翼口蓋窩

「翼口蓋窩」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年07月01日

翼口蓋窩とは?

翼口蓋窩とは、上顎体後壁(上顎結節)と蝶形翼状突起の間に存在する大きな切れこみのことである。翼口蓋窩は主な神経、脈管が交通するハブの役割を果たしている重要な解剖学的構造物である。英語ではpterygopalatine fossaという。


翼口蓋窩を構成する骨

  1. 前壁:上顎骨体後縁、口蓋骨眼窩突起
  2. 後壁:翼状突起
  3. 内側壁:口蓋骨垂直板
  4. 上壁:蝶形骨体

翼口蓋窩と周囲との交通

  • 前方との交通
    下眼窩裂により眼窩と交通する(眼窩~下眼窩裂~翼口蓋窩:眼窩下神経、眼窩下動脈が通る)。
  • 後方との交通
    翼突管により外頭蓋底と交通する(翼口蓋窩~翼突管~外頭蓋底:翼突管神経、翼突管動脈が通る)。
  • 内方との交通
    蝶口蓋孔により鼻腔と交通する(翼口蓋窩~蝶口蓋孔~鼻腔:後鼻神経、蝶口蓋動脈が通る) 。
  • 上方との交通
    正円孔により頭蓋腔と交通する(頭蓋腔~正円孔~翼口蓋窩:上顎神経が通る)。
  • 下方との交通
    大口蓋管により口腔と交通する(翼口蓋窩~大口蓋管~口腔:大口蓋神経、大口蓋動脈《下行口蓋動脈の枝》 が通る)。

パノラマエックス線での翼口蓋窩

翼口蓋窩はパノラマエックス線の画像上で観察できる。上顎洞後壁に接して、上方に向かう細長い紡錘状のものが翼口蓋窩であり、その側方に翼状突起が認められることもある。

翼口蓋神経節

翼口蓋窩には翼口蓋神経節という神経節が存在する。上顎神経に付属する副交感性神経節である。

感覚根として翼口蓋神経、副交感根として大錐体神経(顔面神経の枝)、交感根として深錐体神経(deep petrosal nerve)がある。大体神経と深体神経を合わせて翼突管神経(nerve of pterygoid canal) とよび 翼突管を通り、翼口蓋窩に入る。翼口蓋神経節からは以下のような枝が出ている。

  1. 後鼻枝 posterior nasal branch
    数本に分かれて蝶口孔から鼻腔に入る。内側上後鼻枝(posterior superior medial nasal branches) は2〜3本あり 鼻中隔粘膜に分布するが 内1枝は鼻口蓋神経 (nasopalatine nerve)とよばれ切歯管を通って口蓋粘膜前部に分布する。外側上後鼻枝(posterior superior lateral nasal branches)と外側下後鼻枝(posterior inferior lateral nasal branches)は鼻腔外側壁の粘膜に分布する。 
  2. 口蓋神経 palatine nerves
    大口蓋管を通って下行し、大口蓋神経(greater palatine nerve)と小口蓋神経 (lesser palatine nerves)に分かれる。それぞれ大口蓋孔と小口蓋孔から口蓋に出る。大口蓋神経は硬口蓋小、口蓋神経は口蓋に分布する。 
  3. 眼窩窓枝 orbita l branches
    下眼窩裂から眼窩に入り後師骨孔を通って、師骨洞と蝶形骨洞に分布する。 
  4. 咽頭枝 pharyngea l nerve
    翼突管を後方に進み、耳管咽頭口付 の咽頭粘膜に分布する。
  5. 涙腺の分泌神経(副交感性) 
    橋の尾側レベルに位置する上唾液核(superior salivary nucleus)の中のニューロンの軸索は顔面神経(VII) の中間神経の一部となり翼口蓋神経節(pterygopalatine ganglion)涙腺や鼻腺、口蓋腺などの分泌を支配する節後ニューロンにシナプスする。


「翼口蓋窩」の文献・書籍など

【読み】

よくこうがいか

【文献・書籍】

『口腔解剖学 第2版3刷』, 脇田稔ら, 医歯薬出版株式会社, 2019
『歯科放射線学 第6版』, 朝海淳ら, 医歯薬出版株式会社, 2018.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。