「CAD/CAMレジン=ハイブリッドレジン」、当然これは皆さん知っていると思います。ではハイブリッドレジンと充填用コンポジットレジンの違い、わかりますか?
端的に言えば「フィラーの含有量」の違いですが、保険適用となるCAD/CAMレジンブロックは無機フィラーの合計が70%以上と条件設定がされています。さらにレジンブロックは高温・高圧下で重合されるためマトリックスレジンの重合率が非常に高く、大臼歯の全部被覆冠としても使用可能な高強度を実現しています。
また適用されて記憶に新しいチタンクラウンですが、チタンという材料のイメージから「硬そう・扱いにくそう」といった疑問も聞こえてきます。しかし歯冠修復材料として用いられるチタンは「純チタン2種」であり、硬さは金銀パラジウム合金をはじめとする金合金に類似していて、高騰する”金パラ”よりも有用とも考えられています。
そして強度と審美性を両立した”白い金属”とも呼ばれるジルコニア。現在はモノリシックが主流になりつつありますが、高透光性による審美性向上と同時に起こる物性の変化、レイヤリングとの比較などなかなか得ることができない、理工学ならではの有益な情報がたくさんあります。
このように身近に存在する歯科材料は、現場に出てから知るからこそタメになるし面白い、大人になって学ぶべき教養です。
本セミナーでは、適用範囲が広がったCAD/CAMレジンや、保険収載されたチタン冠、最強の材料として進化を続けるジルコニアなど、さまざまなマテリアルの特徴や扱い方、材料に応じた接着のポイントに至るまで、歯科材料の専門家が明快かつ簡潔に解説します。
最高にマニアな知識をお届けします。
こんな方におすすめ
👉 最新マテリアルの知識を深めたい
👉 チタン冠の性質・扱い方を学びたい
👉 クラウンブリッジの材料で迷うことがある
講義目次
これまで貴金属が重宝されてきたワケ
適用が拡大したCAD/CAM冠
チタン冠の特徴と取り扱い
歯冠修復材料としてのジルコニア
各種材料への接着のポイント
講師
鶴見大学歯学部 歯科医学教育学講座 講師。
2009年鶴見大学歯学部卒業。香川大学工学部材料創造工学科機械材料科学分野特別研究学生を経て、2014年鶴見大学大学院歯学研究科(専攻:有床義歯補綴学)にて博士号取得。鶴見大学歯学部 有床義歯補綴学講座助手、同大学歯学部 歯科理工学講座助手を経て現職。
研究テーマは、インプラントの表面改質、オッセオインテグレーションのメカニズム解明、ジルコニア製インプラント、コーティングや骨補填剤のためのアパタイト開発などの基礎的研究であり、他業種とコラボレーションし工学的な手法を取り入れ、様々なバイオマテリアル研究を行っている。
日本歯科理工学会、日本バイオマテリアル学会、硬組織再生生物学会所属。2019年度、日本歯科理工学会論文賞及びDental Materials Science賞を受賞。歯科補綴学、歯科材料学に関する執筆多数。