アクチバトール

「アクチバトール」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年08月02日

アクチバトールとは?

アクチバトールとは、舌や口腔周囲筋自体の力、装置を介した筋力を利用した機能的矯正装置で、患者さん自身で取り外しができる可撤式矯正装置である。

アクチバトールの目的

アクチバトールは機能的矯正装置である。機能的矯正装置とは、患者自身の口腔周囲筋の力を利用、あるいは逆に排除することによって作用する物である。主にアクチバトールは機能性下顎前突の治療に用いられる。

機能的矯正装置はアクチバトールの他に、バイオネーター、咬合斜面板、咬合挙上板、タングクリブなどがある。

対極をなすものに、器械的矯正装置があり、器械的矯正装置はバネやゴムの力を利用して作用する。器械的矯正装置には、拡大床、ヘッドギア、チンキャップ、リンガルアーチ、マルチブラケット装置などがある。

cf.下顎前突の種類
下顎前突の種類は以下の3つである。
  • 歯槽性下顎前突
  • 機能性下顎前突
  • 骨格性下顎前突

機能性下顎前突とは、上下顎の切歯の早期接触などが原因となって、下顎骨が本来の顎位から前方に変位し下顎が近心咬合位に誘導され、上下顎前歯が逆被蓋を呈するものである。

アクチバトールの歴史

アクチバトールは1936年にAndresenとHäuplから発表された。アクチバトールは下顎後退を伴う上顎前突の治療を目的として開発されたものであるが、わが国においては機能性下顎前突の治療として用いられるようになった。

アクチバトールの使用方法

アクチバトールの使用方法は基本的に就寝時に装着する。アクチバトールは咬合力を利用する矯正装置のため、外傷などの心配がなければ日中も装着するのが望ましい。

アクチバトールの構成

アクチバトールはレジン床と誘導線により構成される。レジン床は部位により5つに分けられる。
  • 口蓋部:口蓋に接する部分
  • 歯肉部:歯肉に接する部分
  • 歯部(誘導面):臼歯歯冠舌側および前歯舌面に接する部分
  • 咬面部:臼歯咬合面に接する部分
  • 翼部:下顎舌側歯槽部に接する部分

また、アクチバトールの誘導線は舌側弧線装置(リンガルアーチ)で用いられる補助弾線のように屈曲調整によって矯正力を発揮するものとは異なっており、口腔周囲筋の機能力を歯に伝達、あるいは逆に排除するものである。通常、0.9mmあるいは1mm程度の太い矯正線が以下の使用目的に合わせて用いられる。
  • 上顎唇側誘導線
    上顎前突の治療に用いられ、下顎を後退させる口腔周囲筋の力をアクチバトールを介して変化させ上顎前歯を舌側に向かって押す矯正力を発揮する。
  • 下顎唇側誘導線
    上顎前突の治療に用いられ、下顎前歯を後方に押そうとする口唇の力を排除する役割を果たす。
  • 顎間誘導線
    下顎前突の治療に用いられ、下顎を前進させる口腔周囲筋の力をアクチバトールを介して変化させ、下顎前歯を舌側に向かって押す矯正力を発揮する。
  • 小誘導線
    歯の小移動に用いる。

アクチバトールではレジン床が上下顎の歯列間を塞ぐため、鼻呼吸困難な患者には呼吸孔を付与する必要がある。

アクチバトールの適応

アクチバトールの適応症は以下のとおりである。
  • 下顎前突を伴う上顎前突
  • 機能性反対咬合
  • 過蓋咬合
  • 交叉咬合
  • 保隙
  • 保定

アクチバトールの作用

アクチバトールの作用は以下のとおりである。
  • 誘導面の形成を行う場合:誘導によって伝えられた筋力が歯の移動を引き起こす。構成咬合位に適応するような顎骨の位置変化や成長誘導が起こることもある
  • 誘導面の形成を行わない場合:歯の移動に代わって顎骨の位置変化や成長誘導が行われる

またアクチバトールでは、装置の前歯舌側面に相当する部分にガッタパーチャやレジンを添加することで歯の移動を図ることもある。


「アクチバトール」の文献・書籍など

【読み】

あくちばとーる

【文献・書籍】

『新しい歯科矯正学』,新井一仁ら,株式会社永末書店,2000
『歯科矯正学 第6版』, 飯田順一郎ら, 医歯薬出版株式会社, 2019.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

歯列・骨格の症例リスト

模試の問題で混合歯列期の機能性下顎前突に用いるのはどれか2つって問題で、選択肢にバイオネーターとアクチバトールがありました。
答えはアクチバトールと他の選択肢だったのですが、バイオネーターは機能性下顎前突に用いることは不可能なんですか?

1Dでこの症例を見る

アクチバトールとバイオネーターの具体的な適応症を教えてもらいたいです
教科書を見ても想像ができなくていまいち理解できません

1Dでこの症例を見る
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