部分
  • 翼部:下顎舌側歯槽部に接する部分

アクチバトールの誘導線は、舌側弧線装置(リンガルアーチ)で用いられる補助弾線のように屈曲調整によって矯正力を発揮するものとは異なり、口腔周囲筋の機能力を歯に伝達、あるいは逆に排除するものです。通常、0.9mmあるいは1mm程度の太い矯正線が以下の使用目的に合わせて用いられます。
  • 上顎唇側誘導線
    下顎を後退させる口腔周囲筋の力をアクチバトールを介して変化させ、上顎前歯を舌側に向かって押す矯正力を発揮します。上顎前突の治療に用いられます。
  • 下顎唇側誘導線
    下顎前歯を後方に押そうとする口唇の力を排除する役割を果たします。上顎前突の治療に用いられます。
  • 顎間誘導線
    下顎を前進させる口腔周囲筋の力をアクチバトールを介して変化させ、下顎前歯を舌側に向かって押す矯正力を発揮します。下顎前突の治療に用いられます。
  • 小誘導線
    歯の小移動に用いられます。

アクチバトールではレジン床が上下顎の歯列間を塞ぐため、鼻呼吸困難な患者には呼吸孔を付与する必要があります。

アクチバトールの適応症

アクチバトールの適応症は以下のとおりです。
  • 下顎前突を伴う上顎前突
  • 機能性反対咬合
  • 過蓋咬合
  • 交叉咬合
  • 保隙
  • 保定
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