林 美加子 教授(大阪大学大学院歯学研究科教授)
う窩のない未来を目指す国際チャリティーACFF(Alliance for a Cavity-Free Future)日本支部では、カリエスマネジメントシステムICCMS (International Caries Classification and Management System)™️を、わが国の教育・臨床に導入するプロジェクトを推進してきました。このICCMS™️は、カリエスマネジメントのグローバルスタンダードとして、FDIはMinimal Intervention Dentistryの臨床での実践のために推奨しています。この度、念願のICCMS™️ e-ラーニング日本語版をお届けする準備が進んできましたので、日本ヘルスケア歯科学会の皆様にご紹介したく思います。今回の講演では、ICCMS™️を構成する重要な要素である4Dシステム:Determine(個人のリスク判定)、Detect(う蝕の検出と評価)、Decide(個人に合わせた治療方針の決定)、Do(適切な処置の実行)について解説いたします。生涯にわたるカリエスマネジメントの実践のために、いかにICCMS™️を日本の臨床および教育に取り入れることができるかについて、皆様とオープンに議論できればと思います。
Prof. Svante Twetman
(コペンハーゲン大学名誉教授 Faculty of Health and Medical Sciences, University of Copenhagen)
演題が示すとおり、このプレゼンテーションは前半の「ポピュレーション(集団)に対する研究」と後半の「個人に対する臨床」から成ります。ここでは科学としてのカリエスリスクアセスメント(CRA)と臨床におけるCRAを用いたカリエスマネジメントをはっきりと分けて理解していただきたいのです。集団の研究は、そのまま個人には適用できません。個人あるいは家族に対してCRAを用いることの有益性は証明されていません。臨床では、カリエスリスクを下げる行動を動機づけるためにCRAを使いますが、どんな検査をしても、行動に結びつかなければ時間の無駄です。患者さんとのコミュニケーションに役立たせなければ意味はありません。リスクカテゴリーよりも予防ケアの有無がリスクを決定するのです。臨床すなわちカリエスマネジメントにおいて、CRAは重要な礎であり、同時に重要な道具です。
講演は、 ①CRAの定義、 ②集団におけるCRA(方法論、予測因子、精度)、 ③患者に対するCRA、④CRAの有害事象、 ⑤リコメンデーションの5つのセクションからなりますが、最後にわずかですが「害」についても触れますので、注意して聞いてください。活発な質疑を期待します。
※本セミナーはリアル会場・オンライン会場で開催されます。リアル会場でのご参加も随時受け付けております。