グラスアイオノマーセメントとは?
1971年、イギリスのWilsonとKentによって、グラスアイオノマーセメント(デュポン社の商標であるため、一般名としてグラスポリアルケノエートセメントともよばれる)が開発されました。
グラスアイオノマーセメントとは、歯科用セメントの一つで審美修復、築造、裏層、合着、窩洞形成や覆髄処置を行ったあとの歯面の印象採得後から修復物が完成するまでの期間、あるいは感染根管治療を行なっている途中の根管を次の治療までの期間など歯科臨床ににおいて一時的に細菌や汚染物質、唾液などの侵入を防止するために封鎖が必要な場面は多々あります。そのような場面で一時的な封鎖(仮封)を行うために用いられる材料を仮封材といいます。">仮封材と呼びます。仮封は最低でも3mm~4mmの厚みを持たせた方が感染根管治療の予後が良いとされます。なお、仮封は英語でtemporary sealingといいます。">仮封、予防塡塞、象牙質知覚過敏症の治療など汎用性が高いです。グラスアイオノマーセメントの粉末の主成分はアルミノシリケートガラス(シリカとアルミナの混合物)で、フラックスとして、フッ化カルシウム、リン酸アルミニウムなどが含まれています。液はポリアクリル酸とマレイン酸の共重合体、もしくはポリアクリル酸とイタコン酸の共重合体に5%の酒石酸を加えた高分子酸水溶液となっています。
グラスアイオノマーセメントの特徴
グラスアイオノマーセメントはレジンセメントの次に大きい機械的強度をもつこと、歯面処理することなくエナメル質と象牙質に接着できること、う蝕への抵抗性があること、優れた生体親和性をもつことという利点があります。一方で、グラスアイオノマーセメントは硬化しはじめるときに感水すると白く濁るという欠点があります。
グラスアイオノマーセメントは、歯質に対する接着性をもち、ほかのセメントと比べて歯髄への為害作用が少なく、さらに硬化体からフッ素を徐放して抗齲蝕性がもたらされるといった特徴を兼ね備えています。
グラスアイオノマーセメントの欠点は、硬化時間が長く、硬化途中に唾液などの水分に汚染されると劣化することです。また、成形修復材料としては、アマルガムやコンポジットレジンと比較すると強さが小さいので、前歯部や乳歯など荷重負担の大きくない部位に利用されます。従来のグラスアイオノマーセメントの感水性や低い初期硬度などの欠点を改善する為、レジン成分を添加したレジン添加型グラスアイオノマーセメントが登場しました。
グラスアイオノマーセメントは、歯質に対する接着性をもち、ほかのセメントと比べて歯髄への為害作用が少なく、さらに硬化体からフッ素を徐放して抗齲蝕性がもたらされるといった特徴を兼ね備えています。
グラスアイオノマーセメントの欠点は、硬化時間が長く、硬化途中に唾液などの水分に汚染されると劣化することです。また、成形修復材料としては、アマルガムやコンポジットレジンと比較すると強さが小さいので、前歯部や乳歯など荷重負担の大きくない部位に利用されます。従来のグラスアイオノマーセメントの感水性や低い初期硬度などの欠点を改善する為、レジン成分を添加したレジン添加型グラスアイオノマーセメントが登場しました。
グラスアイオノマーセメントの分類
グラスアイオノマーセメントは、広汎な用途に利用され、用途別に次のように分類されます。
- 成形修復用
- 合着用
- 支台築造用
- 裏層用
- 小窩・裂溝填塞用
グラスアイオノマーセメントは、組成と硬化機構から次の様に分類されます。
- 従来型グラスアイオノマーセメント
- レジン添加型グラスアイオノマーセメント
グラスアイオノマーセメントの組成
グラスアイオノマーセメントの組成は、次の通りです。
- 従来型グラスアイオノマーセメント
粉末:フッ化物を含むアルミノケイ酸塩ガラス(フルオロアルミノケイ酸塩ガラス)
液体:ポリアクリル酸水溶液(側鎖にカルボキシ基を有するもの) - レジン添加型グラスアイオノマーセメント
粉末:組成は従来型グラスアイオノマーセメントと同じ。形状は微細化され、これに重合開始材を含んでいる。
液体:2種類のものが報告されている。従来のポリアクリル酸系水溶液中に水溶性レジンモノマーであるHEMAを配合したものと、ポリアクリル酸の側鎖の一部をメタクリロイルオキシ基で修飾したものとがある。
グラスアイオノマーセメントの硬化機構
グラスアイオノマーセメントの硬化機構は、次の通りです。
- 従来型グラスアイオノマーセメント
粉末と液を練和すると、粉末のガラスの最表層が溶解し、液中にガラスに含まれていたカルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、ナトリウム、フッ素などのイオンが溶出します。液の中でポリアクリル酸などのカルボキシ基はマイナスに帯電し、水の中に溶解していますが、プラスに帯電したカルシウムイオンが水分子を引きつけながら、カルボキシラートイオンにイオン結合し、ポリアクリル酸の線状高分子間を架橋します。この結果、三次元的な架橋高分子の絡み合いが生じ、液は流動性を失って硬化します。 - レジン添加型グラスアイオノマーセメント
従来の酸ー塩基反応による効果と、レジン(ビニル基)の重合反応による硬化の両方によります。レジン重合の機構は、コンポジットレジンと同様に、化学重合と光重合があります。レジン(ビニル基)の重合により、HEMAが重合してpoly-HEMAになります。また、ポリアクリル酸共重合体間が、側鎖のメタクリレート(ビニル基)の重合反応により架橋されます。レジン(ビニル基)の重合と、ポリアクリル酸とガラス粉末間の酸ー塩基反応は独立して起こり、レジン重合が先に完了します。