歯科用語集
2022年3月15日

隔壁

「隔壁」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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隔壁とは?

歯科用語における隔壁は、「歯内療法学においての隔壁」と「保存修復学においての隔壁」があります。本項目ではその両方に言及します。

歯内療法学においての隔壁

隔壁とは、ラバーダム防湿を行う際に歯冠部の崩壊が大きくてラバーダムクランプがかけられない場合、または装着できても隙間から唾液が根管へ侵入する場合に歯冠部の暫間修復を行うことです。隔壁を作ることにより、ラバーダムが患歯にかかるようになり、患歯は無菌的環境のもとで根管治療ができるようになります。隔壁をつくる術式は「隔壁形成法」といいます。

保存修復学においての隔壁

前歯や臼歯の複雑窩洞において、窩洞の開放側面に一時的に人工壁を設け(隔壁「マトリックス」という)、窩洞を単純窩洞化し、填塞操作の便宜をはかる方法を隔壁法といいます。保持器具(マトリックスリテーナー)を用いて金属やプラスチックのバンドを歯に固定する方法、ステンレスやプラスチック製のストリップスをその都度切り出し付形して使用する即製法、あるいは既製のマトリックスを使用する既製法に分類されます。


歯内療法での隔壁の形成方法

今日の臨床では隔壁形成はコンポジットレジンを使って行うことが多いです。根管口がコンポジットレジンで封鎖されないように、予めストッピングなどの撤去しやすい仮封材を根管口に置いておくこともあります。

歯内療法での隔壁の形成手順

以下に接着性コンボジットレジンを使用した一般的な隔壁形成法について記しますが、個々の症例により隔壁の形成法は異なることを理解すべきです。

  1. 遊離エナメル質と軟化象牙質を確実に除去(接着性コンポジットレジンを使用する場合、歯冠の形態回復のために遊離エナメル質を多少残してもよい)
  2. 歯髄腔、特に根管口付近をストッビングなどの材料にて封鎖
  3. マトリックスバンドを装着したトッフルマイヤー型リテーナーなど補助的器具を使用し、歯面処理後、接着性コンポジットレジンにて隔壁を作製

保存修復学の隔壁の目的

保存修復学における隔壁の目的としては、以下の点が挙げられます。

  • 窩洞の開放面を封鎖することで窩洞を単純化
  • 修復操作の容易化
  • 隣接面などの形態付与の容易化
  • 接触点の回復の容易化
  • ウェッジ(くさび)と併用することで、窩洞を歯肉や滲出液などから隔離
  • 隣接面の窩洞形成時に隣在歯を保淡
  • 成形修復時の十分な填塞圧の付与

保存修復学の隔壁の注意点

保存修復学における隔壁の注意点としては、以下が挙げられます。

  • 金属製マトリックスによる歯周組織の損傷に留意
  • リテーナーによる歯周組織の損傷に留意
  • 既製のマトリックスは保持器具を用いないため、位置のずれが生じないように確実な固定
  • 成形修復材の逸出防止のため、ウェッジなどを用いた歯肉側窩緑部における密着性を確実にしたマトリックスの応用

保存修復学の隔壁の種類

保存修復学における隔壁には、「前歯部」「臼歯部」があります。

【前歯部】
前歯の隣接面窩洞(3、4級)、破折歯においては、透明なポリエステルストリップスが一般的に用いられます。他に、切縁およびその隅角の修役に用いるポリエステル製やアルミニウム製のクラウンフォーム、コーナーマトリックスなどがあります。

【臼歯部】
2級やMOD窩洞などの臼歯の複雑窩洞においては、専用の保持器具にマトリックスバンドを装着して用いられます。マトリックスバンドは、薄く(38〜50μm)強さがあり、修復材料と反応しないステンレス製ストリップスがよく用いられます。マトリックスバンドは、各々のリテーナーに対応し、歯や窩洞に応じた種々のものが用意されています。歯の豊隆を、雑用エキスカや球状バーニッシャーなどで付与します。


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