「歯科医師国保」という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどんな制度なのかを知っている方は少ないのではないでしょうか。特に今後自分が加入するかも知れないとなると、保険料が今よりも安くなるのかそれとも高くなるのかが気になりますよね。
この記事では、歯科医師国保がそもそもどんな制度であるかから保険料の相場や納入方法までを解説します。歯科医師国保の保険料についての不安は無くなりますので、ぜひ最後まで読んでください。
歯科医師国保とは、「職域国保」の一種です。職域国保とは、国民健康保険法に基づいて運営されているもので、医師や弁護士、理美容師などの地域の同業者が設立する国民健康保険組合が行う組合国保のことです。
また「歯科医師国保」という名前ですが、加入できるのは歯科医師だけではなく、歯科衛生士や歯科技工士、歯科助手、受付の従業員、その家族も被保険者になれます。
ただ歯科医師国保を運営管理する組合は複数あり、地域によって加入できる組合が異なるので、保障内容はどの組合に加入するかで多少の差があります。
歯科医師国保に加入するメリットの1つとして、保険料が一律であることが挙げられます。
公務員や会社員とその扶養家族が加入する健康保険では、給与の額によって保険料が変動します。個人事業主やパート、アルバイトの方が加入する国民健康保険では、保険料は前年の所得に応じて変動します。
それに対し歯科医師国保は保険料が一律であるため、所得や給与に応じて保険料が変動する保険に加入するよりも、支払い額が安くなるかもしれません。
歯科医師国保は、「保険事業」と呼ばれる福利厚生が充実しています。保険事業の内容は健康診断や予防接種、人間ドックなど健康増進を促すものが中心ですが、組合によって独自の保険事業を行っている場合があります。
レジャー施設の割引利用券を発行していたり、温泉の割引やアロマ教室の開催などを行っていたりするので、加入する組合によっては大きなメリットになりそうですね。
歯科医師国保の加入資格は、どの組合に加入するかによって変わります。ここでは、全国歯科医師国民健康保険組合に1種組合員として加入する際の例をご紹介します。歯科医師国民健康保険組合に1種組合員として加入するには、以下の書類の提出が必要です。
資格取得届
世帯全員の住民票記載事項に省略がないもの、ただし個人番号除く加入する方の以前加入の健康保険資格喪失証明書市区町村国保の場合は被保険者証の写し預金口座振替依頼書
保険料算定資料提供同意書
健康保険適用除外承認申請書厚生年金に加入する方のみ。(70歳以上の方が加入する場合は、「市区町村民税課税証明書」等が必要となります。)
(参照:
『全国歯科医師国民健康保険組合::加入・喪失時に必要な書類一覧』)
その他、組合によっては住んでいる地域の指定があることもありますので、あなたが加入を考えている組合の加入資格を確認しましょう。
歯科医師国保を運営する組合は複数存在し、組合ごとに保険料は異なります。そこで、全国にある組合のうち12の組合の保険料を組合員区分別、地域別で以下の表にまとめました。
なお同じ組合員区分でも年齢や家族構成、勤務医か衛生士かによって保険料に差が生じます。そのため、同一の組合員区分でも差がある場合は、勤務医の最低額を紹介しています(2022年7月現在)。
県名一種(甲種)保険料二種(乙種)保険料北海道19,600円19,400円宮城県34,100円26,900円秋田県27,200円24,200円神奈川県32,300円24,700円埼玉県15,500円15,500円群馬県 17,400円17,400円茨城県46,000円15,000円愛知県20,900円13,200円大阪府26,200円20,700円奈良県27,700円27,700円和歌山県21,200円14,700円鹿児島県9,200円13,200円
地域一種(甲種)保険料平均二種(乙種)保険料平均全国24,775円19,383円北海道19,600円19,400円東北30,650円25,550円関東27,800円18,150円中部20,900円13,200円近畿25,033円21,033円九州9,200円13,200円
歯科医師国保は、金融機関からの振り込みで納入することができます。また一種(甲種)組合員が事業主にあたるので、二種(乙種)組合員の保険料は一種(甲種)組合員が徴収し、合わせた金額を一括で納入します。そのため従業員として働いているのであれば、納入方法を詳しく知らなくても問題ないでしょう。
歯科医師国保に加入する際の注意点1つめは、自分の勤め先には保険請求ができないことです。通常の医療機関では窓口負担は3割ですが、自分の勤め先は例外で、保険請求をすることができません。そのため自分の勤め先を受診すると負担額が多くなってしまいますので、注意しましょう。
歯科医師国保に加入する際の注意点2つめは、保険料の滞納です。正当な理由なしに保険料を滞納してしまうと、除名処分をされることがあります。
例として、北海道歯科医師国民健康保険組合のホームページには「特別な理由(災害等)もなく、納期までに保険料を納付しない場合は、延滞金および督促手数料等を加算します。その後一定期間を過ぎても納付しない場合は、組合の規約に基づき、理事会の議決によって組合員の資格を失うことがあります。」との記載があります。
ただし保険料未納の原因が災害その他特別な事情であった場合、保険料を減額・免除・猶予してもらえる可能性もあります。
(参照:
『保険料|北海道歯科医師国民健康保険組合』)
歯科医師国保に加入する際の注意点3つめは、保険料が日割り計算されないことです。そのため、月の途中から加入した場合であっても、初月から一か月分の保険料を払わなければいけません。歯科医師国保に加入する際は、保険料が日割り計算されないことを考慮して加入の申し込みをしましょう。
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歯科医療者の皆さま、ぜひご活用ください!
今回は歯科医師国保がそもそもどんな制度であるかから、保険料の相場や納入方法までを解説しましたただ、記事内でご紹介した保険料はあくまでも相場であり、実際の保険料は加入する組合によって異なります。
そのため歯科医師国保への加入を考えているならば、まずはあなたが加入する可能性がある組合について調べてみましょう。