歯科衛生士のみなさん、手用スケーラーのシャープニングをしっかり行っていますか?
忙しさに追われる日々、時間が足りない…。
そして、シャープニングに自信がないという悩みを抱える人も多いかもしれません。
そこで、今回はGキュレット/スケーラー「est 2」を開発・販売する株式会社YDMご協力のもと、実力派の現役歯科衛生士(かめだ歯科医院チーフ)柿沼八重子さんにインタビューしてきました。
柿沼さんからは、シャープニングのポイントや実際に「est 2」を使用してみた感想など、貴重なお話しをたくさんしてもらいました。
ーーー新人の衛生士さんはキュレットがうまく研げているかどうかの判断が難しいと思いますが、柿沼さんはどのように指導されていますか?
新人の衛生士さんには、まずはテストスティックの使い方から説明しますね。
テストスティックを使うときに、正しい角度で行わず自分の引っかかるところで確認しちゃうと、研げていると思っていたキュレットが実際、口腔内で使うと研げていないため、歯石がうまく取れないということがよくあります。ですので、まずは正確にテストスティックで確認できることがとても重要だと伝えています。
ーーーシャープニングは正しい角度があると思いますが、テストスティックを使うときの角度はありますか?
テストスティックを歯の根面と見立てて、キュレットの第一シャンクを平行にします。
軽い力で食い込ませると、よく聞くと音が出ていると思います。先端と真ん中、後ろの部分の三箇所の音を確かめています。
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ーーーシャープニングをする際に気をつけるポイントなどはありますか?
まずは、シャープニングをする前にブレードの構造やどこで歯石を取るのか、じゃあどこを研がないといけないのかというのをよく考えてもらってから研いでもらいます。
では、正確に研ぐにはどうしたらいいのかというので分度器のコピーをうちの医院の壁に貼っています。それを目安にして新人の子とかはやっていますね。
・Gキュレットシャープニング(側面)ダウンロードはこちら
・Gキュレットシャープニング(先端)ダウンロードはこちら あとは始めの角度は変えない。だんだん自分の癖で変わってきちゃうのと、どうしても先で歯石を取るので先ばっかりで研いじゃうことがよくあります。
実際のブレードは上から見ると真っ直ぐで、70度から80度の角度がついているのが正しいです。
ブレードの形状を頭でしっかり理解した上で、どこを研がないといけないのか、どのように砥石を動かすのが適切なのかを理解しておく必要があります。そうしないと、キュレットもすぐにダメになっちゃいますからね。
ーーーシャープニングの頻度やタイミングについてはどうですか?
切れ味が鈍くなったカッティングエッジは、摩耗して光の線が出てきます。その状態でテスターで確認しても滑ってしまったり、引っかからないようであればシャープニングを行います。
私はシャープニングを毎回必ず行う必要はないと考えています。よく確かめて、一度使ってもまだひっかかるようであれば、もう一度使えるかなという感じですね。
自分の中でなんとなく部位によって使うキュレットが決まっているんですが、歯石を取る根面に対して「これは鋭く尖ってた方がいいかな」とか
「これは尖ってなくても8割くらい研げていれば十分に歯石が取れるな」など自分で考えながらシャープニングを行っています。
ーーーシャープニングの重要性を知ってもらうためにはどうしたらいいでしょうか?
本当に切れるキュレットというものを知らない衛生士さんがたくさんいるんですよね。だから、切れるキュレットと切れないキュレットの違いを体験してもらうことが大切だと思っています。
そうすることで、研いだ後のキュレットがどれだけ切れるようになるのかを実感してもらえるんですよ。
あとは、砥石がない歯科医院もまだまだ多いです。あったとしても、先生が学生の時に使っていた砥石一個だけとか、そんな医院も存在します。
セミナーに参加してくれる方は砥石を用意してもらっているんですが、そこで初めてシャープニングをする衛生士さんもいらっしゃったりするので、そういった医院の先生方にもっと興味を持っていただけるといいですね。
ーーー砥石にも種類がありますが、柿沼先生はどの砥石を使っていますか?
私は基本的にYDMさんのセラミック砥石を使っています。
この砥石には溝が入っていて、シャープニングをすると先端の部分が尖ってきちゃうので、その尖っている部分をこの溝で研ぐことができるんですよ。溝の使い方を知らない衛生士さんは多いと思うので使ってみてもらいたいですね。
あと、形態修正を大幅にしたいときはアーカンサス砥石を使っていて、ちょっと研げば元に戻るといった感じのときはセラミック砥石など使い分けて使用しています。
ーーーシャープニングをする上で気をつけていることはありますか?
砥石も目詰まりしちゃうとキュレットがうまく研げないので、砥石もちゃんと管理しないといけないというところですかね。
やっぱり一番はMY砥石で自分で管理していくことで、ちゃんと洗ってから超音波につけたりスポンジの柔らかいところで洗って、目詰まりを取り除いて滅菌しておくっていうようにしていくのが長く使えるコツかなと思います。
YDMさんのスケーラー「est 2」を実際に使用した感想を柿沼さんに聞いてみました。
ーーー実際に「est 2」を使ってみていかがでしたか?
「est 2」のミニをいろんなところに使ってみたのですが他のメーカーさんのキュレットのミニよりもYDMさんの方がブレードが短いので歯肉を傷つけずに部分的なところに使いやすくて良かったです。特に、下顎6番の分岐部や下顎の前歯部の舌側、上顎4番、5番の口蓋側の当てづらいところにちょうど良いと感じましたね。
新人の衛生士さんにも使ってもらって、その子は普段、親指がすごく曲がっちゃう、しなっちゃうそうなんですが、シリコンで太めのカラフィーハンドルは握りやすくてとても使いやすいと言っていました。
自分に合うキュレットを見つけるのに時間がかかることがあるのですが、YDMさんのキュレットはハンドルも種類がたくさんあるので、同じメーカーで自分に適したキュレットを見つけられるのはすごくいいなと思いました。
他のものと比較して使ってみたのですが、やはり金属の硬度が高いという感じはしました。
シャープニングの頻度は減るかなと思うのと、耐久性があってすごく長く使えると思うのでシャープニングをして自分好みの使いやすいキュレットにしていくといいのかなと思います。
ーーースタンダードのハードが一番売れているそうですが、柿沼さんはどの種類が使いやすいですか?
ハードだと重度のPの患者さんとかじゃないと、入れにくいと思うのでシャープニングをしてうまく使っていくのがいいかもしれないです。
セミナーを受けにいらしてくれる衛生士さんは、スタンダードのキュレットを使用している方が多いです。長いスケーラーだと余分なところに当たってしまうので、ミニの利点を伝えたいんですけど、実際にミニを使っている衛生士さんは本当に少ないんですよね。
ーーー新人の衛生士さんにはどのタイプのスケーラーをおすすめしますか?
そうですね、新人の方が重度の歯周病の患者さんを診る機会は少ないと思うので、キュレットの構造を理解するためにはスタンダードのキュレットから始めていただくのが良いと思います。
歯周ポケットが深い患者さんのSRPをするようになって、スタンダードがやりづらいと感じる場合はミニに変えてもらうとそれだけで深いポケットに届くと思います。
スタンダードなキュレットを使いこなせれば、ミニのキュレットも使いこなせますが、逆にミニから始めてしまうと、スタンダードなキュレットを使いこなすのは難しいと思うので、最初は基本的なキュレットから始めていただきたいですね。
ーーーインスツルメントの導入は院長先生が判断されている医院も多いと思いますが、スケーラーの良し悪しをどうすれば衛生士さんが知ることができますか?
新人さんだと勤務先の医院にあるキュレットか、学生のときに使っていたキュレットを使用することが多いですが、それでは使いづらいと思うんです。
私が勤めているところは比較的いろんなキュレットが揃っていて、学生の時はすごくハードなものを使っていたのでこんなに柔らかいものがあったんだなと感じました。
セミナーに出るとそこで推奨しているキュレットをいただくこともありますし、私はいろんなメーカーのキュレットを患者さんの口の中で試してみて、どのような違いがあるかを確かめていました。例えば、この部位には大きいキュレットは使いづらいけど、ミニサイズなら入るなど自分で調べたり、カタログをとったりセミナーに参加して地道に比較していましたね。
患者さんの性別や歯の状態に応じて使い分けることもできるので、1つのメーカーに偏らず、様々なメーカーのキュレットを用意しておくのは良い方法だと思います。
ーーーYDMさんのキュレット「est 2」はどういった患者さんに合っていると思いましたか
ミニに関しては重度のPで分岐部が露出しちゃっている患者さんとか、細かい部分の歯石を取るのにすごく使いやすかったです。
ゴツゴツした歯石がついている典型的な歯周病の人とかは超音波で今はとっちゃたりしますけど大体を超音波で取った後、ラフな感じでソフトのスタンダードが使えると思います。
最上級を意味するest。より美しくシャープに持続する切れ味
YDMさんに「est 2」の特徴を聞いてみました。
国内材料メーカーと共同開発したオリジナルの新鋼材「Dual Steel」を採用。
200種類以上ある規格内のステンレスではなく、YDMオリジナルの鋼材を作ることによって理想的な硬度と切れ味を実現しました。
②ブレードが短く、日本人の歯周ポケットに入れやすい
小さいタイプだと歯肉を傷つけずに深いところまで入れやすいという現場の意見を反映し、それぞれ従来のものよりブレードを短くし、さらに日本人のポケットに入れやすい形状に変更しました。
ハードは側方圧が加えやすいので多様な歯石に使いやすく、ソフトはハードに比べてしなりがあるので超音波スケーラーで歯石を取った後の細かな歯石を取るのに向いています。
ミニタイプはさらにブレードの長さを短くし、第一シャンクは長くなっているのでポケットが深い方に使いやすく、特に前歯部などの小さいところに入れやすいのが特徴。
③選べる5つのハンドルと豊富なカラーバリエーション
ハンドルはステンレスと、シリコンタイプのものがあり、「サクラ」、「カラフィー」、「TOIRO」、「角柄」、「丸柄」の5つから自分に合ったものを選べます。
カラーも豊富で識別がスムーズなため、症例に合わせて使えるのがポイントです。
現場の声を反映して開発されたオリジナルスケーラー「est 2」
実際にSRPを行っている現場の声を反映し、開発されたオリジナルのスケーラー「est 2」。
「自分にあったキュレットがなかなか見つからなくて困っている」「どのメーカーのキュレットがいいのか分からない」という衛生士さんにおすすめのスケーラーです。
ぜひ、この機会にシャープニングを見直して、効率的に歯石除去できるスケーラーを手に入れてみてはいかがでしょうか。