歯科用語集
2022年3月16日

ハンター舌炎

「ハンター舌炎」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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ハンター舌炎とは?

ビタミンB12欠乏による悪性貧血による舌炎であり、症状は「舌糸状乳頭萎縮による表面の平坦化」「炎症による発赤、灼熱感、潰瘍形成」「悪性貧血」などが挙げられます。メーラー舌炎(更年期ホルモン変調による舌炎)と同義語です。


ハンター舌炎の症状

ハンター舌炎の臨床症状として、巨赤芽球性貧血(megaloblaslic anemia)のうち、自己免疫によって胃粘膜の萎縮が生じ(胃壁細胞抗体)、内因子の分泌が低下(内因子抗体) 、ビタミンB12の吸収障害により生じたものを悪性貧血(pernicious anerrtia)があります。

悪性貧血により、舌の表面が舌乳頭萎縮で平滑になり、疼痛、味覚低下を生じたものをハンター舌炎といいます。他に、一般的な貧血症状(動悸、息切れ、易疲労感、全身倦怠感、頭重感、顔面蒼白、口腔粘膜・口唇の蒼白など)や食欲不振、悪心、若年者の白髪が生じます。

ハンター舌炎の検査と診断

ハンター舌炎の検査には血液検査と生化学検査、骨髄検査があります。

血液検査では、大球性正色素性貧血(MCV・MCHが高値、MCHCは正常)、汎血球減少を示すことが多く、白血球分類で過分葉好中球がみられます。

生化学検査では、間接ビリルビンおよびLDHが高値、ハプトグロビンが低値を示します。

骨髄検査では、赤芽球細胞が過形成を示し、巨人赤芽球が高率にみられる。血清ビタミンB12が低値となります。

ハンター舌炎の治療

ハンター舌炎の治療は主にビタミンB12の投与ですが、通常は吸収に障害があるためビタミンB12を点滴か注射で行います。最初の2週間は連日、その後は維持療法として2~3カ月に1回投与します。

悪性貧血とは?

ハンター舌炎の臨床症状である悪性貧血は、ビタミンB12 または葉酸の欠乏によってDNAの合成が障害され、正常とは異なった形態である巨赤芽球が骨髄中に出現する貧血(大球性正色素性貧血)です。

葉酸欠乏症では貧血症状に消化器症状が見られ、ビタミンB12欠乏症ではさらに神経症状が加わります。これらのうち、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血を悪性貧血と呼び、自己免疫が関与する胄粘膜萎縮による内因子分泌不全と胃全摘が原因と考えられています。

葉酸欠乏は多くの原因から生じ、特に栄養障害によることが多いです。

臨床症状
  • 一般的貧血症状に加え、悪性貧血では末梢神経節害(四肢末梢のしびれ、腱反射減弱)、後索障害(深部知覚障害、腱反射減弱、Romberg 徴候)、側索障害(Babinski反射)などの神経症状が認められる。
  • ロ腔粘膜では舌乳頭の萎縮を伴った舌炎(Hunter舌炎)、舌の灼熱感、味覚障害が見られる。

診断
  • 白血球、血小板減少を伴い、大球性正色素性貧血(MCV > 120)が認められる。
  • 白血球では過分葉が、骨髄では巨赤芽球が見られ、LDH 、間接ビリルビンは上昇し、網状赤血球、ハプトグロビンは低下する。
  • 抗壁細胞杭体(+)、抗内因子抗体(+)で、血清ビタミンB12低下が見られる。
  • 内視鏡検査にて萎縮性胃炎が見られ、骨髄に巨赤芽球が出現する。

治療
欠乏に対しては、ビタミンB12や葉酸を投与する。悪性貧血の場合、ビタミンB12吸収障害のため非経口的に注射投与するが、葉酸の投与は神経症状の増悪を招くことがあるため、慎重でなければならない。

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