歯科助手とは?歯科衛生士との違いや仕事内容・禁止業務、働く場所について解説

歯科助手とは?歯科衛生士との違いや仕事内容・禁止業務、働く場所について解説

1D編集部
2022年8月16日
「歯科助手」と聞いて、何をしている人だと思い浮かびますか?よく言われるのが、先生の横に立ってお口に溜まった唾液や水を吸ってくれている人、あるいは受付にいる人等、認識は様々です。

本記事を読んで、より歯科助手の実態を知っていきましょう。

歯科助手とは?

歯科助手とは、歯科医院の受付事務や診療アシスタントを担当する仕事です。

歯科医療の現場では、主に歯科医師と歯科衛生士、そして歯科助手が1つのチームとして診療を行いますが、歯科助手は歯科衛生士よりも業務範囲が少なく、患者様に直接触れることは基本的にはありません。医療業務従事者ではなく、一般事務職としての扱いになります。

器具洗いや片付けを任されることも多いのですが、歯科衛生士のように院内感染や器具の取り扱い等についての知識を事前に得ていないケースがほとんどであるため、はじめて歯科助手として働く際は注意が必要です。

歯科助手と歯科衛生士の違いは?

歯科衛生士は国家資格であり、医療人としての地位や業務が保証されています。

一方で歯科助手は、国家資格のような公的資格は存在しません。民間資格がいくつかありますが、必ず取得しなくてはいけないわけではないため、民間資格を持たない状態で勤務する方もいます。

歯科助手と歯科衛生士のその他の違いについても詳しくみていきましょう。

修業年数

歯科衛生士は、資格取得にあたり修業年限、時間数、必修学科目が明確に規定されています。養成所にて学ぶ期間は昔は1年だったのですが、徐々に伸びて現在では3年〜4年の通学が必要です。期間が長くなった分カリキュラムに余裕ができ、実習期間が以前より増えたとされています。

一方で歯科助手の場合は、民間資格を取得するには各資格が定める期間で学ぶ必要があり、統一ではありません。カリキュラムの余裕さや充実性を考慮して、ご自身に合う方法を選ぶことが大切です。民間資格の種類については別の章でくわしくご紹介します。

養成所(学校)の指定

歯科衛生士は養成所の指定がありますが、歯科助手はありません。好きな場所で自由に資格を取得できます。制限が少なく、早く働くことができる点は、歯科衛生士にはない歯科助手の魅力と言えるでしょう。

具体的な仕事内容

「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」この3つは、法律で定められた歯科衛生士の三大業務であり、歯科助手は行うことができません。

歯科衛生士と歯科助手の仕事内容の明確な違いは、患者様のお口の中に触られるかどうかです。国家資格をもたない歯科助手がお口の中に触れることは禁止されています。

ほとんどの歯科医院がそのルールを守っていますが、なかにはスタッフ不足を理由に歯科助手にフッ素塗布やブラッシングを任せる所があり、法律上禁じられているため注意が必要です。

患者様のなかには、歯科衛生士と歯科助手の違いを明確に理解している方も少なからずいることから、責任がとれる範囲での勤務を心がけましょう。

歯科助手になるには?資格は必要?

歯科助手は、歯科衛生士とは違い資格がなければ働けない仕事ではありません。しかし、患者様への治療内容の説明や診療のアシスタントをすることもあるため、事前に専門知識をある程度取得している方が働きやすくなるでしょう。

感染予防や器具の取扱い等などの知識は、自分を守るためにも役立ちます。忙しい歯科医院では、器具洗いや片付け等は歯科助手が担当することも珍しくありません。仕事に対する不安をできるだけ減らしたい方は、民間資格の取得がおすすめです。

歯科助手の資格

歯科助手の民間資格を取る方法についてご紹介します。代表的なものは「日本歯科医師会」「全国医療技能検定協議会」「技能認定振興協会」の3つです。

資格

歯科助手資格認定制度(日本歯科医師会)

各都道府県の歯科医師会が主催する制度で、所定の教育訓練を修了した者のみが歯科助手として認定されます。甲種、乙種第一、乙種第二に種類が分けられ、教育訓練の目的や時間が異なります。

歯科アシスタント検定試験(全国医療技能検定協議会)

歯科医院でのアシスタント能力や、医療事務としての能力を証明する検定試験です。難易度は1〜3級に分けられます。

歯科 医療事務管理士®(技能認定振興協会)

歯科の医療事務をメインに能力を証明する検定試験です。カルテを正しく読み取る力やその上での診療報酬の計算、レセプトに関する知識やスキルが問われます。受付メインで働く方にとっては特に有利な資格といえるでしょう。

歯科助手の仕事内容は?

歯科助手の仕事内容は、主に「医療業務」「診療補助」「カウンセリング」の3つに分けられます。

医療業務

患者様への受付での対応や会計、カルテの作成や管理、電話対応など歯科医院を経営する上で欠かせない業務をこなします。お金の管理も任されるため、強い責任感が求められます。

診療補助

歯科医師による治療や歯科衛生士によるクリーニングのアシスタント業務、器具や機材の準備や片付けなどが挙げられます。スピーディーな診療をするには、アシスタントの存在が必要不可欠です。歯科材料の在庫管理や発注なども業務に含まれます。

カウンセリング

患者様から症状を確認したり、治療の流れや対処法をわかりやすく説明したりなど、コミュニケーションをとる機会が多く存在します。治療に関する具体的なことは、安易に断言してはいけません。必要であれば歯科医師や歯科衛生士に確認することが大切です。

カルテに記入してある内容や、受付に並べてある歯ブラシや洗口剤など、販売商品については、スムーズに答えられるよう準備しておく必要があります。

歯科助手が行えない業務は?

歯科助手は、行える業務が制限されています。以下の業務は法律違反となるため、注意しましょう。

患者様のお口の中に触れる

歯科助手は、医療業務従事者ではなく一般事務職としての扱いになるため、お口の中に触れることはできません。患者様の年齢や性別に関係なく、禁止とされています。

フッ素塗布やブラッシングなどは任される可能性があるため、断る勇気を持つことが大切です。法律違反となるため、患者様に訴えられた場合は対処する術がありません。実際に通報・逮捕された件もあります。

レントゲンを撮影する

レントゲンを撮る前のセッティングはできますが、ボタンを押して撮影できるのは責任者である歯科医師のみです。これは歯科衛生士であっても許されない行為であるため、注意が必要です。

麻酔を打つ

麻酔を打つことができるのは、歯科医師またはある一定の条件を満たした歯科衛生士のみです。

歯を削る・歯を抜く

歯を削ったり抜いたりする行為は、歯科医師のみ可能です。歯科衛生士であってもできません。

印象材で型取りをする

型取りもお口の中に触れるため、歯科助手はできません。自費診療などで行われる精密印象は、歯科衛生士であっても許されない行為です。

歯科助手が働く場所は?

歯科助手の主な勤務地は、歯科診療所(歯科医院)です。歯科医院はコンビニの数より多いため、就職先に困ることはまずないでしょう。たとえ資格を持たない歯科助手であっても、経験を積めば医院にとってなくてはならない存在として求められ続けます。

また、訪問歯科で活躍する歯科助手も増えてきました。患者様のいるご自宅や施設へ伺い、歯科医院同様の治療やケアをします。歯科助手としてのアシスタント能力と患者様に寄り添ったコミュニケーション能力が求められます。訪問歯科は歯科診療所では得られない学びがあるため、スキルアップにおすすめです。

歯科助手の働き方

歯科助手に限らず、職場によって働き方には若干の違いがあります。出勤時間や休憩時間の過ごし方、退勤時間などは違いが出やすい部分だといえるでしょう。以下でご紹介する内容は、あくまで目安として捉えて下さい。

歯科助手の仕事の1日の流れは?

一般的な歯科医院での歯科助手の仕事の流れをご紹介します。

朝の準備内容は歯科医師によって異なる

歯科医院によっては、前日の午後の診療終了後に翌日のカルテの準備を済ませておく場合もあります。また診療室の準備は、歯科衛生士が受付の準備は歯科助手がというように、担当場所が決められていることも珍しくありません。

お昼休憩の過ごし方は歯科医院によって異なる

お昼時間を使って全員でミーティングを行う歯科医院もあれば、お昼休憩は完全に自由で外出や自宅で過ごすことを許可している歯科医院もあります。

歯科医院によってやり方に違いがある

掃除機やゴミ捨てといった院内の掃除は朝礼前に行う歯科医院がほとんどですが、治療で使用する機械や器具などの滅菌は、終了時にタイマーをかけておこなう歯科医院もあれば出勤してすぐに滅菌するという歯科医院もあります。

ルールの決め方やその細かさも歯科医院によって違うため、万が一転職する際は「絶対にこう」という決めつけは持たないことが大切です。

歯科助手の休日は?

歯科診療所では、週休2日と設定しているところがほとんどです。休日として多い曜日は木曜日と日曜日ですが、歯科医院によってはあえてずらしている所もあります。

不定休でない限りゴールデンウィークや夏休み、年末年始シーズンは休診日として長期休暇がとれることが多いため、予定は入れやすいと言えるでしょう。

祝日に関しては、振替出勤がある場合も少なくありません。ご家族揃ってのお休みが少なくなる可能性があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

歯科助手が使用する頻度が高い用語・器具


歯科衛生士の給料はどのくらい?

 歯科衛生士の給料は資格手当が追加されるため、歯科助手よりは高くなる傾向にあります。


働く場所や経験年数によって差があり、アルバイトまたはパート、非常勤の歯科衛生士かどうかでも時給に変化がみられます。産後などの再就職は、決して難しい職業ではありません。

時給1,500円以上に設定している歯科医院は多くはありませんが、休日出勤や残業は基本的に少ないため、一般的な職種に比べて有利だと言えます。

正社員になると、歯科助手と比べて多くて10万円近く差がでることから、それを理由に歯科助手から歯科衛生士を目指す方も少なくありません。

仕事と結婚、子育ての両立はできる?

歯科助手や歯科衛生士は、歯科医院があれば働ける仕事です。不定休でない限り決まった曜日に休みを取れ、残業も少ないため、オンとオフを分けやすく自由度が高い職業といえるでしょう。結婚や子育てと両立して仕事を続ける方は少なくありません。

出産を機に退職しても復帰がしやすい

歯科助手や歯科衛生士はどちらも不足ぎみであるため、復帰はしやすい職業だといえます。お子様が小さいうちはパートで働き、お子様が大きくなったら再びフルタイムに戻るという方も少なくありません。


引っ越しや家族の転勤にも対応しやすい

歯科医院があればどこにいても働けるため、引っ越しやご家族の転勤などがあっても、ある程度柔軟に対応しやすい職業だと言えます。

「ここでしか働けない」というプレッシャーを感じずに済むので、そのぶんストレスが少なく、自分に合ったペースで楽しく仕事を続けることが可能です。

スタッフが少ない歯科医院は要注意

スタッフがあまりに少ないと、希望した日に休みが取れなかったり有休をとることに罪悪感を覚えたりしやすいため、注意が必要です。

人数が少なければ、その分一人当たりの労働が増えることから、スタッフが少ないのに患者数(予約数)が多い歯科医院では心身共に疲れやすくなると言えます。

ご家族の時間を充分に楽しめる余裕がなくなる可能性もゼロではありません。就職をご希望の方は、その点も含めて勤務先をお選びください。

まとめ

歯科助手と歯科衛生士は、資格の有無や仕事内容をメインに、違いが数多く存在します。どちらも責任を求められる職業であるため、仕事としてのやりがいは十分に感じられるでしょう。法律上禁じられた業務も存在することから、その点には注意が必要です。

就職先に困らない職業は今の時代そう多くはありません。今後の生活の保険としても役立つため、一度は歯科助手の仕事を経験しておくことをおすすめします。

1D編集部
著者/監修者
1D編集部

1D編集部は、臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士で構成されています。歯科業界の最新ニュースから歯科医療の臨床・学術情報、歯科医療者のためのライフスタイル記事まで、歯科医療の専門家の視点で、ただしく・おもしろいコンテンツをお届けします。

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愛され続け60年。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』を大解剖!

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成人の約30%が罹患していると推計される「知覚過敏」データで見る知覚過敏知覚過敏は日常臨床においてもよく見られる症状ですが、実際に3人に1人が知覚過敏症状を経験しており1,2、若年者*に至っては5人に2人が経験しています。3*18~35歳また成人の2/3が歯周病に罹患していると言われている現代、歯周病罹患患者のうちで知覚過敏症状を発症しているとされる方は60%以上*とされています。冷たいものや甘いものを口にした際に感じる鋭い痛みは、日常生活において大きなストレスとなるため、歯周病だけでなく知覚過敏症状も現代人の口腔内の悩みとして大きい割合を占めていると言えるでしょう。*Haleon調べ知覚過敏の病理・病態カリエスがなく、しみるという訴えがあるとき「知覚過敏」と一言でまとめてしまいがちですが、その定義はエナメル質が摩耗したり歯肉が退縮することによって象牙細管が露出することで生じる一過性の疼痛で、刺激(主として熱,脱水,擦過,浸透圧,化学的刺激)を加えることにより短く鋭い痛みを発するのが特徴です。知覚過敏が発症するケースは多岐に渡りますが、開口した象牙細管の内部にある組織液がさまざまな刺激により動くことにより、閾値が下がり、鋭敏となった象牙細管内の神経終末や象牙芽細胞が興奮し痛みが生じるという動水力学説が一般的に考えられています。Hys症状改善方法の違い知覚過敏の発生機序から考えて、症状改善方法として3つの方法が考えられます。1つめは結晶物を析出させたり、レジン系やグラスアイオノマーセメント系の材料で行う「象牙細管の封鎖」です。次に、グルタールアルデヒドとハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などを主成分とする各種製品やレーザーなどにより「タンパク質を凝固させることにより細管内組織液が動かないようにする」方法があります。この2つが主にオフィスケアで用いられている方法です。3つめの方法である「知覚鈍麻(閾値上昇)」に関しては、硝酸カリウムを主として有効成分とする製品が知られています。オフィスケア用の製品もありますが、そのほとんどが歯磨剤としてセルフケア用に使用されており、予防も含め、ホームケアとして有効成分が含まれた歯磨剤を普段から使用することによって適切な効果を発揮していきます。市場に溢れる知覚過敏症状の抑制効果を謳った各種材料は、いずれも上記のどれかが(複数の場合もあり)採用されています。参考資料1.Addy M. Int Dent J 2002; 52:367–375.2.Ipsos Claimed Penetration Omnibus. January, 2015.3.West NX et al. J Dent 2013; 41:841–851.知覚過敏には患者さんのセルフケア習慣化も重要なぜセルフケアが重要なのか?適切な診断のもと、知覚過敏症状に対する正しい原因除去を行うことができればほとんどの症状は治まりますが、現実には処置後も続く患者の訴えに困ることもあるかもしれません。そのようなときには、繰り返し同じ知覚過敏症状を抑制する製品を使用したり、異なる製品を用いるしか方法はないのでしょうか?実は、知覚過敏症状を抑制するためには効果的な順番があり、その順序を守らないと望ましい効果が得られないのです。まずは「知覚鈍麻」させた後に「凝固」させ、それから「象牙細管の封鎖」を行うというプロセスで行うのが望ましいでしょう。凝固や象牙細管の封鎖に関する処置を行なった後に知覚鈍麻を行なっても、効果は十分に期待できず、治らない症状に対して次の手がなくなり困ることになるかもしれません。そのため、患者さんの日々のセルフケアによる知覚過敏に対するアプローチも重要になってくるのです。セルフケアの原則は「歯磨き」知覚過敏の主な原因のひとつとしてプラークコントロールの不良が挙げられますが、プラークの付着は象牙細管の開口に関わるため適切なセルフケアによるプラークコントロールは知覚過敏症状抑制の原則となります。また、軽度の知覚過敏症状であれば、酸性食品、飲料の摂取を控えて適切なプラークコントロールを行えば自然に治癒する場合もあり、予防も兼ねて知覚過敏ケア効果のある歯磨剤を使用して歯磨きを行うことが知覚過敏に対する基本的な対処法として考えられます。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』『シュミテクト』は、知覚過敏の症状を予防するための歯磨剤で、海外では『Sensodyne(センソダイン)』と呼ばれ、世界中で高く評価されています。知覚過敏用の歯磨剤の市場規模が拡大する中、『シュミテクト』は特に注目されるブランドであり、2024年1月時点で、18年間連続で売上を伸ばし、市場をリードしています。*歯がしみるのを防ぐ「硝酸カリウム」や、歯肉の炎症を抑える「グリチルリチン酸モノアンモニウム」、う蝕予防に役立つ「高濃度フッ素1,450ppm」も含まれており、知覚過敏症状だけでなく、歯周病、口臭、ホワイトニング、う蝕といった多様なオーラルケアニーズにも対応しています。*インテージSRI+ハミガキ市場2023年5月~2024年4月累計販売金額シェア(「シュミテクト」シリーズ計)『シュミテクト』研究員にインタビュー『シュミテクト』の歴史と『シュミテクトプラチナプロテクト EX』の開発秘話今回は、Haleonジャパン株式会社のオフィスに実際に伺い、研究開発担当の中谷 遼太朗氏に、『シュミテクト』の歴史と、新商品の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発秘話についてお伺いしました。Haleonジャパン株式会社 研究開発担当 中谷 遼太朗氏── まずは、シュミテクトの歴史について教えていただけますか?はい、シュミテクトの歴史は非常に長いです。まず、1961年にアメリカとイギリスで『Sensodyne original』として誕生しました。その後、1980年に、硝酸カリウムを含む初の歯磨剤『Sensodyne F』が登場し、臨床的に知覚過敏症状抑制効果が証明され、画期的な製品として大きな注目を集めました。1992年には、日本で初めて硝酸カリウムを配合した『シュミテクト』が発売され、それ以来、多くの方に愛用されています。さらに進化を続け、2024年3月には『シュミテクトプラチナプロテクトEX』が新たに発売されました。── 新製品『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発に至った背景をお聞かせください。ワンディー株式会社 編集部・高橋 佳奈これまでのシュミテクト製品は、知覚過敏症状に対する有効成分として硝酸カリウムを主に配合していました。従来の製品でも十分に効果を発揮していましたが、より広範囲のユーザーに効果を届けたいという思いから、今回の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』では新たに、有効成分の乳酸アルミニウムを加えました。これにより、より幅広いニーズに応えることができる、さらに効果的なケアを実現する製品が完成したと考えています。『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の特徴とエビデンス── 『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の主な特徴について教えていただけますか?先ほどもお伝えしたのですが、『シュミテクトプラチナプロテクトEX』は、硝酸カリウムと乳酸アルミニウムという2つの有効成分を配合しています。硝酸カリウムは歯髄神経の過敏性を鎮めることで、内側からの知覚過敏症状を軽減します。一方、乳酸アルミニウムは露出した象牙細管の穴を塞ぎ、唾液中のリン酸イオンと結びついてリン酸アルミニウムとして結晶化し、外側からの刺激を防ぎます。Haleonジャパン株式会社 メディカルアンドサイエンスアフェアーズ オーラルヘルス研究員 金山 昌氏このダブルの効果により、「鈍麻」と「封鎖」の両面から知覚過敏にアプローチします。さらに、寝ている間が知覚過敏ケアに有効な時間であることに着目し、こちらの『プラチナ プロテクトEX 集中ナイトケア』を開発しました。就寝前に使用していただくことで、長時間有効成分が歯にとどまり、象牙細管をしっかり封鎖し、外からの刺激を防ぎます。この他にも、歯周病予防のために、抗炎症作用を持つ「グリチルリチン酸モノアンモニウム(MAG)」、う蝕予防として「高濃度フッ素」が含まれており、知覚過敏の症状を防ぐだけでなく、歯周病やう蝕予防にも効果的なケアが行えます。── 『集中ナイトケア』の効果を示すエビデンスはありますか?ナイトケア製品は、象牙細管の封鎖効果が8時間後に2倍以上増加することが研究データで確認されています。このデータは、ナイトケアとして就寝前に使用することで、長時間にわたり知覚過敏をケアできることを示しています。さらに、これだけではなく、当製品は耐酸性の効果も持ち合わせています。酸性のクエン酸溶液を用いた実験では、封鎖物が流されず、酸に対して強い保護層が形成されることが証明されました。── 製品の信頼性については、どのような点が重視されていますか?当社では「信頼されるサイエンス」を理念に掲げ、科学的根拠に基づいた製品開発を行っています。法律で義務付けられていないことでも、品質保証のために社内の厳しい基準を設けています。たとえば、私たちの歯磨剤は全て、品質保証期間を通じて、フッ素がう蝕予防に有効な形(遊離フッ素)として製品に存在することを担保しています。また、新たに配合した乳酸アルミニウムは酸性の成分ですが、歯磨剤のpHをを中性に保ちながら有効成分の効果を最大限に発揮できるように設計されています。これは高度な技術であり、成分同士の相互作用を考慮しつつ効果を保つためのバランスを取ることが求められます。このような徹底した品質管理と研究開発の取り組みが、実際に製品を使用したお客様から「効果を実感した」「知覚過敏症状が改善した」といった評価を得ることにつながっていると考えています。Haleonヘルスパートナーに登録する3つのメリット!Haleonヘルスパートナー(旧:GSKヘルスパートナー)ではオーラルヘルス、特にセルフケアに関する知識を深めるためのコンテンツや、歯科医療従事者の日々の臨床をサポートする情報を提供するプラットフォームです。著名な講師が登壇。臨床に役立つ情報をウェブ講演会で無料配信!象牙質知覚過敏症、歯周病、義歯安定剤や義歯洗浄剤、口腔内装具用洗浄剤に関するウェブ講演会を無料でご視聴いただけます。過去のウェブ講演ダイジェスト 動画もご覧いただけます。 患者さん用無料サンプルでセルフケアを習慣化!診療がスムーズに患者さんのセルフケア習慣化をサポートするための患者さん用製品サンプルをご依頼いただけます。歯磨剤(シュミテクト・カムテクト)や義歯安定剤、義歯・口腔内装具用洗浄剤などインターネットから簡単に患者さん用サンプルをオーダーいただけます。日々の臨床にお役立てください。製品情報と患者さん用資材ダウンロード製品情報や、セルフケアの指導に活用していただける患者さん用資材をダウンロードいただけます。ぜひ、こちらよりアカウント登録をして申し込んでみてはどうでしょうか。無料で登録する
1D編集部
2024年9月27日
「8割の歯科医師が将来性を感じている」。訪問歯科診療の実態調査を実施

「8割の歯科医師が将来性を感じている」。訪問歯科診療の実態調査を実施

DSヘルスケアグループ(代表・CEO:寒竹 郁夫)のデンタルサポート株式会社(本社:千葉県千葉市、代表取締役:草深 多計志)は、1D会員の歯科医師に対し「訪問歯科診療に対する意識調査」アンケートを実施した。調査内容期  間:2024年5月30日~2024年6月30日対  象:「1D」に会員登録している歯科医師有効回答:419名調査方法:WEBアンケート60%以上の歯科医院が訪問歯科診療に取り組んでいる一方で、訪問先施設への加算協力の実施は半数以下。約80%の歯科医師が「訪問歯科診療はまだ伸びる」と将来性を感じていると回答した。調査の詳細は以下の通り。調査結果の概要① 訪問歯科診療の実施状況60%以上の歯科医院で訪問歯科診療を実施しており、担当医は理事長・院長が多い。訪問メンバーの構成は歯科医師+歯科衛生士が多い。歯科衛生士が口腔ケアのみで訪問している歯科医院は約30%約60%の歯科医院が、訪問先施設への加算協力をおこなっていない。② 訪問歯科診療の実施に感じている課題は、器具機材の準備と体制整備。③ 約80%の歯科医師が「訪問歯科診療はまだ伸びる」と将来性を感じている。調査結果の詳細訪問歯科診療の実施状況60%以上の歯科医院で訪問歯科診療を実施している。月に1回以上実施している歯科医院の割合は46.8%。医院として訪問歯科診療の実地状況訪問の際のメンバー構成訪問歯科診療の担当医口腔ケアのみで歯科衛生士が訪問しているか訪問先施設への加算協力の現状機材は何を準備しているか(実施日数別の持参機材)開始するにあたって大変だったこと<訪問の際のメンバー構成><訪問先施設への加算協力の現状>訪問歯科診療を実施するうえでの課題<訪問歯科を実施している医院>現在の課題実施状況に満足しているか<訪問歯科診療を実施していない医院>60%以上の歯科医院は、これから新たに訪問歯科診療を始めることを考えていない。始めたいと思う条件は「経営にプラスになるなら」。訪問歯科診療を始めたいと思うかどのような条件であれば始めたいか始めるにあたっての疑問点・不安<訪問歯科診療への考え方>訪問歯科診療への熱量(関心度)将来性をどのように考えるか訪問歯科診療の勉強会で学びたい内容<訪問歯科診療の将来性>アンケート結果の全文はこちら
1D編集部
2024年9月5日
勝ち組院長はやっている、訪問歯科診療の集患対策〜医業収入UPに必要な考え方と勝ち筋〜

勝ち組院長はやっている、訪問歯科診療の集患対策〜医業収入UPに必要な考え方と勝ち筋〜

現在、高齢者の要介護者は75歳以上の5人に1人となり、そのために通院が困難になり、多くの歯科クリニックで高齢者の来院数が減少している。患者の減少を防ぐために、歯科医院経営においては外来診療だけでなく、訪問歯科診療を活用することが重要だと考えられるが、訪問歯科診療の導入はハードルが高いと感じる歯科医師も多く、なかなか活用できていない現状がある。そんな中、2024年4月24日にデンタルサポート株式会社歯科事業部コンサルティングチームの丹澤淳二講師より、訪問歯科診療での”勝ち方”についての講演が行われた。本記事では、訪問歯科診療のおける患者を増やし医業収入を伸ばす方法として、認知度を高める介護サービスの理解連携を図るなど、講演で語られた重要なポイントをかいつまんで紹介する。訪問歯科診療で勝つ=患者が集まる歯科医院ビジネスにおいて、売り上げを上げるための考え方は次の公式で表せる。集客×成約×単価=売上訪問歯科診療に当てはめると、「集客=認知を高める必要がある」「成約=紹介を受けて問い合わせに繋げる」「単価=結果として診療をすることになる」と理解する必要がある。まず、集客の部分でもっとも大切な「認知」だが、訪問歯科診療を全く知らない患者に向け、どう情報提供し認知度を高めるかがポイントになる。外来と訪問の違いを理解する認知度を高めるためには、私たち歯科医療従事者が「対象患者・診療場所・患者説明・保険種類・ 診療点数」の5つを例に、外来と訪問の違いを理解しておく必要がある。外来対象患者・・・通院できる人診療場所・・・院内治療説明・・・患者本人保険種類・・・医療保険診療点数・・・初診再初診(267点・58点)訪問歯科診療対象患者・・・通院できない人診療場所・・・介護施設、病院、自宅など治療説明・・・患者本人、家族、施設のスタッフや本人を取り巻く関係者保険種類・・・医療保険、介護保険など診療点数・・・歯科訪問診療料(1,100点・410点・310点・160点・95点)異なる点も多いが、まず「診療場所」と「治療説明」に着目してほしい。介護施設や病院であれば、施設長や生活相談員、ケアマネジャー、医師や看護師、自宅であれば、他医療従事者や介護事業者など、患者(ひとり)に対し、歯科の必要性を理解してもらわなければならない。また歯科医療者側は患者に提供されているサービスを個別に把握する必要がある。そしてそれぞれに合った歯科医療の提供と他職種との連携が必須だ。介護サービスの理解前述の通り、訪問歯科診療における患者は基本的に介護サービスを受けており、その理解は非常に重要になる。主に提供されている介護サービスは大きく3つに分けられる。居宅施設地域密着型それぞれの詳細は以下の通りだ。居宅サービス訪問サービス訪問介護訪問入浴介護訪問看護訪問リハビリテーション居宅療養管理指導通所サービス通所介護通所リハビリテーション短期入所サービス短期入所生活介護短期入所療養介護施設サービス介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)介護老人保健施設介護療養型医療施設(2024年3月末に廃止、4に統合)介護医療院特定施設入居者生活介護地域密着型サービス訪問・通所型サービス小規模多機能型居宅介護夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護認知症対応型サービス認知症対応型通所介護認知症対応型共同生活介護(グループホーム)施設・特定施設型サービス地域密着型特定施設入居者生活介護地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)その他のサービスとして、福祉用具貸与特定福祉用具販売住宅改修費支給居宅介護支援(ケアプラン)がある。このような多種多様なサービスを個々の要介護者が利用している。全てを把握する必要はないが、患者として訪問する対象者がどういったサービスを受けているかを理解し、それぞれの対応が求められる。介護サービスを理解し、複数のサービス事業者へ広報することで認知を広がり、集患につながるため訪問歯科診療を始めるにあたって欠かせないポイントだ。集患の鍵は多職種との連携サービス事業者等の認知を獲得できたとして、どう紹介してもらうかが集患の具体的な鍵になる。「多職種に歯科の必要性は理解されているか?」この課題に対しては歯科医院からの情報提供不足も原因だと考えられている。また厚労省調査より、歯科治療や口腔管理が必要だと判断された要介護高齢者は64.3%だったが、過去1年以内に歯科受診した要介護者はわずか2.4%に止まり、居宅系サービスにおいて歯科治療が必要な利用者57.8%に対し、73.8%は定期的に歯科を受診していないという結果がみられた。以上のことから、訪問歯科診療の必要性が理解されていない、歯科医院が多職種と連携できていないため需要に対して明らかに供給不足となってしまっていることが分かる。この課題を解消するために、外来で取り組める施策として院内掲示用ポスターの設置、告知用パンフレット、ダイレクトメールや情報交換誌などを活用することが大切だ。周囲との連携を図り、認知を拡大することで家族や知人を経由した紹介に繋がり、集患にレバレッジを聞かせることができる。認知を高める×連携を図る=患者紹介この効果を意識した対策をデンタルサポート株式会社では提案している。訪問歯科導入PLAN設定で売上up!これから訪問歯科診療を導入する先生及び、すでに訪問歯科診療を導入している先生が訪問歯科診療で他院との差別化し、どれくらいの売上を得られるか、デンタルサポート株式会社では緻密なシミュレーションのもと提案している。デンタルサポート株式会社では過去にも多くのシミュレーションと改善実績を誇り、様々なケースにおける歯科医院をサポートしてきた。本記事を読んで、もっと医院の売上を伸ばす方法を探したい訪問歯科診療における集患について学びたい施設・職員との連携や取り組みについて詳しく知りたいといった疑問や興味が沸いた先生は、ぜひ下のボタンからお申し込みいただきたい。無料で相談する
1D編集部
2024年8月15日

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