前回の歯科国試突破論では、歯科医師国家試験に関する不思議な不思議な都市伝説を取り上げてみました。
真偽不明の都市伝説をさも真実であるかのように流布(「るふ」と読む)する人って、受験生のことなんか何にも考えてないわけですよ(笑)
受験生のことを考えているフリをしてるけど、実はそうではない人っているわけです(腹黒な人って意外と多いということです)。お気をつけあそばせ。
今回の歯科国試突破論では、113回国試で出題されそうな内容を取り上げてコメントしてみます。
読むだけでも勉強になるような内容にしてみましたので、軽く読んで頂く感じでもよいかもしれません!
SDGsは看護師国家試験で出題されたため、歯科医師国家試験での出題可能性が十分考えられるところです。
ちなみにSDGsは「エスディージーズ」と読みます。
SDGsとは「Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標」の略称です。
SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標です。
持続可能な世界を実現するための17のゴールから構成されています(更に細かい目標として169個の目標があります)。
なんとなく発展途上国向けと考えてしまうかもしれませんが、SDGsは発展途上国だけではなく、先進国自身も取り組むuniversalな目標であることも知っておきましょう。
スパルタ動画セミナー31回目で看護師国家試験のSDGsに関する問題を取り上げています。是非参考にしてください!
CRの接着システムとセレクティブエッチング(参考問題:112B76)
CRの接着システムの理解を問うためには、セレクティブエッチングに関する問題はとても良い問題になります。
丸暗記では解答しづらく、流れがわかっていないと解けない問題が作れるからです。
セレクティブエッチングに関する問題としては108B19、112B76があります。
108B19はエナメル質をリン酸エッチングしている画像が提示されて、状況を読み取らせる問題だったわけですが(下記参照)、受験生の理解が甘いところです。
108B19の問題文に「1ボトルセルフエッチングシステムを用いて」とあり、さらに画像を見るとエナメル質のみをエッチングしていることから、セレクティブエッチングを実施していることを読み取る必要がありました。
歯医者になったら毎日やる可能性もあるCR修復です。受験生のうちに絶対に理解してきちんと説明できるようにしておいてください。
なお、111B62(下記参照)では、「酸性モノマーによる歯面処理」というCR接着のドーナツの真ん中が出題されています。
この111B62はセレクティブエッチングの大前提となる話です。
そもそも111B62がわからないとセレクティブエッチングの話に進むことができません。説明できない方はこの機会にプロセスを理解しておいてください。
保険のCAD/CAM冠の製作過程(参考問題:109B15、111A90)
歯科医療を大きく変化させる可能性があるCAD/CAMですが、部分的に医療保険が適用されています。
現在保険適用されているのはコンポジットレジンをCAD/CAMで加工したクラウンです(この話を知らない受験生もいるようですので気を付けてくださいね)。
つまり問題文に「コンポジットレジンをCAD/CAMで加工したクラウン」とか「CAD/CAMによるコンポジットレジンクラウン」と書かれていたらそれは保険のCAD/CAM冠のことです。
口腔内スキャナーは2019年11月の時点では保険に導入されていませんので、口腔内でリアルに印象採得を行い、石膏模型を作成し、その模型をスキャンする方法で作成することになります。
なかなかストレートに出題されないMTAセメントですが、さすがにそろそろ出そうな感じがします。
MTAセメントの組成は①ケイ酸カルシウム②造影剤(酸化ビスマスやジルコニア)③硫酸カルシウム(つまり石膏です。石膏が含まれている理由は水で硬化するようにするためです。MTAセメントは水硬性セメントの一種ですよ)。
あと、MTAセメントは歯質接着性がありませんので、注意してください。意識していないと、なんとなく間違ってしまいそうです。
MTAセメントを使う場面は①穿孔部の封鎖②直接覆髄③逆根管充填です。
MTAセメントは水硬性セメントではありますが、仮封には使いません。
MTAセメントは高価ですので、仮封なんかに使ってはいけません!(笑)
一応注意しておきます。
MTAセメントについては、
スパルタ動画セミナー5回目でも解説しています!
象牙質知覚過敏症に用いる薬剤(111B48、111C86)
知覚過敏の処置でフッ化ナトリウム(フッ化物)を選択できない方がいます。知覚過敏にはフッ化物塗布も有効です。
下記の111C86を確認してください。
112回国試では高度に顎堤が吸収している総義歯症例が比較問題として出題されていました。
写真Bの症例は、ウルトラスーパー難症例ですね…。
ちなみにdentalkokushi的にはこの症例、全く自信がありません(泣)
このような症例はいくら調整しても疼痛が消失しないことが予想されますので、軟質裏層材の使用を考慮にいれるべき、、、という問題でした。
この3つを区別できない受験生が意外と多いです。きちんと区別して説明できるようにしましょう。こういうところが基本なんです。
(浪人生が弱いのはこのような基本的な部分です。現役生に負けてしまう要因のひとつです。)
トームス突起はエナメル芽細胞に存在しますが、トームス突起はエナメル小柱の形成に関与しますよね。
エナメル芽細胞には2種類あって、トームス突起を持つエナメル芽細胞とトームス突起を持たないエナメル芽細胞の2種類があるのです。
トームス突起を持たないエナメル芽細胞からは無小柱エナメル質が形成される点に注意しましょう。
単語の羅列だけで、意味を説明できない方が多いように感じるところですので念のため説明しておきました。
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