「ルッキズム(lookism)」とは、外見至上主義とも呼ばれるように、人間の外見のみを重視して人を判断したり、容貌や容姿を理由に差別的な扱いをしたりすることを指します。
近年では、各大学で行われていたミスコンの中止やプラスサイズモデルの活躍など、ルッキズムへの批判の風潮が広がりを見せています。
この立場は、審美歯科治療ーー矯正治療や自費補綴、ホワイトニングなどーーと矛盾するはずです。なぜなら、審美歯科治療は、乱暴な言い方をすれば「外見だけ」を問題にしているためです。
歯科医師は、その養成過程で歯の審美的要件に関する教育を受けており、それが何たるかを理解しています。歯科医師の頭の中には「絶対的によい見た目」が存在し、そこから外れるものは「審美的ではない」と解釈します。
世間における「外見」への認識が大きく変化するなかで、審美歯科治療はこのままでよいのでしょうか。歯列の1mmのズレを訴える未成年の女性に、われわれはどこまでの侵襲性を許容すべきでしょうか。また、その侵襲の根拠はいったいどこにあるのでしょうか。
今回の社歯サーでは、社会学者で関西大学教授の谷本奈穂先生をお招きし、ルッキズムと審美歯科治療の関係性や意味についてディスカッションをします。
通常の臨床セミナーでは満足できない先生方のご視聴、お待ちしています。
関西大学総合情報学部教授。大阪大学人間科学部卒業、同大学院人間科学研究科博士課程修了、博士(人間科学)。関西大学総合情報学部助教授、准教授を経て2012年より現職。著書に『美容整形と化粧の社会学(新曜社)』、『美容整形というコミュニケーション(花伝社)』、『恋愛の社会学(青弓社)』等。
1992年、千葉県生まれ。鶴見大学歯学部在学中から個人でアプリ開発を行う。歯科医師国家試験の対策アプリを開発し、新卒歯科医師の約8割が利用するまで成長させる。2016年に歯科医師免許を取得。東京歯科大学大学院博士課程に進学後は、医事・衛生法規や歯科医療管理、社会保障制度など歯科保健医療が抱える種々の問題について専攻。同大学院中退後の2017年にワンディー株式会社を創業。