歯科衛生士の仕事内容や給与事情を解説

歯科衛生士の仕事内容や給与事情を解説

1D編集部
2021年6月11日

歯科衛生士の仕事内容や給与事情を解説

本ページでは、歯科衛生士という職業の仕事内容やお給料事情について専門家が解説を行なっていきます。「歯科衛生士の仕事に興味がある」「どんな仕事をしているのか知りたい」「歯科衛生士は給料が高いって本当?」などの疑問にお答えします。

歯科衛生士は国家資格で、取得するのに労力はかかりますが、一般女性と比べて給料は高い水準にあるほか、日本全国の歯科医院で働き手としての需要が多く安定した医療系職種であると言えるでしょう。

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    歯科衛生士の仕事とは

    歯科衛生士の仕事について、まずは見ていきましょう。少し難しい話になりますが、歯科衛生士の仕事内容は「歯科衛生士法」という法律に規定されています。歯科衛生士法における「歯科衛生士の業務」とは、「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」の3つです。

    この3つの業務は、「歯科衛生士の三大業務」とも呼ばれており、歯科衛生士の仕事を端的に表しています。

    歯科診療補助

    歯科衛生士の業務のうち「歯科診療補助」とは、歯科医師が行う歯科治療が円滑に行えるように補助・サポートするほか、歯科医師の指示のもとで歯科医師の業務の一部を担当します(相対的歯科医行為)。

    また、歯科材料の管理や歯科医院全体の管理なども場合によっては歯科衛生士の仕事として扱われることが多く、その業務範囲は多岐にわたっています。

    歯科衛生士の業務のうち「歯科予防処置」とは、文字通り歯科疾患を予防することに関連する業務のことを指します。特に歯科の二大疾患と呼ばれる「う蝕(むし歯)」と「歯周病」に対する予防処置が多くの割合を占めています。

    歯科予防処置とは、例えば患者の歯石を除去(スケーリング・ルートプレーニング)したり、またう蝕予防のためにフッ化物を塗布したり、口腔の健康状態を維持できるようにメインテナンスすることなどが挙げられます。

    歯科保健指導

    歯科衛生士の業務のうち「歯科保健指導」は、歯科医療に関する保健指導を行うことを指します。歯ブラシ指導(TBI)をはじめ、禁煙に関する指導や食生活・栄養に関する指導も歯科衛生士の大事な業務のひとつです。

    「歯科助手」との違い

    歯科業界にあまり縁のない方は、歯科衛生士と歯科助手の違いがよくわからないという意見を持つ方も少なくありません。歯科業界にいる方や詳しい方はご存知かと思いますが、「歯科衛生士と歯科助手の違い」について、解説をしていきましょう。

    同じ歯科医院で働き、歯科医院によっては同じユニフォーム・メディカルウェアで勤務しているため、患者さんから見ると近藤されがちではありますが、歯科衛生士と歯科助手ではその業務内容が大きく異なります。

    歯科衛生士は、前章で解説したように、「歯科予防処置」「歯科診療補助」「歯科保健指導」という3つの業務があり、これは歯科衛生士法で規定されています。次章で解説しますが、歯科衛生士は国家試験に合格する必要のある国家資格です。

    歯科衛生士は実際に患者さんの口腔内に触り、薬剤の塗布やスケーリング・ルートプレーニングなどの処置を行いながら、患者さんの口腔の健康を維持していく職業です。

    歯科助手

    一方で歯科助手は、特に法的な規定もなければ、「歯科助手法」などの法律も存在しません。歯科助手は、歯科材料の管理や受付業務、患者さんへの接遇、歯科医師・歯科衛生士が円滑に診療を行えるようにするサポートなどが主な業務内容です。

    歯科衛生士との大きな違いは、患者さんの口腔内に触ることができるかどうかです。歯科助手は歯科医療の文脈において、患者さんの口腔内に触れることはできません。

    もちろん歯科助手も、歯科医院というチームの重要な一員として、患者さんの口腔の健康を維持していく職業のひとつです。

    歯科衛生士になるには

    これまで、歯科衛生士の主な仕事内容・業務内容、歯科助手と歯科衛生士の違いについて解説を行なってきました。

    それでは、歯科衛生士になるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。歯科衛生士養成機関についてや国家資格の受験についてなど、解説していきます。

    国家試験の受験資格を得る

    歯科衛生士になるには、歯科衛生士養成機関で3年以上の教育を受ける必要があります。歯科衛生士を養成しているのは大学・短期大学・専門学校という種類があり、大学は4年制であることが多いです。

    歯科衛生士養成機関では、3年間で歯科衛生士になるため・歯科衛生士として臨床現場に立つための知識および技術を習得します。解剖学や生物学をはじめとする基礎系科目や、歯周病う蝕に関する知識、また実際の歯科医院で行われる臨床実習など、忙しい学生生活を送ります。

    3年以上の勉学を経て、歯科衛生士養成機関を卒業する見込みとなれば、歯科衛生士国家試験の受験資格が与えられます。

    国家試験を受験する

    歯科衛生士養成機関を卒業した後は、歯科衛生士国家試験を受験します。歯科衛生士国家試験の合格率は、近年では約95%程度と他の医療系・コメディカル職種と比較してみても高い水準にあります。ちなみに、歯科医師国家試験は約65%程度の合格率です。

    3年間(もしくは4年間)しっかりと勉強・実習をこなして、きっちりと歯科衛生士国家試験の対策をすることができれば、高い確率で合格することができる試験であると言えるでしょう。

    しかし裏を返せば、3年間勉強をしても5%は不合格になる試験ですから、受験に当たっては油断してはならない試験であると言えるでしょう。

    国家試験の合格後

    歯科衛生士国家試験は、例年3月上旬に行われ、日本全国の歯科衛生士養成機関から約6,000名が受験します。その後、3月下旬には合格発表が行われます。

    3月下旬に合格発表が行われた後は、歯科衛生士の免許発行などを執り行う公益財団法人歯科医療振興財団での手続きなどを経て、就職が決まっている人は4月1日から新しい勤務先での勤務が開始されます。

    もし歯科衛生士国家試験に不合格になってしまったら、1年間の浪人生活を送ることになります。大半は、すでに内定をもらっている歯科医院で歯科助手として勤務するケースが多いようです。

    歯科衛生士に向いている人

    歯科衛生士という職業は、歯科予防処置・歯科保健指導・歯科診療補助という業務内容をこなし、口腔の健康を守るプロフェッショナルです。

    歯科衛生士に向いている人・向いていない人はどのような性格・パーソナリティなのでしょうか。

    責任感が強い人

    歯科衛生士は「歯科医師の診療のサポートだけをする職業」であると思われがちですが、患者さんの口腔の健康維持を責任を持って行うプロフェッショナルな職業です。歯科医師の診療のサポートをするだけでなく、能動的に患者さんの健康を守っていく姿勢が求められます。

    したがって、「責任感が強い人」は歯科衛生士に向いていると言えるでしょう。これは、看護師など医療関連職種に向いている性格・パーソナリティの人に共通する特徴でもあります。

    人をサポートすることが好きな人

    歯科衛生士法第二条には、以下のような文言があります。

    歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔くうの疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
    一 歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること。
    二 歯牙及び口 腔くう に対して薬物を塗布すること。

    この「指導の下」という文言は、歯科医師が行う歯科医行為の一部を担うという意味が含まれています。歯科衛生士という職業の成り立ち自体が、歯科医師の保健指導を中心とした業務をサポートする・一部を担うことを目的として立ち上がった職種です。

    きちんと責任感を持って、歯科医院全体がチームとなって患者さんの健康を守れるよう、サポートしていける性格・パーソナリティの人が、歯科衛生士に向いていると考えられます。

    また、歯科医師をサポートするだけでなく、患者さんが健康な口腔内を維持できるようにサポートするのも歯科衛生士の役割です。

    次に、歯科衛生士国家試験の合格率について解説していきましょう。

    国家試験の受験者数・合格者数・合格率

    歯科衛生士国家試験は、先ほど解説した通り、約95%の合格率で推移しています。年次でグラフで表すと、このように推移しています。



    なお令和3年に行われた第30回歯科衛生士国家試験では、7,099人が受験し6,624名が合格、合格率は93.3%となりました。

    男性でも歯科衛生士になれる

    余談ですが、歯科衛生士は実態として女性が大半を占めていますが、男性でも受験することができます。平成30年時点で、日本全国で「67人」の男性歯科衛生士が稼働しています。これは歯科衛生士全体の0.05%と、非常に少ない割合です。

    平成26年の歯科衛生士法の改正で、下記のように文言が変わりました。

    【改正前】
    この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子をいう(以下略)。

    【改正後】
    この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とするをいう(以下略)。

    これから、男性の歯科衛生士が増えていくのか、あるいは消滅してしまうのか、現状はまだわからないというのが実際のところです。

    >> 男性歯科衛生士は、絶滅しゆくのか?データで見る現実と将来性

    歯科衛生士の職場は?

    歯科衛生士国家試験に合格後、歯科衛生士の就職先の多くとして選ばれるのが「歯科医院」です。正確なデータはありませんが、90%以上の歯科衛生士はまず歯科医院に就職すると思います。

    歯科衛生士の他の就職先・職場の選択肢については、歯科医院・デンタルクリニック以外にも、大学病院(歯学部附属病院)や総合病院の歯科口腔外科、歯科関連の企業(メーカーや出版社など)などの選択肢があります。

    歯科衛生士の就活は、基本的には国家試験受験前の10月頃に就職活動・内定をもらうケースが多いようです。

    歯科衛生士の給与や年収は?

    歯科衛生士の給与や年収は、実際のところどれくらいなのでしょうか。

    厚生労働省の2019年の賃金構造基本統計調査によれば、歯科衛生士の給与は年収換算で370万円ほど。月給だと27万円ほどとなっており、これにボーナスが加わる形です。

    上記はあくまで歯科医院で働いた場合の平均年収ですが、例えば歯科関連企業に就職したり、あるいはフリーランス歯科衛生士のような働き方をするようになれば、年収はもっと上を目指せるかもしれません。

    まとめ

    本ページでは、歯科衛生士の仕事内容を中心に、歯科衛生士という国家資格の取り方や給料面での実際について、解説をしてきました。

    歯科衛生士という職業は、仕事を通じて患者さんの健康を直接的に作ることができる職業のひとつです。責任感を持って仕事をしたい、人をサポートすることが好き、という方は、ぜひ歯科衛生士という職業を検討してみてはいかがでしょうか。

    監修者情報

    松岡 周吾

    歯科医師。1992年千葉県生まれ。2016年鶴見大学歯学部卒業、歯科医師免許を取得。2017年同大学附属病院歯科医師臨床研修修了、東京歯科大学大学院博士課程に入学。2018年同大学院退学後、株式会社Dentability(現・ワンディー株式会社)を創業。



    1D編集部
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    1D編集部は、臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士で構成されています。歯科業界の最新ニュースから歯科医療の臨床・学術情報、歯科医療者のためのライフスタイル記事まで、歯科医療の専門家の視点で、ただしく・おもしろいコンテンツをお届けします。

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    歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路

    歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路

    歯科医師国家試験の合格率は、下げ止まりの状況が続いている。厚生労働省が新規参入歯科医師を削減する動きもあるなかで、各歯学部は合格率の維持、そして優秀な学生の確保に頭を悩ませている。歯科医師国家試験が難化しているしわ寄せは、各歯学部の教員陣、ひいては在籍する歯学部生に及んでいる。臨床実習を含む現実味のないコア・カリキュラムのなかで、詰め込み型の教育を強いられているのが現状だ。多くの歯学部では、学生が在籍できる年数に限度がある。最大で12年間在籍できる歯学部もあれば、1学年につき1度の留年しか許されていない歯学部もある。勉強や実習に付いていけず、在籍限度を超えてしまった歯学部生に待ち受けているのは「放校」と呼ばれる事実上の追放処分だ。1D編集部では、今年で私立歯学部を放校になった「元・歯学部生」に取材を試みた。彼はこの春から地元である東北に帰り、歯科とは関係のない道へ進む。自分に合う職業を探す、ゼロからの再スタートを切ることになる。本記事が、歯学部が構造的に抱える教育上の欠陥に対する問題提起になれば幸いである。「ただただ、両親に申し訳ない」「至らぬ点もあるかと思いますが、本日はよろしくお願いします」。90度に近いお辞儀をして、彼は取材会場に現れた。鈴木さん(仮名)は見るからに真面目そうで、とても礼儀正しい印象の男性だ。彼は今年で31歳になる。2月中旬に発表された進級判定で留年が確定し、大学規定の在籍限度を超えてしまった。教授陣や大学事務にも掛け合ったが、なすすべなく放校という処分を受けた。「この数年間、こうなるかもしれないということは感じていました。今はまだ放校になった実感はありませんが、ただただ、両親に申し訳ないという気持ちでいっぱいです」。淡々とわれわれの質問に答える彼の表情は、勉強や実習の重圧から解放され安堵しているようにも見えた。叶えられなかった夢、守れなかった約束歯科医師になることを約束された人生だった。両親はともに歯科医師で、東北地方の地方都市にユニット10台を超える規模の歯科医院を経営している。1日に訪れる患者数も多く、地元住民から信頼されている歯科医院である。そんな両親の間で生まれ育ち、小学校の卒業文集には「お父さん、お母さんのような歯医者さんになりたい」という夢を書いた。中学・高校は地元で1番の進学校に通い、推薦入試で関東地方にある某私立歯学部に入学した。「子どもの頃から、自分は歯科医師になるものだと確信していました。歯学部での勉強はやればできるだろうという自信もあったので、まさか自分が放校になるなんて微塵も考えていませんでした」。歯科医師の資格を取り、臨床家として経験を積んだ後に両親が経営している歯科医院を継ぐーー。順風満帆に思えた彼の歯科医師としての人生は、歯学部入学後すぐに暗転することになる。「放校確定」までの顛末歯学部に入学した彼を待ち構えていたのは、休むことを許されない歯学部のカリキュラムだ。「歯学部での勉強は、想像していた以上に過酷でした。推薦入試で入学した私は、ほとんど受験勉強をしていなかった。朝が得意ではないということも相まって、1年生の冬には成績も出席も足りないという状態になりました」。人間関係のトラブルもあり、彼は1年生で留年することになる。翌年はなんとか2年生に進級したが、2年生でも留年。その後も毎年のように留年を重ね、5年生から6年生に上がることができず、あえなくタイムオーバーとなった。「歯学部に殺される」という危機感彼には、現在の歯学部の教育に対して主張したいことがある。それは、歯学部での評価方法が成績のみに限定されており、努力や人柄を無視しているということだ。「鬱になり学校に来れなくなったり、最悪の場合には自殺した人も出ています。人格的に素晴らしい人や才能がある人も、歯学部に入ると殺されてしまう」と憤る。さらに、歯学部が歯科医師国家試験の予備校と化している点についても指摘する。「大学側の目的は、国家試験の合格率。学生のことを合格率のパーセンテージとしか見ていません。合格率を上げて、大学の権威を保つということしか関心が無いのだと思います」と続ける。おわりに歯科医師になる資質がない者は、歯科医師になるべきではない。国民や患者に対する責任があるからだ。歯科医師国家試験は、基本的資質を有さない者を弾く機能として、重要な役割を担っている。しかし、弾かれた者にも人生がある。毎年、十数名の「歯のことを10年以上勉強した何でも無い人」が誕生しているのだ。資質を有さないと思われる者には、歯学部低学年時から他のキャリアを提案するなどの大学側の仕組みが必要である。さらに言えば、現在の歯科医師国家試験の合格率偏重の歯学教育は、本当に国民や患者のためになっているだろうか。歯学部が「予備校化」したことで、本来研究や臨床という役割を担うべき大学教員のリソースが国家試験対策に奪われ、本来あるべき大学としての機能を失っていないだろうか。われわれにも正解はわからないが、歯学部が抱える教育上の諸問題は、国民の健康な生活のために、もっと議論されるべきテーマである。※個人特定防止の為、内容やプロフィールを一部脚色しています。
    1D編集部
    2025年12月8日

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