患者さんと「ひらがなで話す」技術

患者さんと「ひらがなで話す」技術

文・構成:本吉 ひとみ | 投稿日: 2019年12月17日
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毎日誰かしらと会話をしているが、会話の仕方を学ぶ機会はほとんどない。しかし、患者さんとの会話やスタッフとの会話に悩んでいる歯科衛生士は多いのではないだろうか。

わかりやすい話し方を身につけるためには、知っておくべき大原則がある。それは「人はひらがなで話を聞いている」ということ。

自分の頭の中では漢字を思い浮かべて話をしていたとしても相手にはひらがなで伝わっているのだ。「しかんによごれがついている」と言葉にしたときに、「歯間」なのか「歯冠」なのかわからない。一瞬、相手に考えさせてしまうのである。

わからないことを一つ一つ確認できればいいが、たいていの人はわからないままにしてしまう。それが重なると相手が何を伝えたいのか理解できなくなる。

会話をする上で大切なのは「どう聞こえているか」を相手の立場にたって常に考えることである。そのために「ひらがな」で話すことが重要である。そこで今回は音でしか聞いてない相手に対して何ができるかをご紹介する。

相手はいつもひらがなで話を聞いている

話し手は①話す内容を考える②声に出す
聞き手は①声を聞く②音を漢字に変換する③意味を知る

話すときに知っておいたほうがいいのは、相手は聞いた音がそのまますぐに漢字に変換されるわけではないということ。前後の文章を読み取って漢字にし、それからようやく意味を理解することができる。

医療系の言葉はかたくなりやすい。なるべく難しい単語は使わず言葉を分解させたほうが相手に伝わりやすい。簡単なぐらいがちょうどいいのだ。

「歯面に付着する」と伝えたい場合、歯科医療者以外は「歯面」も「付着」も馴染みがない言葉だろう。よって、歯面と付着を分解させて文章にしよう。「歯面」は「歯の表面」「付着」は「くっつく」などである。「歯面に付着する」よりも「歯の表面にくっつく」と言われたほうがわかりやすくないだろうか。

しかし、あまりにも言葉を崩しすぎると幼い印象も与えてしまう。賢そうなビジネスマンには敢えて難しい単語を使ったほうが相手に手っ取り早く伝えることもできる。よって、相手の立場に立って考えることが非常に大切である。

他に、難しい単語を発してから、その後に意味を説明するのも良い。「プラークが原因です。プラークとは、つまり…」と意味を補足するのもひとつの手である。

やってはいけない「こそあど言葉」

こそあど言葉とは、指示語とも呼ばれる。「こ」「そ」「あ」「ど」の後に同じ文字を入れることで何かを指し示す言葉に変わるものである。例えば「こそあど」の後に「れ」を入れると「これ・それ・あれ・どれ」になる。
こそあど言葉は便利な反面、多用しすぎると意味が伝わりづらくなってしまう。指示語にはサボり指示語、つい指示語、置き去り指示語の3つのパターンがある。

・サボり指示語
・つい指示語
・置き去り指示語

サボり指示語とは、どういったらいいかわからないときに使ってしまうもの。「この医院はスタッフ同士の仲も良いし、そういうところがよかった」といった言い方をしてしまうことはないだろうか。スタッフ同士の仲の良さだけではなく他にもあるけれど、上手く言葉が出てこないのでとりあえず「そういうところ」で済ませてしまっている。サボり指示語で終わらせるのではなく、自分の言いたいことを表す言葉を探すようにしよう。

2つ目はつい指示語である。「そんな感じです」「そういうわけで」と特にその言葉に意味はないのだが、間を繋ぐために発してしまっている言葉である。知識が曖昧なときにも起こりやすい。口癖になっていることも多いので、まずは指示語を使ってしまっていることを自覚するところから始めよう。

3つ目は置き去り指示語。それ、あれと使ったものの、何を指しているのかわからないものである。聞き手が話の内容を覚えていれば正しい使い方なのだが、文章が長くなってくるとそうもいかない。TBIで3つポイントを伝えたら「それらの3つのことをしてみてくださいね」ではなく、「〇〇と〇〇と〇〇の3つをしてみてくださいね」と復習するようにしよう。2回言うことで患者さんの記憶にも残りやすくなる。

「話し方」で患者さんの心を掴める

文章を書くときには「、」や「。」を使用するのに、会話になるとそれらが使えない人がいる。伝えたいことがたくさんあっても、区切りなく一気に話されると言葉が伝わりにくくなる。

間をなくすために Filler word(フィラーワード:あのー、えーなど不要な言葉)を多用する人も多い。意識的にフィラーワードをなくすようにしよう。

間をつくるのは人の心を動かすときには大切である。沈黙が怖いからとまくしたてるように話してしまうことがあるが、間という空間をつくらないと患者さんの入る隙間がなくなってしまう。間をつくることで話しにくいことも話せるようになるのだ。

大事なことを言う前に間をつくると相手に言葉が響きやすくなる。お笑い芸人も間を大切にしており、とくに笑いが起こったときには被せて言葉を発することはないそうだ。間は聞いた人が話を受け取るための時間なのである。

また、話の内容がどんなに良くても話が相手に伝わらないことがある。それは、そもそも相手が聞き取れない話し方をしているのだ。声が小さい、モゴモゴ話す、語尾が小さくなるなどである。自分が言ったことと相手の聞こえたことが一致していないのだ。説明したとしても、相手に伝わっていないと意味がない。ハキハキ話せると誤解や伝達ミスも少なくなるだろう。

そして、若い女性に多いのが語尾が強調される話し方である。いわゆる女子高生っぽいしゃべり。語尾が長くなるのも間が怖いときに無意識にしてしまうようだ。あまり良いイメージを持たれないので、頭にアクセントがくるように意識しよう。

わかりやすく話せるようになると、患者さんとのコミュニケーションがスムーズになる。話し方ひとつで患者さんの心を掴むことができるのだ。まずは相手の立場にたって、「自分の話は相手にどう聞こえているか」を考えてみよう。

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参考文献

『「ひらがな」で話す技術』西任暁子, 2012.
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