日本から、歯科技工士がいなくなる?

日本から、歯科技工士がいなくなる?

文・構成:青木 秀馬 | 投稿日: 2019年12月16日
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前編の記事では、「歯科技工士校の”未来"」と題して、厚生労働省の「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」による歯科技工士養成の方向性についてまとめた。後編では、同検討会の「歯科技工士の確保」について議論された内容についてまとめていこう。

歯科技工士はなぜ離職してしまうのか?

なぜ、歯科技工士は離職してしまうのか。

検討会では、給与・待遇に対する不満や仕事内容に対する不満を持つことが離職の理由として挙げられていた。

具体的に見ていくと、歯科技工所内の勤務では医療従事者として実感を得にくいことや、職務評価制度が不十分で評価が給与に反映されにくいことなどが挙げられている。

また、離職を決意するタイミングとして結婚などのライフイベントがきっかけになることが多いと報告されており、将来をイメージした時に多くの歯科技工士は理想のキャリアプランを描くことが出来ない現状が推測される。

そのため、一度離職すると復職することがない特徴があると報告され、前述のことを裏付けていると思われる。

また、雇用契約や歯科医院と委託契約が締結されていないなど、決め事にルーズな一面も報告されており、場合によっては働く環境に悪影響を及ぼす可能性があることが記されていた。 

「歯科技工士の確保」は本当に必要か?

ここまで読むと、確保の必要性を当然のように思うが、その点は正しく検証されているのだろうか。 

検討会で報告された研究(※1)の中に、今後数年の間は歯科技工士の仕事量については変わらないということが予測されていることから、歯科技工士の確保は重要な課題と捉えられている。

では、一体どれくらいの歯科技工士を確保すればよいのかという率直な疑問が浮かび上がる。

しかし、この答えは用意されていない。筆者調べではあるが、歯科技工士の必要人数に関して、厚労省の公式見解として出された数値は見つけられなかった。

そのためか、検討会では、需要を満たすための歯科技工士の数を検討する必要があると記されている。

このような状況では担い手不足と言われるが、実際は適正な歯科技工士数に近づいているという見方もできる。 

計画に基づき政策が実行されなければ今と変わらず現場は振り回されるだけであろう。

検討会から早期に歯科技工士の需給に関する見解が出されることに期待したい。 

離職を防止するには何が必要か?

やや脱線したが、離職を防止する対策案の検討を見ていこう。 

はじめに、モデル事業の展開が挙げられていた。

近年は、デジタル化による作業の効率化が進められ従来のラボとは環境が大きく異なってきており、これに対応できるラボと出来ないラボに分かれてきている。

背景には、国内のラボの規模は1~2人が9割を占めるため、高価なデジタル機器に設備投資ができないという事情がある。

そこで「歯科技工所業務形態改善等調査検証事業」を発足させ、ラボの規模ごとに業務改善モデル事業を収集・分析して成功例を横展開することが検討されている。 

次に、デジタル機器に注目した新しい設備基準を設けることでテレワーク・時短勤務など柔軟な働き方に対応できる取り組みが検討される見込みである。

これにより、歯科技工士の処遇や職場環境の改善されることを期待したい。

その予算を確保することが検討事項として挙げられている。 

また離職者の復職支援では、衛生士の実例を参考に基金等を活用する取り組みが紹介された。

歯科技工士ではほとんど実施されていないことがわかり、参考事例から具体的な取り組みを検討する旨に言及されていた。

近年は女性歯科技工士も増加していることから、こういう取り組みが検討されることには期待が持てる。 

まとめ

以上をまとめると、歯科技工士確保のためには効率的な業務の進め方をシェアし職場環境を整え、業界のルーズな面を契約遵守によって排除していくことが重要である。

また、今後の歯科医療の動向を考慮しながら歯科技工士の必要数を明らかにし、それに応じた政策を実施していくことが重要である。 

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参考文献

  1. 『歯科技工士の養成・確保に関する検討会(厚生労働省ホームページ)』URL, 2019年12月16日閲覧.
  2. 『歯科衛生士及び歯科技工士の就業状況等に基づく安定供給方策に関する研究(厚生労働科学研究費補助金地域医療基盤開発推進研究事業)』須田英明, 2017.
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