【歯科助手あるある】歯科助手の給料や禁止行為を紹介

【歯科助手あるある】歯科助手の給料や禁止行為を紹介

小森 柚
2022年8月13日
「歯科助手という仕事、未経験から始めてみたいけど『仕事が辛い』という話を聞いたこともあるし…」と、不安に思っていませんか?確かに未経験で新しいことにチャレンジするのは勇気がいりますよね。

今回はそんな不安を払拭するために、歯科助手の業務内容や給料、実際に歯科助手として働いている方々の声をまとめました。

この記事を最後まで読むことにより、歯科助手がどんな働き方なのか、どんな人が歯科助手に向いているのかを知り、医療従事者としての一歩を踏み出せるようになるでしょう。

歯科助手ってなに?

歯科助手とは、歯科医師や歯科衛生士のアシスタントとして、機材の準備や診療の補助などを行う職業です。診療のサポートだけでなく、院内の清掃や器具の消毒、お会計や次回の予約を取ったりなど様々な業務に携わり、歯科診療所において欠かせない存在です。

スキルや経験を積めば、どの歯科医院でも求められる存在になります。歯科助手の仕事を極めれば、転職活動などでも困る事はないでしょう。

英語表記では「Dental Assistant」。その頭文字から「DA」と呼ばれることもあります。

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    歯科助手になるにはどうするの?

    歯科助手には必須な資格や免許はないため、未経験からでも仕事に就くことができます。実際の求人でも未経験歓迎という歯科医院は多くあるので、その求人に応募して就職することでいつでも歯科助手として業務を始めることができます。

    一方で「歯科医師」や「歯科歯科衛生士」は、資格が必要になります。特に歯科助手と歯科衛生士は認識が混合されやすいため、歯科衛生士との違いをきちんと理解しましょう。それは、歯科助手と歯科衛生士では「医療行為ができるかどうか」の違いがあります。

    歯科衛生士には国家資格が必要です。資格を取得することで、歯科衛生士の主な業務である「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」が可能になります。簡単に言うと患者さんの口腔内で器具を操作したり、保健指導を行うことが可能になというわけです。

    一方で、歯科助手は医療行為以外の業務を担当します。患者さんの口腔内を直接触れる行為や「歯科衛生士として」保健指導をすることはできません。そのため、歯科医師や歯科衛生士が医療業務従事者と区分されるのに対し、歯科助手は一般事務に区分されることもあります。

    歯科助手の仕事内容は?

    歯科助手ができること

    歯科助手は先ほどもお伝えした通り、
    • 医療事務業務
    • 診療補助
    • カウンセリング
    などの業務を主に担当します。

    【医療事務業務】
    主に受付周りや、デスクで行う業務です。
    • 予約
    • 会計等の受付業務
    • カルテの管理
    • 電話対応
    などを行います。

    【診療補助】
    歯科医師や歯科衛生士のアシスタント業務です。
    • 機材や薬品の準備
    • 診療中のサポート
    • 案内や介助
    • 説明などの患者様対応
    などを行います。

    【カウンセリング】
    患者様とコミュニケーションをとり、治療の経過や症状の変化等を確認します。歯科医師や歯科衛生士に正確に伝える事により、診療がスムーズに進むでしょう。他にも任される業務は多く、歯科医院によって業務の範囲は大きく異なります。

    しかし、どの歯科医院であっても患者様とのコミュニケーションや診療の補助、準備片付けは必須です。したがって細やかな気遣いができる方や、人とコミュニケーションをとるのが好きな方が歯科助手の仕事に向いていると言えるでしょう。

    また作業が正確で丁寧な方も歯科医師や歯科衛生士から信頼される歯科助手の要素の1つです。正確で丁寧な作業をスピード感を持って行えるよう日々努力できるような方は、もしかすると歯科助手が天職になるかもしれません。


    歯科助手ができないこと

    歯科助手は国家資格が必要となる「医療行為」を行う事ができません。
    具体的には、
    などは業務範囲外となります。

    放射線を扱う業務は歯科医師や医師、診療放射線技師のみが行うことができます。歯を削ったりなどの治療全般も歯科医師のみが行うことができる業務です。

    また歯科助手は口腔内の中で器具を操作したり、薬品を扱うこともできません。検査や歯の型どりをすることもありません。歯ブラシ指導などの「保健指導」の範囲の中の業務も、歯科助手の業務の範囲外となります。

    口腔内での細かな作業はありませんが、歯を削っているときに器具から出ている水を吸ったり、器具の受け渡しをしたりといったことは行います。つまり、自分の業務範囲外であっても口腔内の基本的な知識や治療の流れは把握しておく必要があります。

    このように歯科に携わり勉強しながら、歯科助手をしているうちに更にキャリアアップしたくなり、歯科衛生士の資格を習得する方も少なくはありません。

    歯科助手の勤務先は?

    いわゆる一般的な「歯科医院」です。歯科診療所での歯科助手としての業務は前述のとおりです。

    基本的には受付やお会計などの事務業務から診療の補助、片付けに至るまで幅広い業務をこなすこととなります。そのため、効率的かつスピーディーな動きや細やかな気遣いができるかなどが重要となってきます。

    また患者様にとって歯科助手は一番接しやすい存在であり、受付から最後のお会計までの長い時間接することになります。つまり、患者様にとっては歯科助手がその歯科医院の「顔」ということです。そのためコミュニケーション能力や笑顔での接客が求められるでしょう。

    また歯科診療所といってもさらに細かく分類されます。矯正歯科や審美歯科、小児歯科などそれぞれのジャンルに特化した歯科診療所が存在します。各々歯科診療所でありながら、各ジャンルの知識が多く必要です。

    矯正歯科ではその名の通り、矯正治療を専門にしています。矯正歯科での歯科助手の業務としては、矯正治療中の診療の補助や写真撮影などがメインになるかもしれません。

    審美歯科は、ホワイトニングなどの「見た目」にフォーカスを当てた治療を専門にしている歯科診療所のことです。審美歯科での歯科助手の業務としては、カウンセリングや診療の補助、写真撮影などがメインになってくるでしょう。

    小児歯科では、基本的に子供に対して診療を行います。子供は歯科に対して警戒心や不安を強く感じる場合が多いので、歯科助手はうまく子供とコミュニケーションをとり、不安を払拭してあげる必要があります。

    あなたが歯並びや美容に興味があるのであれば、矯正歯科や審美歯科へ。そしてあなたが子供好きなのであれば、小児歯科に務めるのもいいでしょう。このように歯科診療所でも様々な働き方がありますので、よく求人をチェックしてみましょう。

    2.訪問歯科

    訪問歯科とは、その名の通り歯科医院の中で診療をするのではなく、施設や自宅に訪問して診療を行います。訪問歯科の場合は、求人に「歯科コーディネーター募集」と記載されている場合もあります。

    主な患者層は歯科診療所に行って受診することができない70代以上の方が多いです。したがって、ご高齢の方と接するのが好きな方や慣れている方に向いている勤務先と言えるでしょう。

    本格的な治療を行う場合もありますが、ほとんどは「口腔内のケア」や「嚥下訓練」を行う場合が多いです。どちらも健康に長生きして頂くためには必要な診療なので、しっかり知識を頭に入れておきましょう。

    業務としては、訪問予定の管理や訪問ルートの確認、器具機材の準備や片付け、診療の補助などの業務がメインとなります。本格的な治療がほとんどないと言っても、歯科診療所のようにいつも整った環境が揃えられるということもないですし、限られた器具、機材で診療を行うことになりますので臨機応変に動ける能力が必要となります。

    時間も限られているため、迅速に判断や行動する力も必要となってくるでしょう。また訪問する際の車の運転を任される場合もありますので、運転免許が必須となる求人がほとんどです。

    歯科助手の一日のスケジュール

    診療時間や業務内容は歯科医院によって異なりますが、診療時間が午前9時~午後18時までの場合の基本的な歯科助手の働き方、1日の流れはおおむね以下の通りです。

    8:45 ー 出勤・診療準備
    9:00 ー 午前診療開始
    12:00 ー 午前診療終了・片付け
    12:30 ー 休憩
    13:30 ー 午後診療開始
    18:00 ー 午後診療終了・片付け
    18:15 ー 退勤

    このような流れになるでしょう。歯科医院によっては診療の開始時間、診療終了の時間、休憩時間が変動します。しかし基本的には、1日8時間勤務の歯科医院が多いようです。


    歯科助手の給料はどのくらい?

    歯科助手の初任給

    歯科助手の初任給は歯科医院や地域によって異なりますが、正社員の場合ですと17~22万円ほどが相場だと言われています。資格も必要ない職業ですので未経験からのスタートであれば、やや低めのスタートになることもあります。

    経験を積んでいけば昇給したり、転職することによって給料が上がったりする場合もありますので、まずはスキルを磨いていきましょう。

    歯科助手の月給・年収

    2022年1月時点の全国平均の歯科助手の年収の相場は以下の通りです。
    歯科助手の平均年収は、323万円ほどとなっています。こちらの平均年収は、厚生労働省の【令和3年度賃金構造基本統計調査】から算出しております。パート・アルバイトの場合やお住いの地域でも変動があるため、実際の求人を見てみることをお勧めします。

    歯科助手の将来性

    現在歯科診療所の数はコンビニよりも多いとされています。それだけ歯科が重要視されているということです。

    そして、すべての国民が毎年歯科検診を受診することを義務付けられる「国民皆歯科検診制度」の導入が検討されているなど、日本全体で歯科に対する意識が高まってきています。それに伴いニーズなども多様化しており、今後もさらに歯科助手の仕事は広く必要とされるでしょう。

    歯科助手には必須な資格はありませんが、より歯科助手としての価値を高める民間資格も存在します。資格を取得することによってさらに歯科助手としてのあなたの需要は高まる事になるでしょう。

    また前述のとおり歯科助手を経験し、さらにキャリアアップするために歯科衛生士の資格を習得する方も多くいらっしゃいます。歯科衛生士も歯科助手同様、今後も必要とされる仕事と言えるでしょう。

    歯科助手の方の実際の声は?

    今回は、SNSで歯科助手として働いている方の実際の声を調査しました。インタビューではなく、匿名で不特定多数が見ることのできるSNS上だからこそ、取り繕った回答ではなく本心で思っているであろう声を集めました。

    歯科助手という仕事に就くのに不安な気持ちがある、自分に合っている職業なのかわからないという方も実際の声を聞くことにより、さらに歯科助手としての働き方が明確になることでしょう。

    その1、やりがいを感じた経験は?

    例えば歯科系資材の会社(歯○メディカルとか)とか機材の会社(ヨシ○とかシロ○とか)の営業事務とかなら私どうかなぁ?って思うんだ。DAやってたからわかるんだけど患者さんが痛くなくなった!って言って帰るのめちゃくちゃ嬉しいからそういう現場からは離れちゃうんだけども。

    Twitter:https://twitter.com/chiyojinakahara/status/1519902564015550464?s=20&t=Xel_39-XBrP0sIwn86r-cg

    その2、歯科助手として頑張っていることは?

    皆さんこんばんは✨みーこです🐿💓
    私は今カウンセリング練習頑張ってます!
    ホワイトニングのカウンセリングデビューに向けて日々頑張っています!
    応援してくださーい📣✨

    Twitter:https://twitter.com/veritasocc/status/1497511977815805953?s=20&t=Xel_39-XBrP0sIwn86r-cg
    今の職場、Drだけでなく周りのスタッフみんな勉強意欲がすごくて、毎日とても良い影響を受ける🥺自分も色々質問されるし、勉強しないとってプレッシャーはんぱない😂

    Twitter:https://twitter.com/harenohi_da/status/1486978649928601600?s=20&t=Xel_39-XBrP0sIwn86r-cg

    その3、思わず突っ込みたくなる歯科あるあるは?

    ユニットの不具合で技術さん呼んだんだけどね、終わって帰った後、お局様が

    「〇〇さん(技術の男性)の声はタイプなんだけどなぁ〜」って……

    え?はい?

    おいおいwお前はどの目線で言ってんだよ?と心の中でツッコミを入れずには居られなかった。

    皆様、暑い中今日もお疲れ様でした。

    Twitter:https://twitter.com/lasQ5Vhqpovn85v/status/1546480934962499585?s=20&t=N5aGL8zxmRUy-fbPfV9pvQ
    唾液の粘土がすごくてバキュームですったときに「ズゴゴゴゴコゴー」ってなる患者さん。ごめんなさい、いつも心の中で笑ってます

    Twitter:https://twitter.com/dental_bot__/status/1235545219719770112?s=20&t=Xel_39-XBrP0sIwn86r-cg

    まとめ

    今回は、未経験から歯科助手として働いてみたいけど実際にどのような働き方なのか、どのような人が向いているのかを中心にお伝えしました。

    歯科助手は資格も必要なく、誰でも未経験からでも始められる仕事です。
    またスキルが上がってくるととキャリアアップとして資格を習得したり、歯科衛生士になるために歯科衛生士学校に入って勉強したりする方も多くいらっしゃいます。

    日本全体で歯科に対する意識が高まってきており、それに伴ってニーズなども多様化し、今後もさらに歯科助手の仕事は広く必要とされるでしょう。
    小森 柚
    著者/監修者
    小森 柚
    歯科衛生士

    1994年、香川県生まれ。香川県歯科医師会立歯科医療専門学校卒業後、歯科衛生士免許を取得。香川県で2年間、岡山県で2年間臨床経験後、スモールビジネスを立ち上げ、フリーランスとして働いている。その後、株式会社F.R.Wilで、同じようにスモールビジネスを立ち上げようとしている人達の企画やレターのブラッシュアップ、SNSマーケティングを行う。2022年に当社参画。セミナーの企画や記事作成に携わっている。

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    どうして私だけ。合格率9割の歯科衛生士国家試験に「落ちた」女たち

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    歯科衛生士国家試験の合格率は、例年95%を超える。受験資格が基本的には歯科衛生士学校を卒業した者に限定されるため一概に比較することはできないが、国家試験としては合格率の高い部類に属するだろう。本記事では、歯科衛生士国家試験に不合格になった経験のある女性3名に取材を行った。今回取材に協力してくれたのは、田代さん(仮名・24歳)と斎藤さん(仮名・22歳)、そして松田さん(仮名・31歳)だ。 合格にストーリーがあるように、不合格にもそれぞれのストーリーがある。不合格後も内定先の歯科医院で歯科助手として働きながら合格を目指している人や、学費を捻出することができずに3年以上も受験を続けている人など、数字では語られないバックグラウンドがある。【あなたにおすすめの記事】> 【ルポ】歯科医師国家試験、多浪生の現実> 歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路1年の歯科助手経験を経て合格、田代さん(24歳)の場合田代さん(仮名・24歳)は短期大学の歯科衛生士科を卒業後、2018年の第27回歯科衛生士国家試験を受験したが、あえなく不合格となった。翌年の国家試験を受験して合格し、現在は歯科衛生士として埼玉県内の歯科医院で歯科衛生士として働いている。 明るくハキハキと話す彼女の口から、不合格だった1回目の試験直後のことを語ってもらった。 「私はもともと成績があまり良くありませんでした。試験当日はプレッシャーもあって、問題を解いている最中も ”あぁ、これは落ちたな” と思いながら解いていました。試験が終わって自己採点をしてみると、やっぱり点数が足りていませんでした」。 自己採点で点数が足りなかったため、すぐに諦めがついたと田代さんは語る。すでに地元である埼玉県内の歯科医院に内定が決まっていたが、内定先の院長とも話し合い、歯科助手として採用してもらえることになった。 「翌年、自己採点で合格点を取れた時はものすごく嬉しかったですね。両親と学校の先生、院長先生にもすぐに泣きながら報告しました。あとは学校の同期にも、1年前は私のせいで合格率100%が達成できなかったので、報告しました」と当時の嬉しさを振り返っていた。 ケアレスミスで1点に泣いた、斎藤さん(22歳)の場合斎藤さん(仮名・22歳)は、2020年に行われた第29回歯科衛生士国家試験で不合格となった。斎藤さんは幼少期から介護福祉士に憧れており、高齢者と関わる仕事に就きたいと考えていた。介護職員初任者研修を取得できる高校に進学し、実際に資格も取得した。しかし夜はしっかりと寝たいタイプだった斎藤さんにとっては、夜勤の多い介護の現場に出ることは不安だったようだ。 そこで斎藤さんは、介護の資格を活かすことができる医療系の専門学校を志すようになった。歯科衛生士専門学校に進学したのは、国家試験の合格率が高くダブつくリスクが低いということも決め手だった。 斎藤さんは、自身が落ちた理由について次のように分析する。「学校での成績も悪くなかったし、模試でも合格点は到達していました。でも私はおっちょこちょいな部分があって、問題をパッと見た瞬間に、直感で回答してしまうことがよくありました。模試は難しく感じましたが、本番当日は “なんだ、簡単じゃん” と思いながら解いていました」。 しかし会場からの帰りのバスで自己採点をしたところ、点数が足りないことが判明したという。「自己採点では1点足りませんでした。普通は不適切問題が1〜2問あるので合格はできるかなと思っていましたが甘かった。本番でおっちょこちょいのクセが出てしまって、悔やんでも悔やみきれません」。 国家試験では、1点に泣いた。現在は自宅近くの歯科医院で歯科助手として働きながら、すでに来年の国家試験に照準を合わせている。 「4月中旬から勉強を始めています。国試の麗人と医歯薬の5年分の過去問を徹底的に理解して、わからない箇所には付箋も貼っています。去年は臨床現場で働かなければわからない問題がたくさん出題されていたので、今年は歯科助手として臨床現場に出ながら猛勉強をしています」。 屈辱から雪辱を目指す、松田さん(31歳)の場合今年32歳になる松田さん(仮名)は、高校を卒業後に派遣社員などを経て歯科衛生士専門学校に入学した経歴の持ち主だ。今回取材にご協力いただいた3人のなかでは最年長になる。彼女も、今年の3月に行われた国家試験で1点に泣いた1人だ。 松田さんは、歯科衛生士国家試験を実施する歯科医療振興財団に憤りを覚えている。今年の国家試験では不適切問題による採点除外が一問もなかったためだ。 「毎年、3問くらいは不適切問題になります。なのに今年は1問もない。なぜよりによって、という気持ちが正直がところです」。松田さんは、合格発表直後に不適切問題の検証を行ったという。「周りの友人に協力してもらい今年の問題を見返してみると、10問くらい不適切っぽい問題があったんです。合格基準を考え直してもらおうと歯科医療振興財団に連絡してみましたが、返事はありませんでした」。 さらに松田さんはこう続ける。「私は一度社会人を経験してから、歯科衛生士を目指しています。学校の同期と比べても努力はしていましたし、成績も態度も良かったと思います。私より成績が悪くてやる気も無い20歳そこそこの子が合格しているのに "どうして私だけが" という怒りはあります」。 合格発表日当日、松田さんは内定先の歯科医院で仕事をしていた。「自己採点の結果から、合格できるかどうかは半々だと思っていました。でも不適切問題がないという結末で、不合格に。勤務先の院長に落ちたということを伝えたら "1年間一緒に頑張ろう" とは言ってくれましたが、気持ちをリセットしたいという思いもあり退職しました」。松田さんはいま、週に4日歯科医院で歯科助手として働きながら、来年の3月に向けて勉強を始めている。不適切問題の線引きは?不適切問題の線引きに対する不満を、不合格になった受験生は持っていた。確かに、1D編集部で歯科衛生士国家試験を解いてみたところ、不適切問題の線引きが怪しいと思われる設問も無くはなかった。2019年の社会福祉士国家試験では、不合格となった受験生の声を受けて厚生労働省が問題を再検討したところ、不適切問題が覆るという出来事があった。この時には、厚生労働省が418名の追加合格を出すという結末になっている(外部リンク:厚生労働省)。ただ、歯科衛生士国家試験は一定の知識があれば合格することができる資格試験だ。合格基準もシンプルで、運の要素は少ない。不合格になってしまった人は、知識が不足しているということは否めないと思われる。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
    Masahiro Morita
    2025年12月11日
    歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路

    歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路

    歯科医師国家試験の合格率は、下げ止まりの状況が続いている。厚生労働省が新規参入歯科医師を削減する動きもあるなかで、各歯学部は合格率の維持、そして優秀な学生の確保に頭を悩ませている。歯科医師国家試験が難化しているしわ寄せは、各歯学部の教員陣、ひいては在籍する歯学部生に及んでいる。臨床実習を含む現実味のないコア・カリキュラムのなかで、詰め込み型の教育を強いられているのが現状だ。多くの歯学部では、学生が在籍できる年数に限度がある。最大で12年間在籍できる歯学部もあれば、1学年につき1度の留年しか許されていない歯学部もある。勉強や実習に付いていけず、在籍限度を超えてしまった歯学部生に待ち受けているのは「放校」と呼ばれる事実上の追放処分だ。1D編集部では、今年で私立歯学部を放校になった「元・歯学部生」に取材を試みた。彼はこの春から地元である東北に帰り、歯科とは関係のない道へ進む。自分に合う職業を探す、ゼロからの再スタートを切ることになる。本記事が、歯学部が構造的に抱える教育上の欠陥に対する問題提起になれば幸いである。「ただただ、両親に申し訳ない」「至らぬ点もあるかと思いますが、本日はよろしくお願いします」。90度に近いお辞儀をして、彼は取材会場に現れた。鈴木さん(仮名)は見るからに真面目そうで、とても礼儀正しい印象の男性だ。彼は今年で31歳になる。2月中旬に発表された進級判定で留年が確定し、大学規定の在籍限度を超えてしまった。教授陣や大学事務にも掛け合ったが、なすすべなく放校という処分を受けた。「この数年間、こうなるかもしれないということは感じていました。今はまだ放校になった実感はありませんが、ただただ、両親に申し訳ないという気持ちでいっぱいです」。淡々とわれわれの質問に答える彼の表情は、勉強や実習の重圧から解放され安堵しているようにも見えた。叶えられなかった夢、守れなかった約束歯科医師になることを約束された人生だった。両親はともに歯科医師で、東北地方の地方都市にユニット10台を超える規模の歯科医院を経営している。1日に訪れる患者数も多く、地元住民から信頼されている歯科医院である。そんな両親の間で生まれ育ち、小学校の卒業文集には「お父さん、お母さんのような歯医者さんになりたい」という夢を書いた。中学・高校は地元で1番の進学校に通い、推薦入試で関東地方にある某私立歯学部に入学した。「子どもの頃から、自分は歯科医師になるものだと確信していました。歯学部での勉強はやればできるだろうという自信もあったので、まさか自分が放校になるなんて微塵も考えていませんでした」。歯科医師の資格を取り、臨床家として経験を積んだ後に両親が経営している歯科医院を継ぐーー。順風満帆に思えた彼の歯科医師としての人生は、歯学部入学後すぐに暗転することになる。「放校確定」までの顛末歯学部に入学した彼を待ち構えていたのは、休むことを許されない歯学部のカリキュラムだ。「歯学部での勉強は、想像していた以上に過酷でした。推薦入試で入学した私は、ほとんど受験勉強をしていなかった。朝が得意ではないということも相まって、1年生の冬には成績も出席も足りないという状態になりました」。人間関係のトラブルもあり、彼は1年生で留年することになる。翌年はなんとか2年生に進級したが、2年生でも留年。その後も毎年のように留年を重ね、5年生から6年生に上がることができず、あえなくタイムオーバーとなった。「歯学部に殺される」という危機感彼には、現在の歯学部の教育に対して主張したいことがある。それは、歯学部での評価方法が成績のみに限定されており、努力や人柄を無視しているということだ。「鬱になり学校に来れなくなったり、最悪の場合には自殺した人も出ています。人格的に素晴らしい人や才能がある人も、歯学部に入ると殺されてしまう」と憤る。さらに、歯学部が歯科医師国家試験の予備校と化している点についても指摘する。「大学側の目的は、国家試験の合格率。学生のことを合格率のパーセンテージとしか見ていません。合格率を上げて、大学の権威を保つということしか関心が無いのだと思います」と続ける。おわりに歯科医師になる資質がない者は、歯科医師になるべきではない。国民や患者に対する責任があるからだ。歯科医師国家試験は、基本的資質を有さない者を弾く機能として、重要な役割を担っている。しかし、弾かれた者にも人生がある。毎年、十数名の「歯のことを10年以上勉強した何でも無い人」が誕生しているのだ。資質を有さないと思われる者には、歯学部低学年時から他のキャリアを提案するなどの大学側の仕組みが必要である。さらに言えば、現在の歯科医師国家試験の合格率偏重の歯学教育は、本当に国民や患者のためになっているだろうか。歯学部が「予備校化」したことで、本来研究や臨床という役割を担うべき大学教員のリソースが国家試験対策に奪われ、本来あるべき大学としての機能を失っていないだろうか。われわれにも正解はわからないが、歯学部が抱える教育上の諸問題は、国民の健康な生活のために、もっと議論されるべきテーマである。※個人特定防止の為、内容やプロフィールを一部脚色しています。
    1D編集部
    2025年12月8日

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