急速拡大は、上顎骨の狭窄を伴う不正咬合の治療に用いる固定式の装置です。
この装置は、上顎骨を側方拡大すると同時に鼻腔も拡大する効果があり、近年の研究では鼻腔通気障害が改善される場合があることも報告されています。そして睡眠時無呼吸に対しての効果も指摘されています。
しかしながら、曖昧な知識のまま使用するとトラブルを招くため、鼻腔通気障害の改善を目的とした使用は慎重にならないといけません。
というのも、急速拡大の鼻腔通気障害の改善効果は“現在、研究段階”であり、日本矯正歯科学会も「耳鼻科的治療の代替え療法としては推奨できないと提言しています。
また、歯列の拡大には、商業ベースの市販の可撤式拡大装置や過剰な歯列の拡大をする治療など様々なものがありますが、エビデンス(外国語英語論文)のないものもあり、同様のトラブルがあるという事実も知っておく必要があります。
このセミナーでは、急速拡大装置について、その適応や効果を中心に徳島大学医歯薬学研究部 小児歯科学分野 教授である岩﨑 智憲先生に解説していただきます。
実際に岩崎先生が行った適応に関する5編の英語論文、9編の急速拡大の効果に関する研究から急速拡大の正しい知識を学んでいきましょう。
こんな方におすすめ
👉 急速拡大装置のメカニズムを理解したい
👉 急速拡大装置の使い方と適応症例を知りたい
👉 歯列以外にもたらす効果(鼻腔通気障害の改善、睡眠時無呼吸との関係)について学びたい
講義目次
急速拡大装置のメカニズム
適応と症例選択
成長期小児における上顎急速拡大の有用性
エビデンスに基づく鼻腔通気障害の改善効果
症例供覧
徳島大学大学院 医歯薬学研究部 小児歯科学分野 教授。鹿児島大学歯学部卒業後、同大学大学院歯学研究科 博士課程単位取得後退学、鹿児島大学歯学部 小児歯科学分野 助手、同大学大学院 医歯学総合研究科(小児歯科学分野) 助教、鹿児島大学 医学部・歯学部附属病院 小児歯科学分野 講師、同大学大学院 医歯学総合研究科 小児歯科学分野准教授を経て現職。日本小児歯科学会専門医・指導医。日本睡眠歯科学会理事。共著に「小児歯科はいま、成育医療へ」「小児歯科学 第6版 」など。