歯科疾患が死に至る病である、たった1つの理由

歯科疾患が死に至る病である、たった1つの理由

ミホ
2019年12月28日
ミホ
著者/監修者
ミホ
歯科衛生士
1Dプレミアム
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「歯科助手はすぐ辞めるもの」で、また求人を出していませんか?――対談が先に整えたのは、入職1日目と、点数の付かない仕事の先

「歯科助手はすぐ辞めるもの」で、また求人を出していませんか?――対談が先に整えたのは、入職1日目と、点数の付かない仕事の先

歯科助手が定着しない、という悩みは珍しくない。1Dの対談動画「歯科助手の離職率を劇的に下げる新人教育の秘訣」は、聞き手の歯科医師の「歯科助手って、めっちゃ辞めない?」という一言から始まる。対談が離職の理由として挙げるのは、本人のやる気の問題だけではない。入ってすぐの教え方と、続けた先の見通しという、医院の側で用意できる2つの仕組みである。本稿では、出演者が語った内容と編集部の整理とを分けて書く。題名の「劇的に下げる」は動画の表現で、ここに挙げる方法で離職が減るという保証ではない。辞める理由は、入ってすぐと、続けた先にある聞き手は、自分が勤める医院の職場環境は良いと思っているが、それでも在籍中に歯科助手が何人も入れ替わったと話す。離職率が高いのは肌で感じている、という。組織の運営に携わっているもう一人の出演者が挙げるのは、入職前のイメージと実際の仕事のずれだ。白衣を着た華やかなイメージで入ってくるが、実際の仕事はそれとは違い、レセプト請求のような事務も含まれる、と言う。加えて、歯科助手の多くは特に強い志があって業界に入ってくるわけではなく、そういう人のマネジメントは難しい、とも話す。聞き手はトピックを2つに分ける。1つ目は、なんとなく入った人がすぐに辞めてしまうこと。未経験で業界がわからないのに、医院は忙しくて現場で教える余裕もない。2つ目は、続けても将来が見えにくいことである。2つ目から読む:歯科助手には「点数」が付かない順番を入れ替えて、先に2つ目を見ておく。この回で、医院経営の側から見て最も具体的なのがこの部分だからだ。聞き手は、一般の会社なら勤め続ければ昇給していくが、歯科助手は難しい、と問いかける。もう一人の出演者の答えは、構造の話だった。ベースアップはあってもそれほど大きな金額にはならない。歯科助手には算定がなく、アシストについても点数が付くわけではない。だから院長から見ると、歯科助手は院長の労力を減らしてくれる存在という文脈でしか収入に結びつかず、キャリアアップがしにくい、という説明である。聞き手も、売上を上げていなければ昇給にはつながらない、と言い換える。そのうえで出演者が示す出口が、患者への説明を担う役割だ。自費の治療や矯正、補綴について患者に説明する人がいれば院長にとって重宝されるし、院長はその時間を診療に充てられる、と言う。聞き手は、トリートメントコーディネーター(TC)を例に、歯科助手として入り、一定できるようになったらTCを目指す、という院内の道筋を用意すれば辞めないのではないか、とまとめる。ここには留保も付いている。出演者は、歯科医師や歯科衛生士の知識は使うべきで、その労力は治療や予防処置に充てるべきだとしたうえで、歯科助手には一定の知識を与えることが前提だと言う。聞き手も、「ジルコニアがいいですよ」と勧めることではなく、治療したことやこれから治療することを説明するのが大事だと念を押す。売り込み役を育てるという話ではない、と読むのが妥当だろう。1つ目に戻る:入職1日目で完結させる1つ目の、すぐに辞めてしまう問題について、もう一人の出演者が最初に挙げるのはマニュアルである。院長が消毒のやり方などを口頭で教え、その人が辞めてまた同じ話を繰り返す、というのはよくあることだと言う。一度、動画でも文書でもいいので作ってしまえばいい、という提案だ。ただし、何を載せるかが問題になる。聞き手は、歯科助手向けの分厚い仕事の本を「これ読んどいて」と渡しても読まないだろう、と話す。もう一人の出演者は、歯の本数のような知識は知らなくても大した話ではなく、実務で使うもの、つまり片付けと準備があればいいと言う。聞き手が一番最初に強く教えるのは、ここは汚い、ここはきれい、という区別だ。汚れたものを素手で触るのは本人のリスクになる、と理由を添える。清潔と不潔の扱いは医院ごとに違うので、細部まで共通にはできないが、基本の考え方は教えられる、という。教える形として対談が勧めるのは動画である。必要な知識だけを短く見せれば、教える側はいちいち付きっきりにならずに済み、本人もわからなくなったら何度でも見直せる。聞き手は、入職1日目を研修の時間にして、その1日で完結させましょう、と言う。教材の費用は医院が持つ聞き手がもう一つ強調するのが、教材を誰が負担するかである。参考書を自分で買うように言われることがあるが、働いている側からすれば、その日はマイナスになる。だから教材は医院で用意し、院長が時間を取って見せてほしい、そこは徹底してほしい、と話す。もう一人の出演者は、モチベーションがあれば自分から勉強していき、歯科衛生士学校に進む人も多いと言い、それを補助している医院もあると続ける。聞き手は、そういう流れが生まれるといい、と受け止めている。2つの仕組みを、求人の前に置いてみる編集部として整理すると、この回の2つのトピックは、時間軸の前と後ろにあたる。前は、入職1日目に何を、どの順番で、誰の負担で教えるか。後ろは、点数の付かない仕事を続けた先に、どんな役割と処遇があるか。どちらも、辞めた人の代わりを探す前に、医院の側で用意しておけるものである。1Dでは歯科衛生士の採用を、勤務の終わる時刻と昇給の道筋から考える記事も出している。歯科助手の場合は資格職ではない分、入口の教え方と、院内での役割の作り方がより直接に効いてくる、というのが対談から読み取れる違いだ。いずれも出演者の経験と見立てに基づく話で、自院にそのまま当てはまるとは限らない。元動画を見る歯科助手の離職率を劇的に下げる新人教育の秘訣(2025年5月15日公開)
1D編集部
5時間前
「保険診療だから潰れない」と思っていませんか?――対談が挙げた倒れ方は、売上ではなく院長の手元から始まっていた

「保険診療だから潰れない」と思っていませんか?――対談が挙げた倒れ方は、売上ではなく院長の手元から始まっていた

歯科医院は安定した商売に見える。1Dの対談動画「歯科医院が倒産しないために今すぐやめるべき行動3選」でも、聞き手の歯科医師がまずそう口にする。ところが対談は、潰れる理由を患者の減少や景気には置かない。最後に画面にまとめられる3つは、無駄遣い、院長のスタンス、算定漏れだった。どれも院長が自分で変えられる側の話である。本稿では、出演者が語った内容と編集部の整理とを分けて書く。題名の「今すぐやめるべき」は動画の表現で、これだけで倒産を防げるという保証ではない。「売上の7割を国が払う商売」でも潰れる対談の入口は、歯科医院の数の話だ。聞き手は、新しく開業する医院より閉業する医院のほうが多くなっていると切り出す。歯科医師の動態や算定に詳しい出演者として紹介されるもう一人も、閉業が開業を上回るようになってきたと応じ、資金繰りに行き詰まって閉じる例もあると話す。動画では具体的な件数も挙がるが、本稿では一次資料と突き合わせていないため数字は載せない。そのうえで出演者が強調するのが、保険診療という仕組みの特徴である。売上の7割から全部を国が出してくれるビジネスモデルだ、と言う。楽勝とは言えないが、という前置き付きだ。聞き手はこれを、7割の中に原価が収まっていれば利益は出続けるということですよね、と言い直す。出演者は「処置によりますけどね」と留保する。編集部の言葉に直すと、この回の問いは「なぜ売れないのか」ではない。売上の多くが制度で支えられているのに、なぜ手元にお金が残らないのか、である。だから対談が挙げる原因は、出ていくお金と、取りこぼしているお金の両側に分かれていく。1つ目は無駄遣い、ただし「設備」と「人の置き方」の話1つ目の無駄遣いとして聞き手が挙げるのは、地域に合わない設備投資だ。むし歯がほとんどない人が集まる地域で、マイクロスコープやCTといった「三種の神器」をそろえる例を出す。無駄かどうかは人それぞれだが、と断りながらの指摘である。材料を使いすぎる話も出るが、1Dでは材料費の見直しを別の記事で扱っているので、ここでは触れるだけにしておく。対談がより時間を割くのは人の置き方だ。算定に詳しいもう一人の出演者は、自分が開業したら、と前置きして、アシストについても点数が付くわけではないと指摘する。治療の質を求めるならアシストを付けるのはいいが、経営的な観点だけで見れば、そのぶん別のユニットで予防をしているほうがいい、という見方だ。聞き手は、アシストがあれば歯科医師も楽で患者にも良いと認めたうえで、受付の自動応答や予約、自動精算機など、自動化できる部分は増えていると話を広げる。画面のまとめも「人件費というか、人の配置も考えましょう」「自動化できるところは自動化していこうよ」である。人を減らせという話ではない。誰をどこに置くと医院の収入につながるのかを、院長が一度は数えておく、という整理だと編集部は読んだ。2つ目は院長のスタンス2つ目は、人の問題を誰の問題として見るか、である。聞き手は、もう一人の出演者が先に「スタッフが悪い」と言ったことを受けて、院長側に原因があるケースも少なくないと切り返す。例に出るのは、スタッフが全員辞めてしまった医院の話だ。出演者は、その期間は点数も下がるし、最初からちゃんとしていれば全員が離職することはない、と言う。聞き手が問題にするのは、そうした院長の受け止め方である。自分は悪くないという感覚が残っていて、地震や火事と同じような口ぶりで語る、と出演者が重ねる。画面には「原因自分なのに」「客観視したら絶対おかしいですから」と出る。聞き手は、人がいなくなって困った、で終わらせず、そういうことがあった院長は改善しましょうと話す。ここで言われているのは、全員離職のような極端な例だけではない。人が定着しないとき、まず院長自身のやり方を点検の対象に入れるかどうか、という姿勢の話である。3つ目は算定漏れと、お金の使い道3つ目は収入の取りこぼしだ。算定に詳しい出演者は、立地が良ければ算定漏れだけで潰れることはないだろうと前置きしつつ、だからこそ「少しくらい取りこぼしても大丈夫」と思われているのがまずいと言う。やったことはきちんと算定する。そのためには算定を学ぶ必要があり、点数表は自分の生命線なのに、学ぶ機会がほとんどない、と続ける。聞き手も、研修医のころは本を読んでおけと言われるだけでよくわからなかったと振り返る。出演者がとくに勧めるのは、勤務医に対する算定の教育である。対談では、個別指導の前にカルテを書き換えてきたという話を聞いて驚いたという例も出る。聞き手はそれを改ざんだと切り返す。算定を学ぶことは、取りこぼしを減らすためだけでなく、適正に記録し請求するための前提でもある、と編集部は受け取った。話の最後に聞き手が加えるのが、お金の使い道だ。個人事業主の院長にありがちなこととして、何でも経費にしてしまう例を挙げる。どこまでが経費として認められるかは税務の判断で、本稿では扱わない。出演者が言いたいのはその手前で、医院で得た利益はスタッフの教育や分院展開など、医院に再投資すべきだ、という点である。目先の楽しみに使ってしまえば医院は潰れる、と画面にも出る。3つを、手元のお金で並べ直す動画の最後に画面にまとまるのは、①無駄遣いをしない、②院長のスタンスの改め、③算定漏れが無いように、の3つだ。聞き手は、接待交際費のような出費も含めて無駄遣いをせず、保険の収益の部分をもう一度勉強してほしいと締めくくる。編集部として整理すると、3つは手元のお金の出入りに対応している。出ていくお金では、地域に合わない設備と、収入につながらない人の置き方を見直す。入ってくるお金では、やった診療をきちんと算定する。そして、その差として残ったお金を、医院を強くする方向に使う。院長のスタンスは、この3つを他人のせいにせず自分の課題として扱えるかどうか、という土台にあたる。いずれも、ここで挙げた例が自院にそのまま当てはまる保証はない。それでも、売上が制度で支えられている商売だからこそ、倒れ方は外からではなく院長の手元から始まる、というのがこの回の見立てである。元動画を見る歯科医院が倒産しないために今すぐやめるべき行動3選(2025年6月5日公開)
1D編集部
1日前
「謝ったら負け」で、クレームに身構えていませんか?――対談が分けたのは、共感を示す謝罪と、責任を認める謝罪だった

「謝ったら負け」で、クレームに身構えていませんか?――対談が分けたのは、共感を示す謝罪と、責任を認める謝罪だった

クレームを受けたとき、歯科医院で口にしやすい言葉は2つある。「申し訳ありません」と、「こちらに落ち度はありません」だ。1Dの対談動画「クレーム患者が常連に変わる魔法の対応とは?」は、この二択のあいだに線を一本引く。謝罪には種類があり、ためらうべきでない謝罪と、慎重に扱うべき謝罪は別物だ、という線である。題名の「常連に変わる」は出演者の経験談から来た表現で、どの患者にも当てはまる結果ではない。本稿では、出演者が語った内容と編集部の整理とを分けて書く。入口は「失敗しない」という言葉への違和感対談は、以前話題になったドラマの「私失敗しないんで」という台詞から始まる。聞き手の歯科医師は、自信は大事だとしたうえで、そう言う医師が実際にいたら困ると話す。医療安全に詳しい出演者として紹介されるもう一人は、そうした台詞は医療安全をわかっていない人が口にするものだと応じる。医療安全に詳しい出演者が強調するのは、ミスをしても事故につなげない仕組みである。歯科は部位を間違えることこそ多くないが、元に戻せない処置が非常に多い、と言う。聞き手も、臨床をしていて自分が失敗しないとは思っていない、と認める。大丈夫だと言い切った後に少しでも何かあれば、大丈夫と言ったのに、と返されるからだ。聞き手はさらに、ミスがなくてもクレームは生じる、と続ける。対応を間違えなければ、苦情を言っていた患者がかえって良い評判を残すこともある、というのがこの回の出発点である。謝罪には2種類ある、と対談は言う本題で医療安全に詳しい出演者が持ち出すのが、コンフリクトマネジメントという考え方だ。そのうえで、「謝ってはいけない」とだけ覚えている人が多いが、と前置きし、謝罪には「共感表明の謝罪」と「責任承認の謝罪」の2つがあると説明する。共感表明の謝罪は、「お騒がせしてごめんなさい」「ご心配をおかけして申し訳ございません」といった言い方で、相手の大変さに寄り添うためのものだ。出演者は、この謝罪はためらうべきではないと言う。一方の責任承認の謝罪は、こちらに責任があると認めることを指す。出演者によれば、責任を認めるとそれが証拠になってしまう。だから「謝ってはいけない」と聞いて一律に口を閉ざすのではなく、どちらの謝罪を使うかで分ける、という整理になる。編集部の言葉に直すと、クレーム対応で問われているのは謝るか謝らないかではなく、何について謝るかである。なお、法的な責任や賠償の扱いは事案ごとに違う。個別の判断は、加入している賠償責任保険の窓口や弁護士に相談することになる。患者の気持ちには段階がある医療安全に詳しい出演者は、ミスを起こされた側の患者の心理は、第1段階から第5段階まで類型化できると説明する。字幕から読み取れる範囲で並べると、次のようになる。第1段階は、健康被害から回復したい。第2段階は、なぜこうなったのか、誠意ある説明がほしい。第3段階で、謝罪をしてほしいという感情が来る。第4段階は、二度とこういうことが起きないようにしてほしい。それでもこじれると、金銭による慰謝や、医療者を懲らしめたいという感情が生まれ、最終的に第5段階に至る、という。出演者は、損害賠償や裁判にまで至ったケースは、第1段階から第4段階までの対応のまずさが原因であることが多いと述べる。だから第3段階のタイミングで共感の謝罪をきちんとする、という流れになる。聞き手は、カッとなっている人を前にしたときに、気持ちが段階的に言語化されていると助かると受け止めている。この類型は出演者の説明として紹介されたもので、本稿では出典や研究の中身までは確かめていない。対談の終盤では、この流れがあらためてまとめ直される。まずミスを事故につなげない。つながったら説明をする。次に謝ってほしいという感情が来たら謝る。自分の過失であれば謝り、過失がない場合や明らかでない場合は、責任を認める謝罪が賠償につながる証拠になりうるので、謝るところは謝る形で使い分ける。そのうえで院内でちゃんと説明する、という順番である。院内の転倒も「事故」に入る謝罪の話は治療の失敗だけに限らない。聞き手が例に挙げるのは、病院の廊下で転んでけがをしたケースだ。床が滑りやすかったからだと言われることがあり、敷地内で起きたことであればケアしなければならない場面がある、と言う。それ自体は治療のミスではない。医療安全に詳しい出演者も、歯科医院の入り口の段差でつまずいたという例を重ねる。聞き手は、「知らんがな」と思うかもしれないが、と前置きしたうえで、人によっては自分が転んだだけだと受け止める人もいれば、そうでない人もいるので、先の5段階を考えて対応すべきだと話す。事故は起こりうるという前提で考えなければいけない、という指摘である。前の医院を悪く言わない、という気のつけ方後半では、聞き手が自身の臨床での経験を2つ話す。1つ目は、別の歯科医院で「この歯はもう無理だと思う」と言われ、それまで通っていたのにほうっておかれたのではないかと怒っていた患者のケースだ。聞き手の見立てでも、その歯はかなり厳しい状態だった。そこで、すぐに対応できない点については「申し訳ないね」と伝え、残すならこういう方法がある、と説明して大学病院の受診につないだ。その後は通院が途絶えて経過は見られていないが、それ以上のトラブルにはならなかったという。聞き手が気をつけたのは、「大変だよね」という共感の謝罪はしながら、前の医院の診断や対応に非があるような話はしないことだった。2つ目は、前の医院で問題行動があったと聞いていた患者が来院したケースだ。対応したのは聞き手ではない別の歯科医師だが、そのやり取りがうまくはまり、今では来るたびに菓子を持ってくるほど関係が築けて、継続して通っているという。題名の「常連に変わる」はこの経験から来ている。ただし聞き手自身、そのときの初期対応がどうだったかはわからないと断っている。そのうえで聞き手は、仮に「前の歯医者が悪かったですね」と言ってしまうと、今の医院で同じようなことが起きたときにまた怒らせてしまうかもしれないと注意を促す。医療安全に詳しい出演者が、ここで返す一言が「共感的態度ですよ」である。聞き手は最後に、コンフリクトマネジメントのように体系化された知識はあっても、それだけでうまくいかない場面もあると言い、知識を入れたうえで注意して対応してほしいと締めくくる。編集部として持ち帰れるのは、次の2点だろう。受付やチェアサイドで「謝ったら負け」と考えて言葉が止まりそうになったら、まず相手の大変さに対する謝罪を口にしてよい。そして、自院の責任や前の医院の非について言い切る言葉は、その場では使わない。元動画を見る【歯科医必見】クレーム患者が常連に変わる魔法の対応とは?(2025年6月12日公開)
1D編集部
2日前
「長く開ければ予約は埋まる」で、診療時間を決めていませんか?――開業初月の集患で、対談が最後に置いたのは開業前のエリア分析だった

「長く開ければ予約は埋まる」で、診療時間を決めていませんか?――開業初月の集患で、対談が最後に置いたのは開業前のエリア分析だった

「開業初月から予約が埋まる」。1Dの対談動画は、題名だけを見ると広告の打ち方を並べる回に見える。実際に挙がる策は3つで、1つ目がオンライン、2つ目が地域に出ていく活動、3つ目が開業前のエリア分析だ。ただし3つは同じ重さで語られているわけではない。前の2つは開業後も続けて手直しできるのに対し、3つ目は開業してからでは動かせない前提に関わる。そこで対談が繰り返し退けるのが、「長く開けていれば患者は来る」という考え方である。本稿では、出演者が語った内容と、編集部が読み取った整理とを分けて書く。題名の「パンパン」は出演者の表現で、どの医院でも初月が埋まるという保証ではない。最初に置かれるのは、初月の重さ話の入口は歯科ではなく、出演者の会社の近くに開店した飲食店だ。オープン時に「シャンパン1杯無料」をうたっていた。新しく開いた飲食店には人が並ぶことがある。一方で、都心のように家賃が高い激戦区では、気づくとなくなっている店も少なくない。出演者はこれを「歯科医院にも言えることではないか」と持ち出す。もう一人の出演者が応じるのは、新規開業時の内覧会の文化だ。内覧会は「スタートダッシュのためにある」と言い、理由として「家賃も変わらない」ことを挙げる。だから最初から立ち上がった方が経済性はいい、という見立てである。編集部の言葉に直すと、初月の集患は宣伝の出来栄えより、固定費が走り出す時期にどれだけ患者と接点を持てるかの問題として語られている。1つ目と2つ目は、「やる」と「ちゃんとやる」の差1つ目のオンラインについて、対談が挙げるのはGoogleマップ上の医院情報だ。動画では「Googleマイビジネス」と呼ばれている(現在の名称はGoogleビジネスプロフィール)。出演者の一人は、店を探すときはGoogleマップを使うと言い、登録して内容を埋めているかどうかで「全然違う」と述べる。理由は単純で、周りがちゃんとやっていないから、という。画面のまとめも「まずはオンライン登録して内容を埋めることが重要」で、最後の振り返りでは「『やる』だけじゃなくて『ちゃんとやる』」と言い直されている。SNSについては、出演者の評価が分かれる。地域の人に向けた発信ならリコールには結びつくという意見がある一方、バズらせて新患を獲得するという使い方には距離を置き、むしろ採用には効きそうだという声が出る。口コミの扱いや再生数の追い方は1Dの別記事で扱っているので、ここでは「オンラインは開業後も手入れを続ける土台」と受け取っておけば足りる。2つ目の地域密着型の策として挙がるのは、内覧会、地域の新聞や掲示板といったアナログな広告、地方での地元企業のテレビCM、企業などへ出向く歯科検診、訪問先の施設でスタッフ向けに開く講習会、地域でのセミナー活動だ。出演者は、こうした活動で「あの歯医者さん」という認知が得られ、「セミナーやってた先生だ」という信頼にもつながると話す。ここでも成果の数字は示されていない。語られているのは、患者になる前の地域の人と顔を合わせる場面を、開業する側から作れるということだ。3つ目だけは、開業してからでは遅い対談が「めちゃくちゃ重要」と位置づけるのが、最後の開業前の話である。開業する場所はエリアを考えて決めるはずだが、改めてそのエリアにどんな層が多いのかを見て、診療のメニューを考えておく。出演者は、これが開業前にできているかどうかで「初月の初速というのは全然違う」と言い、もう一人の出演者は「開業してからエリア変更ってできないので」と重ねる。具体例として、大きなターミナル駅の周辺なら時間を長めにとって行き来する人を取る、という考え方が示される。出演者の一人は、以前分院長を務めた医院の前院長の判断も紹介する。ベッドタウンで、山手線沿線の駅が近く、そこから少し外れて家賃が安い場所だったため、仕事終わりに来る人が多いと見た。周りの歯科医院が木曜休みばかりだったので木曜を開け、土日も診療する。そうすれば周りに溢れて来られない人たちが来るから、ちゃんと埋まる、という考え方である。これは出演者が見聞きした一医院の経験談で、同じ条件がそろわない場所にそのまま当てはまるものではない。エリアの見方としては、ファミリー層が多い場所、大学が近く学生が多い場所も挙がる。ファミリー層を狙うなら朝から17時で閉めてもいい、ともう一人の出演者は言う。画面のまとめは「どんな診療スタイル、営業時間にしていくか戦略を立てる」だ。「長く開ける」は戦略にならないここで対談がはっきり否定するのが、とにかく長く診療しようという発想だ。出演者の一人は「『長く診療しよう』というのは」と切り出し、「これはもう戦略じゃない」と言う。もう一人も、無駄だと応じる。出演者の一人は、アルバイト先の例を出す。曜日によって診療時間がまちまちで、夜遅くまで開けている日もあるが、その時間帯は特定の患者のためだけに開けているような状態になることがある。全体で見れば、ずっと長く開けていたら多分無駄だが、遅い時間でもいいというスタッフがいるから成り立っている、という説明だ。画面のまとめは「長くやれば良いってもんじゃない」である。時間の決め方は採用にも跳ね返る。経営効率だけで言えばエリアに応じて短くも長くも決めればよく、9時〜17時の医院は歯科衛生士にとってありがたいと感じる人も多いのでは、という意見が出る。もう一人の出演者は「エリアによりますけどね」と留保を付けている。編集部の読みでは、診療時間は集患の数字と人の集めやすさの両方に効く設計であり、患者の多い時間帯を見ずに延ばすと、どちらにも効かない時間が残る。開業前に、院長が書き出せること対談の3つの策を時期で並べ直すと、オンラインと地域の活動は開業後も続けて磨けるが、エリアと、そのエリアに合わせた診療時間・メニューの組み立ては開業前に決める比重が大きい。開業準備のなかで、次の3つは物件の資料と地図があれば紙に書き出せる。ひとつは、そのエリアで多い層は誰か。通勤の途中に寄る人か、子どもを連れた家族か、学生か。ふたつめは、その層が来られる時間帯に、周りの歯科医院が開いているかどうか。みっつめは、その時間に誰が働くのか。長く開ける案は、最後の問いに答えられて初めて現実的になる。いずれも、ここで挙げた例が自院にも当てはまる保証はない。それでも、開業してからでは動かせない前提を先に確かめておけば、初月に何を広告するかを決める材料にはなる。元動画を見る歯科医院の開業初月から予約が埋まる|地域No.1集患戦略(2025年6月19日公開)
1D編集部
2026年10月12日
「技工士が減るのは技工所の話」で済ませていませんか?――対談が最後に指したのは、医院から出ていく紙の指示書だった

「技工士が減るのは技工所の話」で済ませていませんか?――対談が最後に指したのは、医院から出ていく紙の指示書だった

「技工士がいなくなるのは本当か」。1Dの対談動画は、この問いを正面から立てる。司会の石川氏の答えは短い。「本当だと思いますね」(263秒)。ただし、すぐに「先10〜15年は必要なくなることはないんではないかと思うんですよ」(275秒)と続ける。減ることと、要らなくなることは別の話だ、という整理である。この話題は、歯科医院の側では「技工所の人手の問題」として聞き流されやすい。だが対談をたどると、論点は途中から発注する側、つまり歯科医院の仕事のやり方へ移っていく。本記事では、確かめられる数字と出演者の見立てを分けながら、その移り方を追う。減り方と年齢は、統計で確かめられるAI企業を運営する松岡氏は、技工士の数は「もう明らかに減っているんですよね」(91秒)と言い、高齢化が進んでいること、65歳以上が「5人に1人」という状況(123秒)、新規参入が減っていること(127秒)を挙げる。この部分は一次資料で確認できる。厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によれば、2024年末の就業歯科技工士は31,733人で、前回(2022年末)から1,209人、率にして3.7%減った。年齢階級別では65歳以上が19.3%で最も多い区分になっている。「5人に1人」という言い方は統計と合う。入口の側も細い。歯科技工士国家試験の合格者は、2025年2月実施の回で684人(受験者733人)、2026年2月実施の回で722人(同792人)だった。一方、対談に出てくる平均年齢、免許保有者数と歯科医師数の比較、養成校の過去の校数といった数字は、今回は照合しきれなかったため本文では使わない。確かなのは、働く人が減り、その年齢層が上に厚いという構造のほうである。「いなくなる」と「仕事がなくなる」は違うでは、技工の仕事そのものはなくなるのか。石川氏の見立ては、需要は「それほど変わらない」(307秒)というものだ。理由として挙げるのは臼歯部の2級修復で、難易度が高く、コンポジットレジンの耐久性を考えると間接修復が望ましいと言われている(291〜299秒)。だから間接修復を担う技工士は必要になる、という順序である。これは出演者の臨床上の見解として受け取っておきたい。同時に、石川氏はAIとデジタルが技工の工程を大きく変えうることも認める。デジタルで印象を採り、院内でミリングまで済ませる1日治療の例(323〜339秒)、咬合面のデザインを3次元モデル上で組み立てられること(347〜355秒)。そのうえで、触った感覚を再現する部分は技工士の手作業に残るだろう、とも述べる(451〜459秒)。置き換わる工程と残る工程を分けて考えよう、という立場だ。減る理由は、技工所の努力不足だけではない松岡氏が強調するのは業界の構造である。仕事の源泉は「患者が歯科医院に来ること」であり(387秒)、技工所は「ある種下請けのような位置関係」(391秒)に置かれる。売上の上限が決まっているため、薄利多売にならざるを得ない(395〜399秒)。技工所は約2万件あり(407秒)、長く働くしかなく、高齢化で新しい機材も入れられない(411〜415秒)。歯科技工所の数は先の統計で20,278か所なので、「約2万」は実数とほぼ一致する。その先の見通しとして、松岡氏は二つの方向を挙げる。職人気質の技工士が付加価値の高い自費の補綴物を熟練の技で作る道と、機材を導入できる大型の技工所に集約される道だ(467〜481秒)。どちらに進むかは予測であり、確定した話ではない。医院の側の実感も語られる。石川氏は勤務先で一人で営む技工所に依頼しているといい(171秒)、新しい設備投資は「なかなか出来ないんですよ」(179秒)というやりとりが続く。CAD/CAM冠が中心になれば、医院としては別の技工所を検討したくなるのが現場の感覚だ、とも話す(187〜199秒)。依頼先が設備を更新できないことが、医院の選択を変えていく。ここに発注側の判断が入り込んでいる。医院から出ていく紙が、技工所の手間になっている対談の終盤、松岡氏は「歯科技工指示書って未だに紙じゃないですか」(527秒)と切り出す。石川氏も「僕は未だに紙ですから」(539秒)と応じ、複写式の用紙に書いて渡していると話す。その用紙は技工所が作って用意し、管理もしなければならない(551〜559秒)。松岡氏はこれを「明らかなDXの余地」(563秒)と呼ぶ。ただし、指示書だけを電子化しても意味がない、とも言う(595秒)。画面には「それらが全部つながったときにDXの価値が生まれる」(599秒)というテロップが出る。石川氏の言い換えでは、予約台帳、カルテ、傷病名、技工指示が連携すれば、形成の記録から「来週7番のインレーセット」「納品」までがつながる(615〜627秒)。だからアポイントまでデジタル化しないと意味がない(631秒)。技工所が減る話は、医院の予約と記録の仕方の話に着地する。院長が先に確かめられることここからは編集部の整理である。対談は、技工所を選べば解決するとも、デジタル化すれば技工士不足が止まるとも言っていない。言っているのは、技工の受け手と出し手が同じ流れの両端にいる、ということだ。そう読むと、医院で先に確かめられることがある。いま依頼している技工所は、誰が担い、何年先まで続けられる体制か。納期や再製作のやりとりに、医院側の紙や電話が何回挟まっているか。指示書に書いている情報は、カルテや予約の記録とどれだけ重複しているか。いずれも、技工所に問い合わせる前に院内で数えられる。技工士の数が減る流れを、一つの医院が変えることはできない。それでも、受け手が減るなかで「出す側の手間」を減らすことは、医院が自分で決められる範囲に残っている。元動画を見る歯科技工士がいなくなる!?【AI×デジタル】で激変する歯科業界(2025年7月3日公開)
1D編集部
2026年10月9日
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