前装冠の臨床応用と処置手順。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例とメリット

前装冠の臨床応用と処置手順。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例とメリット

1D編集部
2024年6月1日

前装冠の定義と役割

前装冠とは、主に前歯に使用される冠の一種であり、審美性を重視した材料で作られている。通常、金属の内冠にセラミックや樹脂などの外装を施すことで、自然な歯の色合いを再現する。前装冠は、う蝕や外傷による歯の破損、または根管治療後の歯の補強に用いられる。

前装冠の主な役割は、機能的な咬合を維持しつつ、審美的な外観を提供することである。これにより、患者の心理的な満足度を高めることができる。特に前歯は目立つ部位であるため、審美性が重要視される。

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    前装冠の処置手順

    前装冠の処置は、以下の手順で行われる。

    1. **診査と診断**: 患者の口腔内を詳細に診査し、前装冠が必要な理由を明確にする。

    2. **型取り**: 歯の形状を正確に再現するために、印象材を用いて型取りを行う。

    3. **仮歯の装着**: 型取り後、仮歯を装着し、咬合や審美性を確認する。

    4. **前装冠の製作**: 型を基に、歯科技工士が前装冠を製作する。

    5. **装着**: 完成した前装冠を患者の歯に装着し、咬合や適合を確認する。必要に応じて調整を行う。

    この手順を通じて、前装冠の適切な装着が実現される。

    前装冠のメリットとデメリット

    前装冠にはいくつかのメリットとデメリットが存在する。

    **メリット**:
    1. **審美性**: 自然な歯の色合いを再現できるため、患者の満足度が高い。
    2. **強度**: 内冠に金属を使用することで、強度が向上し、咬合力に耐えることができる。

    **デメリット**:
    1. **コスト**: 他の冠と比べて製作コストが高くなることがある。
    2. **摩耗**: セラミックや樹脂は、金属に比べて摩耗しやすい場合があるため、長期的な使用に注意が必要である。

    これらのメリットとデメリットを考慮し、患者に最適な治療法を選択することが重要である。

    前装冠に関する注意点

    前装冠を使用する際には、いくつかの注意点がある。

    1. **適切な診断**: 前装冠が適切な選択肢であるかどうか、十分な診断を行うことが重要である。

    2. **咬合の調整**: 装着後、咬合が適切であるかを確認し、必要に応じて調整を行う。

    3. **メンテナンス**: 前装冠は定期的なメンテナンスが必要であり、患者に対して適切なケア方法を指導することが求められる。

    これらの注意点を守ることで、前装冠の効果を最大限に引き出すことができる。

    前装冠の症例と臨床での応用

    前装冠は、さまざまな症例において有効な治療法である。

    例えば、外傷によって前歯が破損した場合、前装冠を用いることで、機能的かつ審美的な回復が可能である。また、根管治療後の歯に前装冠を装着することで、歯の強度を保ちながら、自然な外観を維持することができる。

    臨床においては、患者のニーズに応じた適切な選択を行うことが求められる。症例ごとに異なる条件を考慮し、最適な治療法を提案することが重要である。

    まとめ

    前装冠は、審美性と機能性を兼ね備えた治療法であり、歯科医師・歯科衛生士にとって重要な知識である。適切な診断と処置手順を踏むことで、患者に満足のいく結果を提供することができる。今後も前装冠に関する知識を深め、臨床での応用を広げていくことが求められる。

    1D編集部
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    1D編集部

    1D編集部は、臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士で構成されています。歯科業界の最新ニュースから歯科医療の臨床・学術情報、歯科医療者のためのライフスタイル記事まで、歯科医療の専門家の視点で、ただしく・おもしろいコンテンツをお届けします。

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    補綴装置を口腔内で試適し、適合を確かめたら、あとは接着するだけ。そう考えていると、見落としやすい工程がある。1Dの「25分間」ミニセミナー「【CAD/CAM】補綴物・修復物セットに欠かせないポイント」で、講師は、試適を1回した時点で補綴装置の内面は必ず汚染されている、と言う。講師がまとめのスライドで接着操作の勘所の1番目に置くのも「試適後の汚染除去」だ。本稿では、スライドと自動字幕で確認できた範囲で、講師の主張と編集部の解釈を分けて整理する。有機のセメントで、無機の材料をつなぐ講義の内容は4つに分かれている。接着レジンセメント使用の勘所、CAD/CAMクラウン・インレー、レジン支台築造(直接法・間接法)、象牙質レジンコーティングだ。YouTubeで公開されている前半部分で扱われるのは、主に1つ目の接着レジンセメントの話である。講師はその前置きとして、有機化合物と無機化合物の違いを確認する。金属やセラミックスは無機、コンポジットレジンはレジンの部分が有機でフィラーが無機、エナメル質や象牙質は無機成分を多く含みながら有機成分も含む複合体だ。そして接着性レジンセメントは有機化合物に分類される。有機どうしをつなぐのは比較的簡単だが、接着の相手は金属やセラミックスといった無機であることが多い。割れた茶碗を家で接着して直そうとするか、と講師は問いかける。それでも診療室では、欠けた陶材焼付冠を直してほしいという要求が来る。だからこそ有機と無機を橋渡しする術式が要る、というのが講師の説明だ。その橋渡し役が、接着性モノマー、メタルプライマー、シランカップリング剤である。講師によれば、いずれもレジン側に絡みつく部分と、無機の相手にくっつく部分を持ち、後者の形の違いで呼び名が分かれる。何を塗るかは、材料で決まるスライドには、接着レジンセメントで装着する場合の冠内面処理材が整理されている。ノンシリカ系(酸化物系)のジルコニアを使ったフルジルコニアクラウンにはMDPやホスホン酸系モノマー。シリカ系の二ケイ酸リチウムのクラウンにはシランカップリング剤。ハイブリッドレジンはコンポジットレジンにシリカのフィラーが入っているので、CAD/CAM冠にもシランカップリング剤を使う、と講師は言う。歯質側の処理は、エッチング、プライミング、ボンディングの3つの要素からなる。かつてはこれを別々の液で3回行うスリーステップだったが、術者の失敗や時間、患者の負担を減らすために2ステップ、1ステップへと簡略化されてきた。講師は、いまは1ステップが主流になっていると見ている。試適した内面は、必ず汚れているCAD/CAM冠の症例で、講師は装着の流れを示す。仮着していたプロビジョナルを外して清掃し、出来上がった冠を試適してから装着する。この試適で内面は汚染されるので、どう清掃するかが接着をうまく使うポイントになる。スライドで示されるのは、MDPを配合したクリーニング剤を内面に塗ってこすり、水洗・乾燥で汚れを流してから、シランカップリング剤を塗る手順だ。ジルコニアの接着ブリッジでも、講師は同じ問いを立てる。試適後の汚染除去は、装着直前のアルミナサンドブラスト処理が第1選択。サンドブラストが使えない環境なら、クリーニング剤を使って水洗・乾燥する。ラミネートベニアについても、第1選択はサンドブラストで、次にクリーニング剤、それもなければリン酸エッチング材のリン酸を流用する方法が考えられる、と講師は言う。まとめのスライドでは、ジルコニアへのMDP処理に「厚塗り厳禁」と添えられている。編集部の読みとして、この講義で「試適後」が強調されるのは、試適が適合を確かめる工程であると同時に、接着面を汚す工程でもあるからだ。確認のための一手間が、そのままでは接着の阻害因子になる。ベニアと接着ブリッジの装着手順ラミネートベニアの試適では、主に適合を確認する。爪のような形のものなので、この段階で咬合を確かめるのは難しい、と講師は言う。支台歯形成はエナメル質内にとどめるのが基本なので、歯面にはリン酸エッチングが効く。隣の歯に余剰セメントが付かないようストリップスで保護し、気泡が入らないようセメントを一方向から押し込んで正しい位置に圧接する。スライドの手順では、はみ出した余剰セメントを綿球や小筆、マイクロブラシで除去し、ベニアの中央部に3〜5秒の仮照射をして位置を仮固定する。この段階では簡単に外れるほどの強度しかないので、隣接面のセメントをフロスで取るときは引き抜き方に注意が要る、と講師は念を押す。余剰セメントを除いたら、ベニア表面を切縁、中央部から歯頸部、近心部、遠心部の4つに分け、それぞれ10秒ずつ光照射する。ベニアは基本的に咬合接触がないように作るが、干渉がないかは最後に確認する。ジルコニアの接着ブリッジでは、講師はリン酸処理の範囲に触れる。形成した部分だけを処理すればよいと考えがちだが、スライドでは、装着面に加えて隣接部を少し越えた舌側まで処理範囲が塗られている。さらに、唇側の鼓形空隙からも接着レジンセメントを押し込むと、セメントが補綴装置を両側から挟み込むように保持し、脱落のリスクが一気に下がるように実感している、と講師は言う。これは講師自身の実感として語られている。光照射は重合収縮に配慮し、唇側と舌側からそれぞれ10秒、1つの支台装置につき合計40秒以上、というのがスライドの指示だ。光を当てても、裏側には届かないまとめのスライドは、確実な接着操作のためのリスクを2段階に分けている。ハイリスクは唾液・血液の混入とブラキシズム。中程度のリスクは、呼気に含まれる水蒸気と、完全に重合するまでの固定だ。患者は装着中も呼吸しているので、呼気の水分が接着の阻害因子になりうる、と講師は言う。固定について、講師は、光照射をしたらもう大丈夫だと思う人が非常に多いと指摘する。しかし補綴装置の裏側には意外と光が届いておらず、化学重合による硬化が重要になる。全体で40秒照射しても、それで終わりではなく、しばらくしっかり押さえておくことで脱落のリスクをかなり減らせる、というのが講師の考えだ。脱落などの失敗のリスクファクターとして、スライドにはさらに、エナメル質形成不全や酸蝕症(接着力が発揮されず脱離の危険性が高い)、重度の摩耗症(ブラキシズム)や短縮歯列(荷重が高く破損の危険性が高い)が挙げられている。適応をよく勘案したうえで補綴装置を決めてほしい、と講師は言う。前半部分の最後には、CAD/CAM冠・インレーの話の入口として、保険の請求件数の推移を示すグラフが映る。パラジウム合金の全部金属冠が減り、CAD/CAM冠がシェアを伸ばしてきた、というのが講師の読みだ。グラフの数値は一次資料で照合していないため、本稿では載せない。本稿で扱わないこと講師の名前と所属、スライドや動画に出てくる製品名は扱っていない。自動字幕で聞き取りが不確かだった部分、スライドで確認できなかった待ち時間などの数値も採っていない。光照射の秒数や処理範囲はスライドに基づく講師の方法であり、製品ごとの指示や添付文書では照合していない。本稿は講義内容の整理であり、実際の材料選択や装着手順は、各製品の指示と各自の判断に基づいて行ってほしい。元動画を見る【CAD/CAM】補綴物・修復物セットに欠かせないポイント(2024年4月10日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
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    咬合紙で色がついたところを削って落とせば、咬合調整は終わる。そう考えたことのある歯科医師は少なくないのではないか。1Dの「25分間」ミニセミナー「【咬合調整】咬合の基礎知識と削合のポイント」で、講師はこの講義を「咬合アレルギー」のある歯科医師に向けたものだと位置づけ、全顎やフルマウスではなく、1本の歯をきちんと調整できることを目的に掲げる。そのうえで最初に置くのが、削合についての3つの前提だ。本稿では、スライドと自動字幕で確認できた範囲で、講師の主張・経験と編集部の解釈を分けて整理する。削合は「足せない」「戻せない」「相手を選ぶ」講師が挙げる1つ目の前提は、削合は歯を削るだけで、足すことができないという点だ。足して合わせたいなら、クラウンごとやり替えるか、それこそフルマウスで治療することになる。だから削合による調整は限定的なものだと分かっていなければならない、と講師は言う。2つ目は、後戻りができないこと。削るだけなので、患者から元の状態に戻してほしいと言われても戻せない。色がついたところだけを単純に調整していくのは結構怖いことになる。ここが邪魔だと分かったうえで、そこを狙って調整することが大事だ、と講師は話す。3つ目は、意外にも相手を選ぶということだ。どんな調整をしても気になって仕方がない人もいる。講師はこれを、車幅と道路の幅にたとえる。道幅が広ければ、クランクがあっても余裕を持って通れる。しかし道幅が狭いと、すぐに脱輪してしまう。この人は大丈夫かと相手をよく見たうえで行い、やりすぎればそれはそれで戻せないので、どこでやめるかがすごく大事になる、と講師は言う。顎を動かす筋肉と、ブレーキ役の筋肉講師は、咬合の基礎知識として、まず顎の運動に関わる筋肉を整理する。口を開けるときは、外側翼突筋が顎を前に出し、顎二腹筋の前腹などが後ろに引く。閉じるときは側頭筋、咬筋、内側翼突筋が締める。側方運動や前方運動、後方への運動でも、それぞれ主に働く筋肉がある。大まかに言えば、前に出るときは外側翼突筋、後ろに引くときは側頭筋だと考えるとよい、と講師は説明する。講師が付け加えるのが、拮抗筋の働きだ。主に動かす筋肉だけでは動きが急になりすぎるので、ブレーキをかけながら動くようになっている。そのため、たとえば閉じる動きのときにトラブルがあれば、緊張が出るのは主に動かしている筋肉とは限らず、拮抗筋の側に出る可能性もある。これを頭の片隅に置いておいてほしい、と講師は言う。後で触れる触診の話につながる前置きだ。第一大臼歯の形を、自分の手で描いて覚える次に講師が「すごく大事」とするのが、歯の解剖学的形態、とりわけ咬合面形態だ。中でも第一大臼歯は鍵となる歯で、これが理解できると他の歯も理解しやすい、として、講師は上下の第一大臼歯に絞って説明する。上顎第一大臼歯では咬頭頂の位置と隆線、いちばん深い窩、そこから伸びる溝。講師は、この溝が深いことを理解し、ここに対合歯が入るイメージを持っておくよう促す。下顎第一大臼歯では、隆線がないと思われがちな中央付近を、くぼんだ状態としてイメージしておくこと。上顎の咬頭がそこに入り、上が杵、下が臼のような関係になる、と講師はたとえる。溝の走り方には個人差があり、Y字型が多いが、十字型やX型の人もいる。第二大臼歯では十字型が多い、というのが講師の示すおおまかなイメージだ。調整のときに大事になるので覚えておいてほしい、と講師は言う。形態をどう覚えるかについて、講師の答えは単純だ。描いて覚えた、という。最初に描いた第一大臼歯の絵はひどいものだったと自身の絵を見せ、教科書や模型を見ながら10枚描くだけでも違い、100枚描けば周りと比べて大きな差になるはずだ、と話す。これが分かっていないとダイレクトボンディングなどもできない、とも講師は付け加える(講師の挙げる参考書籍の名前は本稿では扱わない)。咬合様式は「どこで当たっているか」の分類講師は咬合様式についても簡単に触れる。上下の歯がまっすぐ当たった状態から顎をずらしたときに、どのように当たっているかを分類したものだ、と講師は説明する。作業側で犬歯だけが当たるのか、犬歯も奥歯も当たるのか、奥歯だけなのか。作業側で当たっているときに、反対側も当たっているのか。上下のどちらの機能咬頭が当たっているのか。こうした分類がある、という。講師は、こうした当たり方が咀嚼運動に深く関わること、咀嚼のときの顎の動きは複雑で、限界運動の範囲では現れない動きがあることにも触れる。ただし今回の講義は1本の臼歯の干渉を取る話なので、ガイドの話や咀嚼運動に合わせた調整は扱わない、と線を引いている。削る前の審査――問診、動画、触診、セントリック講義の後半で講師が示すのは、自身が臨床で行っている咬合の審査だ。まず問診では、しみるのか、歯肉が腫れているのか、割れたのかといった現状を聞き、それがいつからなのかを時系列でたどる。咬合と全身の関係が疑われる訴え、たとえば肩こりがある場合も、それがブリッジを入れた後からなのか、それ以前からなのか、永久歯列が完成したころからなのかを整理しておくと、本当に咬合から来ているのかが分かってくる、と講師は言う。口腔内では骨隆起やすり減り、咬合関係を見る。講師が勧めるのが、顎の動きの動画撮影だ。顎運動の計測機器を使わなくても、正面から動画を撮れば、動きの偏りや速さの違いが比べられる。咬合の治療に入り込むときは、必ず治療前に撮り、終わった後と比べて評価する。良くなっていれば、治療がうまくいったというフィードバックが得られる、と講師は説明する。触診では、咬筋、側頭筋、耳の後ろのあたり、首を横に倒す筋肉などを触る。講師の医院では項目を簡略化しているという。講師が説明する触診の目的の1つは、治療の前の感触を患者自身に感じてもらい、終わった後に軽くなっていることを感じてもらうことだ。最後にセントリックのずれを見る。開け閉めのスタート地点がずれていれば、動き出しから無理がかかる。講師はこれを、陸上の短距離走で自分のレーンだけ少しずれた位置からスタートさせられる状況にたとえる。何度も繰り返せば、足をくじきそうになる、というわけだ。講師は、下顎をリラックスさせた状態で上の歯を前に出すように促すと下顎が下がり、その位置で噛ませる、という簡便な取り方を紹介している。編集部の解釈としては、講師が「1本の歯をきちんと調整する」話の前に、これだけの準備を置いていること自体が、冒頭の問いへの答えになっている。色がついたところは、削る候補の1つにすぎない。足せず、戻せないからこそ、どこが本当に邪魔なのかを確かめてから削る、ということだ。本稿で扱わないこと講師の名前と所属、講師が紹介する参考書籍・セミナー・オンラインサロン・動画チャンネルの名前、講師が挙げる人物名は扱っていない。自動字幕で聞き取りが不確かだった部分も採っていない。実際の削合の手順とテクニックは、YouTubeで公開されている前半部分には含まれていない。本稿は講義内容の整理であり、個々の患者の咬合調整は、診査の結果と各自の判断に基づいて行ってほしい。元動画を見る【咬合調整】咬合の基礎知識と削合のポイント(2024年4月2日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
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    【ミニセミナーを覗く】「乳臼歯を抜いたら、すぐ保隙装置」と思っていませんか?――講師が先に確かめるのは、抜歯か未萌出か

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    左下の第二乳臼歯がない状態で来院した子ども。保護者は、このまま放っておいていいのか、何か治療が必要ではないかと尋ねる。1Dの「25分間」ミニセミナー「【咬合誘導】実践で使える知識と技術を学びましょう」で、講師が受講者に投げかけたのはこの場面だった。おそらく齲蝕で抜歯されたのだろう、それなら保隙が必要だ――そう頭に浮かんだまま、すぐ保護者に治療方針を話してよいのか。講師は、その前にやっておかなければならないことがある、と言う。本稿では、スライドと自動字幕で確認できた範囲で、講師の主張・経験と編集部の解釈を分けて整理する。「見守る」ことまで含む、広い意味の咬合誘導講師はまず言葉の整理から入る。咬合誘導とは、乳歯列から永久歯列に至る小児期の咬合の発育を正常に誘導する概念と方法をいう、というのが専門用語集の定義だと紹介する。そのうえで、広い意味では小児歯科の臨床で行われるあらゆる処置が咬合誘導にあたる、とも言われる。分かりにくいこの「広い意味」について、講師は小児歯科の学会誌の創刊号にある説明を紹介する。乳歯の萌出前から永久歯の咬合が完成するまでの間、歯列や顎、顔は変化を重ねる。その間、正しくあるべき姿にあるかを見守り、少しでも乱れを見つけたらその原因を追求し、除去に最善の努力を払う――という考え方だ。講師は、通常の治療と違って「見守る」ことが含まれている点に、広い意味を持たせる理由があると説明する。一方で、日常的に行われているのは狭い意味の咬合誘導、つまり装置や訓練、あるいはその併用による治療だ。講義はこちらを中心に進む、と講師は断っている。静的咬合誘導と動的咬合誘導、そして矯正との線引き講師は、狭い意味の咬合誘導を2つに分ける。静的咬合誘導は保隙とほぼ同じ意味で、乳歯を早く失った症例で、歯列にできた空隙を永久歯の萌出まで保持すること。動的咬合誘導は、歯列や咬合の発育過程に異常が認められる、あるいは予見される場合に、積極的に働きかけて改善を図ること。こちらには動的咬合誘導装置が用いられる。小児歯科の咬合誘導と矯正治療はどこが違うのか、とよく聞かれる、と講師は言う。明確な線引きが定められているわけではないとしたうえで、講師の整理はこうだ。混合歯列期に行う小児歯科の動的咬合誘導は、矯正歯科でいう一期治療と重なる、同じものと言ってよい。一方で、保隙や乳歯列期に歯の位置や咬合を変える治療、齲蝕処置や通常の外科処置などは、主に小児歯科が担う、という。重度の外科処置は口腔外科の協力を得ることもある、という留保も添えている。保護者に話す前に、確かめること冒頭の症例に戻る。講師がまず挙げるのは医療面接だ。左下の第二乳臼歯がないのは、本当に齲蝕で抜歯されたからなのか。実はまだ萌出していないだけ、という可能性もある。これは聞いてみなければ分からない、と講師は言う。抜歯された記憶があるなら、その経緯を問診で確かめればよい。前後の歯、たとえば後継の小臼歯の歯胚の状態が分かればよいので、デンタルエックス線写真でも間に合う、と講師は説明する。しかし未萌出だった場合は、それが今どうなっているのかを確かめる必要があり、エックス線画像が欠かせない。萌出できずに埋まっているなら、年齢によっては抜歯を考える必要が出てくる。その下には後継永久歯が控えているはずなので、より広い範囲の異常を予見して、パノラマなどで確認する、という。講師はもう1つ、この症例では前歯がわずかに噛み合っていない、開咬の状態も気になると指摘する。欠損した1歯だけでなく、こうしたところも含めてトータルに見て、必要な検査を行い、治療方針を決める。頭に浮かんだ装置を口にする前に、ここまでを挟むことが求められる、というのが講師の主張だ。模型で見る「歯列弓の幅」と「歯の大きさ」保隙や動的咬合誘導が必要かどうかを判断するうえで、講師が重要だとするのが診断用模型の作成だ。口の中を見ただけでも、使えそうな装置の見当はつく。しかし、その治療に本当に意味があるのか、その装置が本当に適しているのかは、模型を使った分析で確かめる必要がある、と講師は言う。乳歯列と混合歯列とでは計測する箇所が違うので、注意が必要だ、とも。計測した値は、日本人の平均的な値と比べて大きいのか小さいのかを確認する。それを記載するのがポリゴン図表で、乳歯列用と、混合歯列期のヘルマンの咬合発育段階に応じた表が準備されている、と講師は説明する。スライドの例では、歯列弓の幅が平均より狭いという所見が示される。講師が念頭に置いておくよう促すのが、個々の歯の大きさだ。永久歯の歯冠幅が平均より小さい場合は問題になることが少ない。しかし平均より大きい場合は、動的咬合誘導で歯列弓を平均程度まで広げても、きれいには並ばないことがある。予定している治療が十分な結果を得られる方法かどうかを考えるうえで、歯冠幅の確認も重要になる、と講師は言う。保隙より先に、大臼歯を戻すべき場合講義の後半では、混合歯列期に用いる歯列周長分析の手順が紹介される。第一大臼歯の近心面から、各歯の接触点を結ぶ滑らかな弧で反対側の第一大臼歯の近心面までをつなぐのが歯列周長。正中のずれ、前歯の唇舌的な傾き、第一大臼歯の咬合関係を確認したうえで、前歯の実測値と側方歯群の予測値を求め、四分の一顎ごとにスペースの過不足を数値で表す、という流れだ(予測に用いる式や表の詳細は、本稿では扱わない)。そのうえで講師は、冒頭の症例の結論を示す。第二乳臼歯を抜歯して時間がたつと、後方の第一大臼歯が近心に移動することがよく起こる。その結果、側方歯群の萌出余地が不足する。歯列周長分析でその不足が大きいと分かった場合は、保隙という選択肢ではなく、まず第一大臼歯を遠心に移動させて(リゲイン)十分な萌出余地を確保し、そのうえで保隙をする、という2段階の治療が必要になる、と講師は説明する。編集部の解釈としては、冒頭の問いの答えはここにある。保隙装置そのものが間違いなのではなく、抜歯なのか未萌出なのか、すでにスペースが失われていないかを確かめないまま装置を決めることが問題になる。広い意味の咬合誘導が「見守る」ことを含むという講義の入り口は、この確認の手順と地続きになっている。本稿で扱わないこと講師の名前と所属、ポリゴン図表の数値、歯列周長分析で用いる回帰式や予測表の具体的な値は扱っていない。自動字幕で聞き取りが不確かだった部分も採っていない。動的咬合誘導装置の種類や使い方は、YouTubeで公開されている前半部分では詳しく語られていない。本稿は講義内容の整理であり、個々の患者の検査・装置の選択は、各自の判断と必要に応じた専門医との連携のもとで行ってほしい。元動画を見る【咬合誘導】実践で使える知識と技術を学びましょう(2024年3月30日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
    1D編集部
    2026年11月3日
    【ミニセミナーを覗く】「4mmくらいなら様子を見よう」と思っていませんか?――講師が見せた、治療が止まった2年間のエックス線写真

    【ミニセミナーを覗く】「4mmくらいなら様子を見よう」と思っていませんか?――講師が見せた、治療が止まった2年間のエックス線写真

    上顎の前歯の近心に、5mmのポケットとわずかな垂直性の骨吸収。ほかの部位を先に進め、この歯は最後に回していた。1Dの「25分間」ミニセミナー「【歯周外科】チェアサイドの "勘所" はここだ!」で、講師が「オペをしないとどうなるのか」として映したのは、この患者のエックス線写真の経過だった。コロナ禍で治療が中断し、気づいたときには骨吸収が根尖の近くまで進んでいた、と講師は話す。スライドの題は「まずは、SRP後に4mmの単純な部位を、切開してみたらどうですか?」。本稿では、スライドと自動字幕で確認できた範囲で、講師の主張・経験と編集部の解釈を分けて整理する。最後に回した前歯で起きたこと講師の説明によれば、初診は2020年3月。上顎左側中切歯の近心に5mmのポケットがあり、垂直性の骨吸収がわずかに見られた。この程度ならこの部位は最後にしよう、と他の部位から治療を進めていたところ、コロナ禍で講師の病院も一時的に診療を縮小し、結果としてこの部位には2年ほど手をつけられなかったという。スライドには2020年3月、2021年11月、2023年3月の写真とエックス線写真が並ぶ。講師は、基本治療はそれなりに行っていたが、それでも歯石の取り残しがあったと振り返る。いちばん取れそうな上顎前歯でも、4mmを超えるところでは取り残しが起こる。スケーラーの幅や、麻酔をせずに行う痛みもあって少し手を控えてしまったことが自分の反省点だ、と講師は話す。最初の段階で再評価してもう一度SRPを行うか、前歯でも少し開けさせてもらえば、あっという間に解決できていたはずだ、というのが講師の見立てだ。講師がこの症例を「たまたま」持っていたと説明する点も重要だろう。悪くなっていくのを経過観察することは倫理的にもありえないので、オペをしないとどうなるかを示す症例はなかなか持てない、と講師は言う。講師自身の経験であり、すべての4mmの部位が同じ経過をたどるという話ではない。それでも、問題が解決されないまま「また困ったら来てください」となれば、こうした経過になりうる、というのが講師の問題提起だ。歯周外科は、なぜためらわれるのか講師はまず、歯周外科そのものがあまり行われていない現状に触れる。スライドには、歯周病分野の研究者から提供を受けたというレセプト情報(NDB)の解析が映り、SRPの算定回数に比べて、フラップ手術の算定回数がはるかに少ないことが示される。講師の見方では、どれだけ頑張っても外科まで治療を受けられる患者はごく一部にとどまる、それが日本の実情だという(スライドの算定回数は、編集部で原典を確認できていないため本稿では載せない)。ためらう理由として講師が挙げるのは、まず「オペをしても治らないのではないか」という気持ちだ。講師と同世代の歯科医師が学んだころは再生療法がなく、切除療法としてのフラップ手術では歯肉が下がり、骨はなかなか戻らない。プラークコントロールが悪くなったり咬合性外傷があったりすれば、10年、20年と予後が良いとも限らない。そうした気持ちを払拭できない歯科医師は少なくない、と講師は言う。そのうえで、ポケットを測らずにエックス線写真で大きな問題がないからと補綴処置に入っていく例も、決して少なくないと指摘する。もう1つの理由として講師が挙げるのが、学びの場とのギャップだ。専門誌やライブで紹介されるのは最先端の高度な手技が多いが、卒業後に歯周治療を専門的に学ぶ場で研修を受ける人は少ない。いざ自分でやろうとしたとき、参考にするもののレベルが高すぎるのではないか、と講師は感じている。教科書にある「治る要件」では、何が足りないのか。講師が示すのは、自身の大学で学生が使う教科書の図だ。歯周病の原因はプラーク、とりわけ歯周病原細菌であると定義されている。しかし、歯磨きだけをしていれば治るわけではない。病気が進み始めたところに、火に油を注ぐように働く「促進因子」がある、と講師は説明する。講師が挙げる促進因子は具体的だ。ブラキシズムなどによる咬合性外傷、喫煙、糖尿病。服用している薬によって唾液が減り、自浄性が落ちること。日本人を含むアジア系の人では大臼歯の分岐部にエナメル突起やエナメル真珠がしばしば見られるといった、歯の形態。そして講師が最近とても多いと感じるという、セメント質剥離。年齢とともに根尖側のセメント質が厚くなり、繰り返し力がかかるとひびが入り、ポケットがないのに下のほうで骨が失われる、という。ほかにも、ブリッジの支台歯になっている、臼歯部の欠損を補綴していないために小臼歯に力がかかる、といった要因が挙げられる。講師は、これらは学生時代に講義でも定期試験でも出てきた当たり前の知識だが、目の前の患者の口の中と重ね合わせることが十分でないために、治る要件が満たされず、外科をしても思うようにいかないのではないか、と話す。歯周外科は大切だが、それを成功させる環境づくりがすごく重要だ、というのが講師の伝えたいことだという。再生療法に「期待しすぎない」講師は、医局員の治療を見ていて気づくこととして、適応症の選択を挙げる。保険で使える再生療法の選択肢が出てきたことで、再生と聞けば治るという期待が大きくなりがちだ、と講師は言う。知識だけでは追いつけないところがある、とも。講師が示すのは、上顎第一小臼歯の近心だけに7mmのポケットが残った患者だ。基本治療は短期間でうまく進み、ほかの部位はほとんどが2mmか3mmになった。この部位は7年前にも再生治療を受けていたが、うまくいかなかったという。保険診療で紹介されてきた患者でもあり、講師は保険で使える再生剤を適用したが、1年たってもポケットはまったく変わらなかった。講師はこれを、実際には適応を超えていた、とまとめている。編集部の解釈としては、冒頭の「4mmの単純な部位から切開してみる」という提案と、この症例は対になっている。単純な部位で一歩を踏み出すこと、そして難しい部位では再生療法に過大な期待をかけず、適応を見極めること。どちらも、外科の手技そのものより前の判断の話だ。本稿で扱わないこと講師の名前と所属、利益相反の開示の詳細、レセプト解析と歯科疾患実態調査の数値、症例の骨吸収の深さの数値、再生療法に用いた薬剤の名前、冒頭の症例での縫合法の詳細は扱っていない。自動字幕で聞き取りが不確かだった部分も採っていない。再生療法の適応の具体的な基準は、YouTubeで公開されている前半部分では詳しく語られていない。本稿は講義内容の整理であり、歯周外科の適応と術式は、検査結果と各自の判断に基づいて決めてほしい。元動画を見る【歯周外科】チェアサイドの "勘所" はここだ!(2024年3月29日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
    1D編集部
    2026年11月2日

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