咬座印象

「咬座印象」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年10月18日

咬座印象とは?

咬座印象とは、総義歯製作途中に生じる歪みを最終段階において修正することを主な目的として、人工歯排列や人工歯の削合も終了したろう義歯をトレーとして少量の流動性の優れた印象材を盛り、咬合させて採得する印象をいう。咬座印象は英語では、Bite-Seating impressionという。

咬座印象の歴史

 咬座印象は、1955年頃に矢崎正方によって考案された。
 

咬座印象の手順

 咬座印象法を取り入れた総義歯の製作手順を以下に示す。
  1. 口腔内診査
  2. 概形印象採得(一次印象)。研究用模型作製
  3. 個人トレー作製
  4. 筋圧形成・精密印象採得(二次印象)
  5. 作業用模型作製
  6. 咬合床作製
  7. 咬合採得
  8. 人工歯排列・削合
  9. ろう義歯試適・調整
  10. 咬座印象採得(三次印象)
  11. 埋没・重合
  12. 研磨・咬合調整
  13. 義歯完成

咬座印象の方法

 上顎
ろう義歯の調整・試適後、術者が所定の位置に印象材を薄く盛ったろう義歯を装着し、やや強めに指圧にて圧迫する。その後軽めに開口させて辺縁形態を印象し、上下顎ろう義歯を軽く咬合させ印象材を硬化させる。
 
下顎
 下顎ろう義歯の調整・試適後、上顎完成義歯と印象材を薄く盛った下顎ろう義歯を口腔内に挿入し、軽く2~3回咬合させる。下顎義歯の浮き上がりに気をつけ開口させ、辺縁形態を印象し、上下顎を軽く咬合させて印象材を硬化させる。
 
咬座印象法を用いて、上下顎共に総義歯を作製する場合、片顎ごとに義歯を完成させて行う。上下顎どちらを先に完成させるかについては、考案者の矢崎正方は、人工歯排列の許容範囲の少ない下顎義歯を先に完成させたのちに上顎を行う事を推奨しているが、材料の進歩により現在においては上下顎どちらを先に行っても差異はないとされている。
 

咬座印象の利点

 咬座印象は、義歯製作過程において生じた歪みを完成義歯と同じ人工歯排列のろう義歯を用いて印象採得する事により修正し、完成義歯の口腔粘膜や周囲筋との適合を上げて安定させる事ができる。
 

咬座印象の欠点

 咬座印象の欠点は、印象回数が通常の義歯製作と比較して多いことである。また、咬座印象
を用いて金属床義歯を作製する場合には特別な技工操作を行わなければならない点なども欠点である。
 

咬座印象と咬合(圧)印象の違い

 咬座印象と咬合印象の違いは、咬座印象は、完成義歯に近い人工歯排列をされたろう義歯を用いて咬合圧を利用し、印象採得を行う事で、床下粘膜面の適合および口腔周囲の組織と完成義歯の適合を向上させて義歯の安定を図る方法である。咬合印象は、咬合床や治療用義歯を用いて咬合圧を利用し、印象採得を行う事で床下粘膜面の適合の良い義歯を作製する方法である。このように、咬合圧を用いて印象採得を行うタイミングおよび目的に違いがある。
 

近年の咬座印象

 考案された当初の咬座印象の主たる目的は総義歯製作時に生じる歪みを修正することであった。しかし近年は材料の進歩により、歪みが減少して来ている。そのため、近年の咬座印象は、床下粘膜および口腔周囲組織と完成義歯との調和を図り義歯の適合を上げより安定した義歯を製作することが主の目的に変化してきている。

また、近年の顎堤吸収の激しい難治症例に対しては、考案者の御子息である矢崎秀昭によって、複製義歯(コピーデンチャー)とティッシュコンディショナーを応用した「機能位咬座印象法」などが考案されている。


「咬座印象」の文献・書籍など

【読み】

こうざいんしょう

【文献・書籍】

『矢崎正方の総義歯に学ぶ 咀嚼運動理論・咬座印象・無口蓋義歯』著者 矢崎秀昭 医歯薬出版株式会社,1995.
『複製義歯を応用した 咬座印象法による総義歯の臨床』著者 矢崎秀昭 医歯薬出版株式会社,2004.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師・歯学博士。1987年東京都生まれ。2013年鶴見大学歯学部卒業後、歯科医師国家資格取得。2018年同大学大学院歯内療法学講座にて博士(歯学)取得。現在は同大学歯学部解剖学講座に非常勤研究員として所属。歯科医院に勤務する傍ら、個別指導塾を開設。個別指導歴は6年目、再試数2桁(学年最下位)を半年で進級させる。2020年から子どもたちに絵本を届けるため「スタジオ歯の絵本」で歯科の絵本製作プロジェクトを始動。
【note】note.com/dentalobo
【twitter】twitter.com/dentalobo

印象採得の症例リスト

今まで義歯はなんとなく作ってきて、なんとなく使ってもらえてできると思っていたけど、学べば学ぶほど奥は深い(何事もそうだと思いますが)
以下それぞれのステップで気を使うようにしている点を書いていきます。
その他アドバイス、改善点あれば教えてください。
①概形印象
印象材かなり多めに使用する。エアーで口腔内乾燥させて、欠損部にはトレー挿入前に指で印象材を流し込む。下顎トレー挿入直後に舌を上げてもらい、閉口印象を取るようにする。
②精密印象
個人トレーはマージンラインよりも10mm程度短くする。個人トレーも必ず試適する。
③BT
臼歯部は強く当たらないようにある程度トリミングしておく。BT無しで閉口誘導してある程度正中の位置を把握しておく。BTが当たってから左右に咬合がずれるような人は閉口誘導する。口角、スマイルラインを書くようにする。
④TF
※※※ここで何を見て、何を調整すべきか、何ができるかを教えてほしいでです‼️※※※
最近はここで咬座印象を取ってみたりしています。
⑤セット
アンダーに入り込んだところはセット前から削る。内面の気泡バリをチェックする。

よろしくお願いいたします?‍♂️

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