フェストゥーン

「フェストゥーン」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年11月15日

フェストゥーンとは?

フェストゥーンとは、歯肉退縮に伴い、辺縁歯肉に見られるロール状の歯肉肥厚である。フェストゥーンは犬歯に見られることが多い。 MaCall のフェストゥーン(MaCall’s festoon)といわれる。 その他に歯肉退縮と関連して認められる歯肉形態異常として、クレフトが挙げられる。 クレフトとは、歯肉辺縁から根尖方向に向かって、V字型あるいはY字型に切れ込みが入ったように見える歯肉が裂けたような状態を指しており、Stillman のクレフト(Stillman cleft)といわれる。 



フェストゥーンの原因

フェストゥーンは誤ったブラッシング方法・ブラッシング圧、咬合性外傷などが原因である。

歯肉退縮とは

歯肉退縮とは辺縁歯肉の位置がセメントーエナメル境より根尖側方向へ移動することによる歯根表面の露出である。歯肉が部分的に中央部に深い谷のように退縮している歯肉をStillman のクレフト(Stillman cleft)と呼ぶ。歯ブラシの使用法を誤った際外傷を受ける犬歯や小臼歯に起こり、ほかの原因としては咬合性外傷によっても起こる。歯肉に咬合性外傷の慢性的な刺激が加わると歯肉辺縁がロール状に肥厚することがあり、この肥厚した歯肉をMaCall のフェストゥーン(MaCall’s festoon)と呼ぶ。

咬合性外傷の臨床症状

フェストゥーンをはじめとして、咬合性外傷によって口腔内には次のような臨床症状が生じる。
  1. 歯の動揺度の増加(歯の接触時, 顎運動時):力が加わる特定の歯に強い動揺が生じることがある。上顎歯列の頬側に指の腹を押し当てて咬合させ、歯の突き上げを検査する。その後、さらに歯の動揺度の検査を行う。
  2. エックス線画像所見(歯根膜腔の拡大):強い咬合性外傷が、エックス線画像で見られる歯根膜腔の拡大、垂直性骨欠損、根分岐部の骨欠損等を惹起することがある。特に根分岐部では強い咬合力が集中するので、歯周ポケットとの交通はなくともエックス線画像で骨欠損様の透過性の亢進が認められることがある。
  3. 咬耗:咬合面の摩耗の状態を、視診や研究用模型によって検査する。グラインディングが強く行われている患者では、エナメル質のみならず象牙質の露出がみられることがある。
  4. 歯の破折:歯の破折は、部位別では歯冠部の破折と歯根部の破折に大きく分けられ、形態別では水平性破折と垂直性破折に大きく分けられる。歯の根尖方向からの破折や、セメント質の剥離などが認められることもある。
  5. 歯冠修復物・補綴装置の脱離:咬合面の歯冠修復物・補綴装置の脱離が頻繁に繰り返されることがある。
  6. 舌や頬粘膜の圧痕:強くクレンチングを行っている患者では、舌や頬粘膜に歯の圧痕が見られることがある。筋の緊張により、舌や頬粘膜が歯に押し付けられることが原因である。
  7. 骨隆起:強い咬合力が加わると応力の集中する部位に骨隆起が生じることがある。下顎の犬歯、小臼歯部の舌側、上顎の口蓋正中部が骨隆起の好発部位である。
  8. アブフラクション:強い咬合力が加わると歯の歯頚部の歯質に応力が集中して、くさび状欠損が生じることがある。この状態をアブフラクションとよぶ。
  9. 歯肉の変化フェストゥーンクレフトが認められることがある。
  10. 自発痛・打診痛の出現:う蝕、歯髄炎、根尖性歯周炎、歯根膜炎などがあると、あたかもその歯の痛みを確かめるようにしてさらにブラキシズムを無意識に繰り返し、急性歯根膜炎由来の自発痛や打診痛が生じる。また、対合歯にも咬合圧が加わるので数歯にわたって症状が出現することがある。
  11. 象牙質知覚過敏:咬合性外傷が加わっている歯では知覚過敏が生じることがある。強い咬合力により根尖部における循環障害が生じ、歯髄の閾値が低下することが原因と考えられる。

※これらの変化は、咬合性外傷以外の原因でも生じることがあるということを念頭に置いて診断を行う必要がある。




「フェストゥーン」の文献・書籍など

【読み】

ふぇすとぅーん

【文献・書籍】

・『臨床歯周病学 第3版』, 吉江弘正ら, 医歯薬出版株式会社, 2020.
・『歯周治療プラクティスマニュアル』, 五味一博士, 永末書店, 2013.

著者/監修者情報

1990年東京都生まれ。2017年鶴見大学歯学部歯学科卒業後、歯科医師免許を取得。同大学歯学部附属病院にて歯科医師臨床研修を修了。診療の傍ら、ワンディー株式会社ではコンテンツの編集を担当。日本医療情報学会所属。

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