今回は
前回の記事 の続きです。
では、不出、可出>未知の状態で過去問演習をせず、ひたすらに教科書や参考書を読むのはどうでしょうか?

この方法を実践している学生は、けっこう多いです。
こうした勉強法の学生は2タイプいます。成績がよくないタイプと、極端に成績が優秀なタイプです。
極端に成績が良いというのがどのレベルかというと、全国模試で順位が1〜2桁くらいのレベルです。学内だと1〜5位くらいの位置にいる感じです。こうした学生は例外的なケースですので今回の内容からは除外しますが、極端に優秀な学生は本当ににこのタイプが多いです。
問題になってくるのが、成績のよくないタイプです。特徴として、下記が挙げられます。
なぜこのようなタイプは、成績がよくないことが多いのでしょうか?
その理由は2つあると考えられます
。1つ目は、問題演習の数が少ないのでどこが頻繁に出題される箇所なのか把握していないことです。
また国家試験の内容には、トレンドがあります。
数回前までは頻繁に問われていたけど最近は見なくなった問題や、一回前の出題で正答率がかなり低かったので改変されて出題されそうな問題など過去問に触れていないと気が付かないものがあります。
加えて出題基準の変更に伴い、変化する項目があります。
こうしたことはある程度、問題演習をしていないと気が付かないことです。
2つ目は、不出が可出に変化するためのきっかけが少ないことがあります。
ぼくはこちらの方が問題だと思っています。
トレンドは予備校講師や国試対策に熱心な大学の先生などが講義中に話してくれるから、問題演習をしなくても知ることができます。他人に何かを教えたことのある人は分かることですが、教えると自分の覚えているところと忘れているところがはっきり自覚できます。
教える前は「これくらいの内容だったら説明できる」と意気揚々なのですけど、教えているうちに説明できるほど知識体系が整っていないことや、論理的に説明するために必要である単純知識の数が足りていないことに気が付きます。
これは教えてみるまでは気が付かないことです(心理学で、認知バイアスと呼ばれているものです。興味がある方は調べてください)。1人で本を読んでインプットをしているだけでは見えてこないことがあります。というか見落としている箇所があります。
教えてみる(アウトプット)ことで、可出だと思っていたものが不出や未知の知識が発見されたり、説明しているうちに不出知識を思いだしたりすることができます。
ぼく自身振り返ってみると、教えているつもりが自分が教わっていたという経験はよくあることです。
そして過去問を解くことはアウトプットです。教科書を読むことはインプットです。

つまり 不出、可出>未知の状態で過去問演習をせず、教科書や参考書を読んでいたりするとは、インプット>>>アウトプットという状態になります。こうした状態ではインプットしている内容に偏りが生じやすくなり、大切な知識を見落としやすくなります。
ですので教科書を読んだり講義を聞いたりして、ある程度の基礎が固まったと思えれば問題集に取り掛かってしまったほうが良いのです。そうすることでインプットとアウトプットのバランスが取れます。
今「ある程度の基礎が固まったと思えれば」とお伝えしましたが、ここの見極めが難しいところですよね。過去問演習にとりかからず、ずっと教科書や参考書を読んでいる学生は真面目な方が多いです。「完璧に覚えてから問題集を解きたい」という完璧主義の傾向が強いです。
「ある程度の基礎が固まった」段階を見極める方法は2つあります。
1つ目は、国家試験を熟知している講師に相談してみることです。講師からいくつか質問をされると思いますので、その応対で学生のレベルというのはある程度推測ができます。しかし周りにそういった講師がいないという人もいると思います。そうした方には2つ目の方法がおすすめです。
2つ目は、模試の結果を利用することです。返却された結果には、科目ごとのレーダーチャートが付属しています。そこのチャートを分析することがポイントです。
基礎がしっかりしていない科目は、ここが陥没しています。そういった科目があれば、問題集を解くのではなく、教科書や参考書をしっかり読んで基礎固めをすること。陥没していない科目に関してはある程度の基礎が固まっていると判断して問題演習を進めていくこと。
返却される結果プリントは、情報量が多く、どこを見たらいいのか分からない方が多いと思いますが、今お伝えしたとこにフォーカスをあてて有効活用するようにしてください。

今回の内容をまとめると、下記のことが言えると思います。
過去問を解きはじめるのは、基礎が固まってから
基礎を固めるためには、教科書や参考書を読んで理解すること
いつまでも教科書や参考書を読んでいると、国試合格のために必要な情報を見落としやすくなる
国家試験を熟知した講師に相談をしてみて、実力を判断してもらう
模試のレーダーチャートを有効活用しよう
受験勉強は孤独な作業なので、不安になることが多いです。今回の内容が、少しでも受験生の不安の解消につながれば幸いです。
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