歯科衛生士の仕事内容や給与事情を解説

歯科衛生士の仕事内容や給与事情を解説

1D編集部
2021年6月11日

歯科衛生士の仕事内容や給与事情を解説

本ページでは、歯科衛生士という職業の仕事内容やお給料事情について専門家が解説を行なっていきます。「歯科衛生士の仕事に興味がある」「どんな仕事をしているのか知りたい」「歯科衛生士は給料が高いって本当?」などの疑問にお答えします。

歯科衛生士は国家資格で、取得するのに労力はかかりますが、一般女性と比べて給料は高い水準にあるほか、日本全国の歯科医院で働き手としての需要が多く安定した医療系職種であると言えるでしょう。

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    歯科衛生士の仕事とは

    歯科衛生士の仕事について、まずは見ていきましょう。少し難しい話になりますが、歯科衛生士の仕事内容は「歯科衛生士法」という法律に規定されています。歯科衛生士法における「歯科衛生士の業務」とは、「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」の3つです。

    この3つの業務は、「歯科衛生士の三大業務」とも呼ばれており、歯科衛生士の仕事を端的に表しています。

    歯科診療補助

    歯科衛生士の業務のうち「歯科診療補助」とは、歯科医師が行う歯科治療が円滑に行えるように補助・サポートするほか、歯科医師の指示のもとで歯科医師の業務の一部を担当します(相対的歯科医行為)。

    また、歯科材料の管理や歯科医院全体の管理なども場合によっては歯科衛生士の仕事として扱われることが多く、その業務範囲は多岐にわたっています。

    歯科衛生士の業務のうち「歯科予防処置」とは、文字通り歯科疾患を予防することに関連する業務のことを指します。特に歯科の二大疾患と呼ばれる「う蝕(むし歯)」と「歯周病」に対する予防処置が多くの割合を占めています。

    歯科予防処置とは、例えば患者の歯石を除去(スケーリング・ルートプレーニング)したり、またう蝕予防のためにフッ化物を塗布したり、口腔の健康状態を維持できるようにメインテナンスすることなどが挙げられます。

    歯科保健指導

    歯科衛生士の業務のうち「歯科保健指導」は、歯科医療に関する保健指導を行うことを指します。歯ブラシ指導(TBI)をはじめ、禁煙に関する指導や食生活・栄養に関する指導も歯科衛生士の大事な業務のひとつです。

    「歯科助手」との違い

    歯科業界にあまり縁のない方は、歯科衛生士と歯科助手の違いがよくわからないという意見を持つ方も少なくありません。歯科業界にいる方や詳しい方はご存知かと思いますが、「歯科衛生士と歯科助手の違い」について、解説をしていきましょう。

    同じ歯科医院で働き、歯科医院によっては同じユニフォーム・メディカルウェアで勤務しているため、患者さんから見ると近藤されがちではありますが、歯科衛生士と歯科助手ではその業務内容が大きく異なります。

    歯科衛生士は、前章で解説したように、「歯科予防処置」「歯科診療補助」「歯科保健指導」という3つの業務があり、これは歯科衛生士法で規定されています。次章で解説しますが、歯科衛生士は国家試験に合格する必要のある国家資格です。

    歯科衛生士は実際に患者さんの口腔内に触り、薬剤の塗布やスケーリング・ルートプレーニングなどの処置を行いながら、患者さんの口腔の健康を維持していく職業です。

    歯科助手

    一方で歯科助手は、特に法的な規定もなければ、「歯科助手法」などの法律も存在しません。歯科助手は、歯科材料の管理や受付業務、患者さんへの接遇、歯科医師・歯科衛生士が円滑に診療を行えるようにするサポートなどが主な業務内容です。

    歯科衛生士との大きな違いは、患者さんの口腔内に触ることができるかどうかです。歯科助手は歯科医療の文脈において、患者さんの口腔内に触れることはできません。

    もちろん歯科助手も、歯科医院というチームの重要な一員として、患者さんの口腔の健康を維持していく職業のひとつです。

    歯科衛生士になるには

    これまで、歯科衛生士の主な仕事内容・業務内容、歯科助手と歯科衛生士の違いについて解説を行なってきました。

    それでは、歯科衛生士になるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。歯科衛生士養成機関についてや国家資格の受験についてなど、解説していきます。

    国家試験の受験資格を得る

    歯科衛生士になるには、歯科衛生士養成機関で3年以上の教育を受ける必要があります。歯科衛生士を養成しているのは大学・短期大学・専門学校という種類があり、大学は4年制であることが多いです。

    歯科衛生士養成機関では、3年間で歯科衛生士になるため・歯科衛生士として臨床現場に立つための知識および技術を習得します。解剖学や生物学をはじめとする基礎系科目や、歯周病やう蝕に関する知識、また実際の歯科医院で行われる臨床実習など、忙しい学生生活を送ります。

    3年以上の勉学を経て、歯科衛生士養成機関を卒業する見込みとなれば、歯科衛生士国家試験の受験資格が与えられます。

    国家試験を受験する

    歯科衛生士養成機関を卒業した後は、歯科衛生士国家試験を受験します。歯科衛生士国家試験の合格率は、近年では約95%程度と他の医療系・コメディカル職種と比較してみても高い水準にあります。ちなみに、歯科医師国家試験は約65%程度の合格率です。

    3年間(もしくは4年間)しっかりと勉強・実習をこなして、きっちりと歯科衛生士国家試験の対策をすることができれば、高い確率で合格することができる試験であると言えるでしょう。

    しかし裏を返せば、3年間勉強をしても5%は不合格になる試験ですから、受験に当たっては油断してはならない試験であると言えるでしょう。

    国家試験の合格後

    歯科衛生士国家試験は、例年3月上旬に行われ、日本全国の歯科衛生士養成機関から約6,000名が受験します。その後、3月下旬には合格発表が行われます。

    3月下旬に合格発表が行われた後は、歯科衛生士の免許発行などを執り行う公益財団法人歯科医療振興財団での手続きなどを経て、就職が決まっている人は4月1日から新しい勤務先での勤務が開始されます。

    もし歯科衛生士国家試験に不合格になってしまったら、1年間の浪人生活を送ることになります。大半は、すでに内定をもらっている歯科医院で歯科助手として勤務するケースが多いようです。

    歯科衛生士に向いている人

    歯科衛生士という職業は、歯科予防処置・歯科保健指導・歯科診療補助という業務内容をこなし、口腔の健康を守るプロフェッショナルです。

    歯科衛生士に向いている人・向いていない人はどのような性格・パーソナリティなのでしょうか。

    責任感が強い人

    歯科衛生士は「歯科医師の診療のサポートだけをする職業」であると思われがちですが、患者さんの口腔の健康維持を責任を持って行うプロフェッショナルな職業です。歯科医師の診療のサポートをするだけでなく、能動的に患者さんの健康を守っていく姿勢が求められます。

    したがって、「責任感が強い人」は歯科衛生士に向いていると言えるでしょう。これは、看護師など医療関連職種に向いている性格・パーソナリティの人に共通する特徴でもあります。

    人をサポートすることが好きな人

    歯科衛生士法第二条には、以下のような文言があります。

    「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔くうの疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
    一 歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること。
    二 歯牙及び口 腔くう に対して薬物を塗布すること。

    この「指導の下」という文言は、歯科医師が行う歯科医行為の一部を担うという意味が含まれています。歯科衛生士という職業の成り立ち自体が、歯科医師の保健指導を中心とした業務をサポートする・一部を担うことを目的として立ち上がった職種です。

    きちんと責任感を持って、歯科医院全体がチームとなって患者さんの健康を守れるよう、サポートしていける性格・パーソナリティの人が、歯科衛生士に向いていると考えられます。

    また、歯科医師をサポートするだけでなく、患者さんが健康な口腔内を維持できるようにサポートするのも歯科衛生士の役割です。

    次に、歯科衛生士国家試験の合格率について解説していきましょう。

    国家試験の受験者数・合格者数・合格率

    歯科衛生士国家試験は、先ほど解説した通り、約95%の合格率で推移しています。年次でグラフで表すと、このように推移しています。



    なお令和3年に行われた第30回歯科衛生士国家試験では、7,099人が受験し6,624名が合格、合格率は93.3%となりました。

    男性でも歯科衛生士になれる

    余談ですが、歯科衛生士は実態として女性が大半を占めていますが、男性でも受験することができます。平成30年時点で、日本全国で「67人」の男性歯科衛生士が稼働しています。これは歯科衛生士全体の0.05%と、非常に少ない割合です。

    平成26年の歯科衛生士法の改正で、下記のように文言が変わりました。

    【改正前】
    この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子をいう(以下略)。

    【改正後】
    この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう(以下略)。

    これから、男性の歯科衛生士が増えていくのか、あるいは消滅してしまうのか、現状はまだわからないというのが実際のところです。

    >> 男性歯科衛生士は、絶滅しゆくのか?データで見る現実と将来性

    歯科衛生士の職場は?

    歯科衛生士国家試験に合格後、歯科衛生士の就職先の多くとして選ばれるのが「歯科医院」です。正確なデータはありませんが、90%以上の歯科衛生士はまず歯科医院に就職すると思います。

    歯科衛生士の他の就職先・職場の選択肢については、歯科医院・デンタルクリニック以外にも、大学病院(歯学部附属病院)や総合病院の歯科口腔外科、歯科関連の企業(メーカーや出版社など)などの選択肢があります。

    歯科衛生士の就活は、基本的には国家試験受験前の10月頃に就職活動・内定をもらうケースが多いようです。

    歯科衛生士の給与や年収は?

    歯科衛生士の給与や年収は、実際のところどれくらいなのでしょうか。

    厚生労働省の2019年の賃金構造基本統計調査によれば、歯科衛生士の給与は年収換算で370万円ほど。月給だと27万円ほどとなっており、これにボーナスが加わる形です。

    上記はあくまで歯科医院で働いた場合の平均年収ですが、例えば歯科関連企業に就職したり、あるいはフリーランス歯科衛生士のような働き方をするようになれば、年収はもっと上を目指せるかもしれません。

    まとめ

    本ページでは、歯科衛生士の仕事内容を中心に、歯科衛生士という国家資格の取り方や給料面での実際について、解説をしてきました。

    歯科衛生士という職業は、仕事を通じて患者さんの健康を直接的に作ることができる職業のひとつです。責任感を持って仕事をしたい、人をサポートすることが好き、という方は、ぜひ歯科衛生士という職業を検討してみてはいかがでしょうか。

    監修者情報

    松岡 周吾

    歯科医師。1992年千葉県生まれ。2016年鶴見大学歯学部卒業、歯科医師免許を取得。2017年同大学附属病院歯科医師臨床研修修了、東京歯科大学大学院博士課程に入学。2018年同大学院退学後、株式会社Dentability(現・ワンディー株式会社)を創業。



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    1D編集部は、臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士で構成されています。歯科業界の最新ニュースから歯科医療の臨床・学術情報、歯科医療者のためのライフスタイル記事まで、歯科医療の専門家の視点で、ただしく・おもしろいコンテンツをお届けします。

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    【ミニセミナーを覗く】「色がついたところを削れば咬合調整」と思っていませんか?――講師が最初に置く「足せない・戻せない」

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    咬合紙で色がついたところを削って落とせば、咬合調整は終わる。そう考えたことのある歯科医師は少なくないのではないか。1Dの「25分間」ミニセミナー「【咬合調整】咬合の基礎知識と削合のポイント」で、講師はこの講義を「咬合アレルギー」のある歯科医師に向けたものだと位置づけ、全顎やフルマウスではなく、1本の歯をきちんと調整できることを目的に掲げる。そのうえで最初に置くのが、削合についての3つの前提だ。本稿では、スライドと自動字幕で確認できた範囲で、講師の主張・経験と編集部の解釈を分けて整理する。削合は「足せない」「戻せない」「相手を選ぶ」講師が挙げる1つ目の前提は、削合は歯を削るだけで、足すことができないという点だ。足して合わせたいなら、クラウンごとやり替えるか、それこそフルマウスで治療することになる。だから削合による調整は限定的なものだと分かっていなければならない、と講師は言う。2つ目は、後戻りができないこと。削るだけなので、患者から元の状態に戻してほしいと言われても戻せない。色がついたところだけを単純に調整していくのは結構怖いことになる。ここが邪魔だと分かったうえで、そこを狙って調整することが大事だ、と講師は話す。3つ目は、意外にも相手を選ぶということだ。どんな調整をしても気になって仕方がない人もいる。講師はこれを、車幅と道路の幅にたとえる。道幅が広ければ、クランクがあっても余裕を持って通れる。しかし道幅が狭いと、すぐに脱輪してしまう。この人は大丈夫かと相手をよく見たうえで行い、やりすぎればそれはそれで戻せないので、どこでやめるかがすごく大事になる、と講師は言う。顎を動かす筋肉と、ブレーキ役の筋肉講師は、咬合の基礎知識として、まず顎の運動に関わる筋肉を整理する。口を開けるときは、外側翼突筋が顎を前に出し、顎二腹筋の前腹などが後ろに引く。閉じるときは側頭筋、咬筋、内側翼突筋が締める。側方運動や前方運動、後方への運動でも、それぞれ主に働く筋肉がある。大まかに言えば、前に出るときは外側翼突筋、後ろに引くときは側頭筋だと考えるとよい、と講師は説明する。講師が付け加えるのが、拮抗筋の働きだ。主に動かす筋肉だけでは動きが急になりすぎるので、ブレーキをかけながら動くようになっている。そのため、たとえば閉じる動きのときにトラブルがあれば、緊張が出るのは主に動かしている筋肉とは限らず、拮抗筋の側に出る可能性もある。これを頭の片隅に置いておいてほしい、と講師は言う。後で触れる触診の話につながる前置きだ。第一大臼歯の形を、自分の手で描いて覚える次に講師が「すごく大事」とするのが、歯の解剖学的形態、とりわけ咬合面形態だ。中でも第一大臼歯は鍵となる歯で、これが理解できると他の歯も理解しやすい、として、講師は上下の第一大臼歯に絞って説明する。上顎第一大臼歯では咬頭頂の位置と隆線、いちばん深い窩、そこから伸びる溝。講師は、この溝が深いことを理解し、ここに対合歯が入るイメージを持っておくよう促す。下顎第一大臼歯では、隆線がないと思われがちな中央付近を、くぼんだ状態としてイメージしておくこと。上顎の咬頭がそこに入り、上が杵、下が臼のような関係になる、と講師はたとえる。溝の走り方には個人差があり、Y字型が多いが、十字型やX型の人もいる。第二大臼歯では十字型が多い、というのが講師の示すおおまかなイメージだ。調整のときに大事になるので覚えておいてほしい、と講師は言う。形態をどう覚えるかについて、講師の答えは単純だ。描いて覚えた、という。最初に描いた第一大臼歯の絵はひどいものだったと自身の絵を見せ、教科書や模型を見ながら10枚描くだけでも違い、100枚描けば周りと比べて大きな差になるはずだ、と話す。これが分かっていないとダイレクトボンディングなどもできない、とも講師は付け加える(講師の挙げる参考書籍の名前は本稿では扱わない)。咬合様式は「どこで当たっているか」の分類講師は咬合様式についても簡単に触れる。上下の歯がまっすぐ当たった状態から顎をずらしたときに、どのように当たっているかを分類したものだ、と講師は説明する。作業側で犬歯だけが当たるのか、犬歯も奥歯も当たるのか、奥歯だけなのか。作業側で当たっているときに、反対側も当たっているのか。上下のどちらの機能咬頭が当たっているのか。こうした分類がある、という。講師は、こうした当たり方が咀嚼運動に深く関わること、咀嚼のときの顎の動きは複雑で、限界運動の範囲では現れない動きがあることにも触れる。ただし今回の講義は1本の臼歯の干渉を取る話なので、ガイドの話や咀嚼運動に合わせた調整は扱わない、と線を引いている。削る前の審査――問診、動画、触診、セントリック講義の後半で講師が示すのは、自身が臨床で行っている咬合の審査だ。まず問診では、しみるのか、歯肉が腫れているのか、割れたのかといった現状を聞き、それがいつからなのかを時系列でたどる。咬合と全身の関係が疑われる訴え、たとえば肩こりがある場合も、それがブリッジを入れた後からなのか、それ以前からなのか、永久歯列が完成したころからなのかを整理しておくと、本当に咬合から来ているのかが分かってくる、と講師は言う。口腔内では骨隆起やすり減り、咬合関係を見る。講師が勧めるのが、顎の動きの動画撮影だ。顎運動の計測機器を使わなくても、正面から動画を撮れば、動きの偏りや速さの違いが比べられる。咬合の治療に入り込むときは、必ず治療前に撮り、終わった後と比べて評価する。良くなっていれば、治療がうまくいったというフィードバックが得られる、と講師は説明する。触診では、咬筋、側頭筋、耳の後ろのあたり、首を横に倒す筋肉などを触る。講師の医院では項目を簡略化しているという。講師が説明する触診の目的の1つは、治療の前の感触を患者自身に感じてもらい、終わった後に軽くなっていることを感じてもらうことだ。最後にセントリックのずれを見る。開け閉めのスタート地点がずれていれば、動き出しから無理がかかる。講師はこれを、陸上の短距離走で自分のレーンだけ少しずれた位置からスタートさせられる状況にたとえる。何度も繰り返せば、足をくじきそうになる、というわけだ。講師は、下顎をリラックスさせた状態で上の歯を前に出すように促すと下顎が下がり、その位置で噛ませる、という簡便な取り方を紹介している。編集部の解釈としては、講師が「1本の歯をきちんと調整する」話の前に、これだけの準備を置いていること自体が、冒頭の問いへの答えになっている。色がついたところは、削る候補の1つにすぎない。足せず、戻せないからこそ、どこが本当に邪魔なのかを確かめてから削る、ということだ。本稿で扱わないこと講師の名前と所属、講師が紹介する参考書籍・セミナー・オンラインサロン・動画チャンネルの名前、講師が挙げる人物名は扱っていない。自動字幕で聞き取りが不確かだった部分も採っていない。実際の削合の手順とテクニックは、YouTubeで公開されている前半部分には含まれていない。本稿は講義内容の整理であり、個々の患者の咬合調整は、診査の結果と各自の判断に基づいて行ってほしい。元動画を見る【咬合調整】咬合の基礎知識と削合のポイント(2024年4月2日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
    1D編集部
    2日前
    【ミニセミナーを覗く】「乳臼歯を抜いたら、すぐ保隙装置」と思っていませんか?――講師が先に確かめるのは、抜歯か未萌出か

    【ミニセミナーを覗く】「乳臼歯を抜いたら、すぐ保隙装置」と思っていませんか?――講師が先に確かめるのは、抜歯か未萌出か

    左下の第二乳臼歯がない状態で来院した子ども。保護者は、このまま放っておいていいのか、何か治療が必要ではないかと尋ねる。1Dの「25分間」ミニセミナー「【咬合誘導】実践で使える知識と技術を学びましょう」で、講師が受講者に投げかけたのはこの場面だった。おそらく齲蝕で抜歯されたのだろう、それなら保隙が必要だ――そう頭に浮かんだまま、すぐ保護者に治療方針を話してよいのか。講師は、その前にやっておかなければならないことがある、と言う。本稿では、スライドと自動字幕で確認できた範囲で、講師の主張・経験と編集部の解釈を分けて整理する。「見守る」ことまで含む、広い意味の咬合誘導講師はまず言葉の整理から入る。咬合誘導とは、乳歯列から永久歯列に至る小児期の咬合の発育を正常に誘導する概念と方法をいう、というのが専門用語集の定義だと紹介する。そのうえで、広い意味では小児歯科の臨床で行われるあらゆる処置が咬合誘導にあたる、とも言われる。分かりにくいこの「広い意味」について、講師は小児歯科の学会誌の創刊号にある説明を紹介する。乳歯の萌出前から永久歯の咬合が完成するまでの間、歯列や顎、顔は変化を重ねる。その間、正しくあるべき姿にあるかを見守り、少しでも乱れを見つけたらその原因を追求し、除去に最善の努力を払う――という考え方だ。講師は、通常の治療と違って「見守る」ことが含まれている点に、広い意味を持たせる理由があると説明する。一方で、日常的に行われているのは狭い意味の咬合誘導、つまり装置や訓練、あるいはその併用による治療だ。講義はこちらを中心に進む、と講師は断っている。静的咬合誘導と動的咬合誘導、そして矯正との線引き講師は、狭い意味の咬合誘導を2つに分ける。静的咬合誘導は保隙とほぼ同じ意味で、乳歯を早く失った症例で、歯列にできた空隙を永久歯の萌出まで保持すること。動的咬合誘導は、歯列や咬合の発育過程に異常が認められる、あるいは予見される場合に、積極的に働きかけて改善を図ること。こちらには動的咬合誘導装置が用いられる。小児歯科の咬合誘導と矯正治療はどこが違うのか、とよく聞かれる、と講師は言う。明確な線引きが定められているわけではないとしたうえで、講師の整理はこうだ。混合歯列期に行う小児歯科の動的咬合誘導は、矯正歯科でいう一期治療と重なる、同じものと言ってよい。一方で、保隙や乳歯列期に歯の位置や咬合を変える治療、齲蝕処置や通常の外科処置などは、主に小児歯科が担う、という。重度の外科処置は口腔外科の協力を得ることもある、という留保も添えている。保護者に話す前に、確かめること冒頭の症例に戻る。講師がまず挙げるのは医療面接だ。左下の第二乳臼歯がないのは、本当に齲蝕で抜歯されたからなのか。実はまだ萌出していないだけ、という可能性もある。これは聞いてみなければ分からない、と講師は言う。抜歯された記憶があるなら、その経緯を問診で確かめればよい。前後の歯、たとえば後継の小臼歯の歯胚の状態が分かればよいので、デンタルエックス線写真でも間に合う、と講師は説明する。しかし未萌出だった場合は、それが今どうなっているのかを確かめる必要があり、エックス線画像が欠かせない。萌出できずに埋まっているなら、年齢によっては抜歯を考える必要が出てくる。その下には後継永久歯が控えているはずなので、より広い範囲の異常を予見して、パノラマなどで確認する、という。講師はもう1つ、この症例では前歯がわずかに噛み合っていない、開咬の状態も気になると指摘する。欠損した1歯だけでなく、こうしたところも含めてトータルに見て、必要な検査を行い、治療方針を決める。頭に浮かんだ装置を口にする前に、ここまでを挟むことが求められる、というのが講師の主張だ。模型で見る「歯列弓の幅」と「歯の大きさ」保隙や動的咬合誘導が必要かどうかを判断するうえで、講師が重要だとするのが診断用模型の作成だ。口の中を見ただけでも、使えそうな装置の見当はつく。しかし、その治療に本当に意味があるのか、その装置が本当に適しているのかは、模型を使った分析で確かめる必要がある、と講師は言う。乳歯列と混合歯列とでは計測する箇所が違うので、注意が必要だ、とも。計測した値は、日本人の平均的な値と比べて大きいのか小さいのかを確認する。それを記載するのがポリゴン図表で、乳歯列用と、混合歯列期のヘルマンの咬合発育段階に応じた表が準備されている、と講師は説明する。スライドの例では、歯列弓の幅が平均より狭いという所見が示される。講師が念頭に置いておくよう促すのが、個々の歯の大きさだ。永久歯の歯冠幅が平均より小さい場合は問題になることが少ない。しかし平均より大きい場合は、動的咬合誘導で歯列弓を平均程度まで広げても、きれいには並ばないことがある。予定している治療が十分な結果を得られる方法かどうかを考えるうえで、歯冠幅の確認も重要になる、と講師は言う。保隙より先に、大臼歯を戻すべき場合講義の後半では、混合歯列期に用いる歯列周長分析の手順が紹介される。第一大臼歯の近心面から、各歯の接触点を結ぶ滑らかな弧で反対側の第一大臼歯の近心面までをつなぐのが歯列周長。正中のずれ、前歯の唇舌的な傾き、第一大臼歯の咬合関係を確認したうえで、前歯の実測値と側方歯群の予測値を求め、四分の一顎ごとにスペースの過不足を数値で表す、という流れだ(予測に用いる式や表の詳細は、本稿では扱わない)。そのうえで講師は、冒頭の症例の結論を示す。第二乳臼歯を抜歯して時間がたつと、後方の第一大臼歯が近心に移動することがよく起こる。その結果、側方歯群の萌出余地が不足する。歯列周長分析でその不足が大きいと分かった場合は、保隙という選択肢ではなく、まず第一大臼歯を遠心に移動させて(リゲイン)十分な萌出余地を確保し、そのうえで保隙をする、という2段階の治療が必要になる、と講師は説明する。編集部の解釈としては、冒頭の問いの答えはここにある。保隙装置そのものが間違いなのではなく、抜歯なのか未萌出なのか、すでにスペースが失われていないかを確かめないまま装置を決めることが問題になる。広い意味の咬合誘導が「見守る」ことを含むという講義の入り口は、この確認の手順と地続きになっている。本稿で扱わないこと講師の名前と所属、ポリゴン図表の数値、歯列周長分析で用いる回帰式や予測表の具体的な値は扱っていない。自動字幕で聞き取りが不確かだった部分も採っていない。動的咬合誘導装置の種類や使い方は、YouTubeで公開されている前半部分では詳しく語られていない。本稿は講義内容の整理であり、個々の患者の検査・装置の選択は、各自の判断と必要に応じた専門医との連携のもとで行ってほしい。元動画を見る【咬合誘導】実践で使える知識と技術を学びましょう(2024年3月30日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
    1D編集部
    2026年11月3日
    【ミニセミナーを覗く】「4mmくらいなら様子を見よう」と思っていませんか?――講師が見せた、治療が止まった2年間のエックス線写真

    【ミニセミナーを覗く】「4mmくらいなら様子を見よう」と思っていませんか?――講師が見せた、治療が止まった2年間のエックス線写真

    上顎の前歯の近心に、5mmのポケットとわずかな垂直性の骨吸収。ほかの部位を先に進め、この歯は最後に回していた。1Dの「25分間」ミニセミナー「【歯周外科】チェアサイドの "勘所" はここだ!」で、講師が「オペをしないとどうなるのか」として映したのは、この患者のエックス線写真の経過だった。コロナ禍で治療が中断し、気づいたときには骨吸収が根尖の近くまで進んでいた、と講師は話す。スライドの題は「まずは、SRP後に4mmの単純な部位を、切開してみたらどうですか?」。本稿では、スライドと自動字幕で確認できた範囲で、講師の主張・経験と編集部の解釈を分けて整理する。最後に回した前歯で起きたこと講師の説明によれば、初診は2020年3月。上顎左側中切歯の近心に5mmのポケットがあり、垂直性の骨吸収がわずかに見られた。この程度ならこの部位は最後にしよう、と他の部位から治療を進めていたところ、コロナ禍で講師の病院も一時的に診療を縮小し、結果としてこの部位には2年ほど手をつけられなかったという。スライドには2020年3月、2021年11月、2023年3月の写真とエックス線写真が並ぶ。講師は、基本治療はそれなりに行っていたが、それでも歯石の取り残しがあったと振り返る。いちばん取れそうな上顎前歯でも、4mmを超えるところでは取り残しが起こる。スケーラーの幅や、麻酔をせずに行う痛みもあって少し手を控えてしまったことが自分の反省点だ、と講師は話す。最初の段階で再評価してもう一度SRPを行うか、前歯でも少し開けさせてもらえば、あっという間に解決できていたはずだ、というのが講師の見立てだ。講師がこの症例を「たまたま」持っていたと説明する点も重要だろう。悪くなっていくのを経過観察することは倫理的にもありえないので、オペをしないとどうなるかを示す症例はなかなか持てない、と講師は言う。講師自身の経験であり、すべての4mmの部位が同じ経過をたどるという話ではない。それでも、問題が解決されないまま「また困ったら来てください」となれば、こうした経過になりうる、というのが講師の問題提起だ。歯周外科は、なぜためらわれるのか講師はまず、歯周外科そのものがあまり行われていない現状に触れる。スライドには、歯周病分野の研究者から提供を受けたというレセプト情報(NDB)の解析が映り、SRPの算定回数に比べて、フラップ手術の算定回数がはるかに少ないことが示される。講師の見方では、どれだけ頑張っても外科まで治療を受けられる患者はごく一部にとどまる、それが日本の実情だという(スライドの算定回数は、編集部で原典を確認できていないため本稿では載せない)。ためらう理由として講師が挙げるのは、まず「オペをしても治らないのではないか」という気持ちだ。講師と同世代の歯科医師が学んだころは再生療法がなく、切除療法としてのフラップ手術では歯肉が下がり、骨はなかなか戻らない。プラークコントロールが悪くなったり咬合性外傷があったりすれば、10年、20年と予後が良いとも限らない。そうした気持ちを払拭できない歯科医師は少なくない、と講師は言う。そのうえで、ポケットを測らずにエックス線写真で大きな問題がないからと補綴処置に入っていく例も、決して少なくないと指摘する。もう1つの理由として講師が挙げるのが、学びの場とのギャップだ。専門誌やライブで紹介されるのは最先端の高度な手技が多いが、卒業後に歯周治療を専門的に学ぶ場で研修を受ける人は少ない。いざ自分でやろうとしたとき、参考にするもののレベルが高すぎるのではないか、と講師は感じている。教科書にある「治る要件」では、何が足りないのか。講師が示すのは、自身の大学で学生が使う教科書の図だ。歯周病の原因はプラーク、とりわけ歯周病原細菌であると定義されている。しかし、歯磨きだけをしていれば治るわけではない。病気が進み始めたところに、火に油を注ぐように働く「促進因子」がある、と講師は説明する。講師が挙げる促進因子は具体的だ。ブラキシズムなどによる咬合性外傷、喫煙、糖尿病。服用している薬によって唾液が減り、自浄性が落ちること。日本人を含むアジア系の人では大臼歯の分岐部にエナメル突起やエナメル真珠がしばしば見られるといった、歯の形態。そして講師が最近とても多いと感じるという、セメント質剥離。年齢とともに根尖側のセメント質が厚くなり、繰り返し力がかかるとひびが入り、ポケットがないのに下のほうで骨が失われる、という。ほかにも、ブリッジの支台歯になっている、臼歯部の欠損を補綴していないために小臼歯に力がかかる、といった要因が挙げられる。講師は、これらは学生時代に講義でも定期試験でも出てきた当たり前の知識だが、目の前の患者の口の中と重ね合わせることが十分でないために、治る要件が満たされず、外科をしても思うようにいかないのではないか、と話す。歯周外科は大切だが、それを成功させる環境づくりがすごく重要だ、というのが講師の伝えたいことだという。再生療法に「期待しすぎない」講師は、医局員の治療を見ていて気づくこととして、適応症の選択を挙げる。保険で使える再生療法の選択肢が出てきたことで、再生と聞けば治るという期待が大きくなりがちだ、と講師は言う。知識だけでは追いつけないところがある、とも。講師が示すのは、上顎第一小臼歯の近心だけに7mmのポケットが残った患者だ。基本治療は短期間でうまく進み、ほかの部位はほとんどが2mmか3mmになった。この部位は7年前にも再生治療を受けていたが、うまくいかなかったという。保険診療で紹介されてきた患者でもあり、講師は保険で使える再生剤を適用したが、1年たってもポケットはまったく変わらなかった。講師はこれを、実際には適応を超えていた、とまとめている。編集部の解釈としては、冒頭の「4mmの単純な部位から切開してみる」という提案と、この症例は対になっている。単純な部位で一歩を踏み出すこと、そして難しい部位では再生療法に過大な期待をかけず、適応を見極めること。どちらも、外科の手技そのものより前の判断の話だ。本稿で扱わないこと講師の名前と所属、利益相反の開示の詳細、レセプト解析と歯科疾患実態調査の数値、症例の骨吸収の深さの数値、再生療法に用いた薬剤の名前、冒頭の症例での縫合法の詳細は扱っていない。自動字幕で聞き取りが不確かだった部分も採っていない。再生療法の適応の具体的な基準は、YouTubeで公開されている前半部分では詳しく語られていない。本稿は講義内容の整理であり、歯周外科の適応と術式は、検査結果と各自の判断に基づいて決めてほしい。元動画を見る【歯周外科】チェアサイドの "勘所" はここだ!(2024年3月29日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
    1D編集部
    2026年11月2日

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