歯科用語集
2022年3月16日

SPT

「SPT」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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SPTとは?

SPT(Supportive Periodontal Therapy)とは、歯周組織検査によって病状安定と判定されたのち、それを維持するために歯科医師・歯科衛生士によるプラークコントロールやスケーリング・ルートプレーニング(SRP)、咬合調整などを行う定期的治療のことです。


病状安定とは?

SPTやメインテナンスに移行する際の「病状安定」についてまず解説を行います。病状安定とは、歯周治療後に病変の進行は停止したものの、歯周ポケットが残存している状態のことです。歯周治療後の「治癒」は、歯肉の炎症・歯肉からの出血(BOP)が存在せず、歯の動揺も生理的な範囲となり、歯周ポケットが全顎的に3mm以下の状態を指すが、病状安定とは、4mm以上の歯周ポケットや根分岐部病変、生理的範囲を越えた歯の動揺が認められたとしても病変の進行が停止している状態のことを指します。病変の進行が停止している場合、歯科医師・歯科衛生士によるプロフェッショナルケアによって歯周組織を継続して維持するための処置が必要となり、これをSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)といいます。

SPTとメインテナンスの違い

SPTは歯周治療後の「病状安定」に対して行う処置であり、メインテナンスは歯周治療後の「治癒」に対して行う処置です。病状安定と治癒の違いは先述の通りであり、SPTはメインテナンスと比較して、プロフェッショナルによる積極的な介入が必要となることが多いです。

SPTの目的

SPTの目的には、主に以下の3点が挙げられます。

  1. 病状安定部位の維持、あるいは治癒させるための治療
  2. 新たな歯周病再発部位の早期発見
  3. 良好な歯周組織環境の維持

SPTの治療・処置内容

SPTでは、口腔内の状態や全身疾患の状態、服薬状況、口腔の健康に対するモチベーションの状態などを確認した後、処置に入ります。SPTではまずプラークコントロールの状態を確認し、状態に応じて口腔衛生指導を行います。また、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)やスケーリング・ルートプレーニング(SRP)などの機械的清掃、歯周ポケット内洗浄、咬合調整、歯周ポケット内抗菌薬投与などを行います。

超高齢社会とSPT

超高齢社会における高齢者の残存歯数の増加に伴い、高齢者の歯周病も増加しています。特に全身状態の悪化などによって歯周外科治療が制限されることによって、4mm以上の歯周ポケットが残存しているケースが多くなっているとみられており、超高齢社会である我が国にとってSPTが果たす役割は大きいと考えられます。加齢による生体反応や免疫機能の低下を抱える高齢者のケースにおいては、その時々の状態に合わせたプロフェッショナルによる口腔衛生管理が重要です。
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サポーティブペリオドンタルセラピーの実践と臨床での応用。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例と処置のポイント

サポーティブペリオドンタルセラピーの実践と臨床での応用。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例と処置のポイント

サポーティブペリオドンタルセラピーの定義と目的サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)は、歯周病治療後の維持管理を目的とした治療法である。主に、歯周病の再発を防ぐために、定期的な診査やクリーニングを行うことが重要である。SPTは、歯周病の進行を抑制し、患者の口腔内の健康を維持するための重要な手段である。この治療法は、歯科医師や歯科衛生士が患者と連携し、個々の症例に応じた適切な処置を行うことが求められる。SPTの導入により、患者の生活の質を向上させることができるため、歯科医療において非常に重要な役割を果たしている。サポーティブペリオドンタルセラピーの手順とコツSPTの手順は、まず患者の口腔内の状態を診査し、必要に応じて歯周ポケットの深さや歯石の有無を評価することから始まる。次に、歯科衛生士がスケーリングやルートプレーニングを行い、歯周病の原因となるバイオフィルムを除去する。この際、患者に対して適切なブラッシング指導やフロスの使い方を説明することが重要である。定期的なフォローアップを行い、患者の自己管理能力を高めることがSPTの成功に繋がる。また、患者のモチベーションを維持するために、治療のメリットや進捗状況を定期的に伝えることも大切である。サポーティブペリオドンタルセラピーのメリットとデメリットSPTのメリットは、歯周病の再発を防ぎ、患者の口腔内の健康を維持することである。定期的なメンテナンスにより、早期に問題を発見し、適切な処置を行うことが可能となる。また、患者の自己管理能力を高めることで、長期的な口腔内の健康を促進する。一方で、デメリットとしては、患者の通院負担や費用が挙げられる。特に、定期的なメンテナンスが必要なため、患者のライフスタイルによっては継続が難しい場合もある。歯科医師や歯科衛生士は、患者の状況に応じた柔軟な対応が求められる。サポーティブペリオドンタルセラピーにおける症例の考察SPTは、様々な症例に応じて適用される。例えば、軽度から中等度の歯周病患者に対しては、定期的なクリーニングとブラッシング指導が効果的である。一方、重度の歯周病患者には、より頻繁なメンテナンスや追加の治療が必要となる場合がある。また、患者の年齢や全身疾患、生活習慣なども考慮し、個別の治療計画を立てることが重要である。症例ごとの適切な判断が、SPTの成功に繋がる。サポーティブペリオドンタルセラピーの診断と注意点SPTを実施する際には、患者の口腔内の状態を正確に診断することが不可欠である。歯周ポケットの深さや歯石の有無、患者の自己管理能力を評価し、適切な治療計画を立てる必要がある。また、治療中は患者の反応や症状の変化に注意を払い、必要に応じて治療内容を見直すことが重要である。特に、患者が治療に対して不安を感じている場合は、十分な説明とサポートを行うことが求められる。まとめサポーティブペリオドンタルセラピーは、歯周病治療後の維持管理において非常に重要な役割を果たす。歯科医師や歯科衛生士は、患者の状態に応じた適切な処置を行い、長期的な口腔内の健康を維持するための支援を行うことが求められる。この治療法を通じて、患者の生活の質を向上させることができるため、歯科医療において欠かせない要素である。
1D編集部
2024年6月1日
喫煙はなぜ悪か?歯科的な影響を考える

喫煙はなぜ悪か?歯科的な影響を考える

喫煙は口腔内のみならず、空気の通り道である気道や肺全体へも影響を及ぼすことが知られている。このような健康被害があるにも関わらず、依然として喫煙者はゼロになっていない。タバコに含まれるニコチンには強い依存性があり、やめようとしてもイライラしたり、気が散って他のことが手につかないなど簡単にはやめられない。また、心理・行動依存的状態にあるため、喫煙が習慣化していることも禁煙を困難にしている理由のひとつである。今回は、喫煙による口腔ならびに全身への影響と、歯科医院での禁煙について解説したい。喫煙の全身的影響たばこの煙の中に含まれる各種の物質は発がん性を持ち、喫煙者での肺がんや咽頭がんの発症、進行に直接または間接的に関与する。またその他の循環器系、呼吸器系疾患の発症との因果関係も強く、現在では喫煙が健康を損なうことは周知の事実である。歯科疾患でも、口腔内悪性腫瘍、白板症、歯周疾患の発症や進行などが喫煙と関連することが分かっている。特に歯周病に関して、喫煙は人種を問わず、歯周病の環境因子からみた最大のリスクファクターとして強い関連性が示されている。歯周病と喫煙非喫煙者に比べると、喫煙者は2〜8倍も歯周病に罹患しやすい。血中のニコチンは毛細血管の収縮作用があることが知られており、喫煙者は非喫煙者と比較して、プロービング時の出血が少なく発赤も弱いため、症状が現れにくい。また、喫煙は歯周病の治癒を遅延させるため、歯周治療に対する反応は非喫煙者に比べ低下する。しかしながら、重度の喫煙歴のある人でも、禁煙することで歯周病に対するリスクが低下することが示されている。このため、喫煙者の歯周治療においては、禁煙が必須であることの十分な説明を行い、必要に応じて禁煙外来や他の医療機関と連携しながら患者の禁煙を支援していく必要がある。歯周組織への影響喫煙は、糖尿病などと並んでインプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の原因にもなる。歯周外科治療においても、手術を行う際には喫煙していないことが条件としてあげられているように、喫煙は悪影響を及ぼす。SPT時にも非喫煙と禁煙5年以上は低リスクになるのに対し、1日20本以上喫煙する場合は高リスクとなる。良好なプラークコントロールを維持するためには、口腔衛生指導を中心とした管理と、喫煙に対しての指導や管理も必要となる。喫煙者に対する禁煙支援では、どうやって禁煙支援を行うべきか。まずは歯周基本治療時に、患者の加熱式タバコなどを含めた喫煙歴、身体的、心理的ニコチン依存度、禁煙の準備状況などを把握し、禁煙支援を行うことが歯周治療を成功に導くうえで重要である。しかし、問題なのは、歯周治療に訪れる喫煙患者は禁煙を望んで歯科医院に来院しているわけではないということだ。モチベーションが低いままの禁煙支援はなかなか難しい。また、多くの喫煙者は、いろいろな病気のリスクを抱えたまま受診していることも多い。そこで、本人の喫煙や受動喫煙に起因した所見に対して、喫煙と歯周病の重症化 、受動喫煙と歯周病、さらに、その他の全身ヘの健康障害について積極的に啓発し、歯周基本治療の一貫として禁煙指導をはかることが成功への近道であるといえる。歯科医院でできることこのように、歯科医院での歯科医療従事者による喫煙への保健指導は非常に重要であり、歯周病との関連を患者に十分に説明し、予防と治療の重要性を認識させることは大切である。また、歯科は幅広い年代の受診者に対して継続的に関わり、視覚的に把握できる歯や口を対象としていることから、禁煙支援に適している。患者個人の生活習慣の改善、自助努力、さらには医療連携なども行なっていきやすい。喫煙だけでなく、糖尿病などの全身性疾患を有する場合にも、良好なプラークコントロールを維持するための口腔衛生指導を中心とした管理や指導、管理も行っていく必要がある。おすすめセミナーより実践的な禁煙指導のために、ぜひ「歯科医院での禁煙指導バイブル」(URL)をおすすめしたい。喫煙の基礎的知識から臨床で役立つ禁煙指導法までを学ぶことができる。必ずや、患者の心へ響く禁煙指導法が見つかるだろう。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(URL)
482 TSUNAGU
2023年6月19日
【歯周治療ガイドライン】歯周治療における抗菌薬の適正使用

【歯周治療ガイドライン】歯周治療における抗菌薬の適正使用

歯周病は細菌感染によって惹起される炎症性疾患であり、結果として歯槽骨の破壊などの骨代謝にまで関連する。セルフケアとプロフェッショナルケアが大切であり、予防と治療が密接に関係していることから、定期的な一次予防ならびに二次予防を適切に行うことで歯周炎への移行を防ぐことが重要となる。歯周基本治療の概念歯周病の病因因子とリスクファクターを排除して歯周組織の炎症を改善し、その後の歯周治療の効果を高め成功に導くための基本的な原因除去治療である。治療に際しては、歯周病の病因因子とリスクファクターを明確にし、患者背景や全身状態も考慮に入れた包括的な治療計画の立案が必要である。細菌感染に対する処置1. プラークコントロールはすべての治療に優先されるプラーク性歯肉炎と歯周炎の主要な原因は歯肉縁上および縁下の細菌性プラークであり、これを除去することが歯周病の治療と予防の根幹をなす。プラークコントロールが不十分であると、スケーリング・ルートプレーニング、暫間固定、歯周外科治療など、その後の治療の効果は著しく低下し、歯周治療そのものが失敗する原因となる。良好なプラークコントロールは歯周外科治療後の治癒と組織の炎症の予防に有益であり、とくに再生療法では良好な臨床結果を得るためには、 十分なプラークコントロールの維持が必要である。歯周治療の成否は、プラークコントロールに大きく左右され、歯周治療全体を通じて常に指導管理する必要がある。2. スケーリングおよびルートプレーニング歯周治療のなかでプラークコントロールとともにきわめて重要な処置である。歯石は歯面に付着した細菌性プラークが石灰化したもので、表面が粗糙で細菌性プラークが多量に付着する構造となっており、局所のプラークリテンションファクターとしては、最も重要なものである。スケーリングでは細菌性プラークが多量に付着する因子を取り除き、術者や患者自身が細菌性プラークを除去しやすい環境を形成し、ルートプレーニングでは、歯根面の細菌やその代謝産物を含む病的な歯質を各種スケーラーにより除去することで、生物学的に為害性のない滑沢な歯根面をつくり出し、歯肉と歯根面との付着を促すことができる。細菌感染に対する治療の実際1. 機械的な歯肉縁上プラークコントロール口腔衛生管理は、患者が歯ブラシで行うブラッシングが主体となるが、歯周病の重症度、治療時期、患者の技量や生活習慣に合わせて歯間ブラシ、デンタルフロスなどの歯間清掃用具や電動歯ブラシ、 音波歯ブラシ、超音波歯ブラシなどの使用も必要である。さらに医療従事者によるスケーリングや機械的歯面清掃によってプラークコントロールを補うことで、患者のモチベーションを高め維持する効果が期待できる。歯肉縁上プラークコントロールの障害となる不適合修復物・補綴装置に関しては、調整や除去、歯冠の形態修正を必要に応じて行う。2. 機械的な歯肉縁下プラークコントロールルートプレーニングは歯周治療における標準的治療法であるが、進行した根分岐部病変や複雑なあるいは深い骨縁下ポケットでは治療効果に限界がある。スケーリング・ルートプレーニングは、3mm未満のプロービングデプスに対して行うとアタッチメントロスを生じる危険性があり、歯周ポケットが深くなるほど歯肉縁下プラークや歯石の除去が困難となる。5〜7mmのプロービングデプスに対する歯周ポケット減少量は、約1〜2mmで、アタッチメントゲインは、約0.5〜1mmと報告されている。3. 化学的な歯肉縁上プラークコントロール機械的プラークコントロールを徹底して行った後に洗口剤などを用いた化学的プラークコントロールを行う。使用する洗口剤としては、細菌性プラークの形成抑制作用や薬剤の歯面への沈着作用を有する低濃度のクロルへキシジン溶液が効果的である。その他、フェノール化合物、ポビドンヨード、セチルピリジニウム塩化物、エッセンシャルオイルなどがある。歯周基本治療における使用としては、スケーリング後の歯周病原細菌の再増殖期間とされる 2〜4週間の継続的使用が有効である。4. 化学的な歯肉縁下プラークコントロール 化学的な歯肉縁下プラークコントロールを行ううえで留意すべき点として、歯肉縁上プラークコントロールがなされていること、機械的なプラークコントロールを優先して行うこと、スケーリング・ルートプレーニングに対して反応性が良好な部位や慢性歯周炎の多くの場合では、化学的プラークコントロールが必ずしも必要ではないことを理解しておくことである。①歯周ポケット内洗浄 シリンジなどにより歯周ポケット内を薬液で洗浄する。使用可能な薬剤としては、ポビドンヨード、ベンゼトニウム塩化物、オキシドール、アクリノールなどがある。スケーリング・ルートプレーニングに併用することで臨床的効果が認められるが、歯周ポケット内洗浄のみでは臨床的効果は限定的である。②抗菌薬の歯周ポケット内投与歯周ポケット内に投与する薬剤としては、テトラサイクリン系抗菌薬徐放性軟膏があり、局所薬物配送システム(LDDS)として使用する場合がある。漫然とした薬物の投与は菌交代現象や薬剤耐性の問題があり、とくにSPT期に対して抗菌薬を繰り返し投与する妥当性は得られていない。適応としては以下の通りである。歯周膿瘍(歯周炎の急性発作)易感染性疾患(糖尿病を含む)を有する歯周炎患者中等度以上の歯周炎におけるスケーリング・ルートプレーニングとの併用歯周基本治療後に改善がみられなかった歯周ポケット内に対し、1〜1週間に1回、3〜4回連続投与③抗菌薬の経口投与通常の基本治療では改善のみられない歯周炎患者、観血的治療の不可能な患者、免疫力が低下している易感染性歯周炎患者、広汎型侵襲性歯周炎患者および広汎型重度慢性歯周炎患者において、抗菌薬の経口投与を検討する。計画使用を徹底し、目的を明確化したうえで、副作用の再確認や細菌検査の必要性などを十分に考慮して行う必要がある。5. 抗菌療法の患者選択以下のような患者においては抗菌療法(歯周ポケット内投与と経口投与)が適応となる場合がある。通常の機械的プラークコントロールでは十分な臨床改善がみられない治療抵抗性および難治性歯周炎患者広汎型重度慢性歯周炎患者および広汎型侵襲性歯周炎患者糖尿病などの易感染性疾患患者糖尿病などの易感染性疾患患者歯周治療を行うことで生じる菌血症に対して最上リスクを有する歯周炎患者(感染性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ先天性疾患、人工弁・シャント術実施患者など)参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月27日
【歯周治療ガイドライン】導入から3年の歯周病重症化予防治療(P重防)。SPTとの違いは?

【歯周治療ガイドライン】導入から3年の歯周病重症化予防治療(P重防)。SPTとの違いは?

歯周病重症化予防治療(P重防)は、2020年に導入された継続管理の考え方であり、歯周病の重症化予防、新たな歯周病発症部位の早期発見、良好な歯周組織環境の長期にわたる維持を目的としている。スケーリングやスケーリング・ルートプレーニング後あるいは歯周外科治療後の歯周病検査の結果、プロービングデプスが4mm未満に改善したが、歯肉に炎症または BOPが認められる場合を「進行予防」の状態にあると判定し、歯周病の進行を抑制するために行う継続的管理である。これにより歯肉炎から歯周炎への移行や歯周炎の重症化を抑制できる。従来、歯周病の継続管理は、中等度から重度の治療過程が対象であったが、P重防が導入されたことで、歯肉炎を含んだ軽度の患者も継続管理の対象となった。メインテナンス、SPTとの違いは?P重防は、モチベーションの維持、プラークコントロールの強化、スケーリング・ルートプレーニング、専門的機械的歯面清掃などが治療の主体となる。以下に、P重防の適応となる進行予防と診断した場合と、その他の状態との治療内容の違いを示す。再評価検査による判定継続管理移行前の再評価検査は、初診時の歯周病検査項目と原則的に同じ内容で行う。この検査結果とリスクファクターの有無などを総合的に考慮したうえで、歯周治療の効果と病状を判定する。あるいは「治癒」のいずれかの状態にあるかを判定し、P重防、SPT、メインテナンスに移行する。プロービングデプスが4mm未満となり炎症を認めない場合を「治癒」とし、メインテナンスを開始する。一方、プロービングデプスが4mm未満に改善しても歯肉に炎症が残存する場合を「進行予防」としている。このステージでは歯周病が進行する可能性が高いため、「進行予防」の部位では定期的なP重防を行う必要がある。また、4 mm以上の歯周ポケットや軽度の動揺、根分岐部病変などが残存するが炎症を認めない場合、臨床的に病状が安定していると考え「病状安定」とする。しかし、このステージでは歯周病が再発する可能性が高いことから、「病状安定」の部位に対しては、その後も患者を適切な間隔で来院させ、サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal thera- py:SPT,病状安定期治療)を続けることが重要になる。継続した患者管理であるメインテナンスやP重防、SPT を行い、回復した口腔の健康を長期間維持することが大切である。効果判定と状態変化への対応プラークコントロールを含む患者の協力状態や歯周組織の状態にもよるが、P重防では一般的に、1-3ヶ月ごとのリコールが望まれる。P重防の期間中、病状の悪化や4mm以上のポケットの出現が認められた場合は、P重防を中断し、歯周基本治療や歯周外科処置による対応を行うか、 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)へ移行する。注意すべきポイント歯周病の主因子である細菌性プラークは、口腔内に常在する。また、適切な歯周治療を行っても深い歯周ポケットや根分岐部病変が残存する場合もあること、長期間でみると全身的因子の影響を受けることもあることなどから、歯周炎は再発の可能性が高い。そのため、歯周治療後、それぞれの状態を維持できるように患者のモチベーションを高め、プラークコントロールを中心とした日常生活上の指導を基盤とするメインテナンス、SPTやP重防を行い、歯科医学的な立場から継続的な管理を行うことが最も重要である 。P重防はあくまでも「進行予防」P重防の枠組みでの治療は、専門家が行うプロフェッショナルケア(専門的ケア)と患者本人が行うセルフケア(ホームケア)の両輪で行われるものであり、いかに悪化しないように予防管理していくかが重要である。来院のたびに歯石などがべったりとついているような状態では、いずれリスクは大きくなり、「進行予防」の枠から出ていくことになる可能性が高い。P重防の適応患者は、プロービングデプスが4mm未満に減少したが、歯肉には炎症が若干残存する「進行予防」の状態である。状態を悪化させないように、ホームケアのレベルをあげるなど、患者自身のモチベーションを維持するように、歯科医院側も意識して行っていく必要がある。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月20日
みんなのリコール率は何%?1D会員にアンケートした結果を公開

みんなのリコール率は何%?1D会員にアンケートした結果を公開

国の推進もあり全国的に普及している「予防歯科」。多くの歯科医院でもメインテナンスとして取り入れられていると思う。そこで必ずと言ってもいいほど出てくる悩みが「リコール率」だろう。また○ヶ月後に、と言っても治療が終わった患者は足が遠のいてしまうことも多い。実際のところメインテナンスにおけるリコール率はどれくらいなのか、会員向けに調査を行った。1D会員に任意回答でアンケート調査を実施1D会員である歯科医師・歯科衛生士を610名を対象に、予防歯科についてのアンケートを任意回答で行った。それによると、予防歯科は必要であるし儲かるという認識であり、学びたいとは思っているものの、大半の方が専門的な教育を受けたことがないという現状が浮き彫りになった。おそらく、必要性や学ぶ意義は感じているものの、日々の診療では患歯を治すことばかりに時間を割かれて予防に関しては後回しになっているのではないだろうか。リコール率は半数が75%以下メンテナンスのリコール率は、70%以下が26.9%で最多、次いで70~75%が全体の23%を占めており、調査を行った半数のリコール率は75%以下ということが分かった。医院での処置終了後、そのまま管理を求める患者が75%も満たないというのはどうだろう。新患や治療中の患者はもちろん大切であるが、医院安定のためにはリコール率が高いに越したことはない。リピーターの数こそ医院の信頼度であるにも関わらず、そこに重点を置かず、蔑ろにしておくのは非常にもったいない。「またあそこの医院に任せたい」がない医院の未来を想像してみてほしい。自転車操業でやれているうちはまだいいが、誰しもが必ずそうできなくなる日が来る。その時に対処法を考えているようでは遅すぎる。メンテナンスで行われている内容は?メンテナンスは、再評価検査で「治癒」と判定された患者に対して、再発を防止するために行う管理である。治療内容としては、モチベーション維持の状態や、適切なセルフケアが行われているかを確認をして、必要に応じてPMTC、スケーリング・ルートプレーニングを行い、原因因子の排除に努めることだ。また患者のさまざまな生活環境や口腔内の状態、リスクファクターなどを把握し、生活習慣の改善指導を行う必要もあるとされている。アンケート結果を見てみると、メンテナンスはほぼ100%行われており、その内容は、スケーリングが85%を超え最多、次いで、歯周組織検査、TBI(歯磨き指導)、PMTCと続く。唾液検査や位相差顕微鏡の検査など、各医院で力を入れている特徴的な部分もあり、患者ごとの必要性に合わせた内容とはなっているようであるが、実施内容に大差はなく、メンテナンスとして行っていることはどこの医院もそれほど変わらないことが窺える。しかしPCRや口腔内写真撮影は30%未満と、正しく保険診療におけるメインテナンスが実践できているか疑問な結果も見受けられた。【関連記事】>>気付かぬうちに不正請求してるかも?やってはいけない予防歯科診療「デンタルフィットネス」導入医院のリコール率は95%以上を維持メインテナンス時の内容と同様に、チェアタイムや算定要件についても全国的に共通項が多い。およそ3〜4ヶ月間隔で30〜45分の時間をかけているところがほとんどであり、算定も半数以上がSPTかP重防重防で算定されている。半数が担当制で行われているが、アポイントやスタッフのコントロールも非担当制に比べて、医院としては難しいことが分かる。このようにメインテナンスには、歯科医院間でそこまで大きな違いや特徴は見られない。ではなぜリコール率に差が出るのか。調査結果では約半数が75%以下だったリコール率だが、予防歯科システムの「デンタルフィットネス」を導入している歯科医院では95%を維持し続けているそうだ。特別な処置を行なっているとか、もちろんやましいことがあるわけではなく、一般的なメインテナンスをシステマティックにすることで高いリコール率を保っているという。患者がこぞって「ここで管理していきたい」「ずっと診てもらいたい」と思うために、どんなシステムを取り入れているのか。そこには患者にとって、多大なメリットを感じる何かがあるはずである。脅威のリコール率95%を実現する法則ほとんどの患者がリコールになると考えると、新規の患者獲得や治療内容により月の売上のブレを気にする必要が少なくなる。ただでさえスタッフのことや治療で頭がいっぱいの中、毎月の経営の安定が見込めたら、どれだけ精神的負担が減るだろう。脅威のリコール率を維持し続けるシステム「デンタルフィットネス」は、どのようにして実現しているのか。このシステムの凄みは導入した歯科医院のリコール率が高い割合で確実に維持されている、つまり高い再現性にある。秘訣を紹介する無料セミナーが9日に開催される。リコール率に悩む歯科医院は聞いてみてはいかがだろうか。無料でセミナーを受講する
1D編集部
2023年3月7日

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