この記事では、CR(コンポジットレジン)修復法とはどんな治療法なのかや、CR修復法のメリット・デメリットなどを解説します。CRは歯科の現場では頻繁に使用するので、ぜひ最後まで読んで理解を深めてください。
CR(コンポジットレジン)修復法とは、虫歯を削ってできた穴にコンポジットレジンと呼ばれる医療用のプラスチックを充填して埋める治療のことです。
CR修復法は、歯を抜いたり削ったりせずに治療する方法なので、歯の保存と審美性を両立することが可能です。レジン充填やレ充(れじゅう)とも呼ばれています。
その違いは、「欠損補綴」または「保存修復治療」であるのかです。義歯やインプラント治療は「欠損補綴」と呼ばれ、歯を失った箇所に人工歯を入れて補う治療です。それに対してCR修復法は「保存修復治療」と呼ばれ、歯を保存するために行う治療です。
コンポジットレジンの寿命は、どの部位に使用したかや加わる負荷によって大きく変動します。
例えば、噛み合わせが強い患者様に使用した場合は数年で咬耗する可能性がありますが、反対に、負荷がかからない部位に使用した場合は十数年以上経過してもほとんど劣化しないこともあります。そのため、コンポジットレジンの寿命を断定することはできません。
CR修復法の治療は一日で終わります。虫歯の数が多い場合は通院回数が多くなってしまいますが、ほとんどの場合は一回で治療を終えられます。
CR(コンポジットレジン)修復法のメリット・デメリット
歯を削る量を最小限にできる
1日で治療が終わる
金属アレルギーがある患者様にも適応できる
天然歯と馴染みやすい
CR修復法では、悪くなった部分だけを除去してCRで埋めるため、歯を削る量を最小限にできます。また、ほとんどの場合は1日で治療を終えられるため、忙しい患者様でも治療を受けていただくことができます。
さらにCRは、プラスチックであるため金属アレルギーの患者様にも適応でき、かつ歯の色と似ている素材であるため、天然歯と馴染みやすく審美的に良いことが特徴です。
金属やセラミックに比べると強度が低い
経年劣化する
医師の技量によって仕上がりが左右される
使用できる部位が限られる
CRはプラスチックであるため、金属やセラミックに比べると強度が低く、経年劣化します。
また金属やセラミックの補綴物の場合は作成を歯科技工士が担当しますが、CR修復法の場合は最初から最後まで歯科医師が行うため、担当する医師の技量によって仕上がりが大きく左右されることもデメリットです。さらにCRは光線をあてて硬化させるため、光線が届かない部位には使用できないという欠点もあります。
CR修復法は、虫歯の治療以外にも以下のような治療に活用されています。
外傷によって破折した歯の修復
咬耗の修復
抜けた歯の補完
外傷によって破折した部分をCRで補ったり、歯の咬耗を修復したりすることができます。また歯が抜けてしまった部位にCRを盛ることで、人工歯を作ることも可能です。
タービンホワイトポイントコントラバーCRフローCRペースト歯面処理剤光照射器薬液塗布用の小筆CRペースト用光遮断ケース
以下の画像はタービンです。

タービンは圧縮した空気の力で高速回転し、歯を削るためのものです。
CR治療法を行う際、ケースに応じて必要なものを以下の表にまとめました。
表面麻酔浸潤麻酔レジン充填器隣接面用ストリップス研磨用ストリップス咬合紙隣接面CR充塡専用キットラバーダムセット
以下の画像はレジン充填器です。

なお、レジン充填機はCRペーストを使用する場合に使い、CRフローを使用する場合には使いません。
以下の画像は咬合紙です。

咬合紙はかみ合わせを確認するための紙のことで、咬合紙ホルダーという咬合紙をはさんで持つための器具と組み合わせて使用します。
CR(コンポジットレジン)修復法の検査~充填までの治療手順
以下では、CR修復法の検査から充填までの流れを、6つの手順に分けて紹介します。
最初の手順では、咬合関係や歯周組織などの状態を確認したり、レントゲン検査を行ったりして、今後の治療計画を立てます。
次に、必要に応じて部分的に麻酔をして、虫歯や古い修復物を取り残しがないように注意して除去します。なおCR修復法の場合、多少のアンダーカットは問題ないので、健康な歯質はなるべく残して虫歯だけを除去します。
虫歯が除去できたら、歯面処理剤を塗布し、説明書に記載されている時間待ちます。待ち時間はメーカーごとに異なるため、きちんと確認することが大切です。
歯面処理とは、基本的に歯質と科学的に接着しないCRが天然歯と接着するように、歯の表面を処理することです。
歯面処理が終わると、いよいよCRを充填です。歯とCRの継ぎ目の精度が悪いと隙間にプラークが溜まって病気の原因となるため、CRの充填は慎重に行います。
CRを充填し終えたら、照射器をなるべく窩洞の近くまで近づけて光線を照射し、CRを固めます。
CRを固め終わったら、余分な部分を除去して歯の形を整えます。歯の高さがズレていないかや噛み合わせに違和感がないかを細かくチェックし、最終調整を行って治療は終了です。
歯面処理剤は、歯質とCRをしっかりと接着させるための助けをしています。そのため、適切にCR修復法を行うためには、歯面処理剤の使用手順と作用時間を守る必要があります。
CRを固めるための光照射を行う際は、照射器をできる限りCRに近づけるようにしましょう。近くから照射すると完全に固めることができますが、もしCRと照射器の距離が離れていると、固まりきらずに不完全な状態になってしまいます。
不完全な状態のCRは、着色や不適切な摩耗を引き起こすので注意が必要です。
今回は、CR修復法とはどんな治療法なのかやCR修復法のメリット・デメリットなどを解説しました。
CR修復法とは、虫歯を削ってできた穴にコンポジットレジンと呼ばれる医療用のプラスチックを充填して埋める治療のことで、歯を抜いたり削ったりせずに治療する方法なので、歯の保存と審美性を両立することが可能です。
また、CR修復法には「歯を削る量を最小限にできる」「1日で治療が終わる」「金属アレルギーがある患者様にも適応できる」「天然歯と馴染みやすい」などのメリットがありますが、「金属やセラミックに比べると強度が低い」「経年劣化する」「医師の技量によって仕上がりが左右される」「使用できる部位が限られる」などがデメリットとして挙げられます。
CRは歯科の現場ではとても頻繁に使用するので、患者様にご説明できるように基本的な知識はしっかりと覚えておきましょう。