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「年収1億円」、それは年商の話になっていませんか?――1億円の手前にあるのは、腕ではなく医院の規模

「年収1億円」、それは年商の話になっていませんか?――1億円の手前にあるのは、腕ではなく医院の規模

歯科医師は年収1億円に届くのか。対談でこの問いが出たとき、出演者の一人が「億単位のお金を稼ぎたい」と口にします。すると、もう一人がすぐに聞き返します。年商ですか、と。返ってきた答えは「所得が1億円になりたい」でした。
わずか数秒のやりとりですが、この記事の論点はここに尽きます。年収1億円という言葉は、医院に入ってくるお金の話としても、自分の手元に残るお金の話としても使えてしまう。どちらで話しているのかを決めないまま「1億円は可能か」を論じても、答えは出ません。出演者はこの先、所得のほうで話を進めます。
「1億円」を所得と決めた瞬間、必要な年商が決まる
対談は、そこから逆算に入ります。出演者が置く前提はひとつだけです。年商のだいたい20%を自分の役員報酬にする、と設定した場合。これは業界の平均値として示されたものではなく、話を単純化するために出演者がその場で置いた仮の数字です。記事としてもそのまま持ち出すべきではありませんが、逆算の道筋を見るには足ります。
この前提を置くと、年収1億円には年商5億円の歯科医院が要る、という結論が出ます。出演者はここで、あなたが超スーパードクターだったとしても、どんなに高く自費診療を売っても、と付け加えます。腕前の話をいったん脇に置いても、割り算の答えは変わらないからです。5億円という数字について、出演者自身が「5億円もなかなかいかない」と言っています。
月4,000万円を診療日で割ると、1日いくらになるか
年商5億円を月に均すと、だいたい4,000万円ちょっと。それを診療日で割ると、1日当たり約200万円になります。対談ではこの数字が出たところで「お〜」という声が上がります。年商5億円は遠い目標として聞こえますが、1日200万円に割り戻すと、自分の診療室の風景と比べられる数字に変わるからです。
ここで出演者が挙げるのが、開業医が一人でユニット3台を回している状態です。その形で診療を続けているかぎり無理だ、というのが対談の結論でした。理由は腕でも診療単価でもなく、1日に確保できる枠の数です。逆にユニットが10台ある規模なら年商5億円は見えてくる、という見立ても示されます。ただしこれは、全員が歯科医師ではないこと、自費が上乗せされることを含んだ概算で、実際の点数や単価まで詰めた試算ではありません。
腕を磨いて増えるのは、医療収入のほうである
対談の終盤で、出演者は別の角度から同じことを言います。歯科医師は勉強して腕を磨けば自費の売上が上がる。医療収入を上げようと思えば、いくらでも上げられる仕組みになっている、と。
これは、腕を磨く意味がないという話ではありません。ただ、腕によって動くのは医院に入ってくるお金のほうであり、それが自分の所得になるかどうかは別の設計に依存します。冒頭で年商と所得を分けた理由が、ここで効いてきます。自費が伸びても、そのぶん人と設備が増えていれば、手元に残る割合は変わりません。1億円を所得で語ると決めた以上、追うべき指標は売上ではなく、売上のうち何%を自分の報酬として取り出せるか、という構造のほうになります。
「プレイヤーではなく経営者として」という言い方
では、どうすれば規模のほうを動かせるのか。対談で示される道は、組織を大きくしていくしかない、というものです。特に地方で、人が定着し、定期管理が回り、必要な処置がきちんと自費につながる医院をつくる。そのうえで規模を積み上げる。画面には「プレイヤーではなく経営者として組織を大きくする力が求められる」というテロップが出ます。
さらに上を見るなら、分院展開をして自分が理事長となり、役員報酬を上げていく方法もある、と出演者は言います。そして「経営者に脱皮しないと、年商10億円というものにはいかないでしょうね」と続けます。ここで語られているのは、より多く診療する話ではなく、診療する人を増やして、その全体から自分の報酬を取り出す立場に移る話です。対談では、そもそも開業そのものが最初の壁として一つある、とも確認されています。
なお、診療者のままでも高い収入に届く働き方は存在します。対談では、週2日で来ているフリーランスの矯正医の例が挙がりました。ただしこれは出演者が人づてに聞いた金額で、一次資料の裏づけはありません。そういう働き方があるという範囲で受け取るのが妥当です。
1億円を目指さない院長にも、この逆算は使える
この対談が扱っているのは、年収1億円という極端な目標です。多くの院長にとっては自分の目標ではないでしょう。それでも、逆算の手順そのものは目標額を入れ替えれば同じように使えます。ほしいのは所得か年商か。所得なら、年商の何%を自分の報酬として取り出す前提なのか。その前提で必要な年商はいくらか。それを診療日で割ると、1日いくらになるか。最後に、その1日を今のユニット数と人員で受けきれるか。
この順番で降りていくと、足りないのが腕なのか、枠なのか、人なのかが分かれます。出演者が繰り返し言っていたのは、どんなに高く自費を売っても割り算の答えは変わらない、ということでした。売上を伸ばす工夫の前に、自分がどの数字を目標にしているのかを言い直してみる。対談の出発点にあった「年商ですか?」という問い返しは、1億円を目指さない医院でも同じように効きます。
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歯科医師は年収1億円稼げるのか(2026年2月5日公開)
1D編集部
2時間前
「衛生士がいないから」で、求人を出し続けていませんか?――応募が集まる医院が変えているのは、終わる時刻と昇給の道すじ

「衛生士がいないから」で、求人を出し続けていませんか?――応募が集まる医院が変えているのは、終わる時刻と昇給の道すじ

求人票を出す。反応がない。しばらく置いて、また同じ文面で出し直す。歯科衛生士の採用について、対談で最初に確認されるのは、この繰り返しがなぜ続くのかという点です。出演者は、採用を支援する会社は世の中にいくらでもあるけれども、歯科医療者を雇う採用はそれらと同じやり方では進まないと言います。免許を取ったうえで、あえて別の仕事を選ばなかった人だけが対象になるからです。声をかけられる相手は、最初から限られています。
出演者の一人は、自分が分院長だったころを振り返ります。衛生士がいたので採用に力を入れていなかった、求人票がたまに届いて、それをたまに見る程度だった。そのうえで、あのとき本気で採りにいっても全然採れなかったと思う、と続けます。ここから対談が向かうのは、募集の出し方ではなく医院そのものの条件です。挙がるのは、給与、勤務時間、福利厚生の三つでした。
入り口の給与は、思っているほど低くない
対談はまず、歯科衛生士の給与は安いのか高いのか、という問い直しから始まります。出演者が置く目安は初任給30万円です。四年制大学を出て上場企業に就職しても、初任給30万円なら「ちょっといい」ほうに入る。専門学校や短期大学からその水準に届く職種は、そう多くありません。入り口の条件だけを比べるかぎり、歯科衛生士は不利な職業ではない、というのが出演者の見方です。
ここは押さえておく価値があります。応募が来ない理由を「うちは給料が安いから」で片づけると、直す場所を間違えるからです。なお実際の相場は地域や雇用形態で動きますし、動画で出演者が個人的に調べたとする数字は出典が示されていないため、本稿では金額としては扱いません。
上がらないのは文化ではなく、設計の結果
では何が問題なのか。出演者が挙げるのは、入り口ではなくその後です。歯科医院の売上は保険診療が中心で、そこから払える給与には上限ができる。結果として、初任給は悪くないのに、そこから上がっていかない。10年働いて100円上がった、という例え方まで出てきます。出演者はこれを「昇給の制度が整っていない」ことがお金の課題なのだと整理し、給与が低いから辞めるというより、上がらないから辞めるのだと述べます。
ただし出演者は、だから一生上がらないという話ではない、とも言います。衛生士が担う処置や継続的な口腔管理が医院の売上を生むのであれば、その分は返せるはずだ、という主張です。動画では、そうした管理を評価する算定の仕組みにも触れられます。ここは制度の要件まで説明されてはいないので、自院で使えるかどうかは一次資料で確かめる必要があります。それでも出演者の結論ははっきりしていて、衛生士の給与は上がらないというのは文化ではなく、経営と算定の設計で変えられるはずだ、まず院長が考えることだ、と言い切ります。
金曜の夜に、その席にいてもらうということ
二つ目は勤務時間です。夜7時半、8時まで働きたい人はいない、という当たり前のところから話は始まります。出演者は自分の経験として、いまも毎週金曜日は歯科医院での勤務があり、そのあと街に出ると、明日休みの人たちが飲んでいるのを見ることになる、と話します。歯科医師として働いていたころは、それがかなり応えたとも言います。
歯科医院の週末は、一般の会社とずれています。土曜は朝が早いことが多く、衛生士は診療が終わってからも片付けが残る。同年代が休んでいる時間に働き続けるのが、この仕事の標準になっているわけです。給与の話とは別に、この負担は毎週効いてきます。求人票の文面を何度書き換えても、ここが動かないかぎり比較の土俵に上がれない、というのが出演者の見立てです。
夜が長くなったのは、患者が望んだからとは限らない
なぜ遅くまで開けることになったのか。出演者はその経緯を、次のように見ています。地域に歯科医院が1軒しかなければ手が回らない。そこに後から参入した医院が、あそこが閉まっている時間なら自分が開けようと考える。最初は患者への配慮でもあり、経営戦略でもある。ところが隣がやっているからと対抗が始まると、診療時間を延ばす競争になる。患者の側も、8時まで開いているなら7時に行けばいいと動きます。もし全国の歯科医院が5時までしか開けていなければ、患者はその時間に合わせて来るはずだ、というのが出演者の指摘です。つまり、伸びた分のうちいくらかは、患者の必要ではなく医院同士の事情かもしれない。
これは出演者の見立てであって、検証された数字ではありません。夜の診療をやめろという話でもない点は本人が明言しています。昼間に来られる人を大事にする医院も、夜に来る人を狙う医院も、どちらも成り立つ。もったいないのは、どちらとも決めないまま漫然と遅くまで開けている状態のほうだ、というのが主張です。周囲には5時で予約を締める医院の例もあり、診療時間を短くしても売上が変わらなかったという話、求人に「早く終わる」と書くと応募が集まるという話も紹介されます。いずれも伝聞なので、確かめるのは自院の数字です。そして短縮するなら、どの時間帯の患者を手放すのかを先に決めておくことになります。
戻ってくる枠があるか、黒髪でなければならないか
三つ目の福利厚生で、出演者が具体的に挙げるのは復職の受け皿です。産休や育休の制度があったとしても、子どもは2時ごろには帰ってきます。だからフルタイムでの復帰は現実には難しく、時短やパートでの復職が実際には多くなる。そうした枠を当たり前のものとして持っている医院なら、と出演者は言います。歯科衛生士は離職したまま戻っていない人が多い職種で、業界としては戻ってきてほしい。その受け皿を先に用意しておけば、採用に困らなくなるはずだ、という順番です。
もう一つ、身だしなみの規定にも話が及びます。最近はネイルをしていいか、髪を明るくしていいかと相談されることが増えた。出演者は、患者も普通の人であって、自分自身も見た目を大きく変えたときはむしろ好印象だった、と話します。ネイルについては診療で手袋をする以上そもそも影響しにくい、明るい髪を禁じているのは自費中心の医院のほうがむしろ厳しい、といった具体も出てきます。世の中が多様な見た目を受け入れる方向に動いているなかで、それでも黒髪しか認めないと決めているなら、その決まりが採用に見合っているかを考えるべきだ、というのが結論です。
出演者自身は、最後に「だいぶ偏った個人の見解」と断っています。それでも三つに共通しているのは、いずれも他院の事情ではなく自院で決められることだ、という点です。求人票の文面を直す前に、何時に終わるのか、何年後にいくらになるのか、一度抜けた人が戻れるのかに、自分の言葉で答えられるかどうか。答えが去年と同じままなら、文面をどう変えても返ってくるものは同じかもしれません。
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【採用】歯科衛生士が「働きたい」と思えるクリニックの特徴3選(2025年7月10日公開)
1D編集部
1日前
「誰かが出ればいい」で、電話を回していませんか?――歯科医院のDXで先に減らせるのは、担当の決まっていない仕事

「誰かが出ればいい」で、電話を回していませんか?――歯科医院のDXで先に減らせるのは、担当の決まっていない仕事

診療の途中で受付の電話が鳴る。受付に人はいない。衛生士は患者の口の中に手を入れている。結局、手を止められる誰かが出る。それが院長のこともあれば、その日いちばん経験の浅いスタッフのこともある。
1Dの対談動画「歯科医師の仕事を劇的に減らすためのDX3選」は、予約・顧客管理、受付と電話対応、教育という三つの領域を順に扱います。ただ、製品を三つ並べた回ではありません。出演者が冒頭で「ただ単にデジタル化するんじゃないぞ」という話だと前置きし、世の中の変化と歯科の現場との「乖離を埋めるべく」三つを用意したと言うとおり、通っているのは道具の話ではなく、誰の時間が何に使われているかという話です。ここでは、その視点から三つを読み解きます。
「手が空いている人」が、毎回同じ人になっていないか
対談がいちばん具体的になるのは、電話の場面です。出演者は、自分がアルバイトをしている歯科医院では人が少なく、電話が鳴れば自分も出ると言います。誰も出られない状況になれば、衛生士が出ることもある。そして「クソ無駄なわけですよ、あんなの」と言い切ります。
無駄だと言われているのは、電話応対という仕事そのものではありません。処置の途中にいる人間が手を止めて受話器を取る、という割り当てのほうです。電話番という役割が誰にも振られていないと、その仕事は「そのとき手が空いていた人」に落ちます。そして医院の中で手が空きやすい人は、たいてい毎回同じ人です。
これは出演者自身の勤務先での経験談であり、医院一般の実態を測った調査ではありません。ただ、自院に当てはめて確かめることはできます。今週、診療を中断して電話に出たのは誰で、何回だったか。その回数を数えている医院は、あまり多くないはずです。
待たせているのは、目の前の患者だけではない
出演者は同じ場面で、この状態は「患者さんとしても良くないし」とも言い添えます。ここは見落とされやすい指摘です。
人手の話は、たいてい院内の負担として語られます。スタッフが疲れる、院長の時間が削られる。けれど電話が鳴っている瞬間、待たされている人は二人います。処置を中断された目の前の患者と、呼び出し音の向こうで待っている患者です。手の空いた人が出るという運用は、この二人のどちらを待たせるかを、その場の成り行きで決めているのと同じことになります。
対談が示す方向は、電話対応をAIに置き換えて「無人化」することでした。出演者はこれを「DXにもっと近づく」踏み込みだと位置づけています。ここからは編集部の整理ですが、置き換えを検討するかどうかにかかわらず、誰がいつ出るのかを決めること自体は、道具を入れなくても動かせる部分です。
「漏れが怖い」で人に戻す前に、確かめられることがある
自動で電話を受ける仕組みに対して出てくる反応も、対談は先回りして取り上げています。「アポ漏れ怖いから、もう人がやった方がいいです」。これに対する出演者の答えは、「やってみてください」でした。
説明されている仕組みは、電話が来たら通知が届き、用件を尋ねる、という範囲にとどまります。留意しておきたいのは、対談が示しているのはここまでだという点です。導入した医院で予約の取りこぼしが何件減ったといった数字は出てきません。効果が測られて示されたのではなく、試す価値があると言われている段階の話です。
そう読むと、判断の仕方も変わります。入れるか入れないかではなく、どこまでなら任せて確かめられるかを決める。時間外だけ、特定の用件だけを任せ、取りこぼしが起きたかどうかを人が見る。対談の「やってみてください」は、その意味でなら自院の手順に置き換えられます。
置き換える順番は、動画の中で示されている
三つのうちどこから手を付けるかについて、対談は明確です。予約と顧客の管理は「DXの一丁目一番地」であり、画面のテロップも「顧客・予約管理のDX化は最優先でやるべき」と示します。理由として挙がるのは、変えた効果を実感しやすい領域だという点です。
同時に、出演者は移行の難しさも認めています。今のやり方に慣れているほど、従来のままのほうが楽だと感じてしまう。だから移行は「もう『エイヤ』でやるってことしか」ない、という言い方になります。踏ん切りの問題として語られているわけです。
そのうえで対談には、導入が終わったかどうかを測る一文が置かれています。「紙からデジタルに置き換えただけではDXって呼ばない」「デジタルによってオペレーションが変わらないと」。つまり、システムが入った日ではなく、これまで人がやっていた手順のどれかが実際になくなった日が、区切りになるということです。入れたのに忙しさが変わらないと感じるなら、確かめるのはこの一点になります。
院長が減らしたいのは、自分の仕事か、医院の仕事か
三つ目は教育です。ここで対談の視点は、院長個人からスタッフ側へ移ります。画面には「セミナーに行かなくても勉強できる時代になった」とあり、出演者は院長側の目線では自分が学ぶことよりも、スタッフに何をどう学ばせるかの話になると整理します。衛生士がどう立ち回るとよいのか、歯科の知識がまったくない人が最初に見るべき基本的な内容は何か、といった具合です。
そのうえで「『何を学ぶか』が大事なわけですよ」と続きます。見られる本数が増えること自体は、ここでは価値として扱われていません。何を選んで渡すかが院長の仕事として残る、という整理です。
期待される結果として、対談はリコールが戻るようになる、勤務医や衛生士が自費の治療を担えるようになる、といった例を挙げます。これらは見通しとして語られたもので、学習を提供すれば得られると保証されたものではありません。ただ、教育を「受けさせたかどうか」ではなく「誰が何をできるようになったか」で見るという測り方は、そのまま自院に持ち込めます。
予約管理、電話対応、教育。扱う場面は違いますが、対談が三つに共通して当てているのは、決まった担当のないまま誰かが引き受けている仕事です。電話は手の空いた人が取り、予約台帳は書ける人が書き、勉強は本人のやる気に任されている。何を買うかを考える前に、自院で担当の決まっていない仕事を書き出してみる。減らせるかどうかの判断は、そこからのほうが具体的になります。
本記事は1D公式YouTubeの対談を要約・再構成したものです。見出しは逐語引用ではありません。「」内は動画の画面字幕の表記に沿っています。電話やAIの運用に関する具体的な進め方は、動画の論点をもとに編集部が整理しました。
元動画を見る(2025年10月2日公開)
1D編集部
2日前
「土地が高いから、都市の開業は高い」で片づけていませんか?――同じ点数表で売る商売で、費用だけが場所で変わる理由

「土地が高いから、都市の開業は高い」で片づけていませんか?――同じ点数表で売る商売で、費用だけが場所で変わる理由

開業資金の話は、たいてい金額から始まります。4,000万か、5,000万か、1億か。数字を並べて、自己資金がいくら足りないかを数える。
1Dの開業資金をめぐる対談は、その順番を一度止めます。動画の途中には「開業費用がかかる理由について」というテロップが入り、金額そのものより、その金額が決まる仕組みのほうに時間が割かれます。そこで出てくる結論のひとつが、都市型の医院は高くなる宿命にある、という見立てです。しかも理由として挙げられるのは地価ではなく、競争が激しいこと、そのものです。
競争が激しいほど安くなる。それが起きない市場がある
対談は、まずビジネス一般の話から入ります。競争相手が多い市場は難しい。ただし普通の商売なら、そういう場合には価格競争が起こり、競争が激しいから値段が安くなるという市場原理が働く、と出演者は説明します。
ところが歯科では、そこが違う。診療報酬は公定価格として存在するので、値段を下げるという手が最初から使えないからです。患者の窓口負担の割合も一定で、報酬の歯科点数表のテーブルがある以上、どこで開業しても同じ値段で売ることになります。
値下げが競争手段にならない市場で、競争だけが激しくなる。すると競争は、価格以外の場所へ移ります。これが以降の話の背骨です。
値下げで競われない分、設備と広告で競われる
出演者が挙げる移り先は、設備投資です。どう差別化するかとなったとき、設備投資に競争の優位性を見出す、あるいは自費診療に向かう。銀座の一等地で開業すれば近くに何軒も歯科医院があり、うちの治療は高度でいい治療なのだと示すために、そのための高い機材を買うことになる、という順序で語られます。
具体例として口に出るのは、CTを入れれば1,000万ほどはするという話や、Class B滅菌といった設備です。内装も、都市型ならこだわったほうが患者が来る感じがするし、綺麗なほうがいいのだから必然的に高くなる、と続きます。広告も同じで、患者の獲得コストは競争相手がいればいるほど高くなる、という説明です。
だから逆のことが起こる――値段が下がる代わりに、かかる費用のほうが上がっていく。これが「都市型の方が高くなる宿命にある」という言葉の中身です。
ここは出演者自身が、公共料金などの理屈に対する仮説が歯科医療産業にも当てはまるだろう、という言い方をしています。検証された数値ではなく構造の見立てであり、CTの金額も出演者が挙げた例であって相場の提示ではありません。
変わるのは建物の値段ではなく、「付け足し」の数
では都市と地方で、何がそこまで違うのか。対談の答えは、少し意外なところに着地します。建材費や、建物を建てるという意味では、実は都市部も地方も変わらないかもしれない、というのです。
差を生むのは、そこから先。アドオン、つまり付け足しがどれだけあるかによって変わっていく、という整理です。付け足しが少ない地方型の開業なら4,000万から5,000万で十分に良い感じにできるのではないか、と語られます。一方で都市型なら1億円も余裕でかかってくる。5,000万から1億という幅が、目処として示されます。
前提に置かれているのは、ユニット5台程度で始める場合という条件です。同じ5台でも都市型と地方型ではだいぶ違うから分けて考えたい、と出演者は言います。裏を返せば、一般的な相場だけを調べても自院の金額は出てきません。ユニットを何台置くか、そのうえで何をどこまで付け足すか。その二つが決まって初めて、数字は動きはじめます。
売値は同じなのに、費用だけが場所で変わる
この二つを重ねたところに、対談で最も切れ味のある指摘が出てきます。点数表があるので売る値段はどこでも同じ。けれども土地は、港区と地方では比べものにならない。出演者は自身の地元である千葉県を引き合いに出し、タダ同然で売られているところもある、と話します。
これはある種、逆の非対称性だ、と出演者はまとめます。普通なら、高く売れる場所ほど費用も高い。歯科では売値が動かないまま、費用だけが場所で上下する。
ここから先は編集部の整理です。都市で開業するという判断は、売値が同じまま費用の高い側を選ぶ判断でもあります。その差を何で埋めるのかは、物件を決める前に言葉にしておきたいところです。患者数なのか、自費の比率なのか、診療の回転なのか。動画は回収方法までは踏み込んでいませんが、問いの形はここではっきりします。
なお対談では、地方のほうがこれから有利になるという見通しも語られます。ただし根拠として挙がる制度の話は出演者自身が伝聞だと認めているため、本記事では扱いません。
「借りられる」と「返せる」は、同じ答えではない
資金の集め方について、対談の立場ははっきりしています。基本は借りるのが一番ベターだろう、というものです。日本政策金融公庫からの融資もあるし、民間の銀行やローカルの銀行も貸してくれる。歯科医院という業態の安定性からお金は借りられるよね、という感覚は実際そのとおりだと出演者も認めます。補助金や助成金も、ある種お金を借りるのと一緒で、分割で払っていく形なのだから、うまく使えばいい、と続きます。医院を譲り受ける、いわゆるM&Aも選択肢のうちだ、という話も出ます。
問題はその次です。融資を受けられることと、返せることは別だ、という指摘がここで入ります。都内で1億円を借りて開業しましたとなったときに、本当に返せるのかというところが少し心配だ、と出演者は言います。
開業直後は、判断が鈍りやすい局面でもあります。最初は銀行口座にたくさんお金があるので大丈夫に見える。けれども初月、2か月目、3か月目と残高は減り、赤字になる可能性もある。そこから患者を集め、関係性をつくり、長期的に管理していければ経営は安定する、というのが対談で示される道筋です。
これは、うまくいけばこうなるという筋道であって、そうなることの保証ではありません。むしろ読み取るべきは、借入額を決める時点では、返済が始まったあとの数か月分がまだ存在していない、ということのほうです。
自己資金をいくら貯められるかは、開業資金の問いの一部でしかありません。値下げできない市場で、どこまで付け足すのか。その付け足しを、いくらで借りて、何年で返すのか。金額を調べる前に決まっているべきなのは、この順番のほうです。
本記事は1D公式YouTubeの対談を要約・再構成したものです。見出しは逐語引用ではありません。金額や設備の例は出演者の発言に基づくもので、相場や制度の提示ではありません。具体的な準備方法は、動画の論点をもとに編集部が整理しました。
元動画を見る(2025年10月9日公開)
1D編集部
2026年9月26日
「人が多い街だから患者も来る」で、物件を決めていませんか?――立地の不利は、周りとの違いで埋まることがある

「人が多い街だから患者も来る」で、物件を決めていませんか?――立地の不利は、周りとの違いで埋まることがある

駅から近く、人通りも多い。テナント資料を眺めながら、ここなら患者は来るだろうと考える。開業物件を探していると、人の多さは何よりもの安心材料に見えます。1Dの開業物件をめぐる対談は、その安心を早々に崩します。人がいることと、その人たちが自院に通う患者になることは別だというのです。そして話は、物件そのものの条件より、周りの医院と何を変えられるかへ向かっていきます。動画の冒頭には「競争戦略の本質とは『違い』」というタイトルが掲げられています。開業してしまえば後の祭りだ、という言葉も出てきます。契約を決める前に何を確かめるのか。動画の失敗事例と、条件が不利でも成り立った医院の話から整理します。人はいるのに、通う患者がいない街がある対談が最初に挙げるのは、ビジネス街の難しさです。出演者は創業地である神田や秋葉原を例に、歩いている人の多くが観光客である場合や、忙しい会社員は昼の時間帯に歯科医院へ来られない場合を挙げます。秋葉原の昭和通り沿いの路面店でもあまり意味がない、銀座のみゆき通りのような場所でも同じだ、と続きます。人はいくらでもいる。けれども顧客になる対象がいないから難しくなる。これが、この場面で示される整理です。賃料が高いという話ではなく、通える範囲に住む人や、通える時間帯に動ける人がどれだけいるかという別の条件を見ている点が重要です。動画では、ユニットが十数台ある大きな医院が赤字になり、買い手を探している例も紹介されます。法人が買ったものの立て直せず、再び売りに出されたという話です。規模の大きさは、立地の条件を上書きしませんでした。「何階か」ではなく、「1階か、それ以外か」物件の条件として具体的に語られるのが、階数です。出演者は、2階より1階のほうが目に入る確率が上がるのは当たり前だとしたうえで、逆に2階も3階も4階も、それ以降も変わらないと言います。だから階数は「何階にするか」ではなく、「1階か、それ以外か」で考える。通りがかりの人流を取りにいくのかどうかを決める、最初の分岐点だという整理です。人流という点ではショッピングモールが強く、時間に余裕のある人がそのまま入ってこられることが利点として挙げられます。ただしこれは、保険診療で多くの患者を診る形を前提にした話として語られています。自院がどの診療を主軸にするかで、人流の価値は変わります。階数の話は、良し悪しの順位ではなく、何を取りにいく物件なのかを先に決めるための問いです。同じビルの2階と4階が、同じ曜日に休んでいた対談の中心は、ここから差別化へ移ります。出演者は、以前に分院長を務めた医院の話をします。東京のベッドタウンにある駅の周辺で、住宅の賃料が安く、独り暮らしの若い人が比較的多い地域だったといいます。夜まで開けておけば、仕事終わりに寄ってもらえる。新患はコンスタントにいたと振り返ります。そのうえで理由として挙げられるのが、開業した当時の院長の判断です。終わる時間を1時間長くし、周りがみんな木曜に休んでいたので、そこを開けた。結果として、周りがやっていないときにやっている歯科医院になり、仕事帰りの人が来られるようになった、という経験談です。対照的な例も出てきます。同じビルの2階と4階が、どちらも歯科医院。しかし診療時間も休診日もまったく同じで、これでは食い合うだけだ、と語られます。歯科医師会の集まりが木曜にあるから、うちも木曜に休む——そのまま周りに合わせることへの指摘です。同質化したら終わりだ、という言葉がここで出ます。これらは出演者の経験と見解であり、診療時間を延ばせば新患が増えるという効果を示したデータではありません。それでも、立地や物件が不利でも違いをつくれば成り立つ場合があるという論点は、物件探しの前提を変えます。物件の条件を見る前に、周りとの違いを言葉にする動画は、まったく縁もゆかりもない土地でやるのは相当にリスクが高いとも指摘します。地方で成り立つ戦略を東京の真ん中でそのまま試せば失敗する。勘所が分からない土地なら、商圏調査を扱う開業コンサルに依頼するのが大事だ、という話です。そこから自院の準備に置き換えるなら、候補物件を比べる前に、周りの医院の診療時間と休診日を書き出してみることです。そのうえで、自分がどこをずらせるかを考える。ずらせないなら、その物件で何を強みにするのかを別に用意する。これは動画の問題提起を踏まえた編集部の整理です。診療時間を延ばすことも、休診日をずらすことも、スタッフの働き方に直結します。違いをつくるという話を、負担を増やす話とすり替えないための検討は、別に必要です。人の多さは、物件を選ぶ材料のひとつでしかありません。その街に通う患者がいるか。1階か、それ以外か。そして周りと何を変えられるか。契約書に印を押す前に答えておきたいのは、この三つです。本記事は1D公式YouTubeの対談を要約・再構成したものです。見出しは逐語引用ではありません。具体的な準備方法は、動画の論点をもとに編集部が整理しました。元動画を見る(2025年12月11日公開)
1D編集部
2026年9月25日
その内装、完成予想図で決めていいですか?――開業後も毎日働く場所を、誰の好みでつくるのか

その内装、完成予想図で決めていいですか?――開業後も毎日働く場所を、誰の好みでつくるのか

設計事務所から届いた完成予想図が、思ったよりかっこいい。内装はよく分からないし、このまま任せよう。開業準備に追われていれば、そう決めたくなるかもしれません。1Dの対談が突くのは、その一度の「かっこいい」で、開業後も毎日働く場所を決めてよいのかという問題です。しかも登場するのは、他人に任せて失敗した話だけではありません。本人たちが好きで黒を選んだオフィスでも、完成直後と半年後では感じ方が変わったと語られます。完成予想図は、完成した瞬間の見栄えを考える材料にはなります。しかし、そこで朝から夕方まで働く感覚までは映しません。提案を受ける前に何を考え、いつ相談を始めるべきなのか。動画のデザイン面とスケジュール面の話から整理します。自分で選んだ黒でも、半年後には感じ方が変わった対談の舞台は、黒で統一されたオフィスです。登壇者は、置く物まで黒くしたため、目に映るものがほとんど黒になったと話します。裏口から公園へ出ると、緑がとても鮮やかに見えるという冗談交じりの実感も語られます。この内装は、設計者に押しつけられたものではありません。黒が好きだったことや会社の色であることから、自分たちで選びました。完成した当初は「かっこいい」と感じた一方、半年ほど働くと、少し気分が沈むように感じることもあったと振り返ります。これは、黒い内装なら誰でも同じ状態になるという話ではありません。動画でも、黒がよい人もいれば、気が滅入る人もいると、好みの違いとして扱っています。重要なのは、自分で好きな色を選んだことさえ、毎日の居心地を保証しなかったという経験です。完成予想図を見る時間は短い。医院で働く時間は、その後何年も続きます。「好きか」という問いに加えて、「毎日ここで働くとどう感じそうか」を別に確かめる必要があります。「よく分からないから任せる」で、自分の判断材料まで手放さない動画がデザイン面の失敗として挙げるのは、設計事務所から最初の提案を受け取り、「いいじゃん」とそのまま人任せにして進めることです。専門家へ相談すること自体を否定しているわけではありません。提案に乗る前に一呼吸置き、自分の好みを持って相談しよう、という指摘です。そのために勧められているのが、さまざまな歯科医院や住宅を見ることです。何となく眺めるだけではなく、「この雰囲気は好き」「ここは毎日だと落ち着かない」と、自分の反応を集める。設計者の案を選ぶ前に、比較するための言葉を持つのです。ただし、自分の好みを押し出せば後悔しない、とも言い切れません。黒いオフィスの経験が、その単純な結論を否定しています。好みは出発点であり、完成時の見栄えと日常の居心地を往復して考えるための材料です。内装を後回しにすると、失うのは比較し直す時間二つ目の論点は、相談を始める時期です。融資、機材、採用などが重なる開業準備で、内装は「職場だから」と後回しになりやすい。気づいたらオープン予定の2か月前だった、という場面が対談で挙がります。動画では、収録当時、内装業者と連絡が取りにくいという出演者の経験や知人から聞いた話も出ます。これは現在の標準工期や業界全体の状況を示す統計ではありません。それでも、締切が迫った結果、「間に合わないから、こちらでいい」と妥協が重なるという意思決定の問題は残ります。早く相談する意味は、最初の案を早く確定することではありません。完成予想図を見て、自分の好みと照らし、毎日働く場面を想像し、違和感があれば比較し直す。その時間を残すことです。完成予想図の隣に、「毎日ここで働く自分」を置く設計相談の前に、気に入った医院や住宅の画像を集める。好きな理由だけでなく、落ち着かない理由も一言で書く。そして提案を受けたら、完成日の美しさに加えて、半年後も毎日そこで働く場面を専門家と確認する。これは動画の主張を自院の準備に移すための編集部の整理です。内装には見た目だけでなく、診療や業務の機能もあります。動画の後半でも機能面が最重要だと語られており、好みのために安全性や診療上の要件を犠牲にしてよいという話ではありません。自分で決めるか、専門家に任せるかの二択ではない。自分の好き嫌いと日常の感覚を言葉にし、専門家の提案と何度か比べる。その余地を開業準備の早い段階で確保できるかが、完成予想図を「そのまま決定」にしないためのポイントです。本記事は1D公式YouTubeの対談を要約・再構成したものです。見出しは逐語引用ではありません。具体的な準備方法は、動画の論点をもとに編集部が整理しました。元動画を見る(2025年9月4日公開)
1D編集部
2026年9月24日
「全部見なきゃ」で、一本も再生していませんか?――忙しい歯科医師のセミナーの使い方

「全部見なきゃ」で、一本も再生していませんか?――忙しい歯科医師のセミナーの使い方

気になる講義はある。でも、一本を見終える時間が取れず、今日も再生しない。1Dの対談では、単品で買うと全部見なければと思う一方、見放題では流し聞きもする、という使い方が語られます。学ぶ時間だけでなく、一本をどう受け取るつもりかが問われる話です。出演者は1Dプレミアムを提供する側であり、対談には自社サービスの紹介が含まれます。お金を払った一本だから、全部見なければならない?対談の中で、見放題の使い方として挙がるのが、単品で買ったセミナーとの心理的な違いです。一本ごとに購入すると、全部見なければという気持ちが働く。一方、出演者は定額で見られる環境では、再生して流し聞きする使い方もしていると話します。これは単に、料金の安さを比べる話ではありません。一本を最後まで受け取ることを自分に課すと、再生を始めるにも、それだけの余裕が必要になります。今日知りたい部分があっても、一本分の時間を確保できる日まで待ってしまう。その負担を、視聴方法からほどけないかという論点です。出演者は、運動や洗い物の時間に耳で聞く例を挙げています。落ち着いて画面を見る時間だけを受講時間に数えない、という実践です。ただし、映像を見なければ分からない手技まで、音声だけで習得できるという意味には広げられません。編集部としては、話の入口を知る時間と、図や手順を止めて確かめる時間を分ける使い方と捉えます。聞き流しは理解の完了ではなく、詳しく確かめたい箇所を見つける入口です。講義の時間だけを、学習に必要な時間だと思っていないか別の使い方として紹介されるのは、動画の倍速再生です。速く聞くことを好む出演者は、当初は聞き取れなくても、耳が慣れてくると通常の速度が遅く感じられるという自身の経験を話します。ここで語られるのは本人の視聴感覚であり、速く再生すれば同じ理解が得られるという実証ではありません。それ以上に注目したいのは、会場で受けるセミナーとの比較です。対談では、講義そのものに加えて、現地へ行く時間や、毎週出かけ続ける疲れにも話が及びます。講義が始まる前から、受講のための時間を使っている。学習の負担は、案内に書かれた講演時間だけでは計れないわけです。会場へ行く楽しみや、その場の空気まで否定しているわけではありません。情報を得たいのか、現地で体験したいのかによって、選び方は変わります。対談が示すのは、すべての学びを同じ受講方法でまかなおうとしなくてよい、という選択肢です。動画を見る習慣は、もうあるのにもう一つ、対談で意外なのは、今このYouTubeを見ている人は、すでに動画で情報を得ているという指摘です。すでに動画で情報を得る習慣があるなら、セミナー視聴も選択肢に入る、という見方です。後半の画面紹介では、テーマを検索して講義を探す流れも示されます。並んだ動画を順に消化するのではなく、知りたいことから一本へたどり着く。視聴できる本数が多いことと、自分が今日見るものを選べることは、別の問題です。対談中の画面や機能は収録当時のものです。本稿は現在のサービス仕様や料金の案内ではなく、情報への入り方を考えるために、その利用例を取り上げています。今日、確かめたいことを一つだけ決めて探す編集部から提案したいのは、診療中に説明に迷ったことを一つ、検索する言葉にしてから講義を探すことです。一本を見切る予定を立てる前に、今日何を知りたいのかを決める。該当する話から聞き始め、図や手順が必要な箇所は画面を止めて確かめます。全部見なければと考えて再生を先送りしていたなら、まずその一つを確かめるために開く。一本の完走を、学び始める条件にしなくてもよいのです。本記事は1D公式動画の要約・再構成です。見出しは逐語引用ではありません。元動画を見る(2025年8月28日公開)
1D編集部
2026年9月23日
毎回待たせるのに、患者の遅刻には厳しい?――キャンセル対策で医院側が見落とすこと

毎回待たせるのに、患者の遅刻には厳しい?――キャンセル対策で医院側が見落とすこと

予約の時間になっても患者が来ない。電話をかけ、空いた枠を眺める。そんな日が続くと、もっと強い注意書きが必要だと感じるかもしれません。では、医院の側は、その予約時間をどのように扱っているでしょうか。1Dのキャンセル対策をめぐる対談では、リマインダー、キャンセルに関する仕組み、患者との関係づくりが取り上げられます。その中で出てくるのが、いつも患者を待たせていれば、患者も遅れて来るようになるのではないか、という指摘です。キャンセルを患者の意識だけの問題として片付ける前に、予約を覚えてもらう仕組みと、時間を守って通う意味が伝わる関係を分けて考えてみます。患者に求める時間の約束を、医院側も守れているか対談では、患者に予約を守ってほしいなら、自分たちが遅れないことも大切だという話が出てきます。毎回待たせていれば、その時間に来ても始まらないと受け止められるのではないか。医院側のふるまいへ視点を戻す場面です。もちろん、診療では予定どおりに進まないこともあります。この話は、遅れが一度あれば患者のキャンセルを正当化するというものではありません。日常的にどんな時間の扱いを見せているかを問うものです。ここで患者向けの注意書きだけを強くすると、医院側が守る約束は曖昧なままになります。遅れた場合の説明や、予約枠の取り方など、自院にも確かめられる部分がないか。これは動画の指摘から導いた、編集部の検討事項です。忘れた人と、覚えていて来なかった人には同じ対策が効くとは限らない対談では、キャンセルの背景を、予約を忘れていた場合と、覚えていたのに来なかった場合に分けて説明しています。これはキャンセル理由のすべてを網羅する分類ではありませんが、対策の役割を整理する入口になります。リマインダーが直接働きかけるのは、予約を思い出してもらう部分です。動画では、前日などにLINEやSMS等で知らせる仕組みが紹介されています。一人ひとりへ毎回手作業で送る負担を減らすために、システムを利用する考え方も語られます。一方、予約を把握していても、通うのをためらう理由や、予定を変更せざるを得ない事情がある人には、思い出させるだけで足りるとは限りません。通知を導入したのにキャンセルが残るからといって、その仕組み全体が無意味とは言えないわけです。自院で振り返るなら、まず何が起きたのかを分けることです。忘れていたのか、連絡はあったのか、別の日を希望していたのか。その区別がないまま通知回数や文面だけを強めると、どの課題を解こうとしているのかが見えなくなります。これは対談を運用へ置き換えた編集部の整理です。予約の空白だけを見ていると、その後の中断を見落とす動画の冒頭では、予約が多数キャンセルになり、診療の空き時間ができたという登壇者の経験が語られます。患者がいない時間にも、勤務する人の人件費は発生する。対談は、空いた枠の売上だけでなく、医院が用意していた体制にも目を向けています。さらに話題になるのが、キャンセルした気まずさから、その後の受診をためらう患者心理です。登壇者は、一回の欠席で終わらず、別の医院へ移る可能性まで含めて説明しています。すべての患者がそうなるわけではありませんが、予約表の穴が埋まれば問題が終わるとは限らないという指摘です。見るべきなのは、来なかった一回と、その後の通院を分けることです。後日受診できた人と、連絡が途切れた人では、医院が把握したい状況が違います。人数や率を追うなら、何をキャンセルに数えているかもそろえなければ、改善したように見える数字の意味を取り違えてしまいます。名前の分からない担当者と、次も会う相手では関係が違う三つ目の対策として、対談が挙げるのは患者とのコミュニケーションです。担当者の名前も知らない状態と、相手の顔や名前を認識している状態では、キャンセルするときの受け止め方も違うのではないか、と語られます。別の登壇者は、診療の前後に説明や選択肢の提示を行い、患者と話す時間を取っている経験を紹介しています。単に雑談を増やすという話ではなく、誰がどのように診療しているかが患者に伝わる関わり方です。それでキャンセルが何割減るかという効果は、この対談から確定できません。それでも、通知や注意書きとは違う役割が見えます。予約があると知らせる仕組みと、その医院へ通う関係は、同じものではないからです。次のキャンセル対策を考えるなら、患者に送る文章だけでなく、自院の予約時間の扱いと日々の説明も見直してみる。来なかった患者を責める前に、来てもらうために何を整えているのか。その問いから、予約表の空白を考え直したいものです。元動画を見る本記事は1D公式チャンネルの対談をもとに構成しました。YouTubeで元動画を見る
1D編集部
2026年9月22日
「都心なら患者が来る」で、開業場所を決めていませんか?――人口の多さでは見えない医院の条件

「都心なら患者が来る」で、開業場所を決めていませんか?――人口の多さでは見えない医院の条件

人が多く、駅も近い。働く人も集まりそうだ。開業場所を探していると、都心の物件には安心材料が並んで見えます。では、患者もスタッフも多い場所を選べば、自分がつくりたい医院に近づけるのでしょうか。1Dの都心と地方を比較する対談では、都市部に人が集まる利点を認めたうえで、競合の多さ、地方での診療の成り立ち、医院を拡張できる余地が話題になります。どちらが一律に有利かという順位づけより、何を前提に医院をつくるのかが問われています。人が集まる場所には、患者を迎えたい医院も集まる対談の冒頭では、都心の利点として、患者や採用候補者が集まりやすいという見方が示されます。一方、その利点があるからこそ、開業する歯科医師も集まる。人口の多さだけでは、競争の中で自院が選ばれる理由までは説明できません。動画には、登壇者が都市部の医院を取材し、競合が密集する環境について聞いたという話が登場します。そこで語られる医院数は個別の取材談であり、ここでは地域の統計として引用しません。読み取りたいのは、周囲に人が多いという利点と、選択肢の多さを同時に見なければならない点です。患者が多そうだから、という判断は入口にはなります。しかし、その人たちが何を求め、すでにどこへ通い、どんな場合に別の医院を選ぶのかは別の問いです。自分が暮らしやすい街と、自分の診療方針が患者に伝わる街も、必ずしも同じではありません。この問いを立てることは、都心での開業を否定することではありません。都市部の利点を、自院の計画のどの部分で生かすのかを明らかにするためです。人が多いという事実だけに、採用と集患の両方を任せないことが大切になります。「地方では自費が成り立たない」という見方にも穴がある対談では、地方の医院を訪ねた登壇者が、繁華街でもない場所で、立派な設備や診療体制を持つ医院に驚いた経験を紹介しています。来院数の多さだけで回す印象とは違い、自費診療も含めた運営が語られる場面です。この一例から、地方のほうが自費診療で成功しやすいとは言えません。動画でも、地域全体のデータが示されているわけではありません。それでも、都心でなければ成り立たないという思い込みを疑う材料にはなります。患者がどのような診療を求め、どのような関係で通い続けているのか。地域の人口だけでは捉えにくい部分へ、目を向ける必要があるからです。同じ地方という言葉でまとめても、周辺の産業、住む人、通院の手段は違います。取材先の見た目だけを真似しても、その医院と患者の関係は再現できません。立派な建物や自費の存在を成功の証拠として眺めるのではなく、何がその診療体制を支えているのかを確認する。この読み方なら、個別事例を過大評価せず、開業候補地を考える材料にできます。ユニットを増やせることと、診療を増やせることは同じではない地方の利点として、対談が具体的に挙げるのは、土地や建物を使った拡張の余地です。ユニットを増やす、建物を広げるといった形で、患者を受け入れる規模を変えていく医院が紹介されています。これは、開業時の部屋に何台置けるかだけでなく、その後の診療体制をどう変えられるかという視点です。予防管理を軸に患者との関係を積み重ねる医院についても、受け入れの規模と結びつけて語られています。ただ、空間があれば診療が自動的に増えるわけではありません。誰がそこで働くのか、どの患者を受け入れるのかという計画は別に必要です。物理的に増設できる余地と、実際に運営できる余地を分けて考えたいところです。都心の物件を見る際にも、この視点は使えます。いまの条件だけでなく、診療の方針が定まり、患者やスタッフが増えたとき、どこが制約になるのか。対談の比較を自院の物件選びへ置き換えた、編集部の問いです。徒歩の距離だけで、患者の通える範囲を決めない動画の後半では、地方では車で通うことが前提となる地域がある、という話が出てきます。駅や医院からの徒歩圏だけで考えていると、実際の通院行動とずれる可能性があります。登壇者は、車で一定の時間をかけて受診する患者の話から、地方の医院が迎える範囲の広さを指摘しています。ただし、地方ならどこでも遠くから来る、と保証する話ではありません。具体的な候補地で、移動手段と通う負担を確かめる必要があります。都心では駅から近いことが説明しやすい利点でも、別の地域では車で来やすいことが大きな条件になる。自分の普段の生活圏の感覚を、そのまま患者の行動へ重ねないことが重要です。開業場所を選ぶなら、人の多さ、競合、診療の成り立ち、拡張、通院手段を同じ計画の中で考える。動画の示唆は、地方へ行けば成功するという近道ではありません。「都心だから」「地方だから」で判断を終わらせないための材料です。その場所で、誰が働き、誰が通い、どんな医院を続けるのか。住所の印象より先に、その説明ができる場所を探したいものです。元動画を見る本記事は1D公式チャンネルの対談をもとに構成しました。YouTubeで元動画を見る
1D編集部
2026年9月21日
「大学で使っていたから」で、材料を買い続けていませんか?――院長の節約が空回りする理由

「大学で使っていたから」で、材料を買い続けていませんか?――院長の節約が空回りする理由

いつもの材料を注文し、いつもの量を出し、余った分を片付ける。診療が滞らなければ、そこに問題があるとは感じにくいものです。ところが、材料費を見ている院長には、その「いつも」が気になります。スタッフに使いすぎだと声をかけても、次の日には同じ量が用意されている。節約への意識が低い、と片付けてよいのでしょうか。1Dのコスト削減をめぐる対談が扱うのは、使う量、買う物、そして使う側と払う側の感覚の違いです。安い商品を探すだけでは、診療室の中にある習慣までは変わりません。毎回余る材料は、「たまたま」ではなく準備の習慣かもしれない対談で最初に挙がるのは、材料を出しすぎないという話です。目新しい設備投資でも、難しい経営手法でもありません。使い終わるたびに残っているなら、その量を当然として準備していないか。日々のチェアサイドへ目を向けています。もう一つの具体論が、準備するタイミングです。動画では、出した後に揮発する液を例に、早く出して待たせることにも無駄が生じると説明しています。単に量を減らせばよいという話ではなく、いつ用意し、いつ使うのかまで含めて見直す必要があるわけです。ただし、この話からすべての材料を少量にする、まとめて同じタイミングで出す、といった一律の手順は導けません。製品ごとの使用方法と診療上必要な量を守ったうえで、必要な使用と余分な準備を区別することが前提です。材料の価格は発注時に目に入ります。一方、余りは一回ごとに少しずつ出るため、慣れると見えなくなる。対談の入口が量とタイミングなのは、買値だけを見ていては拾えない部分があるからです。院長には損失でも、使う人には「診療しやすい量」に見える動画では、勤務する側と経営する側でコストへの感覚が違うことにも踏み込みます。材料の支払いを意識する院長は、出しすぎを見るともったいないと感じる。使う側は、まず快適に診療できることを考える。この二つの視点は、自然には一致しません。それをスタッフの性格の問題にしてしまうと、院長は注意を増やし、スタッフは細かく言われる場面だけを覚えることになります。対談でも、量を節約するなら、なぜ取り組むのかを共有し、共通認識を持つ必要があるとしています。ここから自院の運用に置き換えるなら、「もっと少なく」だけでなく、何を無駄と見ているのかを具体化することです。使う前に変質してしまう準備なのか、毎回使わずに残る量なのか。あるいは、減らすと途中で出し直す必要が生じるのか。これは動画の問題提起を踏まえた編集部の整理です。必要な量を削った結果、作業がやりにくくなれば、使う側が協力しにくいのも無理はありません。院長が買値を知っているのと同じくらい、現場がなぜその量を使っているかを知ることが、見直しの出発点になります。慣れた銘柄を使う理由を、いまの医院で説明できるか対談の次の論点は、材料そのものの選び直しです。登壇者は、大学で使っていた物をそのまま採用する習慣に触れ、院長時代に材料や機材を見直した経験を紹介しています。慣れた物には、扱いを覚えているという利点があります。ただ、その利点を確かめたうえで選び続けることと、一度も比較せず注文を繰り返すことは違います。最初に選んだときの環境と、いまの医院の用途が同じとは限らないからです。この場面で見落としたくないのが、登壇者自身が、同じように使えるかを調べ、検証してから切り替えたと述べている点です。安い物へ無条件に替えるという主張ではありません。成分が似ているというだけで、使い勝手や適応まで同等と判断することもできません。記事として持ち帰りたいのは、特定の安価な銘柄ではなく、継続購入の理由を確かめる姿勢です。慣れ、性能、用途、価格のどれを評価して選んでいるのか。それが説明できれば、比較した結果として、いまの物を使い続ける判断にも意味があります。買う前の一問が、買った後の節約より先にある動画では、業者から提案されると必要な気がしてしまう、という話も出てきます。既存品の使いすぎを気にする一方で、新しい物を増やしていないか。コスト削減は、診療室の中だけで完結しません。使う回数や時間を含めて材料を評価する考え方も紹介されます。購入価格だけを比べても、一回の診療でどう使われるかが抜ければ、判断は粗くなります。ただし、動画中の個別処置の採算例は前提がそろっていないため、ここでは自院の収支に当てはまる数字として扱いません。自院で最初に選ぶなら、毎回余りが目に入る材料や、理由を聞くと「昔からこれだから」で終わる品目が候補になります。必要な使用を保ちながら、量、準備するタイミング、選定理由を確かめる。これは一斉に購入品を入れ替える話ではなく、一つの習慣を具体的に見直す話です。節約してほしいと伝える前に、何を変えれば診療を損なわずに無駄が減るのかを説明できるか。院長のコスト意識を、現場が実行できる判断へ変えるところから始めたいものです。元動画を見る本記事は1D公式チャンネルの対談をもとに構成しました。YouTubeで元動画を見る
1D編集部
2026年9月18日

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